27 / 64
後編
新郎が部屋にやってきた
しおりを挟む
「アイスリーは、試練なんか受けさせません!
明日きちんと抗議し・・・!」
椅子から立ち上がったファイ様は、体がよろめいて崩れるように座り込む。
「ファイ様!?」
私は慌てて駆け寄った。
ファイ様の周りを、他の兄弟姉妹も取り囲む。
「・・・疲れ・・・たのね。
アポロニ兄様・・・肩を・・・かして・・・。」
「来い、ファイ。
顔を洗いに行くぞ。」
ファイリアお義姉様とアポロニお義兄様が、ファイ様を連れて退室していく。
私たちが席に戻ると、バーニスお義姉様が、
「ファイも、今日のこの日を楽しみに待ってたのよ。
アイスローズちゃんとゆっくり過ごしたいから、仕事も相当大量にこなしていたもん。」
と、教えてくれる。
ファイ様・・・。
無理してくれたんだ。
「しかし、その『貞操の焼印』が消えない限り、初夜も迎えられない。
一体何をすれば、解ける魔法なのでしょう。」
と、プロメテクスお義兄様が尋ねてくれた。
そう、この焼印は最初、皇太子妃修行を終えたら消えると聞いてたのに、消えないもの。
「それをかけたのは、大神官ですから。
王太后様の真意がわからぬ今は、その時を待つしかありません。」
王妃様が悲しそうな声で言った。
それを聞いていたバーニスお義姉様が、机をバン!と叩く。
「歯痒い!
何が気に食わないのよ!
いくら元英雄でも・・・!」
「よせ、バーニス。そこから先は言うな。
父上、火の試練のダンジョンには、奇跡の万能薬の『レマニカル』があります。
明日にでも、私が取りに行きます。王太后様に飲ませましょう。」
プロメテクスお義兄様が、バーニスお義姉様を宥めて王様に言ったのだけど、
「ダンジョンの扉は、王族で火の試練を受ける必要がある者の前でしか開かぬ。
お前は既に終えているではないか。
次に開く可能性があるのは・・・。」
と、王様は諭してきて私の方を見る。
・・・ですよね。
そこへアポロニお義兄様の声がした。
「勝手に決めないでください。
ファイもアイスローズ妃も、今日は疲れている。
慰労会は日を改めて、今日は休みましょう。」
お義兄様は、ファイ様とファイリアお義姉様を伴って、戻ってくる。
ファイ様は俯いて、顔色が悪そう。
・・・私も氷の宮に戻った方がいいみたいね。
王様と王妃様が先に退室して、私たちも後から広間を出た。
ファイ様はお義兄様たちと一緒に、皇太子の宮に帰っていく。
・・・あまり話せなかった。
もっと一緒にいたかったな。
ダイヤモンドダストが顔を擦り付けてきて、私を慰めようとしてる。
私はダイヤモンドダストを胸に抱くと、氷の宮に向かって歩き出した。
ふと、ミユキが足を止める。
「ファイリア様?
何か御用ですか?」
ファイリアお義姉様が、廊下の先で私を待っていたの。
「お話・・・しましょう・・・。
一緒に・・・宮に行く・・・わ。」
そしてパチリと片目を閉じた。
ま、まさか!!
まさか、この人!!
私の居城である氷の宮の前には、ヴィノガン様の私兵がいて、出入りを厳しくチェックしている。
私はファイリアお義姉様とミユキを伴って、宮の中に入った。
私の部屋の中に入ると、ファイリアお義姉様がうーん、と背伸びをする。
「ファイ様、本当に変装がお上手ですね。
ファイリアお義姉様にも変装するんだ。」
私が言うと、ファイ様は変装をさっと解き、腰に手を当てて、
「やっぱり、アイスリーは誤魔化せないな。
この部屋に時々来るには、他に方法がなくて。」
と言って得意そうに笑う。
ファイ様は元々美形だから、女装しても違和感ないものね。
素直に綺麗な人だと思える。
彼は、変装のレパートリーが多い。
以前はお忍びで王宮の外に出て、庶民に混じってあれこれ情報収集したり、剣技を磨いたりしてたんだって。
どおりで、迎賓館で一般兵ホムラとして振舞っても、違和感を感じなかったわけだわ。
彼はドレスを手早く脱いで、そばにある椅子にかけると、中に来ていた軽装の服の皺を伸ばした。
ん?待って、時々、来ていた?
