心配症で不幸体質だと思い込む姫様は、宿敵の呪縛に立ち向かい、隣国の王子に溺愛されるルートへと進みます!

たからかた

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後編

始まる火の試練

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「ファンティーヌ、て、王太后様の名前よね?」

「そうだ。やはり彼は試練に挑んだんだ。
私たちも行こう。私が先導する。」

ファイ様と私は、ダイヤモンドダストを連れて、ダンジョンの奥へと進んでいった。

ダンジョンの最初の方は、魔物も弱い。そんなに頑張らなくても、サクサク進めるもの。

ファイ様は、戦う姿も素敵。
剣技も魔法も、すごく強い。

でも、下に行けば行くほど敵も強くなってくる。
ダイヤモンドダストも、ダンジョンの中間辺りから、大人の背丈せたけほどの成体へと変化して、一緒に戦ってくれた。

回復薬の消費ペースも、いい感じ。
これなら、最下層まで余力が残せそう。

こんなにサクサク進めて、少し不安なくらい。氷の試練の時は、もっと厳しかったな。
あの時は一人だったし。

最下層にいる魔神を守る、最後の魔物を倒して、やっと一息つけた。
回復薬もなんとか、ギリギリもちそう。

「アイスリー、ここで回復薬を使って、次の扉を開こう。」

ファイ様が、剣を拭って鞘に収めると、私に近づいてきた。

「え、この次は最後の休憩所じゃない?
そこの方がゆっくり・・・。」

「レドリシアが魔神と対峙たいじしている最中なら、サラマンダムが次の部屋で待機している可能性がある。」

「!!」

「奴の相手は私がする。
いいか、ぐ魔神の元へ行くんだ。
ダイヤモンドダストを連れて。
そしてまた、ここで会おう。」

私はうなずいた。
必ずやりげる。
そして彼と一緒にここを出る!!

私たちは回復薬を飲んで、次の部屋に入った。

「・・・あれ?誰もいないわ。」

次の休憩エリアは、無人だった。
レドリシアが試練を終えて、もう出たのかしら。

ファイ様も拍子抜ひょうしぬけていて、ダイヤモンドダストも背伸びをして、リラックスしている。

それなら、アイシュペレサのメッセージがないか探そう。

壁のくぼみに氷の魔法の鏡が見えたので、私が触れようと手を伸ばすと、

「プシュー、そんな仕掛けがあったのか。」

サラマンダムの声がして、レドリシアと共に、奥の方からやってくる。

・・・!
何故、まだ、ここに!?
私は手を下ろして二人を見た。

「レドリシア、試練は?」

私が聞くと、彼女は腰に手を当てて、目を細める。

「もちろん、終えましたわ。
それより、やはり護衛ごえいは殿下でしたわね。
まあ、あの偽物にせものとキスをしてすぐにわかりました。
殿下の味は覚えていますから。」

レドリシアは、ファイ様の方を見て、にっこり笑った。
ほんっとに嫌な女!!

「試練を終えたなら、さっさと出ろ。
もう、用はないはずだ。」

ファイ様は毅然きぜんと切り返す。
そうよ、何故なぜここにいるの!?

「うふふ。それはもちろん、アイスリー様には魔神の心臓をとってもらわないといけませんから。」

レドリシアは、私に近づいてくる。
ファイ様がすぐに前に出て、私を背にかばった。

「どけ!アイスリーに手は出させない!」

「あら、殿下。
あなたの相手は、サラマンダムですのよ?」

音もなく、サラマンダムがファイ様の背後に立った。

サラマンダムは、私とファイ様の真ん中は立つと、彼を羽交はがめにして、素早く何かをふりかけた。

「うっ・・・!!」

ファイ様が思わずむせて、倒れ込む。
それでも、彼はレドリシアとサラマンダムを囲むように炎の壁を魔法で作り出した。

「行け!アイスリー!!」

「・・・でも、ファイ!!」

「約束しただろ!?行くんだ!!」

私は後ろ髪を引かれる思いで、次の部屋へダイヤモンドダストと一緒に飛び込んだ。

大丈夫・・・ファイ様は大丈夫。もう、祈るしかない。
急いで魔神を服従させて、戻らないと!!

