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第一章
ep-4 激辛担々麺って良いよね
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神奈川県某所。某駅の西口を出れば大きなY字路とその上にかかる空中歩道。目の前のビルはもう解体されてしまって少しの寂しさが、ヴィートの心に響く。
「…たまにあった美プラの発掘品…良かったなぁ」
因みにヴィートは気が付いていないがその店はしっかり移転している…すぐ近くの商店街に。それに気が付いたのはそこから実に半年後だったのはご愛嬌である。
さて、この日ヴィートがわざわざギルドクエストをブッチし、日本側の仕事である雑貨商を休み来たのは担々麺の為である。恐らくは読者諸君の知る担々麺とは、中華麺にピリ辛の担々麺スープ、濃いめの味付けの辛い挽肉にニラと言ったものだろう。
しかし、ヴィートはあの日偶然知ってしまった…ドロドロにとろみの付いた激辛担々麺の存在を‼︎
「あれはもう薬物と変わんないよぉ…お腹痛くなるけど定期的に食べたいなぁ…」
クルクルと赤いメッシュ混じりの髪をいじりながら歩く事3分。目的地の麺屋に到着した。見上げれば黒い看板。入り口には店主の似顔絵(デフォルメされた可愛いやつ)の看板。
入り口前の看板には「ゴールデンチャハーン」…揺れる、揺さぶられてしまうヴィートの心。
そんな事は顔に出さず、何食わぬ顔で入店。入ればニンニクと唐辛子、そして美味い飯屋特有の匂い。高まる期待値。すぐに券売機に向かうと…
「…あれ?タッチパネルになってる…」
確かに改装したことには気が付いていたが、まさか券売機まで変わっているとは…しかしヴィートは慌てない。優秀なゴブリンは慌てないのだ。まぁ、ヴィートは同族といえゴブリンは普通に殺すし大嫌いだが。だって汚いし臭いし襲ってくるし。
閑話休題、タッチパネルに気を取られ冷静になれたヴィート。ふと目をやればテーブル席の客のメニュー…トマト担々麺にゴールデンチャハーンに鶏白湯…実に目移りするメニューの数々。再び揺さぶられる理性。
と、ぴたりと目が止まった先には大柄なクマの様な男性。その男の前には大盛りのもやしに真っ赤な担々麺。
「ーっ…アレだ」
男性と目が合った気がした。もうその時には心は決まった。迷いなく麺類のタブを押し、5辛を選択。そしてトッピングは山盛りもやし。これぞ王道。これぞ正義。誤りなき正回答…っ‼︎
やり切った顔で券を取り席に向かう。カウンター前に座る前。店員の質問にも澱み無く答える。
「麺の量は?」
「普通で」
たった一言。しかし、ヴィートは覚えている。少し欲張り大盛りにした結果、食べきれず残すという死すら生ぬるい大罪を犯したことを…
故に普通盛りである。食べる量は食べ切れる自身の適量で。
「お待たせしました、熱いのでお気をつけて食べて下さい。もやしもすぐに出しますね」
「…っはい‼︎」
目の前に声掛けと共に置かれた黒い丼。艶やかな器の中にはまるでマグマの様に真っ赤で、どろりととろみがあることが見て取れるスープが見える。もうこれはスープではない、これは餡というべきだろう。
ワクワクと童心に帰った様に…いや別にゴブリンの集落時代はまともなことなかったから思い出しはしないが…割り箸を割り、器の中から麺を引き出す。デロリとした餡状のスープを纏った真紅の麺が眼前で震える。粒々とした真紅の唐辛子の破片がキラキラと光を受けて光る。辛い。絶対に辛い…それもとんでもなく。それでも…
「涎が止まらない…っ」
