アスファルト

Kabochan

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恐怖

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教室に走って帰ると静太たちが集まって話している。


俺抜きで。それなら俺の悪口かもしれない。


違うとして隠し事をされるのはいい気分じゃない。今度こそ秘密を暴いてやる。


俺は口に人差し指をあててそろりそろりと歩いた。


「逢坂!」


クラスメートの甲中が呼ぶ。


「何だよ。せっかく……。」


「せっかくってなんだよ。まぁ、頼むぞ。委員長。」


「は?」


「先生が勝手に決めといてって言うから、みんなに聞
 いたら逢坂がいいって。みんな。」


「は?俺やりたくねーし。」


「決まったものは仕方ありません。」


そう言うと周りが一斉にやりたかったのになぁ、と呟く。


「それならやれよ。」


甲中がもう一回言う。


「決まったものは仕方ないって。」


「面倒臭いからって。」


でも甲中は前期委員長で、あの時は俺も笑ってた。けど。あーあ。くそ。


先生が教室に帰ってきた。


「せんせーい、委員長にならされましたー。」


先生はふふっと笑うだけ。毎回のことだからか。


委員会議に出なければいけない。放課後に。毎日2時間弱。


ため息をつきながら、席につく。


いつもと同じように授業を受けて、休み時間は友達と遊ぶ。煌梨のことは話に出なかった。


あれから3人は何かを隠してるみたいで、ずっと笑ってたけどなんか作っている笑顔だった。前からこんなだったっけ。


俺は悲しくなった。


その日はまだ会議はなかった。今日は一人で帰るって言ったら心無しか嬉しそうに見えた。


悲しくなった。とっても。


俺はずっと親友って思ってきたけどみんなそんなこと思ってないかも知れないんだ。


思ったことないかもしれないんだ。


あれも全部嘘だったんだ。あの時の笑顔も。全部。


1年の時から仲良しで、ずっと仲良くて親友。虫のいい話だ。世の中は甘くないんだ……。


悲しくなんかない。つらくなんかない。


でもでも涙が止まらない。あったかい涙が頬を流れて俺の顔はびしょ濡れだよ。留めなく涙あふれてやっぱ悲しかった。


心が空っぽになった気がした。


でも、でも、まだ信じられない。信じたくない。


あ、あいつのせいだ。そうだきっと。なんか変なこと吹き込んで。俺たちの間に溝を作った。


そうだ。虫の良い話はほんとなんだ。俺はそう信じたい。


あいつめ、たしか木津といったな。俺たちの仲を壊しやがって。


「くそ!」


そう言ったら少し落ち着いた。


ガサガサ……ガサガサ 


なんだ?後ろを振り向くと茂みに隠れて煌梨がいた。なんだ。全く。どいつもこいつも。


歩くとついてくる。振り向くとビクッ、として茂みに隠れる。普通に歩いてりゃまだいいのに。


まぁ、俺は煌梨の家が反対方面ってことを知ってるわけだけど……。


振り返ったら隠れる。振り返ったら隠れる。


俺はそれに飽きたのでビル街の方に連れて行く。煌梨は、のこのこついてくる。


こいつは俺の家を忘れたのか。ため息交じりに、でもまぁ作戦成功ってことでいいか、とどんどん歩く。


そして、ビルビルビル3方がビルで隠れる所のない場所にきた。


そして振り向くと、煌梨はハッ、とした顔をして銀ピカの壁に張り付く。


全く何をやっているのか。煌梨は背が低いからその姿は小学生にしか見えない。


「ははは」


きらりは張り付いたままビクビクし覚悟したように目をつぶった。


殺されるとでも思っているんだか。全く。


「煌梨。」


俺が優しい声でそう言った。


壁から手が離れきらりが倒れていく。


何やってんだ。俺は笑う。


ごっつーーーん!!!!!


その大きな音に俺は振り向く。


ハッ、俺は息を呑んだ。


それは煌梨がアスファルトに頭をぶつけた音だった。


血が出ている。あれ?意識が無い。救急車。携帯電話。あった。ピッ、ピッ、ピッ。


それから10分ぐらいして救急車が到着した。


煌梨を救急車に乗せる。


俺はなんにも考えられなかった。


俺のせいで。煌梨は。俺はなんてことを。ふざけなきゃよかった。なんで。ハッピーエンドだろ。普通。


ー死。そんな言葉が頭をよぎる。死ぬはずない。煌梨が。だって。そんなじゃないし。


でも。


アスファルト。コンクリートのかけらで殴ったら人は死ぬ。先日の事件。工事現場で1m弱の穴に小学生が頭から落ち死亡。


それとこれとは違う。でも……。もしかしたら。


そのもしかしたらが起きてしまったら何%かの内の何%かが起きてしまったら、どうする?どうしよう。


俺は…俺は…、俺がこの世に生まれなきゃ、煌梨は……煌梨は……。


そんなこと考えたくない。でも、そうなってしまったら…。


ピーポーピーポー夕暮れ時にサイレンがなる。


みんなどうとも思わないのだろう。ましてやうるさいと思うだろう。人が死ぬかもしれないのに。前までの自分みたいに。

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