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慈光宗
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払暁前に、逸撰隊は進発した。
金山御坊の東を走る間道である。二十三名の逸撰隊を七名づつの組に分け、それぞれの指揮を甚蔵・河井・矢倉に任せて、全体を勝がまとめる事にした。勝は紅子を推したが、こうした組織的な戦闘の場合は勝が良いと、紅子は固辞したのだ。その代わりに、紅子は遊撃となった。
勝は迷ったが、後押ししたのは甚蔵だった。
「こいつは一人で自由にさせた方がいい。元々誰かと組むような奴じゃねぇんだ」
癪に障るが、それが紅子の性格を表しているし、それで勝は納得した。
先鋒は加瀬組、中軍を河井組、殿を矢倉組にし、勝は河井組に入った。紅子は先鋒である。
険しい傾斜の山道だ。勾配も激しい。気を付けなければ、滑り落ちるし、木の根に足を取られる。朝露に着物を濡らしていると、遠くで法螺貝が鳴った。そして、鯨波。戦が始まったのだ。
紅子と甚蔵は顔を見合わせて、進む足を強めた。
間道の道筋は、既に頭に入っている。それでも方向感覚が狂いそうになった。こんな時に、伊平次がいたらよかったのだが、今は江戸で甲賀と共に働いている。
敵。三名。間道を横切っている。甚蔵が「殺れ」と命じると、隊士が駆けよって、手際よく始末した。
「敵は減らせる時に減らす」
甚蔵がそう言った。
しばらく道なりに進んだ。木々の間から、館林藩兵が攻め立てているのが見える。今は城下町と言うべき金山御坊の町になだれ込んできているようだ。ただ慈光宗も負けてはおらず、鉄砲で撃ちかけている。
「何者」
不意を突かれるように、敵兵に捕捉された。
間道を見下ろす斜面の上。風体の良くない浪人の小集団がいた。
「敵襲」
甚蔵が叫んだ。すぐさま抜刀する。紅子は飛砕を二本の短棒のまま、両手に構えた。隘路である。杖にするには狭すぎた。
「来るよ。皆殺しにしな」
斜面を滑り落ち、または飛んでくる敵に、紅子が一番に躍り込んだ。
二本の短棒が唸る。敵の腹を突き、前のめりになった後頭部に振り下ろす。それで浪人は血反吐を吐いて斃れていく。隊の横槍を突かれた格好だが、実戦経験が豊かな隊士たちは冷静に対処している。四半刻も経たず、敵を掃討した。
死傷者はいない。その報告を、紅子は勝と共に受けた。
突然、爆発音が聞こえた。二発、三発。紅子は末永に命じて、木に登らせて麓の様子を確かめさせた。
「姐さん、一大事ですぜ」
「どうした?」
「慈光宗の奴ら、大筒をぶっ放して、館林藩兵が退いていきます」
「なに」
今回の一向二裏は、正面の攻撃があるから成り立つものだ。もし館林藩兵が退けば、我々は無駄死になってしまう。
「どうします」
河井が勝に訊いた。
「進発だ。事ここに及べば、友軍を信じよう」
その決断に異論は無かった。間道を駆けに駆けた。合戦の歓声が近くなってくる。間道を抜けたと思った時、そこは寺門の裏、敵のど真ん中に躍り込んでいた。
一斉に、視線がこちらに向く。寺門を挟んで戦っていた敵が、突然内側から湧いて出たのだ。時が止まったような気がした。
「皆殺しにしろ」
紅子は腹の底から吠えていた。次々と隊士が、間道から跳び下りる。
短棒を合わせ、鉄杖に変化させ頭上で回す。飛砕。奮う度に、頭蓋が潰れ、宙に舞った。
「南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」
敵は呪文のように念仏を唱え、突撃していく。
得物は様々だが、大半は竹槍だ。腕の方は大した事が無いが、敵の数が多い。寺門に向かおうとしても、敵の圧力を制するので精一杯だ。
