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(37)街道の騒動(1)
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和やかに、余計な面倒ごとに巻き込まれないように楽しく旅をしたいと考えているロイなのだが、今この状況は全く想定とは逆の状況に陥っていると言える。
突然街道に有り得ない程立派な休憩所を作成した挙句、同性ですら見惚れる女性がはち切れんばかりの笑顔のまま椅子に座っている人物に話しかけており、挙句そのまま座って自らの太ももにロイの足を乗せたのだ。
その後に恭しく足の筋肉をほぐすかのように手を動かしており、正直普通の人であれば日常的に歩いている距離を歩いただけに過ぎないロイだが、運動不足も祟ってか非常に疲れていた所も事実で、癒しの力があるハートエースは何か上手く能力を使っているのか、あまりにも気持ちが良すぎて抗える気力すら失ってなすがままになっている。
「おふぅ……」
変な声が出てしまうので余計な注目を浴びるのだがその視線すら気にする余裕がなくなり、まどろみの世界に足をどっぷりと踏み入れているロイと、その姿を見て更に女神と見まごう程の笑顔になっているハートエース。
もう街道では完全に注目の的であり、この場に近接してきた人々も周囲の人々がある一点を凝視するので同じ様に立ち止まると、何とも言えない羨ましくも有り得ない光景に我を忘れて見入っているので、その数は膨らむばかり。
「おい、通れないぞ!お前らどけ!ここは街道だ。何をしているんだ!」
徐々に増えている人々なので、やがてこの光景を見られる場所ではない少々遠くからこのような怒号が飛び、漸く人々も我に返って時折振り向いて未だに同じ状況になっているロイとハートエースを見つつも、慌てて進んで行く。
「何だ一体!こんな場所に何かある訳でもなかろうに。貴重な獣でも出現……」
大声で周囲を威嚇していた人物が最も人口密度が濃い場所に到着すると、その視線が一カ所に集中している事に気が付いて同じように視線を向け、アホのような表情をして豪華な椅子に座っているロイと、そのロイの足を嬉しそうに揉み解している有り得ない程美しい女性が目に入る。
他の人達と同じように完全に固まってしまったのだが再起動は誰よりも早く、ツカツカとロイの近くに殺気を伴って近づいて行く。
ハートエースはその殺気に気が付いているのだが、気持ち良さそうにしてくれているロイにその殺気が伝わらないように自らの殺気を局部的に向けて相殺しているままマッサージを継続すると言う、普通では考えられない程の技量を見せている。
足元に潜んでいるスペードキングも殺気には即座に気が付いており、護衛を始めて以来の状況に対して過剰に反応する。
敢えて人目に付かないように陰魔法で背後の森に顕現すると、そこからロイの背後にしっかりと移動してこちらに向かって来る男を睨みつけて対象の人物にのみ殺気を飛ばす。
まさか自らの殺気に全く反応しないばかりか、街道から外れた森から突然現れた男が経験した事のない様な程の殺気を飛ばしてくるので、即座に先頭体制に移行してしまう旅の男。
「お待ちください、若!」
その男を止めたのは、背後に控えている少々と年齢を重ねた付き人だろうか、年齢に比例して相当な経験と知識を持っているように見える人物。
「爺、お前はあの行動、好んでやっているように見えるのか?笑顔の裏には隠し切れない程の悲しみがあるに違いない。俺には見える!それを開放してやる事も、立場のあるこの俺の務めではないのか?このような場所であの行為、通常ではあり得ない事だろうが!」
「ふ・・・む。爺は目が少々遠くなっておりますれば、そこまで判断する事はできませぬが、通常ではあり得ないと言う事だけは同意ですな」
流石に近接されてここまで大声を出されては嫌でも気が付いてしまうロイは、ここでやっと微睡の世界から生還する。
「あれ?あ、えっと、どうも。こんにちは。ハートエース、本当に有難う。うん?あれ?スペードキング……何で?」
正面の男と老齢の男性、目の前のハートエース、そして通常は自分の陰から出てこないスペードキングまで居る事から全く状況が掴めていないロイに対して、男はスペードキングに警戒しているので距離を詰められないながらも応答する。
「貴様、これほどの大衆の面前で屈辱的な事をさせておきながら、こんにちはだと?」
「若、挨拶は大切でございますよ」
「む……こんにちは!!だが、そんな事で俺の信念は揺らがない!」
もう何が何だか分からない上に、目の前の初見の二人が更に混乱するような事を言っているのでどうすれば良いのかわからず、自分がトリップしてしまった間の情報も知っているだろうと言う前提の元、頭脳派に対応を任せる事にした。
『スペードキング、聞こえる?』
『はっ、我が主』
視界に入るギリギリの位置にいたスペードキングに、周囲には漏れない程度の声で会話を始めるロイ。
応答したスペードキングは、陰魔法で完全にこの会話が拾えないようにしてくれることは分かっているので、次からは普通の声量で話すのだが、口の動きで目の前の男に会話内容が分からないように、少し口元を隠すような姿勢になる。
『カード状態の者と通信できるでしょ?ダイヤキングにこの状況を改善するためのアドバイスを貰って、対応してもらえないかな?』
顕現しているカードと保管状態のカードの間では通信ができるのだが、ロイにはその会話を拾う事は出来ないので、結果だけを聞く事になる。
『了解が取れました。寧ろ自ら活躍できる絶好の機会だと張り切っておりました、我が主。では、この私スペードキングがダイヤキング殿の指示に従って行動致しますので、我が主はそのままお寛ぎください』
「フフ、ではご主人様、もう少し解して差し上げますね」
突然街道に有り得ない程立派な休憩所を作成した挙句、同性ですら見惚れる女性がはち切れんばかりの笑顔のまま椅子に座っている人物に話しかけており、挙句そのまま座って自らの太ももにロイの足を乗せたのだ。
その後に恭しく足の筋肉をほぐすかのように手を動かしており、正直普通の人であれば日常的に歩いている距離を歩いただけに過ぎないロイだが、運動不足も祟ってか非常に疲れていた所も事実で、癒しの力があるハートエースは何か上手く能力を使っているのか、あまりにも気持ちが良すぎて抗える気力すら失ってなすがままになっている。
「おふぅ……」
変な声が出てしまうので余計な注目を浴びるのだがその視線すら気にする余裕がなくなり、まどろみの世界に足をどっぷりと踏み入れているロイと、その姿を見て更に女神と見まごう程の笑顔になっているハートエース。
もう街道では完全に注目の的であり、この場に近接してきた人々も周囲の人々がある一点を凝視するので同じ様に立ち止まると、何とも言えない羨ましくも有り得ない光景に我を忘れて見入っているので、その数は膨らむばかり。
「おい、通れないぞ!お前らどけ!ここは街道だ。何をしているんだ!」
徐々に増えている人々なので、やがてこの光景を見られる場所ではない少々遠くからこのような怒号が飛び、漸く人々も我に返って時折振り向いて未だに同じ状況になっているロイとハートエースを見つつも、慌てて進んで行く。
「何だ一体!こんな場所に何かある訳でもなかろうに。貴重な獣でも出現……」
大声で周囲を威嚇していた人物が最も人口密度が濃い場所に到着すると、その視線が一カ所に集中している事に気が付いて同じように視線を向け、アホのような表情をして豪華な椅子に座っているロイと、そのロイの足を嬉しそうに揉み解している有り得ない程美しい女性が目に入る。
他の人達と同じように完全に固まってしまったのだが再起動は誰よりも早く、ツカツカとロイの近くに殺気を伴って近づいて行く。
ハートエースはその殺気に気が付いているのだが、気持ち良さそうにしてくれているロイにその殺気が伝わらないように自らの殺気を局部的に向けて相殺しているままマッサージを継続すると言う、普通では考えられない程の技量を見せている。
足元に潜んでいるスペードキングも殺気には即座に気が付いており、護衛を始めて以来の状況に対して過剰に反応する。
敢えて人目に付かないように陰魔法で背後の森に顕現すると、そこからロイの背後にしっかりと移動してこちらに向かって来る男を睨みつけて対象の人物にのみ殺気を飛ばす。
まさか自らの殺気に全く反応しないばかりか、街道から外れた森から突然現れた男が経験した事のない様な程の殺気を飛ばしてくるので、即座に先頭体制に移行してしまう旅の男。
「お待ちください、若!」
その男を止めたのは、背後に控えている少々と年齢を重ねた付き人だろうか、年齢に比例して相当な経験と知識を持っているように見える人物。
「爺、お前はあの行動、好んでやっているように見えるのか?笑顔の裏には隠し切れない程の悲しみがあるに違いない。俺には見える!それを開放してやる事も、立場のあるこの俺の務めではないのか?このような場所であの行為、通常ではあり得ない事だろうが!」
「ふ・・・む。爺は目が少々遠くなっておりますれば、そこまで判断する事はできませぬが、通常ではあり得ないと言う事だけは同意ですな」
流石に近接されてここまで大声を出されては嫌でも気が付いてしまうロイは、ここでやっと微睡の世界から生還する。
「あれ?あ、えっと、どうも。こんにちは。ハートエース、本当に有難う。うん?あれ?スペードキング……何で?」
正面の男と老齢の男性、目の前のハートエース、そして通常は自分の陰から出てこないスペードキングまで居る事から全く状況が掴めていないロイに対して、男はスペードキングに警戒しているので距離を詰められないながらも応答する。
「貴様、これほどの大衆の面前で屈辱的な事をさせておきながら、こんにちはだと?」
「若、挨拶は大切でございますよ」
「む……こんにちは!!だが、そんな事で俺の信念は揺らがない!」
もう何が何だか分からない上に、目の前の初見の二人が更に混乱するような事を言っているのでどうすれば良いのかわからず、自分がトリップしてしまった間の情報も知っているだろうと言う前提の元、頭脳派に対応を任せる事にした。
『スペードキング、聞こえる?』
『はっ、我が主』
視界に入るギリギリの位置にいたスペードキングに、周囲には漏れない程度の声で会話を始めるロイ。
応答したスペードキングは、陰魔法で完全にこの会話が拾えないようにしてくれることは分かっているので、次からは普通の声量で話すのだが、口の動きで目の前の男に会話内容が分からないように、少し口元を隠すような姿勢になる。
『カード状態の者と通信できるでしょ?ダイヤキングにこの状況を改善するためのアドバイスを貰って、対応してもらえないかな?』
顕現しているカードと保管状態のカードの間では通信ができるのだが、ロイにはその会話を拾う事は出来ないので、結果だけを聞く事になる。
『了解が取れました。寧ろ自ら活躍できる絶好の機会だと張り切っておりました、我が主。では、この私スペードキングがダイヤキング殿の指示に従って行動致しますので、我が主はそのままお寛ぎください』
「フフ、ではご主人様、もう少し解して差し上げますね」
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