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ロイエスパーティー(3)
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昨日の時点でイジスはミスクとフレイアに対して、今日ロイエス一行が来るので<水の都>からは出るなと伝えている。
三階層で暫く頑張らせた上で一人を残して人質とし、残りの三人を返しても良いし、全員を下層でこき使い続けても良い……色々な事が出来そうではある……
そんな事を考えているイジスに対して恩着せがましい事を言い続けているロイエス一行は、程なくして<水の都>に到着する。
自分達の体力温存、そしてイジスの体力を削った上で今度こそは完全に始末する事を目的としているロイエス一行。
「おいイジス。お前の実力を確認させてもらいてーからな。お前が先頭を行け」
尤もらしい理由を伝え、迫りくる魔物を相手にさせる事にしたロイエス。
この時点で、イジスは配下のダンジョンの魔物達には直線的な攻撃ではなく、迂回攻撃……後方に位置するロイエス達に攻撃をするようにダンジョンマスターであるフレイアに指示を出した。
「くそ、なんで今日に限ってこいつら……」
「なんて厄介な……」
「本当、厄介」
「ですが目的達成のためです。我慢しましょう」
魔物達の攻撃力については変更を行っていない為、怪我をする事なく魔物達を始末できているロイエスパーティーではある。
その姿を直接見ずとも確認できるイジスは、余り距離が開きすぎないように気を付けつつもダンジョン奥に侵入して行く。
もちろん一切の攻撃は受けていないが、多方向からの攻撃に対処しているロイエスパーティーはイジスの姿を確認する余裕はない。
「漸くここかよ。今日は何があったんだ」
一階層のボスの部屋の前に到着したロイエスは、前回とあまりにも様子が変わった<水の都>の魔物の攻撃方法に愚痴を漏らしている。
「ひょっとしたら、あの三階層の鉱石を俺達が取ったからですかね?」
「バウサー。そうかも」
「成程。普段採取される事の無い難易度の鉱石を私達が難なく採取してしまったので、ダンジョンの防衛機能が働いたという事ですね?」
事実は全く異なるが、通常のダンジョンでは起こり得る現象なので一先ずロイエス一行は納得する。
「だがよ、出て来る魔物に変化がないのが救いだぜ。攻撃力に大差ねーからな」
「ロイエス。階層ボスまでそうとは言い切れないですよ?」
彼らの記憶と今迄の情報では、一階層は一定時間魔物の猛攻を防げばクリアしたとみなされて階段が現れる。
ダンジョン防衛機能によってボスの魔物が変更されたと言う事実もある事からバウサーは警戒をしていたのだが、ここで退却と言う選択肢は有り得ない。
「イジス、取り敢えずお前が先頭は変わらねー。行くぞ」
「了解っと」
結局は入ってみないと分からないのでボス部屋に侵入する事にするのだが、イジスはそんな彼らの決心はお構いなしに、見ただけで疲労していると分かるロイエス達がポーションを飲む暇すら与えない程の速度で部屋に入る。
イジスの思惑通り、慌てて後を追うように部屋に侵入する四人。
「おいイジス、先走るんじゃねーよ!って、あまり変わりなさそうだな」
ロイエスの見た目には、今迄と変わらない湖が眼前に広がっていたのでこう呟く。
そして、同じように無数の魔物が侵入者に向かって飛び込んでくる。
「グハッ。チクショウ、こいつらも背後から来るのかよ!」
今までは正面に広がる湖からしか攻撃を受けてこなかったのだが、何故か背後に回った魔物から攻撃を受けるロイエス達はあまりの物量に時折ダメージを受けつつも、何とか規定時間……と言っても、いつもよりも遥かに長い時間になっていたのだが、かろうじて耐える事に成功した。
「おいお前ら、ポーション飲んどけ!」
相変わらずイジスは我関せずと言わんばかりの勢いで先頭を進んでいるが、ロイエス達はイジスの状態を確認する事すらしない。いや、する程の余裕がなくなっているので、各々の方法で持ち込んでいるポーションを口にして、イジスの後をついて行く。
こうして普段では有り得ないほどのダメージを受けつつも、ポーションを使って回復して三階層に到着したロイエス一行。
既に精神的にかなり疲労しているのだが、再び昨日手にした大金を得られる鉱石が取れる場所、そして囮として今度こそ確実にイジスを始末できる場所に到着した事によって元気が出て来る。
正直、ここまで高価なポーションを消費してしまうと昨日の儲けは消えてしまうので、何としても報酬を得るための鉱石を入手する必要があった為、安堵によるものだろうか。
「おい、イジス。ここがお前一人では決して辿り着く事ができない場所、<水の都>三階層だ。とりあえずお前は、先にあの鉱石をこの袋に入れて来い!」
