塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける

吉岡ミホ

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パネルディスカッションの後

パネルディスカッションの後④

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「一生介護に追われるのかと思ったけど、社会復帰できたんだろう? 
叶恋が家から離れてこんなところにまで来てるくらいだし。
俺もさすがに結婚前から相手の親の介護かと思ったら萎えたけど、叶恋が自由になったんなら何も問題はない。
俺たち、やり直そう」

「お断りします」

 そんなの、即答だ。
 やり直す気なんて1ミリもない。
 
「は? 何言ってるんだよ。
お前俺のこと初恋だって言ってたじゃないか。
まだ好きだろう? 
あの日だって、ちゃんとホテルを取ってたんだぞ。
叶恋にとって初めての夜だと思ったから、思い出に残るようにって考えてやってたんだ。
なのに理沙が勝手に俺のスマホを見て待ち合わせ場所についてきたから、叶恋とは行けなかったけどな。
ああ、あの妊娠してるかもってのは、あいつの虚言だ。
それは気にしなくていい」

「そんなの気にしてません。
私のことは気にせず、どうぞ理沙ちゃんとお幸せに。
これ以上話すことはないから」

 私が会議センターに戻ろうとすると、両手を肩にかけ、真正面を向かされた。
 
「いや、聞けって。
実は副社長も俺のことを気に入ってしまったんだよな。
だから申し訳ないが理沙との結婚は避けられない。
でも俺がイシハラを継ぐことになったら、叶恋にはいい思いをさせてやれる。
本妻に出来ないが、俺が叶恋を捨てることはない。
だから俺たちやり直そう?」

 意味のわからない自慢をされて、本妻にはできないけどやり直そうといわれても、何様だ? と思うだけ。
 もう近づかれるだけでも気持ち悪い。
 
「叶恋、今でもずっと好きだ」

 そう言うと、頭を下げて顔を私の顔に近づけてきた。このままじゃキスされるっ、冗談じゃない!
 
「離してっ」

「――叶恋から離れろ!」

「永真先生……」

 インフォメーションから離れてしまっていたのに、永真先生は私を見つけてくれた。

 陽介の手を払い、グイっと腕を掴まれ、永真先生の後ろへ庇われる。

「な、なんですか。俺たち、今大事な話を」

「叶恋は嫌がっているように見えたが?」

「……叶恋の医局の先生ですか? 
俺は叶恋の恋人です。
もうそろそろ学会も終わる時間ですよね? 
だったら業務時間外です。
話をしてもいいんじゃないですか?」

「君が叶恋の元カレか? 
君たちは三か月前に別れているはずだ。
たしか君の浮気でな」

「な、なにを……」

「君と別れた後、叶恋は俺と付き合っている」

「はぁ? おい叶恋! どういうことだ?」

「叶恋が誰と付き合おうと、誰に抱かれようと、今の君には関係ないはずだが」

「抱か……っ、おいっ! 俺を裏切ったのか!?」

「キャッ……」
 
 猛烈に怒りだした陽介が、永真先生の後ろにいるわたしに掴みかかろうとする。
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