24 / 29
24.変態しかいないの、この世界(R18)
しおりを挟む
「あ゙、ぁっ、は、ぁぅ」
冷たい地下室は石造りだ。なのに身体は火照り、まるで地獄の業火に焼かれるみたい。
「辛いですか? もう少し頑張りましょうねぇ」
男が、アルゲオが楽しそうに言う。
僕はガチガチと歯を合わせながら、身悶え狂ってしまいそうな精神を必死で繋ぎ合わせる。
―――魔城から、犬のように引き摺り出されてその意識を手放す。
そして気が付けば、この地下室。全裸で隠す物のない身体を、縛り上げられていた。
「ぅあ゙ぁっ、あっ、くぅ」
「ほらほら。もっと気持ち良くなりたいでしょう?」
「い、いや、だぁ……も、もう……んひぃぃぃっ」
僕の身体は今、ベタベタに されて性器や乳首を執拗に嬲られている。
三人ほどの男が、僕の身体に群がって愛撫。それを椅子に座ったあの男が、眺めているのだ。
「乳首も、気持ちいいですか? こんなに腰を揺らして。淫乱だな」
「ひ、っう……う、うる、さ……ぃっ」
薬のせいだ。取引で飲まされた小瓶の中身。あれは媚薬なんだろう。地下室で目覚めた時には、既に熱に浮かされた状態だったから。
……首筋を這う舌。ゾクリ、と悪寒にも似た感覚が襲う。同時に弄られた性器への刺激。更には乳首もしつこくこねくり回されて、まるで快感を紐付けされたような気分だ。
女みたいに、上擦った声が止まらない。
「っあ、も、もぅ……っはァ……あっあっあっ……」
「イかせるな」
「んひぃッ!? な、なんで……ぇぇ……」
冷たい声と共に、与えられていた快感が一斉に止まる。渇望感と切なさに、歯噛みしながら僕は浅ましくも声を上げた。
「ふふっ、堪え性のない雌豚じゃないんですから。我慢しましょうよ……壊れるまで」
「こ、壊れ……や、やだっ、離せ、離せぇ……んぉっ、ああっ」
再び与えられる刺激と快楽。
唯一自由になる頭を振って、必死で逃れようとするが。
……だめだ、気持ち良すぎる。抗えない。でも再び達しそうなのを見計らって、今度は根元をキツく締め上げられた。
「あ゙、あっ、や、やめ、ろっ、い゙ぃ、たァ」
痛みすら感じるほど。死ぬほど気持ちいいし、射精したいのに。出口のない快感が身体を苛む。
助けて、と乞うのも躊躇われたのは最後の足掻きだ。
……こんなクソ変態野郎達に、良いようにされてたまるかよ。
惚けそうな頭に叱咤する。息を詰めて、唇を噛み締めて赤毛の馬鹿野郎を睨みつけた。
「ほぅ、まだこんな顔が出来るとは。ますます気に入りましたよ」
猫のような目を爛々と光らせ、アルゲオは歩み寄る。そして。
「ヒィッ!?」
べろり、と頬を舐めたのだ。
ザラザラとしたその舌は、正しく猫のようで。うっかり悲鳴を上げた僕を、笑みを深めて見下ろしていた。
「くっ、変態め……っあ゙ァ!?」
不意に思いもよらない箇所に、小さな違和感。愛撫していた男の指が尻に伸びたのだ。
「っ、ま、まさか……や、やめろっ、死ねッ、このクソ野郎ぉぉッ!!」
くすぐるように、窄まり……早くいえば尻穴をなぞられる。
まずい。ソコだけは、やだ。女にも触らせた事のない場所なのに。必死で抵抗しようにも、媚薬と他の刺激で頭が回らない。
「おやおや、情けを無にするものじゃありませんよ。せっかく解してやろうと言うのに。それとも、無理矢理突っ込まれるのがお好きですか? 案外ドMなんですねぇ」
「つ、突っ込むって……」
「ハァ? カマトトぶって。あの耄碌じ……失礼、国王陛下の祖チンをソコに挿入してぶち犯……」
「ひぃぃぃっ、言うなァァァッ!!」
……聞いただけで耳が腐る!