集団で行動する魔物の意識を全てイジスに向ける為、ミスクにした時と同じ行動を取るロイエス。
三階層で暫く頑張らせた上で一人を残して人質とし、残りの三人を返しても良いし、全員を下層でこき使い続けても良い……色々な事が出来そうではある……
そんな事を考えているイジスに対して恩着せがましい事を言い続けているロイエス一行は、程なくして<水の都>に到着する。
自分達の体力温存、そしてイジスの体力を削った上で今度こそは完全に始末する事を目的としているロイエス一行。
「おいイジス。お前の実力を確認させてもらいてーからな。お前が先頭を行け」
尤もらしい理由を伝え、迫りくる魔物を相手にさせる事にしたロイエス。
この時点で、イジスは配下のダンジョンの魔物達には直線的な攻撃ではなく、迂回攻撃……後方に位置するロイエス達に攻撃をするようにダンジョンマスターであるフレイアに指示を出した。
「くそ、なんで今日に限ってこいつら……」
「なんて厄介な……」
「本当、厄介」
「ですが目的達成のためです。我慢しましょう」
魔物達の攻撃力については変更を行っていない為、怪我をする事なく魔物達を始末できているロイエスパーティーではある。
その姿を直接見ずとも確認できるイジスは、余り距離が開きすぎないように気を付けつつもダンジョン奥に侵入して行く。
もちろん一切の攻撃は受けていないが、多方向からの攻撃に対処しているロイエスパーティーはイジスの姿を確認する余裕はない。
「漸くここかよ。今日は何があったんだ」
一階層のボスの部屋の前に到着したロイエスは、前回とあまりにも様子が変わった<水の都>の魔物の攻撃方法に愚痴を漏らしている。
「ひょっとしたら、あの三階層の鉱石を俺達が取ったからですかね?」
「バウサー。そうかも」
「成程。普段採取される事の無い難易度の鉱石を私達が難なく採取してしまったので、ダンジョンの防衛機能が働いたという事ですね?」
事実は全く異なるが、通常のダンジョンでは起こり得る現象なので一先ずロイエス一行は納得する。
「だがよ、出て来る魔物に変化がないのが救いだぜ。攻撃力に大差ねーからな」
「ロイエス。階層ボスまでそうとは言い切れないですよ?」
彼らの記憶と今迄の情報では、一階層は一定時間魔物の猛攻を防げばクリアしたとみなされて階段が現れる。
ダンジョン防衛機能によってボスの魔物が変更されたと言う事実もある事からバウサーは警戒をしていたのだが、ここで退却と言う選択肢は有り得ない。
「イジス、取り敢えずお前が先頭は変わらねー。行くぞ」
「了解っと」
結局は入ってみないと分からないのでボス部屋に侵入する事にするのだが、イジスはそんな彼らの決心はお構いなしに、見ただけで疲労していると分かるロイエス達がポーションを飲む暇すら与えない程の速度で部屋に入る。
イジスの思惑通り、慌てて後を追うように部屋に侵入する四人。
「おいイジス、先走るんじゃねーよ!って、あまり変わりなさそうだな」
ロイエスの見た目には、今迄と変わらない湖が眼前に広がっていたのでこう呟く。
そして、同じように無数の魔物が侵入者に向かって飛び込んでくる。
「グハッ。チクショウ、こいつらも背後から来るのかよ!」
今までは正面に広がる湖からしか攻撃を受けてこなかったのだが、何故か背後に回った魔物から攻撃を受けるロイエス達はあまりの物量に時折ダメージを受けつつも、何とか規定時間……と言っても、いつもよりも遥かに長い時間になっていたのだが、かろうじて耐える事に成功した。
「おいお前ら、ポーション飲んどけ!」
相変わらずイジスは我関せずと言わんばかりの勢いで先頭を進んでいるが、ロイエス達はイジスの状態を確認する事すらしない。いや、する程の余裕がなくなっているので、各々の方法で持ち込んでいるポーションを口にして、イジスの後をついて行く。
こうして普段では有り得ないほどのダメージを受けつつも、ポーションを使って回復して三階層に到着したロイエス一行。
既に精神的にかなり疲労しているのだが、再び昨日手にした大金を得られる鉱石が取れる場所、そして囮として今度こそ確実にイジスを始末できる場所に到着した事によって元気が出て来る。
正直、ここまで高価なポーションを消費してしまうと昨日の儲けは消えてしまうので、何としても報酬を得るための鉱石を入手する必要があった為、安堵によるものだろうか。
「おい、イジス。ここがお前一人では決して辿り着く事ができない場所、<水の都>三階層だ。とりあえずお前は、先にあの鉱石をこの袋に入れて来い!」
集団で行動する魔物の意識を全てイジスに向ける為、ミスクにした時と同じ行動を取るロイエス。
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