魔神の間には、魔神が待ち構えていた。

私はファイ様の魔力が込められた、魔法の指輪をした手を握りしめて、魔神の前にかざす。

この指輪には、彼の最大火力が込められている。
私の氷の魔法で抑えているけど、抑えを解除すれば、すぐに炎が吹き出す仕組みだ。

火の魔神は、火でないと屈しない。

「グルルルル・・・我と炎を繋げよ。」

くぐもった野太い声で魔神が喋る。

魔神が部屋中を飛び回り始めて、あちこちから、火炎を吐き出してくるので、同じ方向に指輪を向けて繋げるように炎を調整した。

ミユキとたくさん練習して、炎を割ったり、冷風で渦を作ったりして、方向や勢いを自由にできるようにしたもの。

必死に魔神を見失わないように、目を凝らして音にも集中する。
飛び散る火の粉からは、ダイヤモンドダストが守ってくれた。

ようやく、魔神が正面に戻ってきて、私は全身から息を吐く。

「グルルルル・・・なんじ我を忘れるなかれ。
敵を間違えれば、そなたの負けだ。」

魔神はそう言うと、消えていった。

敵を間違えれば?
氷の試練の時とは、また違うクエスト。

戸惑とまどう私の目の前に、ベロジュとスノウティが現れる。

「あらあら、アイスリー様。
こんなところで、何を馬鹿なことをしていらっしゃるの?」

「ふふふふ、氷の民のくせに火の試練なんて。
できるわけないじゃない。」

二人は、相変わらず嘲笑ちょうしょう軽蔑けいべつ眼差まなざしで見てくる。

これは予想していた。
私の試練といえば、この二人が出ないわけない。

「ほっといて。
あなたたちには、関係ない。」

私は完全に無視して、当たりを見回す。
出てくるのはこの二人だけ?

「ふふ、何をキョロキョロして。
そうそう、ファイ様とはとっても仲がいいそうね、アイスリー様。」

「そうよ、それが?」

「でも、ファイ様はあなたの髪の色と、使っている香水の香が同じというだけで、別の女性も愛した人でしたわね?」

・・・二人とも何が言いたいの?

「つまり、あなた本人でなくても、『アイスリー』を連想できるものなら、他の人でもいいわけですわ。」

スノウティが私の肩に手を置く。
何、言ってるの?

もう、彼のそばには私がいるわ。
今更いまさらた人を必要とするわけないでしょう?

「もう、消えて!
馬鹿馬鹿しいことにまどわされないわよ。
あなたたちは、試練の見せるまぼろし
本物じゃないんだから!」

私はスノウティを振り払った。
だまされちゃダメ。

「本当にファイ様は、アイスリー様が皇太子妃修行している時に、レドリシアをこばんでたのかしら?
本当はよろしくやってたんじゃないの?」

「そんなことない!」

「ではなぜ、彼女を追放なさらなかったのかしら?」

「ヴィノガン様の保護下にあったからでしょ!」

貞操ていそうの焼印で、ろくに夫婦生活のできない妻に、そんなに耐えられるものかしら?
レドリシアなら、こんな手間はいらなかった。
あなたを選んだばっかりに。」

「私がいい、て、言ってくれたの!!」

「初恋だから?
幼い時の想いは、憧れにすぎませんわ。
日々、幻滅してらっしゃるかもしれませんよ?」

「好意は何度も伝えてくれる人なの!!」

「何故そんなに、愛されてると?
幼い時に出会ったのは一日だけ。
結婚前にはほんの数回。
結婚して、一緒に過ごしてまだ、三日。」

「そ、それは・・・。」

確かに長くない。
私の全部を好きと言ってくれたけど、正直何がいいのかはわからない。

「ブリザードゥ国第一王女だから、恥をかかせないよう、大切にされてるだけでは?」

「愛されていると思ってるのは、アイスリー様だけなんじゃないですか?」

やめて・・・やめて!!

「違うったら!!」

声の限り叫んだ。
なんなの?この試練。
炎に関するクエストかと思ったのに、私の心の不安を言いあばかれていく。

「ほら、あそこをご覧になって。
ファイ様は、彼女がいいみたいですわよ?」

ベロジュが、私の顔をレドリシア達と対峙した部屋へと続く扉の方へと向ける。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。

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