「どうして倒れないんだよ」
河井組の隊士が、泣きながら刀を振り回す。「おちつけ」と言おうとした瞬間、一つ二つと竹槍が身体に吸い込まれた。
(御庭番、まだかよ)
紅子は唾棄しながら、飛砕を奮っていた。敵を倒しても倒しても、湧いて出て来るようだ。それどころか、死を恐れていない。南無阿弥陀仏を唱えながら、死のうとしているのだ。死ねば楽土へ行ける。智仙への妄信が、原動力になっているのだろう。
また一人、斃された。一番隊の藤崎だった。最年少の青年は、竹槍に何度も突かれ、最後は顔面に叩き込まれて死んだ。
「糞ったれ」
紅子は咆哮した。加瀬組から一人突出し、跳躍する。宙で飛砕を構え、着地と同時に振り回す。五人の頭蓋が同時に潰れた。
不意に猛烈な圧力が側面からあった。矢倉組が立ち割られ。河井隊がもろに横槍を受ける形を受けた。
紅子が駆け寄る。敵は浪人隊だった。中々の剣の腕だ。河井組の服部が、顔を真っ赤にして奮戦している。梯も一人二人と斃しているが、弓の使いどころがなくて、仕方なく刀を振るっている。
「門だ。門を目指せ」
勝が叫んでいた。しかし、浪人隊の圧力は凄まじい。一時押されていた敵も、息を吹き返している。
「信浄様が出て来たぞ」
歓声が挙がった。
武蔵坊弁慶のような恰好をした男。手には野太刀を持っていた。
隋門院信浄。主戦派幹部で、馬庭念流の使い手だ。
「南無」
信浄が、野太刀を一振りしただけで、隊士二人の首が舞った。それに勢いづいて、突出してきた。
明らかに、勝を狙っている動きだった。紅子は駆け付けようと思ったが、竹槍に阻まれて中々進めない。
「お前が大将か」
霹靂のような怒声。斬撃。遮ったのは、分断された矢倉組だった。
一太刀目で、二人の首が宙に舞った。返す刀で矢倉の首筋から鮮血が迸り、三太刀目で、末永の身体が二つになった。
甚蔵が駆け寄る。野太刀の斬撃を同田貫正国で受け、盛大に転がっていく。すぐに立ち上がるが、やはり身体は万全ではないようだ。
「何て奴だ」
その時だった。信浄の身体がぐらりと揺れて、頭蓋から二つに裂けて斃れた。斬ったのは、長谷川平蔵だった。
どうやら平蔵は、敵の浪人隊に紛れ込んでいたようだ。
「どうして」
平蔵が紅子に身を寄せる。
「何も慈光宗を追ってたのは、御庭番と逸撰隊だけじゃねぇのさ。主戦派の永観は斬ったぜ。快空は無理だったが、もう少しの辛抱だ」
そう言いながらも、平蔵は敵を斬り倒す。次々に浪人たちが寝返っていく。元々潜入させていたのか、変心させたのかわからないが、平蔵の指図を受けている。
敵の圧力は明らかに弱くなっていた。明らかに恐慌していた。
「あと一息だ。門へ向かえ」
勝が吠えた。らしくもなく、全身を血で濡らしていた。
紅子も飛砕を奮った。甚蔵も平蔵も、奮戦している。三笠は息が上がっているが、服部と安河内が上手く庇っている。
圧力が更に弱まった。紅子は頭上で飛砕を回し、門へと駆けた。敵が遮る。叩き潰す。頭蓋を砕き、胴を〔二天殺し〕で二つに断つ。
「もう少し」
あと少しで、門に手が届く。
そう思った刹那、弥十郎が門の閂を引き抜くのが見えた
「あいつ」
弥十郎が、紅子を見据えて笑っていた。
いつの間にか、御庭番が到着していたのだ。しかも、敵の圧力を逸撰隊が受けている間に、美味しい所を持って行ってしまった。
「貴様」
と、叫ぼうとしたが、濁流のように館林藩兵がなだれ込んでいく。大きな流れが、敵軍を飲み込み、智仙が籠る伽藍へと向かっていく。
先頭は、馬に跨った鬼頭。甲冑を纏い必死に叱咤している。
「追うな。我々の役目は終わった」
勝が指示を出す。珍しく、意見が一致した。紅子も終わったと思ったのだ。