それにコイツ、さらっと国王陛下のことディスったよな。耄碌ジジイとか祖チンとか。
叫んだ僕に、このゲス顔した変態は嬉しそうに頷く。
「怖いですか? ですよね。あぁ、貴方はなんて虐めがいのある表情をするんでしょう! 素敵です。出来れば、私は最初の相手になりたかった」
「ぐっ、僕は、御免だ! この変態め」
「人類みな変態ですよ。あ、貴方は『半神』なんですよね。天使でないから、両性具有ではないんですねぇ。もっと広げてご覧なさい」
「っあ、や、やめぇっ……くそぉっ、っおぁ」
ガチガチになった陰嚢を揉み込まれ、更には先っぽをほじるように刺激される。目の前に憎しむべき相手がいるのに、みっともなく喘いでしまう。
「フェラは経験あるでしょう。……ほら、して差し上げろ」
笑いを含んだ声で命じられた男が、陰茎を咥え込んだ。途端、覚えのある快感に腰が抜けそうになる。それでも塞き止められて、どうしようもない。
「ふぁっ、はぁっ、ふぅっ、んんぁぁっ」
っ、なんで、こんな奴らに……。
そう言えば、以前エトにもこんな事されたっけ。拙いけど、すごくドキドキして気持ち良くて。でも恥ずかしくて。何故か、殺したいほどは嫌じゃなかった。
後で金蹴りしてやったけど。だってすごくムカついたから、キスもまだなのにそんな事……って。
「考え事出来るとは、余裕ですか」
「ヒギィッ!?」
突然強く乳首を抓られて、悲鳴をあげる。
「ここも、ピアス空けてあげましょうね。知ってます? 男でも、母乳出るようになるらしいですよ。やってみましょうか」
「や、やだッ、そんなっ。ゔッ、やめ……」
僕は女じゃない。それに、たとえ女が相手でも変態趣味は御免こうむる。そう言いたいのに……。
尻穴に入り込もうとする指に、動かぬ身を捩った瞬間。
「ギャァ゙ァ゙ッ!?」
絶叫。群がっていた男のうちの一人だ。
全身を激しく痙攣させて、バタリと倒れこむ。
「チッ……魔王め」
アルゲオは忌々しげに舌打ちすると、倒れて気絶した男を蹴りつけた。他の男たちも、息をのんで手を止める。
「貴方を犯す者は、例外なくこうなるみたいですねぇ」
不機嫌そうにも、面白そうにも思える表情と口調。二人の男たちを鋭利な視線のみで退かせると、彼を僕の顎を掴んだ。
「おおよそ『お姫様からのキスと愛の言葉で、呪いはとける』って寸法でしょう……陳腐な真似をしやがる」
あぁ、そうか。レミエルの呪いか。誰ともセックスできなくなる、魔法。
一角獣が気絶したのも、あれは僕の尻にデカブツをぶち込もうとしたから。さっきも指であろうと、挿入しようとしたからか。
これは命拾いと言うべきか。
「ルベル、貴方とまた取引してあげましょう」
「だれが、お前なんかとッ!」
「まぁまぁ。話は最後までま聞くものですよ……おい、連れてこい。2人とも」
アルゲオが、よく通る声で入口にいる兵士たちに命じた。
そして1分もしないうちに、数人の兵士達に引きずって来られたのは男2人。
「兄さん!」
オリエス・カントール、僕の兄だった。そしてその後ろにいるのは、マデウスだろう。
2人とも、ぐったりとしている。辛うじて意識があるのはマデウスで、兄貴の方は息も絶え絶えといった具合だ。
「貴方の兄上様で、少しばかり遊び過ぎましてね。まぁ命に別状はありませんよ」
「っぐ、き、貴様……」
嘲るように言ったアルゲオに、マデウスが憎悪の目を向ける。そう言えば、彼には恋人がいたって言ってたな。そして、その恋人は。
「貴方達、兄弟で魔王の息子達に絆されるなんて……趣味が合うんですねぇ」
赤毛を掻き上げ、彼は尚も言葉を続ける。
「マデウスも、恋人である貴方の兄上様と父親のジャン・カントールを人質にされては、手も足も出なかったようですねぇ。アハハハッ、なんとも愉快だ」
なんて野郎だ。兄貴も父も、人間界で捕らえられていたのか。しかも、カルディア国の軍に!
