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(40)ロマニューレの行動によって
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聖主ロマニューレは、スーレシアに唆されて商会の供給網にダメージを与えようと強大な組織を使って行動を始め、物資供給任務に就いているクラブフォース、フィフス、スペードエース三人では常に監視しきれずにいる採取場所や一時保管場所を的確に攻める事で納品に遅れが生じるようになっていた。
例えばダンジョン内部の素材を入手していると情報を掴めば、カード部隊が一旦その素材入手を終了した後にダンジョン入り口を無駄に塞ぐ様な細かい嫌がらせの他に、塞いだ物資を強制的にどかした際には爆発するような魔道具を仕込ませる等の悪辣な行為を実施しており、カード部隊としても周囲の被害がある可能性が高く慎重に行動せざるを得ないので、納品に遅れが発生する事態に陥る。
当然当初の目的である素材奪取も実施しており、油断していたカード部隊は収納魔法を使っては問題があるので、敢えて地上付近で素材を並べて整理した上で収納袋に入れ替えており、再び素材入手のために行動している最中にその収納袋を奪われていた。
まさに油断以外の何物でもないのだが、有り得ない程に大量の素材と共に貴重と言われている収納袋まで手に入れたロマニューレはホクホク顔だ。
結果的にその影響を受けるのは全ての商会であり、当然出来たばかりのアザヨ町での商会も含まれる。
この状況をどう報告すべきかと、全ての情報を精査しているダイヤキングは非常に悩んでいる。
今は絶対の主であるロイの姉が家出と言う名の家族公認のロイ探しの旅に出てしまったので、そちらに意識を向けているロイに余計な心労をかける訳にはいかないと、自分達カード部隊だけで解決すべく頭を使っている。
「そ、そうか!そうだったのか。流石は我が主。最強頭脳集団の頂点であるダイヤキングである私など軽く超えて行かれる!流石は神!」
勝手に盛り上がっているのだが、他のカード達は意味が分からないと言う顔をしつつもロイが神である事に対して異存はないので、どれほど素晴らしい事を考えていたのかをダイヤキングに問いかける。
「そ、その真意とはどのような事でしょうか?ダイヤキング殿?」
「フフフフ、我が主、神たる主はこうお考えなのだ。良く思いだしてみると良い。あのアザヨ町では商会として過剰な助力はダメと仰った。つまり、こうなる事を見越しておいでだったのだ」
未だに頭に??が浮かんでいる部隊の面々だが、その目は無駄に期待に溢れている。
「流石は我が主。神のお力を以てすればこの程度の未来を読む事など容易かった。つまり……だ。この状況に陥る事を見越して、商会の行動を制限されていらっしゃったと言う事は!誰がどう考えてもここは万屋の出番であると言う事に他ならない!」
「「「「「おぉ~!!!!」」」」」
ロイにしてみれば全くそのような事は考えておらず、過剰な援助をしては永遠に自立できないと言う気持ちからそう伝えていただけだが、頭脳部隊最強のダイヤキングのこの演説でカード部隊全員の意識が無駄に統一されてしまう。
「で、では……最近シンロイ商会に来られて少々お困りの様子の方々に対して、どの様に万屋について情報を与えるのでしょうか?」
「フフフフ、そこよ!よくぞ気が付いたぞ、ダイヤテン!万屋は我が主を頂点とする裏の組織。つまりは謎に包まれていなくてはならない!となれば、必然的にスペード部隊の出番であろう?」
諜報・隠密・ついでに暗殺に長けているスペード部隊であれば、正に裏の組織と言う雰囲気を出すのにふさわしい。
「おぉ、その栄誉、是非ともこのスペードジャックにお任せください!」
スペード部隊のトップ3の一体がこう申し出た瞬間、平の隊員達は開きかけた口を閉じる。
「フム、ジャックであれば申し分ない。では詳細は後ほど詰めるとしよう」
半ば強制的に会議は終了されるので、これ以降の詳細については誰一人として知らない状況の中で作戦は進んで行く。
その頃のロマニューレは、実際に得体のしれないシンロイ商会に対して明らかにダメージを与えられた事に気を良くしてスーレシア達に義務は果たしたと連絡済みであり、スーレシアも明らかに商会のショーケースの中身に隙間が出来ている事から、その報告は事実であると認識し、このままいけば自分達の癒しの出番も近いと喜ぶ。
「お姉ちゃん、この前に買った薬草、もうないのですか?」
父親の為に薬草を購入した事があるサリナが、この店を任されているカードの一人であるハートサードに対してこう告げるのだが……残念な事に今は入荷待ちの状態で直に販売できる状態には無いので、本当に申し訳なさそうに事実を告げる。
因みに、ハートサードもダイヤキングとスペードジャックの作戦とやらを認識していないので、綺麗な眉を少々寄せながらしゃがみこみ、一人でこの店に来ているサリナに対して視線を合わせて話す。
「申し訳ありません。ですが、間もなく入荷する予定ですので心配しないでくださいね?」
この父親の怪我は前回の薬草を一回使用しただけでは完治しなかったようで、どれほど重い怪我を負っていたのかと心配になるハートサードは、場合によっては自ら出向いて光魔法、場合によっては聖魔法を行使すべきではないかと悩んでいるのだが、神であるロイの指示は過剰な助力はしないと言う事だったので、かろうじて思いとどまる。
「……わかりました。また明日も来て良いですか?」
「はい。もちろんです!お待ちしておりますね」
トボトボと帰るサリナの後ろ姿を見て胸が締め付けられる思いをしているハードサードだが、この状況は即改善される事になる。