ファイリアお義姉様に変装して、この部屋にいたの?
そういえば、この部屋の中のファイリアお義姉様は、いつも離れたところでご自分のお仕事をされていて、お忙しいのだと思っていた。
「どうして・・・。」
「気になって仕方なくて。
打ち明けてもよかったんだけど、アイスリーが必死だったから、邪魔しないように黙ってた。
すまない。」
私はダイヤモンドダストを下ろすと、ファイ様のそばに行った。
ミユキが気を利かせて、ダイヤモンドダストを抱いて部屋の外へ退室する。
私がそっと両手で彼の顔を包むと、その手を彼も握ってきた。
優しい緋色の瞳が、私を愛おしげに見つめてくる。
とても温かい瞳・・・。
やっぱりこの人が好き。
この人の隣に、堂々と並んで立ちたくて頑張った。
例え、歓迎してくれない人や、昔の恋人に牽制されたとしても。
二人だけで会えたら何を言うか、いつも考えていたの。
今こそ皇太子妃として、毅然と言わなくちゃ。
『愛しています、これからもよろしくお願いします。』
『これから、皇太子妃として、恥ずかしくないように頑張ります。』
何度も練習したのに、間近に彼の顔を見たら意外な言葉がこぼれ落ちた。
「寂しかった・・・。」
ファイ様の目が大きく見開く。
「お義姉様やお義兄様たちは来てくれたけど、一番会いたかったのはあなただったのよ?」
「アイスリー・・・。」
「自分ばっかり私を見て安心してたの?
私のためだとしても、ひどい。
レドリシアは、私よりあなたに会ってるみたいだし。」
何言ってるんだろう、私。
こんなことが言いたいわけじゃないのに。
彼を困らせて、嫌われちゃう。
「アイスリー、本当にごめん。
レドリシアは、ちゃんと宮の入り口で追い返していた。
対応も侍従にさせていたし、私は会ってない。」
ファイ様が言って、私を強く抱き寄せる。
私も彼の胸に顔を埋めて、心音に耳を傾けた。
その言葉を信じたい・・・でも、どうしても、本当に?と言いそうになる。
責めたいわけじゃないのに。
さっきもレドリシアに一線を引いてくれたし、彼がここで名乗り出なかった理由も理解できる。
私の気を散らさないためだって。
それに彼は私との時間を作るために、仕事を大量にこなしていたと聞いた。
少ない時間を押してまで、無理を重ねたことをもっと、考えないといけない。
聞き分けないと・・・疑ってはダメ。
「私こそ・・・ごめんなさい。
今からこんなふうではダメね。」
もっと強くならなければ。面倒くさい女だと思われたくない。
心を入れ替えようとした私の頭を、ファイ様はクスッと笑って抱きしめたまま撫でてくる。
「違うよ、疑うなという方がおかしい。
ちょうどいい、これで私も打ち明けられる。」
「え?」
「私もこの1ヶ月、ここに変装してくるたびに、兄様たちから、早く名乗ってやれと言われたけど、意地をはってやらなかった。」
「どういうこと?私のためでしょ?」
「もちろん、それが第一。
でも、それだけじゃないんだ。
自分勝手な理由がある。」
ファイ様はそのまま私を抱え上げると、歩き出した。
「わっ、また・・・!」
「やっと、アイスリーがこの国へ・・・私のそばへ来てくれた。
どれほど待ち焦がれたことか、わかる?」
彼は私を抱えたまま、器用に寝室の扉を開けて、中に入ると扉を閉める。
ファイ様、まさか!!
私は『貞操の焼印』があるから、夫婦としては過ごせないのよ?
