心配症で不幸体質だと思い込む姫様は、宿敵の呪縛に立ち向かい、隣国の王子に溺愛されるルートへと進みます!

たからかた

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後編

レドリシアの処罰

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なんだろ?今の時期、特にやり取りはないはずなのに。

私がファイ様と一緒に、謁見えっけんの間に来てみると、国王の前で挨拶をしていた男性が、ファイ様を見るやいなえりに掴みかかってきた。

「レドリシアを返せ!」

物凄い剣幕でまくし立てる。レドリシア?まさか、この人が風の国の皇太子?

ファイ様は掴まれたえりを引こうとはせずに、冷静に向き合った。

「彼女は、この国で罪を犯したので、その裁きを受けます。終わり次第、貴国に引き渡す予定です。」

「いや、すぐにでも引き渡しを!!
彼女には、横領、賄賂、詐欺、とにかく金に関する嫌疑が山ほどある。」

すごいわ・・・レドリシア無双、という感じね。もう、小国の国家予算並みに、お金を持ってるんじゃないかしら。

ファイ様も、ため息をつきながら、声を落として応じている。

「わかりますが、落ち着いてください。」

「これが落ち着いていられるか!!
それに、あなたとヨリを戻されては困るのだ!!彼女は、私にとって最愛の・・・!」

風の国の皇太子が、チラッと私を見る。
レドリシアと間違えないでね・・・と思っていたら、にっこり笑ってひざまずき、私の手に挨拶のキスをした。

「初めまして。風の国の皇太子、エアーロー・ストーム・ウィンディと申します。もしや、アイスローズ皇太子妃殿下であられますか?」

「えぇ、初めまして。」

「はは、本当にレドリシアと髪の色が似てますね。よろしければ、この後お茶でも・・・。」

なんとなく、鼻の下を伸ばしてるように見えるわ。レドリシアが最愛の人ではなかったの?

「父上!レドリシアをさっさと引き渡しましょう。エアーロー皇太子、アイスリーにあまり近づかないでいただきたい。」

ファイ様は強い口調で言うと、私の腰を抱き寄せた。
わ!もう、心配しなくても大丈夫なのに。

でも、エアーロー皇太子は、目に星を浮かべて、私の手を離さない。

私がやんわりと手を引いていると、ダイヤモンドダストがやってきて、彼の手に猫パンチをくらわせた。それでも、離さない。

「いっ・・・!!いや、ははは。
でも、あなたは本当に綺麗で魅力的な人だ。レドリシアをやめて、こちらにするか・・・。、」

思ってることが口に出てるわ。
でも、あなたにこたえることはありませんから!

「遠慮いたします。どうか、レドリシアと末永くお幸せに。」

私がそう話していると、レドリシアが連行されてきた。
私の手を握っていたエアーロー皇太子も、彼女を見た途端、慌てて手を離す。

なに、この浮気現場を押さえられたような光景は。

最初はしおらしくうつむいていたレドリシアも、すごい目で私たちをにらんでいる。

あきれた。どいつもこいつも、彼女に群がって!!あれだけ私に愛を誓ったくせに、他の女に目がいくなんて!!」

レドリシアが、手枷てかせをはめられたままエアーロー皇太子に近づくと、彼の足をグニ!と踏みつけた。

「いた!・・・はは、レドリシア。」

「言い訳は聞きませんことよ。
この場ではっきりおっしゃって。
あなたの一番は誰?」

「それはもちろん、アイ・・・いや、レドリシア、君だよ。」

レドリシアの目が細くなって、さらに強く足を踏みつける。・・・痛そう。

王様と王妃様がその光景に含み笑いをしながら、そばに立つバドリック・モエン公爵を見た。

あ、レドリシアのお父様だ。
病気療養中と聞いていたけど、もうよろしいのかしら。

「今回のレドリシアの処分は、魔力剥奪と、国外追放、身柄を風の国に引き渡すことです。」

と、彼は言った。
レドリシアは、流し目で彼を見る。

「お父様、あれだけ尽くした実の娘を、そんな扱いなさるの?真面目で法律に詳しいだけのあなたが今の座にいるのは、私がファイバーン皇太子殿下の恋人だったからですわよ?」

