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二章
仲間の救出
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どれくらい、彼女と見つめ合っていたのか。
時を動かしたのは、なんとオウムのフェイルノだった。
「メ、トジテ、チュウ?」
と、いきなり大きな声で言ったのだ。
「!!」
「!?」
急に恥ずかしさが襲ってくる。
それは、フィオも同じだったようで、俺たちは慌てて離れた。
「あ、ありがとう。アーチロビン。急にごめんなさい」
「い、いや。俺の方こそ」
醒めたくない夢から、無理矢理醒めさせられたような感じだ。
俺たちの様子を見ていたフェイルノが、さらに余計なひと言を追加してくる。
「ネェ、ギュウ、オワリ? チュウ、スル?」
「やめろ! フェイルノ!」
俺は顔を赤くしながら、フェイルノを指先で軽く小突いた。
まったく、誰がコイツにこんな言葉を教えたんだ!?
じっちゃんか? まさかな。
「マ、マジックシールドを解くね。」
フィオも、恥ずかしそうにしながらマジックシールドを解いてくれた。
俺は照れ臭さを誤魔化そうとして、さっと石化した三人の元へ向かい、解呪の針を刺して石化から解放する。
「あー!」
「ふぅー!」
「いや、まいったな」
三人三様。みんな、固まった体をほぐしながら、俺を取り囲んだ。
「アーチロビン! 助けてくれて、ありがと」
聖騎士ギルバートが、真っ先にお礼を言うと、早速鏡を取り出す。
「よく見えない。イケメンのままかな、少し変わった?」
「いや、大丈夫だよ、ギルバート」
俺が答えていると、魔導士ティトも頭を下げてきた。
「すまんの、小僧。いや、アーチロビン。彼奴め、魔法がほとんど効かぬ化け物でな。無属性の魔法を放とうとして、石化してしもた」
「無事で何より、ティト。あとでじっちゃんのこと、話したい」
「ア、アーサーがなんじゃ? ワシはもう……」
「いや、知っていて欲しいんだ。その上で決めて欲しい」
「……う、うむ」
珍しく魔導士ティトの声が上擦る。聞いてくれるだけでも、嬉しいな。
俺は最後に、ケルヴィン殿下に向き合った。
「アーチロビン、来てくれたか」
ケルヴィン殿下が、嬉しそうに俺の肩をポンポンと叩く。
みんな、無事でよかった。
元気そうで、緊張がほぐれていくのがわかる。
「はい、ケルヴィン殿下」
「世話になったな」
「そのセリフは、フィオにおっしゃってください。俺が来るまで時間を稼げたのは、彼女のおかげです」
「フィオ……? そうか」
みんなの視線が、フィオに集中する。
彼女は、耳をぺたんと後ろに倒して、尻尾も中に巻いているようだ。
「すみません! みなさん、すみません!!」
フィオは何度も頭を下げる。
俺も彼女をフォローしようとした。
「どうか、許してあげてください。彼女も、初めての冒険で失敗したんです。俺も、他の冒険者の時にやらかしたことはあります」
それはもちろん、あのネプォンの時だけど。
俺の時は、ボコボコに殴られた。
その恐怖から、失敗を恐れて失敗を重ねる、負のスパイラルに落ちた。抜け出すのは、決して簡単じゃなかったことを思い出す。
失敗した時に必要なのは、反省と改善だ。仲間たちは怒ってもいいが、お互い様だと言うことを忘れてはいけない。
失敗そのものは、新人もベテランもやるものだから。
「もういい、フィオ」
ケルヴィン殿下が、率先してフィオに声をかける。
やっぱり、この人もその辺はよく理解してるようだ。
「そうだよ、フィオ。ボクら怒ってないよ? 悪霊がボクを馬だと騙されてくれていたら、問題なかったのにさぁー」
聖騎士ギルバートが、自分の馬の背をポンポンと叩く。
彼も、気さくな態度を変えたりしない。
よかったな、フィオ。
「お前の下手な変装なんぞ、悪霊にバレるに決まっとる! フィオ、ワシは少し怒っておるぞ?」
魔導士ティトは、腰に手をあてて、フィオの前に立った。
……おっと、彼女は、みんなと少し違うな。
あまり、キツく責めないでほしいのに。
い、いや、別に俺がフィオに告白されたから、甘くしろと思ってるわけじゃない。
それは違う。違うから!