「さて、ここで取引ですよ。ルベル」
「ぅぐッ」
掴まれた顎を、強引に上げられ覗き込まれる。
その瞳は、深く陰鬱な赤。赤毛に良く似合う、色だ。
「彼らを助けたいですか?」
「……」
「ならば、今度は心から忠誠を誓いなさい。国王陛下を受け入れ、貴方から愛の言葉と口付けを。そうすれば、彼らは解放してあげましょう。ね? いい話じゃないですか」
「こ、このゲス野郎」
したくない、したい訳が無い。70も超えたジジイに、愛の言葉だと? しかも自分からキスをして、掘られろと!
そして挙句の果てには、用が済んだらこのイカれた変態野郎に玩具にされるなんて……こんな人生聞いてないぞッ!?
前世より酷いじゃないか。これなら、7股して5人に刺殺されてた方がマシだった!
苛立つ僕に答えを急かしたいのか、彼は残酷な言葉を注いでいく。
「オリエスは、非常に……飲み込みの早い子でしたよ。あっという間に、卑しい雌犬のように私のここを咥えこんでね。もう少し調教して、それから兵士達の慰み者にしても良いですねぇ……または、精奴隷として売りにだしてしまいましょうか」
「貴様ァァァっ!」
マデウスが絶叫した。それほ手負いの獣の咆哮の如く。
すぐ様、兵士達に殴り付けられて昏倒する。
「マデウスさん!」
「人の心配より、御自分の事ですよ。ほら、どうしますか? とは言っても、貴方には選択肢はありませんけどね」
そう言って高笑いする男を、僕は呆然と見ていた。
どうやったって地獄だ。これをどうしろって言うんだ……神様ってのが居たら、真っ先にバックブリーカーかましてやる。それか右ストレートでKOだ。クソッタレめ。
「る、ルベル……?」
「兄さん!」
弱々しい声に、視線だけ向けた。
すると兄貴が、薄く目を開けてこちらを見ている。
目に涙が溜まり、あっという間に流れ落ちた。
「ルベル、ごめ、ん……ね」
「兄さんっ、しっかりしろ!」
無数の痣と傷、身体に張り巡らされた縄の痕。相当酷い事をされたのだろう。その目に、深く刻まれた恐怖と絶望。
―――僕は、唇を強く噛んだ。
「愛の言葉とキスだな、お易い御用だ。クソッタレめっ」
「!?」
嫌味ったらしいその顔に、唾を吐く。
兵士はざわめいたが、当の本人はニヤリと大きく笑って言った。
「なんて素敵な人なんだ、貴方は! 人生で初めての恋をしてしまいそうですよ」
「ふんッ、すげなくフッてやる。君みたいな男、大嫌いだからな」
うっとりとした顔しやがって。あの男とはえらい違いだ。
……アイツ、大丈夫だろうか。ちゃんと、手当受けられているかな。
ダメだ、あのアホの事考えてたら決意が鈍る。
「ふふ、楽しみだなぁ」
そう呟いて、アルゲオは兄貴達を連れた兵士と部屋を出て行った。
冷たく、狭い部屋に残されたのは僕だけ。
「くそっ」
そう独りごちる。
……縛られていなかったら、中指のひとつでも立ててやったのに。いや、まずそれこそ右ストレートでKOしてやる!
僕は、絶望なんかしない。這い上がってやる。このクソッタレの変態のチ●ポコ、噛み付いて引きちぎってやるッ!!
