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ロペスへの復讐(4)
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三階層に向かう階段の前に移動したロペスは、結界を張っているバミアに懇願する。
「バミア……この結界を解いて!」
バミアとしても自分の命がかかっているので、そう簡単に破れる様な結界を張っている訳ではない。
そもそもバミアとロペスはほぼ同格の力を持っているので、いくら<闇者>の称号を得ているロペスの攻撃でも簡単に破壊する事は出来なかった。
「チッ……」
背後に魔物の攻撃が近づいてきた事を察したロペスは、一旦三階層への入り口、安全地帯付近から遠ざかる。
この魔物の攻撃によってバミアが作っている結界が破壊されれば良いと考え、ギリギリまで攻撃を引き付けてから退避したのだが、ロペスの思惑は外れる。
魔物は全力で攻撃していたわけではないようで、バミアの結界に衝突する直前にその攻撃を容易く中止して見せたのだ。
「あんたの目的は何なの!」
既に形振り構っていられないロペスは余裕がなくなり、血走った目でミスクを睨みつけている。
本来は声を出すと自分の位置を把握されるために悪手以外の何物でもないのだが、今尚存在を消す術を起動しているにもかかわらず、明らかにこの周囲の魔物とミスクは自分を視認しているので、もう意味はないと思い叫んでいる。
「あなたには、そこのバミアと同じように手駒になって頂こうかと思いまして……コレを飲んでいただきます」
バミアの時と同じように、ミスクの手から溢れ出る光の中に存在しているデヒル。
「そ、それは……デヒル。まさかバミア!あなた、コレを飲まされているの?」
全てを察したロペス。
何とかこの場を乗り切ろうと必死で頭を回転させるが、戦闘によって切り抜ける事は不可能であると判断して再びバミアの傍に移動して説得に全力を注ぐ。
「バミア。この結界を解いて!お願い!!勇者パーティーの力であれば、体内のデヒルを除去する方法を知っているかもしれないわ」
実際にその方法を知っていたとしても、この場で結界を解いた瞬間にバミアの体内にいるデヒルが暴れだす可能性が高いので手遅れだ。
それ以前に、最早ミスクとイジスに敵対する選択肢がないバミアにはロペスの提案に何の興味も湧いてこないし、ミスクの力があれば、自分の結界の有無などはこの作戦には実質何の意味もないと知っているので、当然返事はそっけない物になる。
そもそも、目の前のロペスは自分を囮にして逃げ去った悪でもあるのだから……
結局ロペスの懇願に対して、そっけなくもハッキリと拒絶するバミア。
「無理。諦めろ」
「バミア~!!!」
結界に対する攻撃が苛烈になるのだが、再び魔物の攻撃の気配を察知して飛び去るロペスに対して、ミスクが呆れたようにこう告げていた。
「いい加減に見苦しいですね。諦めたらどうですか?どう考えてもこの状況を改善する力は貴方程度にはないでしょう?」
少し前に囮にして殺害したと確信していたミスクが目の前におり、状況から同じパーティーで活動していたバミアも敵の手に落ちたと把握しているロペス。
何とか打開策を考えようとしている所に、もう一人有り得ない人物が現れた。
「お前は本当に諦めが悪いな。見ていてイライラする」
「イジス!!まさかお前……そうですか。記憶喪失と言うのはやはり真っ赤な嘘……」
そう、囮として殺害したつもりが生きており、記憶喪失として荷物持ちから冒険者にコンバートした人物だ。
「当たり前だろ?ま、そんな事はどうでも良い。そもそも今の俺はお前らの裏切り行為に対して今更どうこうするつもりはない……俺は仲間のミスクの復讐の手助けをしているだけだ」
魔王の称号を得ている者の余裕からか、強制的に対峙する事になっているロペスも絶対的な力の差を感じ取っている。
「わ、私を使って何をするつもり?」
最早逃走は不可能と判断し、大人しくなるロペス。
「もちろんこれを飲んだ後にお話ししますよ。強制的に飲まされるのと、自分で飲むのとどちらが良いですか?」
微笑みながらもその手にはデヒルを携えてロペスに近づくミスクを見て、一瞬ミスクを人質に……とも考えたロペスだが、ミスクが近づくにつれてその内包された真の力を理解してしまい、一瞬で諦める。
「くっ……じ、自分で飲むわよ」
成す術ないロペスは、未だ背後で結界を張っているバミアを睨みつけた後にミスクの手の上、光の中に浮いているデヒルを掴んで口の中に放り込み……一気に飲み込む。
……ドン……
「グッ……」
「バミア……この結界を解いて!」
バミアとしても自分の命がかかっているので、そう簡単に破れる様な結界を張っている訳ではない。
そもそもバミアとロペスはほぼ同格の力を持っているので、いくら<闇者>の称号を得ているロペスの攻撃でも簡単に破壊する事は出来なかった。
「チッ……」
背後に魔物の攻撃が近づいてきた事を察したロペスは、一旦三階層への入り口、安全地帯付近から遠ざかる。
この魔物の攻撃によってバミアが作っている結界が破壊されれば良いと考え、ギリギリまで攻撃を引き付けてから退避したのだが、ロペスの思惑は外れる。
魔物は全力で攻撃していたわけではないようで、バミアの結界に衝突する直前にその攻撃を容易く中止して見せたのだ。
「あんたの目的は何なの!」
既に形振り構っていられないロペスは余裕がなくなり、血走った目でミスクを睨みつけている。
本来は声を出すと自分の位置を把握されるために悪手以外の何物でもないのだが、今尚存在を消す術を起動しているにもかかわらず、明らかにこの周囲の魔物とミスクは自分を視認しているので、もう意味はないと思い叫んでいる。
「あなたには、そこのバミアと同じように手駒になって頂こうかと思いまして……コレを飲んでいただきます」
バミアの時と同じように、ミスクの手から溢れ出る光の中に存在しているデヒル。
「そ、それは……デヒル。まさかバミア!あなた、コレを飲まされているの?」
全てを察したロペス。
何とかこの場を乗り切ろうと必死で頭を回転させるが、戦闘によって切り抜ける事は不可能であると判断して再びバミアの傍に移動して説得に全力を注ぐ。
「バミア。この結界を解いて!お願い!!勇者パーティーの力であれば、体内のデヒルを除去する方法を知っているかもしれないわ」
実際にその方法を知っていたとしても、この場で結界を解いた瞬間にバミアの体内にいるデヒルが暴れだす可能性が高いので手遅れだ。
それ以前に、最早ミスクとイジスに敵対する選択肢がないバミアにはロペスの提案に何の興味も湧いてこないし、ミスクの力があれば、自分の結界の有無などはこの作戦には実質何の意味もないと知っているので、当然返事はそっけない物になる。
そもそも、目の前のロペスは自分を囮にして逃げ去った悪でもあるのだから……
結局ロペスの懇願に対して、そっけなくもハッキリと拒絶するバミア。
「無理。諦めろ」
「バミア~!!!」
結界に対する攻撃が苛烈になるのだが、再び魔物の攻撃の気配を察知して飛び去るロペスに対して、ミスクが呆れたようにこう告げていた。
「いい加減に見苦しいですね。諦めたらどうですか?どう考えてもこの状況を改善する力は貴方程度にはないでしょう?」
少し前に囮にして殺害したと確信していたミスクが目の前におり、状況から同じパーティーで活動していたバミアも敵の手に落ちたと把握しているロペス。
何とか打開策を考えようとしている所に、もう一人有り得ない人物が現れた。
「お前は本当に諦めが悪いな。見ていてイライラする」
「イジス!!まさかお前……そうですか。記憶喪失と言うのはやはり真っ赤な嘘……」
そう、囮として殺害したつもりが生きており、記憶喪失として荷物持ちから冒険者にコンバートした人物だ。
「当たり前だろ?ま、そんな事はどうでも良い。そもそも今の俺はお前らの裏切り行為に対して今更どうこうするつもりはない……俺は仲間のミスクの復讐の手助けをしているだけだ」
魔王の称号を得ている者の余裕からか、強制的に対峙する事になっているロペスも絶対的な力の差を感じ取っている。
「わ、私を使って何をするつもり?」
最早逃走は不可能と判断し、大人しくなるロペス。
「もちろんこれを飲んだ後にお話ししますよ。強制的に飲まされるのと、自分で飲むのとどちらが良いですか?」
微笑みながらもその手にはデヒルを携えてロペスに近づくミスクを見て、一瞬ミスクを人質に……とも考えたロペスだが、ミスクが近づくにつれてその内包された真の力を理解してしまい、一瞬で諦める。
「くっ……じ、自分で飲むわよ」
成す術ないロペスは、未だ背後で結界を張っているバミアを睨みつけた後にミスクの手の上、光の中に浮いているデヒルを掴んで口の中に放り込み……一気に飲み込む。
……ドン……
「グッ……」
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