「はい……ティト」
フィオは、上目遣いで彼女を見て、しゅんとなって聞いている。
「慌てん坊でおっちょこちょい。もう少し落ち着かんかい!」
「はい! すみません!!」
フィオは、もう一度深く頭を下げた。魔導士ティトは、それを見届けると、ハンカチを取り出す。あれ……? もう、怒ってないのか?
「……じゃが、必死にワシらが砕かれんようにシールドを張っていたようじゃな。悪霊にも、何度も襲われかけたろうに」
魔導士ティトはそう言って、フィオの汚れた顔を拭いてあげていた。
言うべきことは言って、フォローも忘れない。
こういう慰めは、ティトのような年長者がうまいよな。
「はい……」
「疲れたじゃろう。新人にはなかなかできぬこと。見事じゃ」
「ありがとうございます」
「おうおう、涙で濡れた顔をしてるようじゃな。アーチロビンに助けられて、奴の胸を借りたのか?」
ザワ! とみんなの空気が変わる。
魔導士ティト!? な、な、なんでそれを?
「な、な、ななななな!」
みっともなく、焦ってしまった。
ここが、薄暗い地下室でよかった。顔が赤いことがバレてしまう。
「えー! 嘘だろ? 女の子を胸で泣かせてあげるのは、聖騎士の役目だよ? アーチロビン」
「ギルバート、お前は石化していたじゃないか。無理無理」
「ケルヴィン様、それを言っちゃおしまいですよ!」
聖騎士ギルバートと、ケルヴィン殿下が揶揄うように笑う。
俺もフィオも、恥ずかしくてお互い反対側を向いた。お、俺もああなるとは、思わなかったんだ。まだ、胸がドキドキするぜ。
そんな俺たちの様子を見ていた魔導士ティトが、思い出すように遠くを見る。
「ほほほ、若い頃を思い出すわい。涙で何人の男を落としてきたことか……」
ん? てことは、つまり?
「え、ティト、じっちゃん以外に恋人がいたの?」
「おう、ワシはモテたぞ。一番ワシに惚れ込んでいたのが、アーサーだったというわけじゃ。……手の早い奴でもあったがな」
「え」
「いや、なんでもない。なーんでもないわい! それより、オメガゴーレムはどうなった?」
急に話を逸らしたな、ティト。
ティトは、急かすように俺の背を押してくる。
おおっと、はいはい、わかりました。
俺は、カンテラをかざして、みんなをオメガゴーレムのところへ案内した。
「ガー! ウゴカナイ! ウゴカナイ!」
フェイルノが、オメガゴーレムの頭にとまって、ツンツンと嘴でつついている。
「これこれ、そこのオウム。危ないぞ?」
魔導士ティトが、フェイルノを俺に返してきた。
「ありがとう、これは俺の相棒のフェイルノ」
俺はみんなに軽く紹介すると、オメガゴーレムを覗き込んだ。
ぴくりとも動かずに、まるで人形のよう。
「俺がいつものようにして、倒したんですけど、コイツの体から、ヘカントガーゴイルと同じ光が飛び出して、去っていったんです」
と、俺が言うと、フィオも頷いた。
「はい、私も感知しました。魔王ダーデュラの魂のカケラです」
フィオも感じたなら、間違いないな。
ケルヴィン殿下はそれを聞いて、腰に手をあて、考え込んだ。
「いよいよ、はっきりさせねばならんな。タインシュタ・フランのところへ行こう。」
そう、彼のところへ。
彼なら、何か知っているはずだ。
時を動かしたのは、なんとオウムのフェイルノだった。
「メ、トジテ、チュウ?」
と、いきなり大きな声で言ったのだ。
「!!」
「!?」
急に恥ずかしさが襲ってくる。
それは、フィオも同じだったようで、俺たちは慌てて離れた。
「あ、ありがとう。アーチロビン。急にごめんなさい」
「い、いや。俺の方こそ」
醒めたくない夢から、無理矢理醒めさせられたような感じだ。
俺たちの様子を見ていたフェイルノが、さらに余計なひと言を追加してくる。
「ネェ、ギュウ、オワリ? チュウ、スル?」
「やめろ! フェイルノ!」
俺は顔を赤くしながら、フェイルノを指先で軽く小突いた。
まったく、誰がコイツにこんな言葉を教えたんだ!?