もうこうなれば、逸撰隊にやる事は無い。紅子はなおも抵抗する敵の頭蓋を砕くと、智仙が待つ伽藍へ向けて駆けあがっていく葵の御紋に目をやった。
金山御坊の東を走る間道である。二十三名の逸撰隊を七名づつの組に分け、それぞれの指揮を甚蔵・河井・矢倉に任せて、全体を勝がまとめる事にした。勝は紅子を推したが、こうした組織的な戦闘の場合は勝が良いと、紅子は固辞したのだ。その代わりに、紅子は遊撃となった。
勝は迷ったが、後押ししたのは甚蔵だった。
「こいつは一人で自由にさせた方がいい。元々誰かと組むような奴じゃねぇんだ」
癪に障るが、それが紅子の性格を表しているし、それで勝は納得した。
先鋒は加瀬組、中軍を河井組、殿を矢倉組にし、勝は河井組に入った。紅子は先鋒である。
険しい傾斜の山道だ。勾配も激しい。気を付けなければ、滑り落ちるし、木の根に足を取られる。朝露に着物を濡らしていると、遠くで法螺貝が鳴った。そして、鯨波。戦が始まったのだ。
紅子と甚蔵は顔を見合わせて、進む足を強めた。
間道の道筋は、既に頭に入っている。それでも方向感覚が狂いそうになった。こんな時に、伊平次がいたらよかったのだが、今は江戸で甲賀と共に働いている。
敵。三名。間道を横切っている。甚蔵が「殺れ」と命じると、隊士が駆けよって、手際よく始末した。
「敵は減らせる時に減らす」
甚蔵がそう言った。
しばらく道なりに進んだ。木々の間から、館林藩兵が攻め立てているのが見える。今は城下町と言うべき金山御坊の町になだれ込んできているようだ。ただ慈光宗も負けてはおらず、鉄砲で撃ちかけている。
「何者」
不意を突かれるように、敵兵に捕捉された。
間道を見下ろす斜面の上。風体の良くない浪人の小集団がいた。
「敵襲」
甚蔵が叫んだ。すぐさま抜刀する。紅子は飛砕を二本の短棒のまま、両手に構えた。隘路である。杖にするには狭すぎた。
「来るよ。皆殺しにしな」
斜面を滑り落ち、または飛んでくる敵に、紅子が一番に躍り込んだ。
二本の短棒が唸る。敵の腹を突き、前のめりになった後頭部に振り下ろす。それで浪人は血反吐を吐いて斃れていく。隊の横槍を突かれた格好だが、実戦経験が豊かな隊士たちは冷静に対処している。四半刻も経たず、敵を掃討した。
死傷者はいない。その報告を、紅子は勝と共に受けた。
突然、爆発音が聞こえた。二発、三発。紅子は末永に命じて、木に登らせて麓の様子を確かめさせた。
「姐さん、一大事ですぜ」
「どうした?」
「慈光宗の奴ら、大筒をぶっ放して、館林藩兵が退いていきます」
「なに」
今回の一向二裏は、正面の攻撃があるから成り立つものだ。もし館林藩兵が退けば、我々は無駄死になってしまう。
「どうします」
河井が勝に訊いた。
「進発だ。事ここに及べば、友軍を信じよう」
その決断に異論は無かった。間道を駆けに駆けた。合戦の歓声が近くなってくる。間道を抜けたと思った時、そこは寺門の裏、敵のど真ん中に躍り込んでいた。
一斉に、視線がこちらに向く。寺門を挟んで戦っていた敵が、突然内側から湧いて出たのだ。時が止まったような気がした。
「皆殺しにしろ」
紅子は腹の底から吠えていた。次々と隊士が、間道から跳び下りる。
短棒を合わせ、鉄杖に変化させ頭上で回す。飛砕。奮う度に、頭蓋が潰れ、宙に舞った。
「南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」
敵は呪文のように念仏を唱え、突撃していく。
得物は様々だが、大半は竹槍だ。腕の方は大した事が無いが、敵の数が多い。寺門に向かおうとしても、敵の圧力を制するので精一杯だ。
「どうして倒れないんだよ」
河井組の隊士が、泣きながら刀を振り回す。「おちつけ」と言おうとした瞬間、一つ二つと竹槍が身体に吸い込まれた。
(御庭番、まだかよ)