とは言え、残念ながら相当な数を必要としている薬草が今すぐに入手できる状況にはないので、別の方法、明らかに商会とは異なる手法……つまり万屋が活動して一気に改善される。
例えばダンジョン内部の素材を入手していると情報を掴めば、カード部隊が一旦その素材入手を終了した後にダンジョン入り口を無駄に塞ぐ様な細かい嫌がらせの他に、塞いだ物資を強制的にどかした際には爆発するような魔道具を仕込ませる等の悪辣な行為を実施しており、カード部隊としても周囲の被害がある可能性が高く慎重に行動せざるを得ないので、納品に遅れが発生する事態に陥る。
当然当初の目的である素材奪取も実施しており、油断していたカード部隊は収納魔法を使っては問題があるので、敢えて地上付近で素材を並べて整理した上で収納袋に入れ替えており、再び素材入手のために行動している最中にその収納袋を奪われていた。
まさに油断以外の何物でもないのだが、有り得ない程に大量の素材と共に貴重と言われている収納袋まで手に入れたロマニューレはホクホク顔だ。
結果的にその影響を受けるのは全ての商会であり、当然出来たばかりのアザヨ町での商会も含まれる。
この状況をどう報告すべきかと、全ての情報を精査しているダイヤキングは非常に悩んでいる。
今は絶対の主であるロイの姉が家出と言う名の家族公認のロイ探しの旅に出てしまったので、そちらに意識を向けているロイに余計な心労をかける訳にはいかないと、自分達カード部隊だけで解決すべく頭を使っている。
「そ、そうか!そうだったのか。流石は我が主。最強頭脳集団の頂点であるダイヤキングである私など軽く超えて行かれる!流石は神!」
勝手に盛り上がっているのだが、他のカード達は意味が分からないと言う顔をしつつもロイが神である事に対して異存はないので、どれほど素晴らしい事を考えていたのかをダイヤキングに問いかける。
「そ、その真意とはどのような事でしょうか?ダイヤキング殿?」
「フフフフ、我が主、神たる主はこうお考えなのだ。良く思いだしてみると良い。あのアザヨ町では商会として過剰な助力はダメと仰った。つまり、こうなる事を見越しておいでだったのだ」
未だに頭に??が浮かんでいる部隊の面々だが、その目は無駄に期待に溢れている。
「流石は我が主。神のお力を以てすればこの程度の未来を読む事など容易かった。つまり……だ。この状況に陥る事を見越して、商会の行動を制限されていらっしゃったと言う事は!誰がどう考えてもここは万屋の出番であると言う事に他ならない!」
「「「「「おぉ~!!!!」」」」」
ロイにしてみれば全くそのような事は考えておらず、過剰な援助をしては永遠に自立できないと言う気持ちからそう伝えていただけだが、頭脳部隊最強のダイヤキングのこの演説でカード部隊全員の意識が無駄に統一されてしまう。
「で、では……最近シンロイ商会に来られて少々お困りの様子の方々に対して、どの様に万屋について情報を与えるのでしょうか?」
「フフフフ、そこよ!よくぞ気が付いたぞ、ダイヤテン!万屋は我が主を頂点とする裏の組織。つまりは謎に包まれていなくてはならない!となれば、必然的にスペード部隊の出番であろう?」
諜報・隠密・ついでに暗殺に長けているスペード部隊であれば、正に裏の組織と言う雰囲気を出すのにふさわしい。
「おぉ、その栄誉、是非ともこのスペードジャックにお任せください!」
スペード部隊のトップ3の一体がこう申し出た瞬間、平の隊員達は開きかけた口を閉じる。
「フム、ジャックであれば申し分ない。では詳細は後ほど詰めるとしよう」
半ば強制的に会議は終了されるので、これ以降の詳細については誰一人として知らない状況の中で作戦は進んで行く。
その頃のロマニューレは、実際に得体のしれないシンロイ商会に対して明らかにダメージを与えられた事に気を良くしてスーレシア達に義務は果たしたと連絡済みであり、スーレシアも明らかに商会のショーケースの中身に隙間が出来ている事から、その報告は事実であると認識し、このままいけば自分達の癒しの出番も近いと喜ぶ。
「お姉ちゃん、この前に買った薬草、もうないのですか?」
父親の為に薬草を購入した事があるサリナが、この店を任されているカードの一人であるハートサードに対してこう告げるのだが……残念な事に今は入荷待ちの状態で直に販売できる状態には無いので、本当に申し訳なさそうに事実を告げる。
因みに、ハートサードもダイヤキングとスペードジャックの作戦とやらを認識していないので、綺麗な眉を少々寄せながらしゃがみこみ、一人でこの店に来ているサリナに対して視線を合わせて話す。
「申し訳ありません。ですが、間もなく入荷する予定ですので心配しないでくださいね?」
この父親の怪我は前回の薬草を一回使用しただけでは完治しなかったようで、どれほど重い怪我を負っていたのかと心配になるハートサードは、場合によっては自ら出向いて光魔法、場合によっては聖魔法を行使すべきではないかと悩んでいるのだが、神であるロイの指示は過剰な助力はしないと言う事だったので、かろうじて思いとどまる。
「……わかりました。また明日も来て良いですか?」
「はい。もちろんです!お待ちしておりますね」
トボトボと帰るサリナの後ろ姿を見て胸が締め付けられる思いをしているハードサードだが、この状況は即改善される事になる。
とは言え、残念ながら相当な数を必要としている薬草が今すぐに入手できる状況にはないので、別の方法、明らかに商会とは異なる手法……つまり万屋が活動して一気に改善される。
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