じっちゃんか? まさかな。
「マ、マジックシールドを解くね。」
フィオも、恥ずかしそうにしながらマジックシールドを解いてくれた。
俺は照れ臭さを誤魔化そうとして、さっと石化した三人の元へ向かい、解呪の針を刺して石化から解放する。
「あー!」
「ふぅー!」
「いや、まいったな」
三人三様。みんな、固まった体をほぐしながら、俺を取り囲んだ。
「アーチロビン! 助けてくれて、ありがと」
聖騎士ギルバートが、真っ先にお礼を言うと、早速鏡を取り出す。
「よく見えない。イケメンのままかな、少し変わった?」
「いや、大丈夫だよ、ギルバート」
俺が答えていると、魔導士ティトも頭を下げてきた。
「すまんの、小僧。いや、アーチロビン。彼奴め、魔法がほとんど効かぬ化け物でな。無属性の魔法を放とうとして、石化してしもた」
「無事で何より、ティト。あとでじっちゃんのこと、話したい」
「ア、アーサーがなんじゃ? ワシはもう……」
「いや、知っていて欲しいんだ。その上で決めて欲しい」
「……う、うむ」
珍しく魔導士ティトの声が上擦る。聞いてくれるだけでも、嬉しいな。
俺は最後に、ケルヴィン殿下に向き合った。
「アーチロビン、来てくれたか」
ケルヴィン殿下が、嬉しそうに俺の肩をポンポンと叩く。
みんな、無事でよかった。
元気そうで、緊張がほぐれていくのがわかる。
「はい、ケルヴィン殿下」
「世話になったな」
「そのセリフは、フィオにおっしゃってください。俺が来るまで時間を稼げたのは、彼女のおかげです」
「フィオ……? そうか」
みんなの視線が、フィオに集中する。
彼女は、耳をぺたんと後ろに倒して、尻尾も中に巻いているようだ。
「すみません! みなさん、すみません!!」
フィオは何度も頭を下げる。
俺も彼女をフォローしようとした。
「どうか、許してあげてください。彼女も、初めての冒険で失敗したんです。俺も、他の冒険者の時にやらかしたことはあります」
それはもちろん、あのネプォンの時だけど。
俺の時は、ボコボコに殴られた。
その恐怖から、失敗を恐れて失敗を重ねる、負のスパイラルに落ちた。抜け出すのは、決して簡単じゃなかったことを思い出す。
失敗した時に必要なのは、反省と改善だ。仲間たちは怒ってもいいが、お互い様だと言うことを忘れてはいけない。
失敗そのものは、新人もベテランもやるものだから。
「もういい、フィオ」
ケルヴィン殿下が、率先してフィオに声をかける。
やっぱり、この人もその辺はよく理解してるようだ。
「そうだよ、フィオ。ボクら怒ってないよ? 悪霊がボクを馬だと騙されてくれていたら、問題なかったのにさぁー」
聖騎士ギルバートが、自分の馬の背をポンポンと叩く。
彼も、気さくな態度を変えたりしない。
よかったな、フィオ。
「お前の下手な変装なんぞ、悪霊にバレるに決まっとる! フィオ、ワシは少し怒っておるぞ?」
魔導士ティトは、腰に手をあてて、フィオの前に立った。
……おっと、彼女は、みんなと少し違うな。
あまり、キツく責めないでほしいのに。
い、いや、別に俺がフィオに告白されたから、甘くしろと思ってるわけじゃない。
それは違う。違うから!