いつぞやのレッサードリアードではないが、口の中ではすでに大洪水。唇という堤防を超えて溢れてきそうなほどに、その背徳的な香りと艶々とした光を放つスープを纏った麺に唐辛子以外にアクセサリーの様にまとわりついた刻みニンニクと搾菜。そして挽肉。不味いわけがない、不味く作る奴は死罪な程だ。
鼻腔をくすぐるどころか脳にまで直接響く辛くも刺激的でやめられそうにない香り。ゆっくりと涎の溢れそうな口の中へチュルリと入れる。
まず来るのは圧倒的旨味。挽肉と搾菜の肉と漬物の旨味が合わさったタッグ技とさえ言える暴力的な旨味がまず脳を支配する。次に来るのは脳に突き刺さる辛味。そう、まさしく舌を焼かれたかの様な痛みとさえ感じる。しかし、その中にある不可思議な旨さ。
「くっぅ~‼︎」
スゾズゾとゆっくり口に入れる。ゆっくりと噛み締めながら味わえば、そのとろみの付いたスープによる長い余韻と旨味が口の中を辛味と共に支配する。辛い。やっぱり想像通りに辛い…だが、やめられない止まらない‼︎
気が付いた時には太めの麺は無くなりスープだけ。しかしそれで良いのだ。
「もやしを~どーんっ」
茹で汁が入って薄まらない様に、もやしだけ箸で掴んではドサドサと残ったスープに投げ込む。そうすれば瞬く間にヘルシーな2杯目の完成である。
「おぉ…神よ…」
恍惚とした顔でまた真紅のスープのドレスを纏ったもやしを摘み上げる。宝石の様にキラキラと光るそれは口に入れることも躊躇われる。しかし、意を決して口に入れると先の刺激がまたもや脳に刺さる…だが…だがそれでも、もやしにしたおかげか。辛味は先より抑えられスープ本来の旨みもより強く感じる。何よりも…
「もやしだから罪悪感も薄まるぅ~」
まぁ、もやしだし。
が、そんなことを言わないのが花である。そして食べ進め終わる頃には器も空に、ヴィートの身体は満タンに。
「…ビール欲しいけど、今日は休肝日だしなぁ」
残念そうにそう呟くと席から降り立ち、店を後にする。時間はまだ昼過ぎ。暇である。
「…仕方ない、夜にまた食べたいし腹ごなしするか…」
実に…そう、実に嫌そうな顔をすると駅下のトイレに駆け込む。パチリと指を鳴らせば、ぐにゃりと景色が歪みあたりは魔の森に。
「…ギルド行くかぁ…」
運動、大事である。かつてヴィートは運動など要らんとばかりに食ってばかりの生活を一時期だけしたことがあった。結果そのイカ腹はものの見事にもち米を詰め込んだイカ飯の様な、言うなればイカ飯腹に成り果てた。あの日姿見の前で崩れ落ちたのは何気にトラウマである。
故に、本当は行きたくないし(臭いから)動きたくもない(満腹で眠いから)が、走ったり筋トレするよりは魔物討伐で魔法ブッパしたり剣やライフルぶん回してる方が楽なので、仕方なく…それはもう、仕方なーくギルドに行っているのだ。ギルド行く理由の割合的には7:2:1(ダイエット:コスプレ素材&ネットオークション品素材回収:金稼ぎ&勘を鈍らせない為)である。ギルドマスターが聞いたらキレそう…
そんな事はさておいて、ヴィートは既に受ける依頼の目処は立てていた。
「マンドラゴラとオーガ、それとレッサーフォレストドラゴンだなぁ」
走り回り、物質を崩壊させる叫びを上げるマンドラゴラ、そして人型魔物で特に危険とされるオーガ。更にはレッサーフォレストドラゴンに関してはそもそも軍で狩る様な魔物だ。まぁ、ヴィートは既にしれっと討伐を繰り返している為そんな事は知らないし関係ないが。
何せ、薬草として使われる三日月草の収穫を受けて向かう群生地からちょうどこの3種の住処に行けるのだ…普通の冒険者たちは知らないし、魔法で飛んだりヴィートの様に馬鹿みたいな速度で走らないと近いとは言えない距離だが。
では何故、ヴィートはそんなヤバい(繰り返すが本人からすればそんなやばくない)魔物討伐をしようとしているのか…理由はお察しの通り、高く売れるのだ。そう、日本のネットで…‼︎あとちょっとした伝手で。
「えーっと…マンドラゴラが一体50万円でオーガは皮を加工してオーダーメイドのあの工房に下ろせば…大体45万前後…レッサーフォレストドラゴンは…ふふふふふふ…」
取らぬ狸の皮算用ならぬ、取らぬドラゴンの皮算用で思わずニッコリ。何せレッサーと言いながらも、爪の先程度はドラゴンにかかっている種族。肝は薬効があり、肉は高級(これは売らない)、皮や骨は加工の幅なんて無限大。まさしく日本でもこの異世界でも宝の塊のようなものなのだ…あくまで討伐できればだが。もう一度言おう、討伐できればだが。
因みにヴィート宅の冷凍庫はレッサーフォレストドラゴンの肉で満杯であり、最近買った業務用冷凍ストッカーも結構入っている。それ以外は収納魔法に保管しているが…
そうして歩いていれば目的地の自分の宿屋のある街に到着。何食わぬ顔で他の門から出たと告げて中に入る。やはり、臭いが。一応清掃人と呼ばれる仕事人が道端の糞尿を片しているが、染みついた臭いというものは取れない。ヴィートは全身に薄い幕状の魔力層を作り臭いを遮断しているが、街の人々はそうではない。
例え、AV女優の様なそこの酒場の看板娘も、俳優みたいなさっきの冒険者も、一律…臭い。
「これお願い」
たどり着いたギルドで目当ての薬草採取の依頼書を専属受付嬢(興味がないので名前は忘れた)に渡す。と、突然手を掴まれた。離してほしい、皮脂で少し滑ってるし…とヴィートが思っていると。
「ヴィートさん…折行ってお願いがあるんです」
「嫌です」
即答。しかしここでへこたれては受付嬢は務まらない…というか、忘れられていると思われるがあのギルドマスターの娘である彼女はそんな程度ではへこたれない。
「多分洗髪料とか使ってますよね?」
「(使って)ないです」
「私にも分けてもらえませんか?」
「ないです」
「お金なら払いますし」
「(要ら)ないです行ってきます‼︎」
手を振り払い走り出すヴィート、追いかける受付嬢。しかし、瞬く間に点のように消えてしまったヴィート。今回も軍配はヴィートに上がったのだった。
「…たまにあった美プラの発掘品…良かったなぁ」
因みにヴィートは気が付いていないがその店はしっかり移転している…すぐ近くの商店街に。それに気が付いたのはそこから実に半年後だったのはご愛嬌である。
さて、この日ヴィートがわざわざギルドクエストをブッチし、日本側の仕事である雑貨商を休み来たのは担々麺の為である。恐らくは読者諸君の知る担々麺とは、中華麺にピリ辛の担々麺スープ、濃いめの味付けの辛い挽肉にニラと言ったものだろう。
しかし、ヴィートはあの日偶然知ってしまった…ドロドロにとろみの付いた激辛担々麺の存在を‼︎
「あれはもう薬物と変わんないよぉ…お腹痛くなるけど定期的に食べたいなぁ…」
クルクルと赤いメッシュ混じりの髪をいじりながら歩く事3分。目的地の麺屋に到着した。見上げれば黒い看板。入り口には店主の似顔絵(デフォルメされた可愛いやつ)の看板。
入り口前の看板には「ゴールデンチャハーン」…揺れる、揺さぶられてしまうヴィートの心。
そんな事は顔に出さず、何食わぬ顔で入店。入ればニンニクと唐辛子、そして美味い飯屋特有の匂い。高まる期待値。すぐに券売機に向かうと…
「…あれ?タッチパネルになってる…」
確かに改装したことには気が付いていたが、まさか券売機まで変わっているとは…しかしヴィートは慌てない。優秀なゴブリンは慌てないのだ。まぁ、ヴィートは同族といえゴブリンは普通に殺すし大嫌いだが。だって汚いし臭いし襲ってくるし。
閑話休題、タッチパネルに気を取られ冷静になれたヴィート。ふと目をやればテーブル席の客のメニュー…トマト担々麺にゴールデンチャハーンに鶏白湯…実に目移りするメニューの数々。再び揺さぶられる理性。
と、ぴたりと目が止まった先には大柄なクマの様な男性。その男の前には大盛りのもやしに真っ赤な担々麺。
「ーっ…アレだ」
男性と目が合った気がした。もうその時には心は決まった。迷いなく麺類のタブを押し、5辛を選択。そしてトッピングは山盛りもやし。これぞ王道。これぞ正義。誤りなき正回答…っ‼︎
やり切った顔で券を取り席に向かう。カウンター前に座る前。店員の質問にも澱み無く答える。
「麺の量は?」
「普通で」
たった一言。しかし、ヴィートは覚えている。少し欲張り大盛りにした結果、食べきれず残すという死すら生ぬるい大罪を犯したことを…
故に普通盛りである。食べる量は食べ切れる自身の適量で。
「お待たせしました、熱いのでお気をつけて食べて下さい。もやしもすぐに出しますね」
「…っはい‼︎」
目の前に声掛けと共に置かれた黒い丼。艶やかな器の中にはまるでマグマの様に真っ赤で、どろりととろみがあることが見て取れるスープが見える。もうこれはスープではない、これは餡というべきだろう。
ワクワクと童心に帰った様に…いや別にゴブリンの集落時代はまともなことなかったから思い出しはしないが…割り箸を割り、器の中から麺を引き出す。デロリとした餡状のスープを纏った真紅の麺が眼前で震える。粒々とした真紅の唐辛子の破片がキラキラと光を受けて光る。辛い。絶対に辛い…それもとんでもなく。それでも…
「涎が止まらない…っ」
いつぞやのレッサードリアードではないが、口の中ではすでに大洪水。唇という堤防を超えて溢れてきそうなほどに、その背徳的な香りと艶々とした光を放つスープを纏った麺に唐辛子以外にアクセサリーの様にまとわりついた刻みニンニクと搾菜。そして挽肉。不味いわけがない、不味く作る奴は死罪な程だ。
鼻腔をくすぐるどころか脳にまで直接響く辛くも刺激的でやめられそうにない香り。ゆっくりと涎の溢れそうな口の中へチュルリと入れる。
まず来るのは圧倒的旨味。挽肉と搾菜の肉と漬物の旨味が合わさったタッグ技とさえ言える暴力的な旨味がまず脳を支配する。次に来るのは脳に突き刺さる辛味。そう、まさしく舌を焼かれたかの様な痛みとさえ感じる。しかし、その中にある不可思議な旨さ。
「くっぅ~‼︎」
スゾズゾとゆっくり口に入れる。ゆっくりと噛み締めながら味わえば、そのとろみの付いたスープによる長い余韻と旨味が口の中を辛味と共に支配する。辛い。やっぱり想像通りに辛い…だが、やめられない止まらない‼︎
気が付いた時には太めの麺は無くなりスープだけ。しかしそれで良いのだ。
「もやしを~どーんっ」
茹で汁が入って薄まらない様に、もやしだけ箸で掴んではドサドサと残ったスープに投げ込む。そうすれば瞬く間にヘルシーな2杯目の完成である。
「おぉ…神よ…」
恍惚とした顔でまた真紅のスープのドレスを纏ったもやしを摘み上げる。宝石の様にキラキラと光るそれは口に入れることも躊躇われる。しかし、意を決して口に入れると先の刺激がまたもや脳に刺さる…だが…だがそれでも、もやしにしたおかげか。辛味は先より抑えられスープ本来の旨みもより強く感じる。何よりも…
「もやしだから罪悪感も薄まるぅ~」
まぁ、もやしだし。
が、そんなことを言わないのが花である。そして食べ進め終わる頃には器も空に、ヴィートの身体は満タンに。
「…ビール欲しいけど、今日は休肝日だしなぁ」
残念そうにそう呟くと席から降り立ち、店を後にする。時間はまだ昼過ぎ。暇である。
「…仕方ない、夜にまた食べたいし腹ごなしするか…」
実に…そう、実に嫌そうな顔をすると駅下のトイレに駆け込む。パチリと指を鳴らせば、ぐにゃりと景色が歪みあたりは魔の森に。
「…ギルド行くかぁ…」
運動、大事である。かつてヴィートは運動など要らんとばかりに食ってばかりの生活を一時期だけしたことがあった。結果そのイカ腹はものの見事にもち米を詰め込んだイカ飯の様な、言うなればイカ飯腹に成り果てた。あの日姿見の前で崩れ落ちたのは何気にトラウマである。
故に、本当は行きたくないし(臭いから)動きたくもない(満腹で眠いから)が、走ったり筋トレするよりは魔物討伐で魔法ブッパしたり剣やライフルぶん回してる方が楽なので、仕方なく…それはもう、仕方なーくギルドに行っているのだ。ギルド行く理由の割合的には7:2:1(ダイエット:コスプレ素材&ネットオークション品素材回収:金稼ぎ&勘を鈍らせない為)である。ギルドマスターが聞いたらキレそう…
そんな事はさておいて、ヴィートは既に受ける依頼の目処は立てていた。
「マンドラゴラとオーガ、それとレッサーフォレストドラゴンだなぁ」
走り回り、物質を崩壊させる叫びを上げるマンドラゴラ、そして人型魔物で特に危険とされるオーガ。更にはレッサーフォレストドラゴンに関してはそもそも軍で狩る様な魔物だ。まぁ、ヴィートは既にしれっと討伐を繰り返している為そんな事は知らないし関係ないが。
何せ、薬草として使われる三日月草の収穫を受けて向かう群生地からちょうどこの3種の住処に行けるのだ…普通の冒険者たちは知らないし、魔法で飛んだりヴィートの様に馬鹿みたいな速度で走らないと近いとは言えない距離だが。
では何故、ヴィートはそんなヤバい(繰り返すが本人からすればそんなやばくない)魔物討伐をしようとしているのか…理由はお察しの通り、高く売れるのだ。そう、日本のネットで…‼︎あとちょっとした伝手で。
「えーっと…マンドラゴラが一体50万円でオーガは皮を加工してオーダーメイドのあの工房に下ろせば…大体45万前後…レッサーフォレストドラゴンは…ふふふふふふ…」
取らぬ狸の皮算用ならぬ、取らぬドラゴンの皮算用で思わずニッコリ。何せレッサーと言いながらも、爪の先程度はドラゴンにかかっている種族。肝は薬効があり、肉は高級(これは売らない)、皮や骨は加工の幅なんて無限大。まさしく日本でもこの異世界でも宝の塊のようなものなのだ…あくまで討伐できればだが。もう一度言おう、討伐できればだが。
因みにヴィート宅の冷凍庫はレッサーフォレストドラゴンの肉で満杯であり、最近買った業務用冷凍ストッカーも結構入っている。それ以外は収納魔法に保管しているが…
そうして歩いていれば目的地の自分の宿屋のある街に到着。何食わぬ顔で他の門から出たと告げて中に入る。やはり、臭いが。一応清掃人と呼ばれる仕事人が道端の糞尿を片しているが、染みついた臭いというものは取れない。ヴィートは全身に薄い幕状の魔力層を作り臭いを遮断しているが、街の人々はそうではない。
例え、AV女優の様なそこの酒場の看板娘も、俳優みたいなさっきの冒険者も、一律…臭い。
「これお願い」
たどり着いたギルドで目当ての薬草採取の依頼書を専属受付嬢(興味がないので名前は忘れた)に渡す。と、突然手を掴まれた。離してほしい、皮脂で少し滑ってるし…とヴィートが思っていると。
「ヴィートさん…折行ってお願いがあるんです」
「嫌です」
即答。しかしここでへこたれては受付嬢は務まらない…というか、忘れられていると思われるがあのギルドマスターの娘である彼女はそんな程度ではへこたれない。
「多分洗髪料とか使ってますよね?」
「(使って)ないです」
「私にも分けてもらえませんか?」
「ないです」
「お金なら払いますし」
「(要ら)ないです行ってきます‼︎」
手を振り払い走り出すヴィート、追いかける受付嬢。しかし、瞬く間に点のように消えてしまったヴィート。今回も軍配はヴィートに上がったのだった。
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