転生して性奴隷♂魔王の息子と暴れてきます(仮)

田中 乃那加

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8.僕の為に争わないで ……なんて言うと思ったか、バーカ!

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 「前々から、ちょっと引っかかってたんだよなぁ……その態度」
「あー、気のせいじゃないですか? 」

 面白くなさそうに顔を顰めるエト。
 口元だけの笑みで、目に敵意を宿すケルタ。

 二人が取り出したのは、杖だ。

 ……あれは魔法使いの杖。
 人間界にも、魔法を使える者はいる。だから目にしたことはある。

「おいおい。ここでやるのか」

 少し慌てたような声の彼を、ケルタは嘲った。

「なんですか、エト様。もしかして……ビビってます?」
「あ゙? お前もう一回言ってみろ、この野郎」
「ふっ……大人気ないですねぇ」
「うるせーっ、お前のそのナリは見た目だけだろうが!」

 いよいよ穏やかな表情を捨てて、牙を剥くような顔になったエト。
 対して飄々とした物言いの少年は、肩を竦めて僕の方をチラリと見た。

「嫌だなぁ、オレの秘密バラさないで下さいよ」
「お前、ルベルも騙してやがったか……おい。こいつ、こんな姿だが本来は俺達よりよっぽど年上なんだぜ!」
「えっ、うそッ」

 思わず、ベッドの上から声を上げる。
 
「本当本当。ドワーフで、見た目年齢が異常に若いんだよ」
「ど、ドワーフ!?」

 ダークエルフじゃなかったのか。

「じゃあ、エトの弟っていうのは……」
「こんな弟居てたまるかよッ!」

 するとあれは全部、嘘。
 僕は騙されていたのか。
 まぁ、別にそんなことで打ちひしがれるほど、僕は気の良い人間じゃないけどさ。

 ……そんな事より。

「この嘘吐き野郎、魔法さっさと解けぇぇぇッ!!」

 渾身の力を込めて叫ぶ。
 
 アホ男二人のバトルなんざ、どーでもいい!
 僕はむしろ、混乱に乗じて逃げ出す機会を伺っていた。

「は? 駄目だよ」
「それは……ダメに決まってんだろ」

 ほぼ同時に即答される。

「なんでだよッ!?」
「当たり前でしょ。ルベルはオレ達のなんだから」
「え、え、獲物って」
「そりゃあ、勝った方がルベルと××××して××を……」
「そ、それ以上言うなァァァッ!!」

 とんでもない卑猥な言葉に思わず声を上げる。
 ヤバい、こいつ凄くヤバい。
 変態だ……。

 うっそりと笑った少年は、まるで年下の表情じゃない。
 その瞳と言葉に恐怖を覚えたのは、当然のことで。
 
 そんなやり取りを見かねたのか、エトが横から言葉を挟んできた。

「おいケルタ、ルベルを怖がらせてんじゃねぇよ! だ、だいたい、こういう事は順序を経てだな……」
「お前は、頬染めて何言ってんだーッ!」

 ……くそぉぉぉっ、こいつら二人ともぶん殴りたい!!

 僕はどっちに対しても、ヤラれるつもりはないからな。
 大体、なんでここの奴らは人の話を聞かないんだ!
 バカか、バカなのか!?

「え、エト……お前は、嫌だろ? 僕みたいな男を嫁にするなんて」

 一縷の望みを託して話しかける。
 すると、複雑そうな表情をした彼が俯いた。

 ……よしっ、断れ! 
『女の子の方が』とか言って、僕をフッてくれぇぇぇッ!!
 
 かつて、こんなにフラれる事を望んだだろうか。

 女なら、少々デブでもブスでも好きだ。
 女ってだけで基本愛せるし、尊敬もしている。
 だからあの性悪妹だって、内心憎みきれないのはそのせいだと思う。

 僕の女好きは、それほどまでに一貫しているのだ。

「あぁ、その事なら母さんから話は聞いた。ごめん、ルベル」

 ……よしよしよしッ、このまま断ってしまえ!
 んで、さっさと魔王と奥方助っ人呼んで来い!!
 
 と、内心ガッツポーズ決めた時だった。

「……お前なら抱ける、いや。抱きたい……あと好き、かも」
「なんだそりゃァァァァッ!?」

 ツッコミも叫んだ。
 だって、今のは断る流れだっただろう!?
 なんでノリみたく、告白しちゃうんだよ!
 これだから童貞はァァァッ。

 ―――ワナワナと震える僕をよそに、馬鹿どもは睨み合う。

「先制攻撃、行きますね……っ」

 先に動いたのはケルタ。
 杖を振り、素早く呪文を唱える。

「!」
 
 爆ぜた火花と、音。
 突き出した杖の先から放たれた雷は、真っ直ぐ彼の元に飛び込んだ。

「……っぶねぇな!」

 咄嗟に身を翻し、飛び退いた先。
 エトは悪態を吐く。

 その手の杖には既に、紅い光が宿っていた。

「覚悟しろ、この間男ッ!」

 火炎が舞う。
 渦を巻いて、ケルタを襲った。

「ふんっ、オレ達はね。愛し合っているんですよ」

 すぐさま再び呪文を唱える。
 蒼い光のシールド
 獰猛な炎を受け止め、瞬く間に消していく。

「っ、な、なんだよ。このバトルは」

 これが魔法を使った闘いか。
 人間界だと滅多に見ることはない。

 間近で見ると、えらいド迫力だ

「っていうか……お前ら、危ないだろうが!」

 人のすぐ近くで、ドンパチやりがって。
 当然、文句を叫べば。

「大丈夫だよ。ほら、ちゃんと結界張ってあるし」

 ケルタが、やけに甘い声と表情で僕を振り返った。

「大事なお嫁さんに、怪我させたくないからね」
「誰がお嫁さんだ、誰がッ!」

 ……いい加減、ツッコミも疲れてきた。
 だいたい、いつ僕がこいつと愛し合ったんだ!?

 エトも間男はやめろ、まるで夫婦みたいだろうが。
 なんて言っても。
 あのイカれた男たちの耳にはには、届くまい。

 ―――今もジリジリと距離と隙を伺って、杖構えている。

「……諦めの悪い男はモテませんよ。エト様」
「うっせぇ、チビ! お前こそ、下手な嘘吐いてんじゃねぇよ」
「まぁ少し盛りましたけど……だいたい合ってるじゃないですか」
「合ってねーよ!?」
「エト様とは兄弟(ように育ちました)し、魔王の(遠い親類の)妾の子ですよ」
「それ、かなり色々端折ってるだろーがよッ!!」

 確かに酷い。 
 つまり。彼の話はほぼ嘘で、本当は従者の一人と言うわけだ。
 しかしそのやり取りからして、兄弟のように育ったというのは、あながち間違いじゃないらしい。

「これからここで、彼と初夜を共にするんですから。邪魔しないで下さい」
「しょ、初夜ァァァ!?」
「当たり前でしょ。その後でゆっくりこの城から攫ってやりますよ」
「お前ッ、堂々とレイプ&誘拐を宣言すんじゃねー!」
「うるさいです。そこで見ます? 見物料取りますけど」
「……取るのかよッ」

 そんな下らないやり取りをしながらも、半ば殺気に近い空気は蔓延していく。
 正に『私の為に争わないで』だ。

 これ程嬉しくないシチュエーション無いけどな。

 僕は、大きくため息を吐いて視線を逸らす。
 その時だ

「……こんな時間に、騒いでんじゃねーわよッ!!」

 怒号、あと大きな衝撃音。

 ―――ドガンッ、という爆音と共に一人の人影が部屋に入ってきた。

 






 
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