「はい……ティト」
フィオは、上目遣いで彼女を見て、しゅんとなって聞いている。
「慌てん坊でおっちょこちょい。もう少し落ち着かんかい!」
「はい! すみません!!」
フィオは、もう一度深く頭を下げた。魔導士ティトは、それを見届けると、ハンカチを取り出す。あれ……? もう、怒ってないのか?
「……じゃが、必死にワシらが砕かれんようにシールドを張っていたようじゃな。悪霊にも、何度も襲われかけたろうに」
魔導士ティトはそう言って、フィオの汚れた顔を拭いてあげていた。
言うべきことは言って、フォローも忘れない。
こういう慰めは、ティトのような年長者がうまいよな。
「はい……」
「疲れたじゃろう。新人にはなかなかできぬこと。見事じゃ」
「ありがとうございます」
「おうおう、涙で濡れた顔をしてるようじゃな。アーチロビンに助けられて、奴の胸を借りたのか?」
ザワ! とみんなの空気が変わる。
魔導士ティト!? な、な、なんでそれを?
「な、な、ななななな!」
みっともなく、焦ってしまった。
ここが、薄暗い地下室でよかった。顔が赤いことがバレてしまう。
「えー! 嘘だろ? 女の子を胸で泣かせてあげるのは、聖騎士の役目だよ? アーチロビン」
「ギルバート、お前は石化していたじゃないか。無理無理」
「ケルヴィン様、それを言っちゃおしまいですよ!」
聖騎士ギルバートと、ケルヴィン殿下が揶揄うように笑う。
俺もフィオも、恥ずかしくてお互い反対側を向いた。お、俺もああなるとは、思わなかったんだ。まだ、胸がドキドキするぜ。
そんな俺たちの様子を見ていた魔導士ティトが、思い出すように遠くを見る。
「ほほほ、若い頃を思い出すわい。涙で何人の男を落としてきたことか……」
ん? てことは、つまり?
「え、ティト、じっちゃん以外に恋人がいたの?」
「おう、ワシはモテたぞ。一番ワシに惚れ込んでいたのが、アーサーだったというわけじゃ。……手の早い奴でもあったがな」
「え」
「いや、なんでもない。なーんでもないわい! それより、オメガゴーレムはどうなった?」
急に話を逸らしたな、ティト。
ティトは、急かすように俺の背を押してくる。
おおっと、はいはい、わかりました。
俺は、カンテラをかざして、みんなをオメガゴーレムのところへ案内した。
「ガー! ウゴカナイ! ウゴカナイ!」
フェイルノが、オメガゴーレムの頭にとまって、ツンツンと嘴でつついている。
「これこれ、そこのオウム。危ないぞ?」
魔導士ティトが、フェイルノを俺に返してきた。
「ありがとう、これは俺の相棒のフェイルノ」
俺はみんなに軽く紹介すると、オメガゴーレムを覗き込んだ。
ぴくりとも動かずに、まるで人形のよう。
「俺がいつものようにして、倒したんですけど、コイツの体から、ヘカントガーゴイルと同じ光が飛び出して、去っていったんです」
と、俺が言うと、フィオも頷いた。
「はい、私も感知しました。魔王ダーデュラの魂のカケラです」
フィオも感じたなら、間違いないな。
ケルヴィン殿下はそれを聞いて、腰に手をあて、考え込んだ。
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