そう心に決めながら、先程の兄貴の涙を忘れようと首を振った。
冷たい地下室は石造りだ。なのに身体は火照り、まるで地獄の業火に焼かれるみたい。
「辛いですか? もう少し頑張りましょうねぇ」
男が、アルゲオが楽しそうに言う。
僕はガチガチと歯を合わせながら、身悶え狂ってしまいそうな精神を必死で繋ぎ合わせる。
―――魔城から、犬のように引き摺り出されてその意識を手放す。
そして気が付けば、この地下室。全裸で隠す物のない身体を、縛り上げられていた。
「ぅあ゙ぁっ、あっ、くぅ」
「ほらほら。もっと気持ち良くなりたいでしょう?」
「い、いや、だぁ……も、もう……んひぃぃぃっ」
僕の身体は今、ベタベタに されて性器や乳首を執拗に嬲られている。
三人ほどの男が、僕の身体に群がって愛撫。それを椅子に座ったあの男が、眺めているのだ。
「乳首も、気持ちいいですか? こんなに腰を揺らして。淫乱だな」
「ひ、っう……う、うる、さ……ぃっ」
薬のせいだ。取引で飲まされた小瓶の中身。あれは媚薬なんだろう。地下室で目覚めた時には、既に熱に浮かされた状態だったから。
……首筋を這う舌。ゾクリ、と悪寒にも似た感覚が襲う。同時に弄られた性器への刺激。更には乳首もしつこくこねくり回されて、まるで快感を紐付けされたような気分だ。
女みたいに、上擦った声が止まらない。
「っあ、も、もぅ……っはァ……あっあっあっ……」
「イかせるな」
「んひぃッ!? な、なんで……ぇぇ……」
冷たい声と共に、与えられていた快感が一斉に止まる。渇望感と切なさに、歯噛みしながら僕は浅ましくも声を上げた。
「ふふっ、堪え性のない雌豚じゃないんですから。我慢しましょうよ……壊れるまで」
「こ、壊れ……や、やだっ、離せ、離せぇ……んぉっ、ああっ」
再び与えられる刺激と快楽。
唯一自由になる頭を振って、必死で逃れようとするが。
……だめだ、気持ち良すぎる。抗えない。でも再び達しそうなのを見計らって、今度は根元をキツく締め上げられた。
「あ゙、あっ、や、やめ、ろっ、い゙ぃ、たァ」
痛みすら感じるほど。死ぬほど気持ちいいし、射精したいのに。出口のない快感が身体を苛む。
助けて、と乞うのも躊躇われたのは最後の足掻きだ。
……こんなクソ変態野郎達に、良いようにされてたまるかよ。
惚けそうな頭に叱咤する。息を詰めて、唇を噛み締めて赤毛の馬鹿野郎を睨みつけた。
「ほぅ、まだこんな顔が出来るとは。ますます気に入りましたよ」
猫のような目を爛々と光らせ、アルゲオは歩み寄る。そして。
「ヒィッ!?」
べろり、と頬を舐めたのだ。
ザラザラとしたその舌は、正しく猫のようで。うっかり悲鳴を上げた僕を、笑みを深めて見下ろしていた。
「くっ、変態め……っあ゙ァ!?」
不意に思いもよらない箇所に、小さな違和感。愛撫していた男の指が尻に伸びたのだ。
「っ、ま、まさか……や、やめろっ、死ねッ、このクソ野郎ぉぉッ!!」
くすぐるように、窄まり……早くいえば尻穴をなぞられる。
まずい。ソコだけは、やだ。女にも触らせた事のない場所なのに。必死で抵抗しようにも、媚薬と他の刺激で頭が回らない。
「おやおや、情けを無にするものじゃありませんよ。せっかく解してやろうと言うのに。それとも、無理矢理突っ込まれるのがお好きですか? 案外ドMなんですねぇ」
「つ、突っ込むって……」
「ハァ? カマトトぶって。あの耄碌じ……失礼、国王陛下の祖チンをソコに挿入してぶち犯……」
「ひぃぃぃっ、言うなァァァッ!!」
……聞いただけで耳が腐る!
