心配症で不幸体質だと思い込む姫様は、宿敵の呪縛に立ち向かい、隣国の王子に溺愛されるルートへと進みます!

たからかた

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後編

逆転の炎

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「さぁ、魔神は二体いますから、心臓は二つ取れます。」

レドリシアが言い終わると、サラマンダムが近づいてきて、私の肩を抱いて魔神たちの前に連れて行こうとする。

いや!!誰が協力なんてするものですか!!

「離して!離せ!!」

「プシュー、さあアイスローズ皇太子妃殿下、こちらへ。私があなたの力をこのエクスカリバーで引き出して、魔神に放ちますから。」

すごい力で、片手にエクスカリバーを握る彼に引きずられ始める。

私はもう痺れがひどくて歩けなくなったので、サラマンダムが剣を収めると、私をかかえて連れて行こうとした。

「う・・・。」

その時、ファイ様がムクリと起きて立ち上がった。すかさずレドリシアが、彼に抱きついて嬉しそうに甘え声を出す。

「殿下ぁ!私の殿下、お目覚めになったのですね?これで私は、大国の皇太子妃として、好き勝手できる。」

ファイ様は、彼女に抱きつかれてもピクリとも動かない。
嘘・・・こんな!今度は試練とは無関係の現実だ。私は思わず、サラマンダムを押しのけようとして、ぐったりと力が抜ける。

悔しい・・・バジリスクの毒を解毒さえできれば・・・。

必死に打開策を考えていると、サラマンダムがじっと見つめてくる。

!?なに、気持ち悪い!!

「プシュー、こんな時にもあきらめない強さを秘めたその瞳。このまま失うには勿体もったいない美しさです。あなたが欲しくなってきました。」

ゾワ!と、鳥肌が立つ。
ずっと聞いていたレドリシアが、呆れたようにサラマンダムを見た。

「はぁ?あなた、目がどうかしてるわ。
美しさは私が上よ?」

「プシュー、お前よりもはるかにこちらが美しい。報酬よりも、彼女を貰い受けたい。心臓を取ったら好きにしていいだろう?」

「フン!くだらない!
彼女が皇太子妃だからと、そんな気をつかわなくてよろしくてよ。私より美しくいい女なんて、この世にいないのだから、堂々と私を賛美なさい。」

「プシュー、あきれた女だ。美しいかどうかは見る側が決めることだ。お前が指示してどうする。」

「正直に言ったまでよ。さっさと魔神を倒して心臓を取り出して。その後彼女をどうしようと、ご勝手に。」

レドリシアは、ファイ様にしなだれかかったまま近づいてくる。

冗談じゃない、サラマンダムなんてお断り!
ファイ様をなんとか戻したいし、解毒げどくもしたい。

サラマンダムは、魔法を念じただけで気づくのよね。どうしたら・・・。
もう私にはこれしかない・・・!

私は震える手で、彼からもらった火の指輪の力を解放しようとした。

それに気づいたサラマンダムが、私を膝にかかえるようにくと、手をつかんでくる。

「プシュー、いけません。」

「あら、なーに?」

レドリシアものぞき込んでくる。
そして指輪に気づくと、嫉妬しっと眼差まなざしで私を見た。

「悔しいっ。殿下にもらった指輪ね!?
これは私が持つべきものですわ!!」

彼女はそう言うと、ファイ様から離れて私から指輪をもぎ取る。

「ダメ!!返して!!その指輪は、私がはめていないと危ないの!!」

あわてて手を伸ばすと、レドリシアは指輪を握った手を高く持ち上げて、鼻で笑った。

「はん!あなたのものなど、ここにはありませんことよ。この指輪も殿下も私のものですわ。
今見せてあげる。」

レドリシアはファイ様の元へ戻ると、彼の顔を自分に向けた。

・・・嫌な予感がする。
これは、試練の時と同じ状況!

「プシュー、レドリシア、くだらんことに時間を使うな!」

サラマンダムが、イライラしたように彼女を叱る。

レドリシアは眉間にしわを寄せて、サラマンダムをにらんだ。

「人のことが言える立場?
あんたも黙って見ていなさい!!
この女に誰のものに手を出したか、わからせてやるの。悔しがる顔を見ないと気が済まないわ!」

そう言うと、レドリシアは指輪をはめてファイ様の顔を引き寄せた。

いや、見たくない!!

