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カミングアウトの時
カミングアウトの時③
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「かれ……」
「寝室も、見ていいですか?」
「え、あ、ああ……もちろんだ! これからは叶恋の寝室にもなるんだからわざわざ聞かなくていい」
よし。叶恋から言ってくれるなんてラッキーだな。
寝室に入り、叶恋がクローゼットを開けようとして、俺を振り返った。
「……見ちゃったらまずいものはないんですね?」
「……」
何かあったか? いや、ないはずだ。多分……。
「ここを開けたら推しのグッズを集めた祭壇があるとか」
「ないっ! あるわけないだろう! 第一その推しは――」
叶恋なんだから。……そう言いかけて思いとどまった。
危ないところだった。
「推しは……誰なんですか? 気になります」
「いや……その……」
開けかけたクローゼットから手を離し、叶恋が俺の元へやってくる。
「……私、少しはその人に似てますか?」
「へ?」
「だって……妬けますよ。最初は相手が芸能人なら別世界の人だし、気にならないと思ってたんです。
でも、永真さんにとって、その推しさんは特別なんだと思うとやっぱり複雑で……。
ずっと彼女がいないって言ってたその間も、永真さんの心の中にはその推しさんが居たんですよね。
そう思うと、どんな人か知りたくて」
叶恋が妬く?
俺が推しているという相手に?
まさかそんな風に思っていたとは。
少し口を尖らせて、目線をそらしながらボソボソと話す叶恋が可愛すぎる。
「ハァ……まいったな」
「え……あ、ごめんなさい。無理に問い詰めるつもりは」
「いや、そういう意味じゃなくて。
これを言うのはさすがに恥ずかしくて、一生言うつもりはなかったのだが」
「ご、ごめんなさいっ」
「違う。その…………叶恋なんだ」
「ん? 私? ……ってどういうこと?」
いきなり自分の名前を言われて、頭にハテナがたくさんついている叶恋に、俺は観念して打ち明けることにした。
◇ ◇ ◇
「寝室も、見ていいですか?」
「え、あ、ああ……もちろんだ! これからは叶恋の寝室にもなるんだからわざわざ聞かなくていい」
よし。叶恋から言ってくれるなんてラッキーだな。
寝室に入り、叶恋がクローゼットを開けようとして、俺を振り返った。
「……見ちゃったらまずいものはないんですね?」
「……」
何かあったか? いや、ないはずだ。多分……。
「ここを開けたら推しのグッズを集めた祭壇があるとか」
「ないっ! あるわけないだろう! 第一その推しは――」
叶恋なんだから。……そう言いかけて思いとどまった。
危ないところだった。
「推しは……誰なんですか? 気になります」
「いや……その……」
開けかけたクローゼットから手を離し、叶恋が俺の元へやってくる。
「……私、少しはその人に似てますか?」
「へ?」
「だって……妬けますよ。最初は相手が芸能人なら別世界の人だし、気にならないと思ってたんです。
でも、永真さんにとって、その推しさんは特別なんだと思うとやっぱり複雑で……。
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そう思うと、どんな人か知りたくて」
叶恋が妬く?
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少し口を尖らせて、目線をそらしながらボソボソと話す叶恋が可愛すぎる。
「ハァ……まいったな」
「え……あ、ごめんなさい。無理に問い詰めるつもりは」
「いや、そういう意味じゃなくて。
これを言うのはさすがに恥ずかしくて、一生言うつもりはなかったのだが」
「ご、ごめんなさいっ」
「違う。その…………叶恋なんだ」
「ん? 私? ……ってどういうこと?」
いきなり自分の名前を言われて、頭にハテナがたくさんついている叶恋に、俺は観念して打ち明けることにした。
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