それにコイツ、さらっと国王陛下のことディスったよな。耄碌ジジイとか祖チンとか。
叫んだ僕に、このゲス顔した変態は嬉しそうに頷く。
「怖いですか? ですよね。あぁ、貴方はなんて虐めがいのある表情をするんでしょう! 素敵です。出来れば、私は最初の相手になりたかった」
「ぐっ、僕は、御免だ! この変態め」
「人類みな変態ですよ。あ、貴方は『半神』なんですよね。天使でないから、両性具有ではないんですねぇ。もっと広げてご覧なさい」
「っあ、や、やめぇっ……くそぉっ、っおぁ」
ガチガチになった陰嚢を揉み込まれ、更には先っぽをほじるように刺激される。目の前に憎しむべき相手がいるのに、みっともなく喘いでしまう。
「フェラは経験あるでしょう。……ほら、して差し上げろ」
笑いを含んだ声で命じられた男が、陰茎を咥え込んだ。途端、覚えのある快感に腰が抜けそうになる。それでも塞き止められて、どうしようもない。
「ふぁっ、はぁっ、ふぅっ、んんぁぁっ」
っ、なんで、こんな奴らに……。
そう言えば、以前エトにもこんな事されたっけ。拙いけど、すごくドキドキして気持ち良くて。でも恥ずかしくて。何故か、殺したいほどは嫌じゃなかった。
後で金蹴りしてやったけど。だってすごくムカついたから、キスもまだなのにそんな事……って。
「考え事出来るとは、余裕ですか」
「ヒギィッ!?」
突然強く乳首を抓られて、悲鳴をあげる。
「ここも、ピアス空けてあげましょうね。知ってます? 男でも、母乳出るようになるらしいですよ。やってみましょうか」
「や、やだッ、そんなっ。ゔッ、やめ……」
僕は女じゃない。それに、たとえ女が相手でも変態趣味は御免こうむる。そう言いたいのに……。
尻穴に入り込もうとする指に、動かぬ身を捩った瞬間。
「ギャァ゙ァ゙ッ!?」
絶叫。群がっていた男のうちの一人だ。
全身を激しく痙攣させて、バタリと倒れこむ。
「チッ……魔王め」
アルゲオは忌々しげに舌打ちすると、倒れて気絶した男を蹴りつけた。他の男たちも、息をのんで手を止める。
「貴方を犯す者は、例外なくこうなるみたいですねぇ」
不機嫌そうにも、面白そうにも思える表情と口調。二人の男たちを鋭利な視線のみで退かせると、彼を僕の顎を掴んだ。
「おおよそ『お姫様からのキスと愛の言葉で、呪いはとける』って寸法でしょう……陳腐な真似をしやがる」
あぁ、そうか。レミエルの呪いか。誰ともセックスできなくなる、魔法。
一角獣が気絶したのも、あれは僕の尻にデカブツをぶち込もうとしたから。さっきも指であろうと、挿入しようとしたからか。
これは命拾いと言うべきか。
「ルベル、貴方とまた取引してあげましょう」
「だれが、お前なんかとッ!」
「まぁまぁ。話は最後までま聞くものですよ……おい、連れてこい。2人とも」
アルゲオが、よく通る声で入口にいる兵士たちに命じた。
そして1分もしないうちに、数人の兵士達に引きずって来られたのは男2人。
「兄さん!」
オリエス・カントール、僕の兄だった。そしてその後ろにいるのは、マデウスだろう。
2人とも、ぐったりとしている。辛うじて意識があるのはマデウスで、兄貴の方は息も絶え絶えといった具合だ。
「貴方の兄上様で、少しばかり遊び過ぎましてね。まぁ命に別状はありませんよ」
「っぐ、き、貴様……」
嘲るように言ったアルゲオに、マデウスが憎悪の目を向ける。そう言えば、彼には恋人がいたって言ってたな。そして、その恋人は。
「貴方達、兄弟で魔王の息子達に絆されるなんて……趣味が合うんですねぇ」
赤毛を掻き上げ、彼は尚も言葉を続ける。
「マデウスも、恋人である貴方の兄上様と父親のジャン・カントールを人質にされては、手も足も出なかったようですねぇ。アハハハッ、なんとも愉快だ」
なんて野郎だ。兄貴も父も、人間界で捕らえられていたのか。しかも、カルディア国の軍に!
