77 / 143
家族でUSパーク!
家族でUSパーク!②
しおりを挟む
急な坂を下りていくと、ゴーカートの前には小さな子供達の列が出来ていた。
ほかのアトラクションに比べると、ここは比較的空いているようだ。
パークのキャストがいる入り口に、双子と汐宮先生がいた。
そして、なぜか汐宮先生のお兄さん一家も。
「あの……こんにちは」
「叶恋ちゃん! 偶然ね。
永真がこんなところにいるからびっくりしちゃったわ」
「今日は弟達をここに連れてきてくださったんです」
「叶恋ちゃんの弟君たち、一卵性双生児だったんだね。いやーこれは全く見分けがつかないな」
お兄さんがそう言うのも無理はない。
実は見分けがつきやすいようにと色違いのTシャツを着せたのだが、パークに着くなり、汐宮先生が恐竜のTシャツをお揃いで買ってくれたのだ。
しかも家族全員分と汐宮先生の合わせて6枚。
つまり、現在ここにいる4人と、パーク内を散策している両親ともに同じTシャツを着ている。
もちろん全員のテンションが爆上がりして嬉しかったのだか、こうして知り合いに会ってしまうと妙に恥ずかしい。
そして、お兄さんが言うように、きっと汐宮先生も双子の見分けがつかなくなっているはずだ。
「こっちが司馬。こっちが生馬だ」
「え? 見分け、つくんですか?」
「お父さんに聞いたんだ。それに、多分ほくろがなくてももうわかる」
汐宮先生が自信ありげに答えた。
大正解だ。すごい、いつの間に……。
「へぇーすごいな! コツがあるのか?」
「パパ~、いっしんもゴーカートいく!」
「あ、そうだったな……」
ここでお兄さん一家に会ったのにはわけがあった。
このゴーカートは小学生以下しか乗ることができない。
カートは小さめなので、幼稚園児でも乗ることは可能なのだが、キャストのいるところから乗り口までは、親から離れて並ばないといけないという決まりがあるのだ。
一真くんはまだ4歳。
親から離れて列を並ばせることに、お兄さん夫妻は不安を感じていたらしい。
そのためキャストに相談していたそうなのだか……。
「じゃあ、うちの双子と一緒に行かせましょう。
司馬、生馬、この子は汐宮一真くんよ。
えいしん先生のお兄さんの息子さんなの。
一緒に並んであげて?」
「わかった! 一真、いくぞ」
「一真、手をつなぐか?」
「うん!」
生馬に手をつながれて、一真くんは子供たちだけが並んでいる列の最後尾にようやく並ぶことができた。
「叶恋ちゃん、ありがとう。助かったよ」
「いえいえ、ここでお会いできてよかったです。
でも4歳児に10分以上一人で並ばせるのは心配ですよね」
特に一人っ子だと、親はかなり心配だろう。
うちみたいに二人で並ばせることができたら少しは安心だろうけど。
しかし子供たちがいなくなってしまうと、柵の外に残されたのはお兄さん夫妻と私たち。
汐宮先生と京香さんの話を聞いてしまっただけに、かなり気まずい。
子供たちを柵の外から見ていないといけないので、どこかへ行くわけにもいかないし。
ほかのアトラクションに比べると、ここは比較的空いているようだ。
パークのキャストがいる入り口に、双子と汐宮先生がいた。
そして、なぜか汐宮先生のお兄さん一家も。
「あの……こんにちは」
「叶恋ちゃん! 偶然ね。
永真がこんなところにいるからびっくりしちゃったわ」
「今日は弟達をここに連れてきてくださったんです」
「叶恋ちゃんの弟君たち、一卵性双生児だったんだね。いやーこれは全く見分けがつかないな」
お兄さんがそう言うのも無理はない。
実は見分けがつきやすいようにと色違いのTシャツを着せたのだが、パークに着くなり、汐宮先生が恐竜のTシャツをお揃いで買ってくれたのだ。
しかも家族全員分と汐宮先生の合わせて6枚。
つまり、現在ここにいる4人と、パーク内を散策している両親ともに同じTシャツを着ている。
もちろん全員のテンションが爆上がりして嬉しかったのだか、こうして知り合いに会ってしまうと妙に恥ずかしい。
そして、お兄さんが言うように、きっと汐宮先生も双子の見分けがつかなくなっているはずだ。
「こっちが司馬。こっちが生馬だ」
「え? 見分け、つくんですか?」
「お父さんに聞いたんだ。それに、多分ほくろがなくてももうわかる」
汐宮先生が自信ありげに答えた。
大正解だ。すごい、いつの間に……。
「へぇーすごいな! コツがあるのか?」
「パパ~、いっしんもゴーカートいく!」
「あ、そうだったな……」
ここでお兄さん一家に会ったのにはわけがあった。
このゴーカートは小学生以下しか乗ることができない。
カートは小さめなので、幼稚園児でも乗ることは可能なのだが、キャストのいるところから乗り口までは、親から離れて並ばないといけないという決まりがあるのだ。
一真くんはまだ4歳。
親から離れて列を並ばせることに、お兄さん夫妻は不安を感じていたらしい。
そのためキャストに相談していたそうなのだか……。
「じゃあ、うちの双子と一緒に行かせましょう。
司馬、生馬、この子は汐宮一真くんよ。
えいしん先生のお兄さんの息子さんなの。
一緒に並んであげて?」
「わかった! 一真、いくぞ」
「一真、手をつなぐか?」
「うん!」
生馬に手をつながれて、一真くんは子供たちだけが並んでいる列の最後尾にようやく並ぶことができた。
「叶恋ちゃん、ありがとう。助かったよ」
「いえいえ、ここでお会いできてよかったです。
でも4歳児に10分以上一人で並ばせるのは心配ですよね」
特に一人っ子だと、親はかなり心配だろう。
うちみたいに二人で並ばせることができたら少しは安心だろうけど。
しかし子供たちがいなくなってしまうと、柵の外に残されたのはお兄さん夫妻と私たち。
汐宮先生と京香さんの話を聞いてしまっただけに、かなり気まずい。
子供たちを柵の外から見ていないといけないので、どこかへ行くわけにもいかないし。
56
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる