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じいっと元・全裸変態をみる。
いまさらながらだけれど、この変態はなかなかに整った顔をしている。鼻筋は通っているし、目はうらやましいと思うくらいのぱっちり二重で切れ長。これだけみると冷たい印象を与えそうだけれど、赤い瞳が笑っているようにみえるから冷たい印象は与えない。それに、おそらくだけれど、口紅をひいていない口はいい感じに赤くってぷるぷるだし。髪は、窓枠のように黒くって……って、なんだかどこかの白雪姫みたいだ。
さっきまではよくみていなかったし、虎さんになっていたり、全裸になってたりしてたから……あれ?虎さんになってた?ってことは?
「まず、由香子がなんでここにいるのかってことなんだけど、僕が呼んだからなんだ。次に、僕は猫さん、というか本当は虎なんだけどね。虎さんだよ。あの大きさで猫っていわれるのは初めての体験だったな。最初にあったときに由香子は虎のことを知らなかったんだもんね。最初からほんとうにかわいかったんだよね、由香子は。最後に、虎さんは僕で、僕は虎さんだよ。これでわかった?」
わかった?もなにも、だいぶだっくりとした説明でわかるんだけれども、よくわからない。これですべてがわかる人なんているのだろうか。いろいろと頭が追い付いていかないし。そもそも『僕が呼んだから』ってなんなんだ。
「僕が呼んだってどういうことなの?それになんで私の名前を知っているの?」
「僕が呼んだのは、由香子とずっといたかったからさ。僕が呼ばなかったら……君は、き、きみはきっとここにはしばらくこなかっただろう?それと、由香子の家のことは由香子が生まれるずっと前から知っているんだ。だから知らないことなんてない。由香子の名前を知ることなんて造作もないよ。」
「なによ、ずっといたかったからって。ねえ、私は帰る。ただ確かめたかっただけなの。小さかったころのことが本当なのか私も妄想なのか。確かめたんだから帰る。帰して。」
「ごめんね。帰してあげたいのはやまやまなんだけど、すぐに帰すことはできないんだ。帰す準備をするのに1カ月くらいかかるんだ。あ、でも、ここと由香子の世界の時間の流れは違うから、1か月くらいじゃなにも問題ないよ。そうだね、1時間くらいしか経ってないと思う。」
すなわち、浦島太郎状態にはならないといいたいらしい。
「で、でも早く帰りたい。」
「ほんとうに?」
すうっと赤い瞳が細められた。私はなんでこんなにも帰りたがっているんだろう。あんな世界。あんな家、あんな学校に……。
頭をよぎった暗いことを、ぶんぶんと振って消す。ちがうんだ。いまはこんなことを考えている場合じゃない。
「いいよ、1か月で帰れるんでしょう。しばらくここにいてあげる。」
「ありがとう。うれしいよ。」
こんなことを、虎さんの名前も知らない状態で話していた。いきなりの展開に以前として頭はついていかなかったけれど、さきほどからずっと握りしめている柔らかい布団の感触がこれを現実だと私につきつけている。しかもこの布団、ずっと握りしめているせいで、手汗でやや湿っているのだ。
「でもね、しばらく一人にしてくれない?」
「いいよ、晩御飯の時間になったら呼ぶね。」
虎さんは快諾し、部屋から出ていった。ガチャっとしまったドアを呆けてみつめ、汗ばんだ手のひらをながめ、まわりをきょろきょろと見渡したあと、私はぽすっと布団にうずもれた。
頭ではどことなく理解している状況だけれど、完全には理解しきれていない。頭ですらそうなのに、身体はもっとそうだ。じっと座っているだけなのに、なんだか悲鳴をあげているような気がする。これが限界だ。私は、そのまま、目を閉じた。
いまさらながらだけれど、この変態はなかなかに整った顔をしている。鼻筋は通っているし、目はうらやましいと思うくらいのぱっちり二重で切れ長。これだけみると冷たい印象を与えそうだけれど、赤い瞳が笑っているようにみえるから冷たい印象は与えない。それに、おそらくだけれど、口紅をひいていない口はいい感じに赤くってぷるぷるだし。髪は、窓枠のように黒くって……って、なんだかどこかの白雪姫みたいだ。
さっきまではよくみていなかったし、虎さんになっていたり、全裸になってたりしてたから……あれ?虎さんになってた?ってことは?
「まず、由香子がなんでここにいるのかってことなんだけど、僕が呼んだからなんだ。次に、僕は猫さん、というか本当は虎なんだけどね。虎さんだよ。あの大きさで猫っていわれるのは初めての体験だったな。最初にあったときに由香子は虎のことを知らなかったんだもんね。最初からほんとうにかわいかったんだよね、由香子は。最後に、虎さんは僕で、僕は虎さんだよ。これでわかった?」
わかった?もなにも、だいぶだっくりとした説明でわかるんだけれども、よくわからない。これですべてがわかる人なんているのだろうか。いろいろと頭が追い付いていかないし。そもそも『僕が呼んだから』ってなんなんだ。
「僕が呼んだってどういうことなの?それになんで私の名前を知っているの?」
「僕が呼んだのは、由香子とずっといたかったからさ。僕が呼ばなかったら……君は、き、きみはきっとここにはしばらくこなかっただろう?それと、由香子の家のことは由香子が生まれるずっと前から知っているんだ。だから知らないことなんてない。由香子の名前を知ることなんて造作もないよ。」
「なによ、ずっといたかったからって。ねえ、私は帰る。ただ確かめたかっただけなの。小さかったころのことが本当なのか私も妄想なのか。確かめたんだから帰る。帰して。」
「ごめんね。帰してあげたいのはやまやまなんだけど、すぐに帰すことはできないんだ。帰す準備をするのに1カ月くらいかかるんだ。あ、でも、ここと由香子の世界の時間の流れは違うから、1か月くらいじゃなにも問題ないよ。そうだね、1時間くらいしか経ってないと思う。」
すなわち、浦島太郎状態にはならないといいたいらしい。
「で、でも早く帰りたい。」
「ほんとうに?」
すうっと赤い瞳が細められた。私はなんでこんなにも帰りたがっているんだろう。あんな世界。あんな家、あんな学校に……。
頭をよぎった暗いことを、ぶんぶんと振って消す。ちがうんだ。いまはこんなことを考えている場合じゃない。
「いいよ、1か月で帰れるんでしょう。しばらくここにいてあげる。」
「ありがとう。うれしいよ。」
こんなことを、虎さんの名前も知らない状態で話していた。いきなりの展開に以前として頭はついていかなかったけれど、さきほどからずっと握りしめている柔らかい布団の感触がこれを現実だと私につきつけている。しかもこの布団、ずっと握りしめているせいで、手汗でやや湿っているのだ。
「でもね、しばらく一人にしてくれない?」
「いいよ、晩御飯の時間になったら呼ぶね。」
虎さんは快諾し、部屋から出ていった。ガチャっとしまったドアを呆けてみつめ、汗ばんだ手のひらをながめ、まわりをきょろきょろと見渡したあと、私はぽすっと布団にうずもれた。
頭ではどことなく理解している状況だけれど、完全には理解しきれていない。頭ですらそうなのに、身体はもっとそうだ。じっと座っているだけなのに、なんだか悲鳴をあげているような気がする。これが限界だ。私は、そのまま、目を閉じた。
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