紅子は唾棄しながら、飛砕を奮っていた。敵を倒しても倒しても、湧いて出て来るようだ。それどころか、死を恐れていない。南無阿弥陀仏を唱えながら、死のうとしているのだ。死ねば楽土へ行ける。智仙への妄信が、原動力になっているのだろう。
また一人、斃された。一番隊の藤崎だった。最年少の青年は、竹槍に何度も突かれ、最後は顔面に叩き込まれて死んだ。
「糞ったれ」
紅子は咆哮した。加瀬組から一人突出し、跳躍する。宙で飛砕を構え、着地と同時に振り回す。五人の頭蓋が同時に潰れた。
不意に猛烈な圧力が側面からあった。矢倉組が立ち割られ。河井隊がもろに横槍を受ける形を受けた。
紅子が駆け寄る。敵は浪人隊だった。中々の剣の腕だ。河井組の服部が、顔を真っ赤にして奮戦している。梯も一人二人と斃しているが、弓の使いどころがなくて、仕方なく刀を振るっている。
「門だ。門を目指せ」
勝が叫んでいた。しかし、浪人隊の圧力は凄まじい。一時押されていた敵も、息を吹き返している。
「信浄様が出て来たぞ」
歓声が挙がった。
武蔵坊弁慶のような恰好をした男。手には野太刀を持っていた。
隋門院信浄。主戦派幹部で、馬庭念流の使い手だ。
「南無」
信浄が、野太刀を一振りしただけで、隊士二人の首が舞った。それに勢いづいて、突出してきた。
明らかに、勝を狙っている動きだった。紅子は駆け付けようと思ったが、竹槍に阻まれて中々進めない。
「お前が大将か」
霹靂のような怒声。斬撃。遮ったのは、分断された矢倉組だった。
一太刀目で、二人の首が宙に舞った。返す刀で矢倉の首筋から鮮血が迸り、三太刀目で、末永の身体が二つになった。
甚蔵が駆け寄る。野太刀の斬撃を同田貫正国で受け、盛大に転がっていく。すぐに立ち上がるが、やはり身体は万全ではないようだ。
「何て奴だ」
その時だった。信浄の身体がぐらりと揺れて、頭蓋から二つに裂けて斃れた。斬ったのは、長谷川平蔵だった。
どうやら平蔵は、敵の浪人隊に紛れ込んでいたようだ。
「どうして」
平蔵が紅子に身を寄せる。
「何も慈光宗を追ってたのは、御庭番と逸撰隊だけじゃねぇのさ。主戦派の永観は斬ったぜ。快空は無理だったが、もう少しの辛抱だ」
そう言いながらも、平蔵は敵を斬り倒す。次々に浪人たちが寝返っていく。元々潜入させていたのか、変心させたのかわからないが、平蔵の指図を受けている。
敵の圧力は明らかに弱くなっていた。明らかに恐慌していた。
「あと一息だ。門へ向かえ」
勝が吠えた。らしくもなく、全身を血で濡らしていた。
紅子も飛砕を奮った。甚蔵も平蔵も、奮戦している。三笠は息が上がっているが、服部と安河内が上手く庇っている。
圧力が更に弱まった。紅子は頭上で飛砕を回し、門へと駆けた。敵が遮る。叩き潰す。頭蓋を砕き、胴を〔二天殺し〕で二つに断つ。
「もう少し」
あと少しで、門に手が届く。
そう思った刹那、弥十郎が門の閂を引き抜くのが見えた
「あいつ」
弥十郎が、紅子を見据えて笑っていた。
いつの間にか、御庭番が到着していたのだ。しかも、敵の圧力を逸撰隊が受けている間に、美味しい所を持って行ってしまった。
「貴様」
と、叫ぼうとしたが、濁流のように館林藩兵がなだれ込んでいく。大きな流れが、敵軍を飲み込み、智仙が籠る伽藍へと向かっていく。
先頭は、馬に跨った鬼頭。甲冑を纏い必死に叱咤している。
「追うな。我々の役目は終わった」
勝が指示を出す。珍しく、意見が一致した。紅子も終わったと思ったのだ。
もうこうなれば、逸撰隊にやる事は無い。紅子はなおも抵抗する敵の頭蓋を砕くと、智仙が待つ伽藍へ向けて駆けあがっていく葵の御紋に目をやった。
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