(R18) Lisztomania ~ アル中の女軍人が男とセックスしまくる純愛物語

Purified Water

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八甲田 (3)

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「弥生少尉。『八甲田』のエンジンを『昇龍』か『緑眼』のものに積み替えて。今すぐ」
「なななななななな、何言ってんですか! 『八甲田』はもっとも一般的な量産型ですようううっっっっ! 『昇龍』や『緑眼』は、個人パイロット専用の特殊KIWAです! 無理にきまってますぅぅぅっっ!」
「弥生少尉は、不可能を可能にしてくれると思ってた」
ミロは、弥生をまっすぐに見つめる。弥生は、ミロの目に射すくめられた。このひとの視線に耐えられる人はいないな、と弥生はふと思う。
「………『八甲田』の左右エンジンは『昇龍』と同じサイズです……ハイ…」
「じゃあ、できる?」
ミロは、唇を舐めると目を細め、ジョーカーのような笑いを口元に浮かべて弥生を見る。
「……『緑眼』の左右サブエンジンは、大きさはほぼ同じですけど、形状と接続がすごく違うので『八甲田』に短時間で組み込むのは難しいんです……でも、『昇龍』のやつなら……」
「今すぐできるなら『昇龍』のエンジンで十分だ。あと30分で、できる? 弥生少尉?」
「……やります」

ミロが『八甲田』に乗り込もうとすると、高木少佐がミロを声高に呼び止め、いきなり右腕をつかんで恫喝した。
「KIWAに乗務する際には、必ずPPE装着だ! 貴様、将校のくせにそんなことも知らんのか!」
ミロは、高木が腕を離すまで抵抗せず、なすがままにした。敬礼して言う。
「高木少佐、申し訳ありませんでした!」
ミロはカチリという大きな音を立ててブーツの踵を合わせ高木少佐に最敬礼を送った。
ミロは、特殊KIWAパイロットである上に、忍や伊集院四谷師団長からの特別待遇もありPPEを装着しないでKIWAに乗務していた。ミロはPPEが自分の肌感覚を遮断するのをひどく嫌っている。大倉研究所がそれを裏付けてくれた。その上、PPEがあってもなくても、KIWAを破壊されれば死ぬだけだ…とミロは思っている。つまり、ミロの特殊KIWAパイロットという立場故に、そのわがままを聞き入れてもらえていたのだ。これが許されているのは、ほぼミロだけだと言ってもよく、本来は重大な軍規違反だった。
ミロはPPEを装着して八甲田への搭乗を待つ何十人ものパイロットたちの列に並んだ。八甲田のパイロットは、ほとんどが下士官で、黄色いマフラーを首に巻いている。
八甲田搭乗口を見下ろす特殊KIWAのデッキは、はるか頭上にある。そこから矢崎、兵頭、呂、阿川ら四特のパイロットたちが悔し気にこの光景を見つめていた。ミロはそれに気づくと薄い笑みを浮かべ彼らにウィンクして、右手を軽くあげ敬礼する。四人は最敬礼でそれに応えた。
黄色いマフラーの着用は、八甲田のパイロットの制服の一部であり義務づけられている。この黄色いマフラーを「ださい」と言って嫌がるパイロットがほとんどだった。ミロは敢えてもっとも長いマフラーを選び、二重にして首にかけ何度かねじってゆるく結わえる。そのミロの着こなしは、他の八甲田搭乗員たちの注目を浴びた。特に女性パイロットは、その場ですぐにミロのマフラーの巻き方を真似始めていた。
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