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
お気に召したら、お気に入り登録してくださるとうれしいです♫ とても励みになります。
※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
明日きちんと抗議し・・・!」
椅子から立ち上がったファイ様は、体がよろめいて崩れるように座り込む。
「ファイ様!?」
私は慌てて駆け寄った。
ファイ様の周りを、他の兄弟姉妹も取り囲む。
「・・・疲れ・・・たのね。
アポロニ兄様・・・肩を・・・かして・・・。」
「来い、ファイ。
顔を洗いに行くぞ。」
ファイリアお義姉様とアポロニお義兄様が、ファイ様を連れて退室していく。
私たちが席に戻ると、バーニスお義姉様が、
「ファイも、今日のこの日を楽しみに待ってたのよ。
アイスローズちゃんとゆっくり過ごしたいから、仕事も相当大量にこなしていたもん。」
と、教えてくれる。
ファイ様・・・。
無理してくれたんだ。
「しかし、その『貞操の焼印』が消えない限り、初夜も迎えられない。
一体何をすれば、解ける魔法なのでしょう。」
と、プロメテクスお義兄様が尋ねてくれた。
そう、この焼印は最初、皇太子妃修行を終えたら消えると聞いてたのに、消えないもの。
「それをかけたのは、大神官ですから。
王太后様の真意がわからぬ今は、その時を待つしかありません。」
王妃様が悲しそうな声で言った。
それを聞いていたバーニスお義姉様が、机をバン!と叩く。
「歯痒い!
何が気に食わないのよ!
いくら元英雄でも・・・!」
「よせ、バーニス。そこから先は言うな。
父上、火の試練のダンジョンには、奇跡の万能薬の『レマニカル』があります。
明日にでも、私が取りに行きます。王太后様に飲ませましょう。」
プロメテクスお義兄様が、バーニスお義姉様を宥めて王様に言ったのだけど、
「ダンジョンの扉は、王族で火の試練を受ける必要がある者の前でしか開かぬ。
お前は既に終えているではないか。
次に開く可能性があるのは・・・。」
と、王様は諭してきて私の方を見る。
・・・ですよね。
そこへアポロニお義兄様の声がした。
「勝手に決めないでください。
ファイもアイスローズ妃も、今日は疲れている。
慰労会は日を改めて、今日は休みましょう。」
お義兄様は、ファイ様とファイリアお義姉様を伴って、戻ってくる。
ファイ様は俯いて、顔色が悪そう。
・・・私も氷の宮に戻った方がいいみたいね。
王様と王妃様が先に退室して、私たちも後から広間を出た。
ファイ様はお義兄様たちと一緒に、皇太子の宮に帰っていく。
・・・あまり話せなかった。
もっと一緒にいたかったな。
ダイヤモンドダストが顔を擦り付けてきて、私を慰めようとしてる。
私はダイヤモンドダストを胸に抱くと、氷の宮に向かって歩き出した。
ふと、ミユキが足を止める。
「ファイリア様?
何か御用ですか?」
ファイリアお義姉様が、廊下の先で私を待っていたの。
「お話・・・しましょう・・・。
一緒に・・・宮に行く・・・わ。」
そしてパチリと片目を閉じた。
ま、まさか!!
まさか、この人!!
私の居城である氷の宮の前には、ヴィノガン様の私兵がいて、出入りを厳しくチェックしている。
私はファイリアお義姉様とミユキを伴って、宮の中に入った。
私の部屋の中に入ると、ファイリアお義姉様がうーん、と背伸びをする。
「ファイ様、本当に変装がお上手ですね。
ファイリアお義姉様にも変装するんだ。」
私が言うと、ファイ様は変装をさっと解き、腰に手を当てて、
「やっぱり、アイスリーは誤魔化せないな。
この部屋に時々来るには、他に方法がなくて。」
と言って得意そうに笑う。
ファイ様は元々美形だから、女装しても違和感ないものね。
素直に綺麗な人だと思える。
彼は、変装のレパートリーが多い。
以前はお忍びで王宮の外に出て、庶民に混じってあれこれ情報収集したり、剣技を磨いたりしてたんだって。
どおりで、迎賓館で一般兵ホムラとして振舞っても、違和感を感じなかったわけだわ。
彼はドレスを手早く脱いで、そばにある椅子にかけると、中に来ていた軽装の服の皺を伸ばした。
ん?待って、時々、来ていた?
