便利すぎるチュートリアルスキルで異世界ぽよんぽよん生活

御峰。

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 青い空と白色の土が果てしなく続く。
 空の上から見たこの景色はとても幻想的に見えるけど、荒野は住むには向いてない土地だ。
 そんな大荒野で生きてきたリーナちゃんも初めての光景らしくて、エレナちゃんと眺めている。
「ワタル様。部落らしき場所が見えてきました!」
「リーナちゃん。向こうがマグナ部族の部落かな?」
「そうだよ!」
 どうやら大荒野に住む部族達は、住処を定期的に変えてるらしくて、大移動と呼んでいるみたい。
 ただとある部族だけは動くことなく一か所を占領し続けているが、それはまた。
「船長! 部落の近くで滞空してください」
「かしこまりました」
 近付くにつれ、部落から何人かの人が出てきてこちらを警戒し始めた。
 中には魔法使いもいるだろうからあまり近付くのは得策ではない。
「よし。エレナちゃん。僕はリーナちゃんと先に行くね」
「え! 私も行く!」
「それはダメだ」
「どうして!」
 僕の腕を掴むエレナちゃんはとても悲しそうな表情をした。
「まだマグナ部族と話せるかわからない。そんな危険な場所にエレナちゃんを連れていくわけにはいかないんだ」
「でも! ワタルだって危ないじゃん!」
「僕はアルトくんと一緒に逃げられるから」
「なら私も一緒で――――」
「ダメだ!」
 僕はエリアナさんからエレナちゃんの安全を約束して、こうして一緒に旅に出ている。
 まだ安全が確保できない場所に彼女を連れていくのは絶対にダメだ。
「大丈夫。すぐに安全が確認できたら連絡するから」
「うん……わかった……」
 諦めたように僕の腕を離してくれる。
「リーナちゃん。これから飛び降りるけど、スライム達が守ってくれるから安心してね」
「わかった!」
 リーナちゃんをお姫様抱っこし、背中にはコテツが張り付く。
「では、行ってきます!」
 さっきはスライム達によって落とされたけど、今回は自分の意志でユートピア号から飛び降りる。
 高いとこは得意ではないけど、フウちゃん達が一緒なら心配ない。
 リーナちゃんは怖いみたいで僕の胸に顔を埋めていた。
 僕の体をスライム達が包んでくれて、さっきと変わらず無事着地できた。
 ぼよ~んと気持ちいい音が響く。
 部落からは少し離れた場所だが、アルトくんが走ってくれればあっという間に着くだろう。
 そんな中、リーナちゃんも乗っていた走る大きな鳥に乗ったマグナ部族と思われる男達がこちらにやってくる。
 戦う意志はないのでその場で待つことに。
 約二十名の人が僕の前に立つ。
「リーナです!」
 すぐにリーナちゃんが声を上げると、彼らの中に少しどよめきが起きた。
「バギロス部族に追われていたのを、こちらのワタルくんに助けてもらいました!」
 すぐに一人の男性が近付いてくる。
「間違いなくリーナだな」
「ヘンブおじさん!」
「そちらの少年は……魔物を従えてるのか? しかもいくつもの魔物を……」
「うん! みんなとても良い子だよ!」
 リーナちゃんは安心させるようにスライム達を優しく抱きしめた。
「わかった。リーナがそこまで言うなら心配ないだろう」
 後ろに何か合図を送ると、こちらに武器を構えていた人達が武器を下ろした。
「初めまして。俺はマグナ部族の護衛隊隊長をしているヘンブという」
「僕はワタルです。こちらのスライムや白狐は仲間ですので心配しないでください」
「わかった。では中に案内する。申し訳ないが勝手に動かないように頼む」
「もちろんです」
 僕達はヘンブさんに案内を受けて、マグナ部族の部落に入った。
 部落は大きなテントを建物の代わりにしているようだ。
 大移動と呼ぶくらい住処を移動するんだから当たり前か。
 前世でいうなら遊牧民が一番ピッタリな言葉のように思う――――が、部落のどこを見渡しても家畜の姿は見当たらない。
 僕達が珍しいようで大通りと思われる道の脇には多くの人達が並んでこちらを見ていた。
 衣装もローブ状の伝統的なものになっている。大荒野は寒暖の差が激しいみたいなので、それに適した衣装のようだ。
 テントの大きさはわりとどこも似た感じで、一番奥に少しだけ周りと雰囲気が違うテントに向かった。
「族長。ヘンブです。客人を連れてきました」
 テントの中から「入れ」と威厳がある声が聞こえた。
 その声にリーナちゃんが少し強張った表情を浮かべる。
 中に入ると、綺麗な絨毯が敷かれていて、手前で靴を脱いで入る。
 そこには一人の中年男性が椅子に座ったまま頬杖をついてこちらを見つめていた。
「お、お父様。リーナです」
「…………」
「ご、ごめんなさい……」
「そちらの少年は?」
「バギロス部族に追われていたのを助けてくれたんです」
「ふむ……」
 何だか……想像していた通りというか、やっぱりあの頃のベンジャミンさんそっくりだ。
「わかった。少年。娘を助けてくれたことに褒美を出す。ヘンブ――――」
「待ってください」
「……なんだ」
「もし褒美をくださるなら物品ではなく――――権利をください」
「権利……だと?」
「はい。マグナ部族の部落の中で自由に商売をさせてください」
 族長の目が鋭いものに変わる。
「それが目当てで我が娘を助けたのか」
「お父様!」
「お前は黙ってなさい」
 威圧的な目力にリーナちゃんは体を震わせた。
「誤解があるようですが、僕はマグナ部族と関わりを持ちたくて助けたんじゃありません。それに僕はあくまでボロモロシア大荒野に住む全ての部族と関りたいと考えてます」
「……ならば、尚更それはならん」
「尚更……? どうしてですか?」
「……外の客人ということはボロモロシア大荒野についてはまだわからないだろう。この地に住む全ての部族は、お互いに干渉せず、お互いに生きていくのが掟だ」
 やはり……ここでも“掟”か……。
「その掟は尊重します。ですが僕はボロモロシア大荒野に住む部族ではありません。なら問題ないのではないですか?」
「その通りだが、問題は客人が他の部族とも関わりを持つことだ。部族と部族の橋渡しになれば、それはお互いの部族が関わったことに他ならない」
「なら、これからマグナ部族とだけ取引をしたいというならどうですか?」
「…………」
 眉間にしわを寄せて目をつぶった。
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