心配症で不幸体質だと思い込む姫様は、宿敵の呪縛に立ち向かい、隣国の王子に溺愛されるルートへと進みます!

たからかた

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後編

ピンチ再び

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「ほほほほ!!最初から、そういう魔法だったのです!アイスリー様の焼印は、外の世界へ出れば戻ってしまう。
嫌なら魔神の心臓を取り出すしかない。」

「最初は、皇太子妃修行、次に火の試練、今度は魔神の心臓だと!?
言う通りにして解呪される保証があるのか?」

ファイ様が、レドリシアをにらみつける。
彼女は、腰に手を当てて首をかたむけると、ニヤリと笑った。

「さあ?ヴィノガン様はそうおっしゃってましたわ。それより・・・魔法を放つのは心地いいですわねぇ。」

彼女は再び火の魔法を放ってくる。
威力は大したことはないけれど、彼女が狂ったように撃ってくるのが怖い。

「アハハハハ!!ほら、ほら!反撃はしませんの!?」

これが魅入みいられし者。
攻撃魔法を放つことに、快感を覚えてしまう危険な存在。

私はシールドで攻撃を防ぎながら、ゲートから入ってくる外の光に、手をかざした。

手の甲には、元の焼印が浮かび上がる。
そんな・・・!!

私の手を見たファイ様も、悔しそうにこぶしを握りしめた。

渾身こんしんの力を振り絞って、火の魔法を使い尽くしたレドリシアは、恍惚こうこつの表情で肩であらい息を吐いて、クスクス笑っている。

・・・もう魔力が尽きたの?彼女。

ガチャ!ギィーと、扉が開く音が響く。

サラマンダムが部屋に入ってきた。
氷の魔法がもう解かれたの!?

「プシュー、さすがはアイスローズ皇太子妃殿下。こんなに手こずった氷の魔法はありません。このエクスカリバーがなければ、永遠に凍っていたところでした。」

彼は大剣を構えて、私たちを見る。
ファイ様も剣を構えて、二人はにらみ合った。

どうしよう。
このまま外に出ても、焼印は残ったまま。
薬草レマニカルを王太后様のところへ持っていって、治療したら大神官を召喚していただく?

でも、サラマンダムもレドリシアも、私たちをそう簡単に出してくれるとは思えない。

私の凍結の魔法も、サラマンダムには時間稼ぎにしかならない。

凍結させて外に出たとして、本当に他の罠がないのかも自信がない。

ダイヤモンドダストが、迷う私を守るように前に出た。

次の瞬間、竜巻が目の前にいくつも現れて、ダイヤモンドダストを封じ込める。

「風属性の魔法!?」

私は驚いてサラマンダムを見た。
彼は、エクスカリバーを一振りして、私を見る。

「プシュー、このエクスカリバーは、全属性の魔法のダメージを半減すると同時に、種族に関係なく、全ての属性の魔法の行使を可能にしてくれるのです。」

そして私に接近してきたので、ファイ様が素早く回り込んできて、サラマンダムと打ち合い始める。

凄まじい戦いに気を取られた私は、すぐ後ろにレドリシアが来ていたことに気づかなかった。

「あ!!」

肩に鋭い痛みを感じて振り返ると、ナイフが刺さっていた。

防具のおかげで深く刺さってはいないけど、傷口からしびれが広がっていくのがわかる。
慌てて引き抜いて、床に落とした。

「バジリスクの毒を塗ったナイフです。
ふふふ、あまり動いたり、強い魔法をお使いになりませんように。毒が早く回りますよ。」

レドリシアは、ニヤニヤ笑いながら私に近づいてきた。

「アイスリー!!」

ファイ様が気づいて助けに来ようとするけど、サラマンダムがすぐに彼をはばむ。

「殿下、武器をお捨てください。
アイスリー様を助けたければ、魔法も使わず大人しくなさって。サラマンダムは、魔法を行使する気配を読む達人。念じただけでバレますわ。ふふふふ。」

レドリシアは、笑いながら私の首に剣をピタリとあてる。ファイ様は、剣を床に投げ捨ててサラマンダムに拘束されてしまった。

「ファイ!」

思わず呼ぶと、レドリシアが私を壁に向かって突き飛ばし、私の顔の横の壁に剣を突き刺してのぞんでくる。

「ファイ?呼び捨てなさってるの?
私ですら、呼び捨ては許されなかったのに。
まったく、“私のもの”に気安くなさらないで。」

「彼はあなたのものじゃない!!」

私が言い返すと、彼女は目を吊り上げて私のかみを引っ張った。

「痛い!」

「綺麗なかみ・・・これが『本当のアイスリー』のかみ。殿下が、かつて私のかみに触れながら見ていたのは、これだったんでしょうね。」

レドリシアは、私のかみから手を離して、壁に手をつく。

「レドリシア!いい加減にしろ!!」

ファイ様がサラマンダムに拘束されたまま、彼女の側に連れてこられる。

「殿下、あなたには、もう一度私を愛していただきます。」

レドリシアがあごをしゃくると、サラマンダムがファイ様の顔に何かの粉をさっと振りかける。

「!!」

最初の試練の時、ファイ様がサラマンダムに振りかけられていたものと同じ!!

あの後、しばらくしてファイ様はレドリシアと抱き合い、私をレドリシアと呼んで拒絶したんだった。

ファイ様は座り込んで、激しくむせている。

「ゴホッ!何をした!?」

彼がレドリシアをにらみつけると、レドリシアはうなじを震わせて笑い出した。

「うふふふ、強力な暗示のかかる薬ですよ。
あなたは、私を心から愛して逆らえなくなる。
アイスリー様に魔神の心臓を取らせたら、私とここを出ましょう。」

「・・・ふざける・・・な!!」

ファイ様は前に倒れるように意識を失う。
サラマンダムは、彼の拘束を解いて私の方に歩いてきた。

「そんな・・・ファイ、ファイ!!」

私もしびれが足元まできて、立っているのがやっとだった。それでもレドリシアをにらんで、声の限り叫ぶ。

「私も彼も、言いなりになんてならないわよ!」

「ふふふ、お可愛かわいいこと。言うとおりにしないと、あなたは毒が回ってここで死ぬことになる。私はそれでも構いませんわ。」

彼女は私の顔を片手で撫でてくるので、しびれながらその手を払う。

「魔神の心臓なんて・・・!
大体あなたの魔神は、服従してないじゃない!」

「ふん、ヴィノガン様に伺っているのです。
氷の民の中で、最初に火の試練を受けたアイシュペレサは、本当は魔神に屈したと。
その恥を知られぬように、魔神を倒して心臓を取り出したそうじゃないですか。」

・・・!?
なに、それ。
ヴィノガン様は彼女にそんなことを言ったの?
レドリシアは、涼しい顔で私を見る。

「嘘だわ!そんなこと!!」

「ふん、まあ、そう思いたければどうぞ。
アイスリー様、火の魔神は、服従させようがさせまいが氷の民なら倒せるのです。ご覧になって。」

レドリシアは、二体の魔神を指さす。
魔神はどちらも、攻撃するでも消えるでもなくただそこにいるだけ。

「どちらの魔神も、何もしてきません。
この状態なら氷の魔法をあて続ければ、いずれ倒れるでしょう。ましてや、この神獣の瞳を持つあなたの氷の魔法なら一撃かもしれません。」

彼女はそう言うと、指先で私のひたいを軽く突き上げる。腹立たしさに、魔力をこめようとするけど、心臓に痛みを感じてうまく発動できない。

レドリシアは、クスクス笑って指を離すと、私を嫌な笑顔で見つめた。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。





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