「さて、ここで取引ですよ。ルベル」
「ぅぐッ」
掴まれた顎を、強引に上げられ覗き込まれる。
その瞳は、深く陰鬱な赤。赤毛に良く似合う、色だ。
「彼らを助けたいですか?」
「……」
「ならば、今度は心から忠誠を誓いなさい。国王陛下を受け入れ、貴方から愛の言葉と口付けを。そうすれば、彼らは解放してあげましょう。ね? いい話じゃないですか」
「こ、このゲス野郎」
したくない、したい訳が無い。70も超えたジジイに、愛の言葉だと? しかも自分からキスをして、掘られろと!
そして挙句の果てには、用が済んだらこのイカれた変態野郎に玩具にされるなんて……こんな人生聞いてないぞッ!?
前世より酷いじゃないか。これなら、7股して5人に刺殺されてた方がマシだった!
苛立つ僕に答えを急かしたいのか、彼は残酷な言葉を注いでいく。
「オリエスは、非常に……飲み込みの早い子でしたよ。あっという間に、卑しい雌犬のように私のここを咥えこんでね。もう少し調教して、それから兵士達の慰み者にしても良いですねぇ……または、精奴隷として売りにだしてしまいましょうか」
「貴様ァァァっ!」
マデウスが絶叫した。それほ手負いの獣の咆哮の如く。
すぐ様、兵士達に殴り付けられて昏倒する。
「マデウスさん!」
「人の心配より、御自分の事ですよ。ほら、どうしますか? とは言っても、貴方には選択肢はありませんけどね」
そう言って高笑いする男を、僕は呆然と見ていた。
どうやったって地獄だ。これをどうしろって言うんだ……神様ってのが居たら、真っ先にバックブリーカーかましてやる。それか右ストレートでKOだ。クソッタレめ。
「る、ルベル……?」
「兄さん!」
弱々しい声に、視線だけ向けた。
すると兄貴が、薄く目を開けてこちらを見ている。
目に涙が溜まり、あっという間に流れ落ちた。
「ルベル、ごめ、ん……ね」
「兄さんっ、しっかりしろ!」
無数の痣と傷、身体に張り巡らされた縄の痕。相当酷い事をされたのだろう。その目に、深く刻まれた恐怖と絶望。
―――僕は、唇を強く噛んだ。
「愛の言葉とキスだな、お易い御用だ。クソッタレめっ」
「!?」
嫌味ったらしいその顔に、唾を吐く。
兵士はざわめいたが、当の本人はニヤリと大きく笑って言った。
「なんて素敵な人なんだ、貴方は! 人生で初めての恋をしてしまいそうですよ」
「ふんッ、すげなくフッてやる。君みたいな男、大嫌いだからな」
うっとりとした顔しやがって。あの男とはえらい違いだ。
……アイツ、大丈夫だろうか。ちゃんと、手当受けられているかな。
ダメだ、あのアホの事考えてたら決意が鈍る。
「ふふ、楽しみだなぁ」
そう呟いて、アルゲオは兄貴達を連れた兵士と部屋を出て行った。
冷たく、狭い部屋に残されたのは僕だけ。
「くそっ」
そう独りごちる。
……縛られていなかったら、中指のひとつでも立ててやったのに。いや、まずそれこそ右ストレートでKOしてやる!
僕は、絶望なんかしない。這い上がってやる。このクソッタレの変態のチ●ポコ、噛み付いて引きちぎってやるッ!!
そう心に決めながら、先程の兄貴の涙を忘れようと首を振った。
0
あなたにおすすめの小説
冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない
北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。
ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。
四歳である今はまだ従者ではない。
死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った
しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー?
という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡
短編コメディです
転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった
angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。
『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。
生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。
「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め
現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。
完結しました。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!
梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。
あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。
突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。
何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……?
人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。
僕って最低最悪な王子じゃん!?
このままだと、破滅的未来しか残ってないし!
心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!?
これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!?
前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー!
騎士×王子の王道カップリングでお送りします。
第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。
本当にありがとうございます!!
※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる