猫だと思ったらトラでした。

だいたい石田

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4話

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「こ、ここは……」
誘拐でもされてしまったのだろうか。うちにはお金なんてないけれど、最近の誘拐はお金が目的ではないときく。健康な臓器を目的にしていて私は臓器を抜かれてころさ……
不穏な方向に想像を働かせてしまったときだ。

「起きた?」
ベッドの上から起き上がっていただけで周りをよくみていなかった。ベッドから少し離れたところにドアがあった。開いたドアからは男の人があらわれた。
突然のことに、身体にいまさらながら緊張感が走る。布団をぎゅっと強く握ってしまった。そんなことをしても何にもならないのに。

「眠らせたほうが連れてきやすいから連れてきちゃった。いきなりでごめんね。」
「あの……あなたはだれですか?」
どちらさま?と顔全体にクエスチョンマークが浮いている私の顔をその男の人はまじまじとみたあとで。
「ああ。ごめん。自己紹介もしてなかった。虎さんだよ。」
と。のたまったのだ。

「………」
どうしよう。どうしよう。いきなり知らない人に誘拐をされてあげくの果てには人間の男の人に『虎さんだよ』なんて言われてしまう。私はおじいちゃんの家の蔵にいたはずなのにいつのまにか知らない家にいるし。
ほっぺに何かがあるなと思ったら涙だった。
高校2年にもなって恐怖で泣いてしまった。けれど、一度自覚してしまったらあとはもうとまらない。ぽろぽろぽたぽた涙は流れた。

「えっ、ちょ、えっ、あ。ごめん。すぐに帰せるから。いつでも帰れるから泣かないで。」
男の人はベッドのそばにいた。私に近づこうとしたので
「いやっ近寄らないで。」
涙声で叫んでしまった。そんなことをしても誘拐犯のその人にはなんの障害にもならないだろう。それでも思わずいってしまった。
「ごめん。もう、こうなったほうがわかりやすいかな。」
ポンッと軽い音がした。

ベッド脇には、白いもふもふの虎さんがいた。
「と、と、と、虎さん……?」
そうだよ。というように虎さんは私にちかづき、ほっぺを流れる涙をぺろりとなめてくれた。
「虎さん!!!怖かった。」
白くてもふもふで太陽のにおいのする毛皮に顔をうずめて私は泣いていた。
「でも、なんでここにいるのかな。私。てかさっきの人は?」
しばらく泣くと、ずいぶんと落ち着くことができた。そのかわりに虎さんの毛皮の一部はけっこうぬれてしまったけれど。

私の言葉に反応してか虎さんが少しだけ私から離れた。そして、『落ち着いてよくみとけよ。』とでもいうようにぽんと私の腕をかるくたたいた。
「わかった。」
なんとなく虎さんの意図を察してうなずく。

ポンッさきほどと同じ軽い音がしたあと。
また男の人が現れた。………現れるのはべつにいいんだけど。いいんだけど。いいんだけど!!!!だいじなことなので3度いいました。
なぜか裸でした。
裸で、なぜかどや顔で、「これでわかってくれた?」といい笑顔でいわれました。いい笑顔だったんだけど!!
「ちょっとっ服をきてくださいっ」
私はとっさにベッドの上の枕をなげつけ、顔をそむけました。
……顔をそむけるまでにわりと時間があったのでばっちりしっかりはっきりくっきりとその……裸をみてしまいました。


「あ、ごめん。ごめん。変身したあとって裸の状態なんだよね。」
とおそらく裸のままでさわやかに、はじらいもなくいうので、顔をそむけたまま、2個目の枕をなげつけようとして、私のそのうごきで全裸変態は焦ったらしい。
「ごめん。服きてくるからそのままでいてね。すぐに戻ってくるから!」
言われなくってもよくわからないところでうろうろしたりはしない。いまのところは。帰れるらしいし。
私はとりあえずは、全裸変態をこのままで待つことにした。

すぐに戻るといった言葉を全裸変態は忠実に守ってくれた。
「ごめんね、待った?」
なんて初デートの待ち合わせのような言葉を吐いて戻ってきた。
「ねえ、なんで私はここにいるの?あなたはだれ?虎さんは何者なの?」
聞きたいことはとりあえずはいまはこの3点。
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