思わず目を逸らそうとした時、レドリシアの苦しそうな声が響く。

「むぐっ・・・んー!!」

「・・・え?」

顔を上げてレドリシアを見ると、ファイ様の片手で口をふさがれた彼女が、目を見開いて驚いている。

ファイ様は微動だにせず、そのままレドリシアの指輪をした方の手首をつかまえると、自分から引き剥がして、こちらにスッと向けてきた。

めるなよ。もうお前と重ねる唇はない。私が唇を許すのは、愛するアイスリーだけだ。」

ファイ様の低く恫喝どうかつするような声が響く。

その場にいる全員が、その声に潜む殺気に戦慄せんりつを覚えて動けなくなった。

どういうこと?彼は暗示にかかっているんじゃないの?

まさか、あの試練の時とは違うの?

一縷いちるの望みをかけて、私は痺れた手を震わせながら彼に手を伸ばす。

「ファイ・・・あなた・・・操られてるんじゃ・・・?」

サラマンダムが私の動きにハッとすると、伸ばしかけた手を掴んで引き戻そうとした。

「いや!!」

顔を背けて叫ぶ私の声に、ファイ様はすぐ反応して、サラマンダムをすごみのある瞳で睨みつける。

「アイスリーに触わるな!!」

ファイ様の怒鳴り声と共に、レドリシアに奪われた火の指輪が、強力な火炎をブワッと吹き出す。

その炎は私の体をけて、咄嗟とっさにエクスカリバーを抜こうとしたサラマンダムを直撃した。

「うわぁぁぁぁ!!」

サラマンダムが吹き飛ばされ、私は床に放り出されそうになったけど、ファイ様が素早く抱き止めてくれる。

「殿下!?」
「ファイ?」

私とレドリシアに同時に呼ばれて、ファイ様はゆっくりと顔を上げる。

「ファイ!?・・・あなた・・・やっぱり正気なの?」

ファイ様はうなずいて笑顔でしゃがみこみ、私を膝に乗せるように抱えて、見慣れぬ薬草を口元にあててきた。

「アイスリー、口を開けて。入れたら、よく噛むんだ。」

私が痺れながらなんとか口を開けると、ファイ様が薬草を入れてくる。

私は残された力で、一生懸命に噛み締めた。
するとみるみる痺れが取れて、薬草を飲み込んだ時には、痺れを感じなくなっていた。

「嘘みたい・・・!痺れが抜けてる!」

私が彼を見上げると、ファイ様は嬉しそうな顔をした。

そして彼は私を抱えたまま、壁に叩きつけられて伸びているサラマンダムのそばに行き、私を一旦床に降ろす。

そして、サラマンダムを怖い目で睨んで、うつ伏せさせるとエクスカリバーを奪い取った。

「アイスリーの前でなければ、ズタズタにしているところだ。
二度と触れることも許さん。
これは、貰うからな。」

彼はそう言って、大剣エクスカリバーを背中に背負うように装備した。

同時に、ダイヤモンドダストの周りを取り囲んでいた竜巻も消えて、ダイヤモンドダストが嬉しそうに走り寄ってくる。

彼はその様子を見届けると、レドリシアに奪われた火の指輪を私の手に戻してくれた。

「で、殿下?これはどういうことですの?
あ、あなたは、強力な暗示にかかる薬をがされたはずですわ!」

レドリシアが、驚愕の眼差しで彼を見ている。
私も知りたい・・・一体どうして?

「アイスリーが、試練の中で起きたことを教えてくれていたから、奇跡の薬草レマニカルをあらかじめ口の中に含んでいた。」

ファイ様はさらりと説明して、私を立たせてくれた。

「じゃ、じゃあ最初からあなたは正気だったの?全部お芝居してたの?」

私は彼を見上げて確認する。
レドリシアに抱きつかれても無抵抗だから、すごくショックだったのに。

「ごめん、アイスリーは毒に侵されていて、下手に動けば命が危なくなる。
油断させるために、暗示にかかったフリをして、すきうかがってた。嫌な思いをさせたな。」

ファイ様は、レドリシアの目の前で私にキスをして、強く抱きしめてくる。
ファイ様・・・よかった・・・。
私も彼の背中に腕を回してこたえた。

「いやぁぁあ!殿下!
あなたは、私のものなのに!!」

レドリシアは、この状況に一人殺気だつと、地団駄を踏む。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。



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