場の空気が一瞬、凍りつく。
ファイ様も、複雑な表情をして彼を見た。

モエン公爵は、怯みもせずににっこり笑う。

「あぁ、感謝している。そのおかげで、お前はこの国でやりたい放題、親に尽くしたというよりは、その方がお前にとって都合がよかったからだな。」

彼は目を細めて、レドリシアを見た。
こうしていると、顔がよく似ているわ。

「で?この恩人である娘に、国外追放ですって?私は、ファイバーン皇太子殿下の側室の方がよくてよ。」

・・・どこまで強気なの?この人。
王太后様のような堂々とした、というより、単に往生際が悪いだけよね。

モエン公爵は、ため息をついた。

「お前は、勝手にヴィノガン様の養女になった。彼女は王族の身分を剥奪され、彼女の一族皆平民に降格された。つまり、お前もまた平民なのだ、レドリシア。」

「私が!?」

「そうだ、そしてまたファイバーン皇太子殿下にも、お前に未練はないと言われたそうだな。
安心して、風の国へ行って裁きを受けよ。」

レドリシアは、急に周りを見てオロオロしだした。でも、その目がファイリアお義姉様ねえさまを見た時に、ニヤッと笑ってファイ様を見る。

「このままでいいのかしら?殿下。
私を助けなければ、ファイリア様の秘密をバラしますわよ?」

勝ち誇ったような顔。彼女は火の試練の時、ファイ様の影武者をファイリアお義姉様がやったことに気づいたんだ。

私は咄嗟とっさに彼女の口を凍らせようとしたんだけど、ファイ様が私の手を握って『大丈夫』と、目線で訴えてくる。

え?でも・・・。

ファイ様はすました顔で、レドリシアに淡々と話した。

「何の話だ?ファイリアお姉様に秘密なんかないぞ?」

レドリシアも負けない。

「まぁ、とぼけちゃって。ファイリア様の性別のこと、言ってもよろしくて?」

周囲の家臣たちも、ざわざわと騒ぎ始めた。
国王夫妻も、呆れたように彼女を見ている。

当のファイリアお義姉様は、スタスタとレドリシアの前に来て、じっと彼女を見た。

「私が・・・な・・・に?」

レドリシアは、魔法を使って空中に火球を作り出すと、さっとファイリアお義姉様の胸元を焼いた。ドレスが焦げて、彼女は開きそうになった胸元を慌てて押さえている。

「きゃ!」

「レドリシア!気でも狂ったのか!?」

プロメテクスお義兄様と、アポロニお義兄様が、慌てて駆け寄ってきた。

「ふん!白々しい。殿下、さぁ、どうなさいます?」

レドリシアが高飛車にファイ様を流し目で見つめる中、王様がガバッと立ち上がった。

「我が娘に働いた狼藉ろうぜきは決して許さぬ。
レドリシア、覚悟はできているな?」

「覚悟も何も・・・。」

「男性陣は皆後ろを向け!女性陣のみ注目せよ。彼女たちが証人になる。」

王様の声で、男性は全て後ろを向き、女性官僚や侍女たちは、そのまま注目している。

ファイ様も後ろを向いて、私に向かって片目を閉じた。

レドリシアはこの展開に驚いて、ファイリアお義姉様ねえさまを上から下まで眺めている。

ファイリアお義姉様ねえさまは、私たちに向かってゆっくり胸元を開いてみせた。

「あ!!」
「えぇ!?」

あの試練の時、皆の前で開いた胸元と違う!
コルセットの奥に見えるその膨らみは、確かに女性のもの。

「納得・・・して・・・いただけた・・・かしら?レドリシア。」

「そ、そ、そんな、馬鹿な。あ、あなたは本当にファイリア様・・・?」

そこへ、ズカズカと大股でバーニスお義姉様ねえさまがやってきて、ファイリアお義姉様ねえさまにさっとマントを羽織らせると、レドリシアを睨んだ。

「もう、いいでしょ!?いつまでもさらさせないで!」

そう言って、ファイリアお義姉様ねえさまの肩を抱くと、一緒に部屋を退室していく。

王妃様が彼女たちを見送ってから、後ろを向いていた王様に声をかけた。

王様は改めて声をかけ、全員が前を向く。

一人ガタガタと震えるレドリシアは、下唇を噛んで、服を握りしめていた。

私も驚いたわ。ファイリアお義姉様の影武者かもしれないけど、ファイ様以外の人は正直わからない。

王様は、冷たい声で命令をした。

「レドリシアの国外追放は、永久とする。
大神官、すぐに魔力剥奪まりょくはくだつほどこせ。
なお、国内にあるレドリシアの資産は全て国が没収し、その身一つで出ていってもらう。」

その言葉に、レドリシアは今までにないほど叫び声をあげた。

「いや!いやいやいや!!
私のお金よ!私だけの財産!!それを奪うですって!?何のために男たちをたらしこんできたか、わからないじゃない!!」

謁見の間で、レドリシアは床に伏せって泣き出した。
そして、顔を上げて私を睨むと、また叫び出した。

「あなたのせいですわ!!
あなたが滅茶苦茶にしてしまったの!」

え、私?
私はキョトンとして、彼女を見た。
ファイ様が前に出て、彼女を叱ろうとしたので、私は慌てて止めた。

ちゃんと対応するから、という気持ちを込めて彼を見ると、心配そうに口を閉じた。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。


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