ファイリアお義姉様に変装して、この部屋にいたの?
そういえば、この部屋の中のファイリアお義姉様は、いつも離れたところでご自分のお仕事をされていて、お忙しいのだと思っていた。
「どうして・・・。」
「気になって仕方なくて。
打ち明けてもよかったんだけど、アイスリーが必死だったから、邪魔しないように黙ってた。
すまない。」
私はダイヤモンドダストを下ろすと、ファイ様のそばに行った。
ミユキが気を利かせて、ダイヤモンドダストを抱いて部屋の外へ退室する。
私がそっと両手で彼の顔を包むと、その手を彼も握ってきた。
優しい緋色の瞳が、私を愛おしげに見つめてくる。
とても温かい瞳・・・。
やっぱりこの人が好き。
この人の隣に、堂々と並んで立ちたくて頑張った。
例え、歓迎してくれない人や、昔の恋人に牽制されたとしても。
二人だけで会えたら何を言うか、いつも考えていたの。
今こそ皇太子妃として、毅然と言わなくちゃ。
『愛しています、これからもよろしくお願いします。』
『これから、皇太子妃として、恥ずかしくないように頑張ります。』
何度も練習したのに、間近に彼の顔を見たら意外な言葉がこぼれ落ちた。
「寂しかった・・・。」
ファイ様の目が大きく見開く。
「お義姉様やお義兄様たちは来てくれたけど、一番会いたかったのはあなただったのよ?」
「アイスリー・・・。」
「自分ばっかり私を見て安心してたの?
私のためだとしても、ひどい。
レドリシアは、私よりあなたに会ってるみたいだし。」
何言ってるんだろう、私。
こんなことが言いたいわけじゃないのに。
彼を困らせて、嫌われちゃう。
「アイスリー、本当にごめん。
レドリシアは、ちゃんと宮の入り口で追い返していた。
対応も侍従にさせていたし、私は会ってない。」
ファイ様が言って、私を強く抱き寄せる。
私も彼の胸に顔を埋めて、心音に耳を傾けた。
その言葉を信じたい・・・でも、どうしても、本当に?と言いそうになる。
責めたいわけじゃないのに。
さっきもレドリシアに一線を引いてくれたし、彼がここで名乗り出なかった理由も理解できる。
私の気を散らさないためだって。
それに彼は私との時間を作るために、仕事を大量にこなしていたと聞いた。
少ない時間を押してまで、無理を重ねたことをもっと、考えないといけない。
聞き分けないと・・・疑ってはダメ。
「私こそ・・・ごめんなさい。
今からこんなふうではダメね。」
もっと強くならなければ。面倒くさい女だと思われたくない。
心を入れ替えようとした私の頭を、ファイ様はクスッと笑って抱きしめたまま撫でてくる。
「違うよ、疑うなという方がおかしい。
ちょうどいい、これで私も打ち明けられる。」
「え?」
「私もこの1ヶ月、ここに変装してくるたびに、兄様たちから、早く名乗ってやれと言われたけど、意地をはってやらなかった。」
「どういうこと?私のためでしょ?」
「もちろん、それが第一。
でも、それだけじゃないんだ。
自分勝手な理由がある。」
ファイ様はそのまま私を抱え上げると、歩き出した。
「わっ、また・・・!」
「やっと、アイスリーがこの国へ・・・私のそばへ来てくれた。
どれほど待ち焦がれたことか、わかる?」
彼は私を抱えたまま、器用に寝室の扉を開けて、中に入ると扉を閉める。
ファイ様、まさか!!
私は『貞操の焼印』があるから、夫婦としては過ごせないのよ?
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
読んでくださってありがとうございました。
お気に召したら、お気に入り登録してくださるとうれしいです♫ とても励みになります。
※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる