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(39)ジンタ町のジル
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「何だったんだ!爺、あんな場所で素足を晒し、剰え揉み解させるなど正気の沙汰ではないだろう?街道とは言え何時何があるかわからない場所だと考えると、強制的な何かが働いていたはずだ!」
未だ怒りが収まらないジルだが、危険な場所であのように無防備な状態を晒す、それも見掛けがあまりにも美しい女性が膝をついて他人の足を守るように持ちながら……なので、仮に弱い獣に襲われても普通の人であれば致命傷を負ってしまう可能性すらある。
「であれば、だ!あの男は、何かあった場合にはあの女性を蹴りつけて餌にするつもりだったに違いない!」
「……若、落ち着いて下さい。そんな事は無いでしょう?確かにあの二人だけであればそのような事もあったのかもしれませんが、しっかりと護衛をつけていたではありませんか?」
爺と呼ばれているバリアドもスペードキングの存在がなければ少々思う所はあったのだが、実際にあのような異次元の強さを持つ人物と対峙して、明らかにあの二人の護衛であるので素直に引いていた。
バリアドが言っている事はこれ以上ない程に正論であり、何も返せずに悔しそうにしつつ足を進めているジルは、非常に熱く無駄に正義感に溢れている男であるのだが、一直線過ぎて今回の様に少々無駄に暴走してしまう時がある。
暫くはかなり思う所があったジルだが、自分の拠点であるジンタ町に只管向かう途中にあるアザヨ町に到着すると、記憶にない程湧き上がっているのを不思議そうにしながらミレニアの両親が営んでいる宿に入る。
「ちょっと聞きたいのだが、何故この町はここまで……何と言えば良いのか、沸き立っているかのような、活気に満ち溢れているのかな?」
「フフ、お客様、よくぞ聞いて頂きました。実はこのアザヨ町ですが街道を少々進めば立派な商会があります。その商会の助力もあって町が栄える事が間違いないと町中の人々が確信しているので、喜んでいるのです」
「??商会が出来ただけで、町が栄えるのが間違いない?それは少々、期待を裏切るような事を言って申し訳ないが、過剰な期待なのでは?」
「そうですよね。私もそう思いますけれど、お客様もあの商会、シンロイ商会を訪問して頂ければ素晴らしさがわかると思います」
自然な流れなのだが、少し前にハートエースを無駄に救出しようとして騒ぎを起こしたジルと、見た目に区別が付けられない程にそっくりなハート部隊と再び相まみえてしまう事になるのは避けられない。
ロイと行動を共にしているハートエースも特にカードの者達に今回の事を告げる必要性を感じていないので、アザヨ町の商会に努めているハート部隊の面々、セカンドとサード達にも情報が伝わっていないので、彼女達もジルがどのような存在でどのようにロイ達と絡んでしまったのかわからないまま、敵意の有る無しのみの判断をする事になる。
「爺、コレは……」
あまりにもミレニアが自信満々に情報を教えてくれたので折角だからと散策ついでに街道を進んで行くと、場に合わない程に立派な商会が視界に入って来たジルは、外観を見ただけでこれだけ立派であればミレニアの言う事も誇張ではないのだろうと言う期待と共に中に入る。
「む?おい、爺!あっちを見ろ!」
「何でございま……ハテ?随分と直近で見た事のある様な?」
「ボケたか?爺。あの街道で足を揉み解していた女性だ!」
街道を進んでいる際に抜き去られた気配は一切なかったのだが、どう見ても同一人物が店員をしているのでツカツカと近接してこう告げる。
「あの男から逃げる事が出来たのか?もし仮に、次にあの男がこの場所に来たのであれば、この俺ジルに声をかけてくれれば絶対に助けて見せる!」
突然このような事を言われたのはハートセカンドであり、ジルと呼ばれた男性が目撃したのはハートエースなのだが、召喚者のロイでさえ識別の魔道具がなければ見分けがつかないので混同してしまうのは仕方がないのかもしれないが、言われた方は意味が全く分からない。
「あの、何か勘違いをされていませんか?」
相当大きな声であった為に周囲の注目を集めており、残る店員のハートサードもこの場にやってくる。
「如何しましたでしょうか?」
「それがな、この女性が……あれ?」
再び瓜二つの女性が目の前に来たので、何がどうなっているのか自分でもわからなくなってしまったジルは思考が停止するとともに行動も停止してしまう。
その様子を見ていた付き人で爺と呼ばれていたバリアドもあまりにもそっくりなので驚くのだが、結果的にはジルの勘違いであると判断して半ば強引に謝罪の上ジルを商店から連れ出す。
「じ、爺!なんだアレは?あれほど美しい方々が二人、いや、あの街道の事を考えると三人か?この国は天使の国になったのか?」
もう違う方向に暴走し始めているジルなのだが、あれ程の女性が三人いる事だけは間違いのない事実なので、その言葉を否定する術を持っておらずに只管興奮しているジルの話を聞かされる羽目になった爺ことバリアドだ。
その元凶とも言えるロイと言えば、スペードキングを通してよからぬ報告を受けている。
「我が主、スペードサードからの情報で、リーン様が家出したとの事です」
「え?えぇ?なんで?」
「それが、我が主を探す旅に出るとの事で、実はご両親、兄上も承知の上の行動だそうで……我が主の無事について非常に心配しておられるようです」
甘々な家族なので、あの程度の置手紙ではこの程度の期間しか我慢できなかったらしい。
未だ怒りが収まらないジルだが、危険な場所であのように無防備な状態を晒す、それも見掛けがあまりにも美しい女性が膝をついて他人の足を守るように持ちながら……なので、仮に弱い獣に襲われても普通の人であれば致命傷を負ってしまう可能性すらある。
「であれば、だ!あの男は、何かあった場合にはあの女性を蹴りつけて餌にするつもりだったに違いない!」
「……若、落ち着いて下さい。そんな事は無いでしょう?確かにあの二人だけであればそのような事もあったのかもしれませんが、しっかりと護衛をつけていたではありませんか?」
爺と呼ばれているバリアドもスペードキングの存在がなければ少々思う所はあったのだが、実際にあのような異次元の強さを持つ人物と対峙して、明らかにあの二人の護衛であるので素直に引いていた。
バリアドが言っている事はこれ以上ない程に正論であり、何も返せずに悔しそうにしつつ足を進めているジルは、非常に熱く無駄に正義感に溢れている男であるのだが、一直線過ぎて今回の様に少々無駄に暴走してしまう時がある。
暫くはかなり思う所があったジルだが、自分の拠点であるジンタ町に只管向かう途中にあるアザヨ町に到着すると、記憶にない程湧き上がっているのを不思議そうにしながらミレニアの両親が営んでいる宿に入る。
「ちょっと聞きたいのだが、何故この町はここまで……何と言えば良いのか、沸き立っているかのような、活気に満ち溢れているのかな?」
「フフ、お客様、よくぞ聞いて頂きました。実はこのアザヨ町ですが街道を少々進めば立派な商会があります。その商会の助力もあって町が栄える事が間違いないと町中の人々が確信しているので、喜んでいるのです」
「??商会が出来ただけで、町が栄えるのが間違いない?それは少々、期待を裏切るような事を言って申し訳ないが、過剰な期待なのでは?」
「そうですよね。私もそう思いますけれど、お客様もあの商会、シンロイ商会を訪問して頂ければ素晴らしさがわかると思います」
自然な流れなのだが、少し前にハートエースを無駄に救出しようとして騒ぎを起こしたジルと、見た目に区別が付けられない程にそっくりなハート部隊と再び相まみえてしまう事になるのは避けられない。
ロイと行動を共にしているハートエースも特にカードの者達に今回の事を告げる必要性を感じていないので、アザヨ町の商会に努めているハート部隊の面々、セカンドとサード達にも情報が伝わっていないので、彼女達もジルがどのような存在でどのようにロイ達と絡んでしまったのかわからないまま、敵意の有る無しのみの判断をする事になる。
「爺、コレは……」
あまりにもミレニアが自信満々に情報を教えてくれたので折角だからと散策ついでに街道を進んで行くと、場に合わない程に立派な商会が視界に入って来たジルは、外観を見ただけでこれだけ立派であればミレニアの言う事も誇張ではないのだろうと言う期待と共に中に入る。
「む?おい、爺!あっちを見ろ!」
「何でございま……ハテ?随分と直近で見た事のある様な?」
「ボケたか?爺。あの街道で足を揉み解していた女性だ!」
街道を進んでいる際に抜き去られた気配は一切なかったのだが、どう見ても同一人物が店員をしているのでツカツカと近接してこう告げる。
「あの男から逃げる事が出来たのか?もし仮に、次にあの男がこの場所に来たのであれば、この俺ジルに声をかけてくれれば絶対に助けて見せる!」
突然このような事を言われたのはハートセカンドであり、ジルと呼ばれた男性が目撃したのはハートエースなのだが、召喚者のロイでさえ識別の魔道具がなければ見分けがつかないので混同してしまうのは仕方がないのかもしれないが、言われた方は意味が全く分からない。
「あの、何か勘違いをされていませんか?」
相当大きな声であった為に周囲の注目を集めており、残る店員のハートサードもこの場にやってくる。
「如何しましたでしょうか?」
「それがな、この女性が……あれ?」
再び瓜二つの女性が目の前に来たので、何がどうなっているのか自分でもわからなくなってしまったジルは思考が停止するとともに行動も停止してしまう。
その様子を見ていた付き人で爺と呼ばれていたバリアドもあまりにもそっくりなので驚くのだが、結果的にはジルの勘違いであると判断して半ば強引に謝罪の上ジルを商店から連れ出す。
「じ、爺!なんだアレは?あれほど美しい方々が二人、いや、あの街道の事を考えると三人か?この国は天使の国になったのか?」
もう違う方向に暴走し始めているジルなのだが、あれ程の女性が三人いる事だけは間違いのない事実なので、その言葉を否定する術を持っておらずに只管興奮しているジルの話を聞かされる羽目になった爺ことバリアドだ。
その元凶とも言えるロイと言えば、スペードキングを通してよからぬ報告を受けている。
「我が主、スペードサードからの情報で、リーン様が家出したとの事です」
「え?えぇ?なんで?」
「それが、我が主を探す旅に出るとの事で、実はご両親、兄上も承知の上の行動だそうで……我が主の無事について非常に心配しておられるようです」
甘々な家族なので、あの程度の置手紙ではこの程度の期間しか我慢できなかったらしい。
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