前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる

焼納豆

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自身と自信

スキル取得へ向けて初討伐(4)

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 なんだか、空腹で目が覚めた。

 ああ、俺はLvアップに成功して、またすぐに寝てしまったんだな。
 流石にかなり長い時間何も食べていないので、がっつり何かを食べたいところだ。
 
 と、

「おはようございます、ご主人様。目的のLvアップと希望のスキルも手に入ったことですし、今日は少しゆっくりされてはいかがですか?」

 相変わらずかわいいモモが、人化した状態で話しかけてきた。
 
「そうだな、焦り過ぎても良くないし、スキルの勉強もしないといけないからな。権能は頭に入っては来るんだけど、これだけスキルの量が多いと、何が何だかよくわからないしな。元から頭はあんまりよくないし・・・」

「では、お食事でもいかがでしょうか?随分と何も口にされていなかったので・・少し心配なのです・・」

 モモよ、優しい気づかいありがとう。でも、頭が良くないというフレーズの部分は否定して欲しかったぞ・・。
 でも今は空腹を満たすのが先だ。

「そうだな。何か腹持ちの良い物を食べておきたいな」

「承知しました。では、<リザード>のお肉とキャベツを炒めた物、デザートにリンゴはいかがでしょうか?」

「モモ、この世界のキャベツとリンゴって、前世と同じなの?」

「はい。全く同じでした。きっと地球神様がせめて食事位はあまり変わらない場所を転生先に選んでくれたのかもしれませんね」

 地球神様、お名前は分かりませんがありがとうございます。
 で、肉だが、<リザード>の肉と言っていたので、魔獣の肉だ。

 はっきり言って肉は、魔獣のLvが高ければ高いほどおいしい肉なのだ。
 この<リザード>は一度だけ食べたことがあるが、なかなかだ。

 そう、俺は違いの分かる男なのだ。ふっふっふ。

「モモさんや、前に一回だけリザードの肉を出してくれたことがあって、おいしかったんだけど、<リザード>ってLvはどのくらいなの?」

 よせば良いのに、聞いてみた。

「前回お出しした<リザード>のお肉は浅層で仕留めたものですので、高くてもせいぜいLv10と言ったところでしょうか?」

 おうっ!庶民の味でした。

 そうだよ、贅沢なお肉なんて必要ないんだよ。
 きっとあれだ、あれ、前世で言うところのスキー場で食べるカレー的な、雰囲気で無駄においしく感じるやつだな。

 気持ちを切り替え、モモが食事を準備してくれている待ち時間の間に、水晶さんと今後の状況について少し話をしておくこととした。

「水晶さん、ウェインがここを出てからどれ位経っているかよくわからないけど、今後の動きについてちょっと相談に乗ってくれない?」

『ウェインは、到着しているであろう時間は経過しているはずですが、如何しましたか?』

 そうか、であれば<アルダ>の家族は今の俺の状況を理解しているという事だな。

 そうなると、ウェインが持ち帰るメッセージが重要になってくるが、俺は少し不安になっていることがある。その部分から相談するか。

「実は、<神猫>を管理している人族領<アルダ>にいる家族はもちろんのこと、近衛兵、領民まで皆仲が良くて、特に近衛レベルになると、俺達家族のためになら平気で命を捨てる勢いなんだ。だから、きっと俺の近衛は今の俺の状況を知ったら、安心はしてくれるが絶対に俺の所に来ようとするだろう。なぜなら、俺は行方不明扱いになるので、王命に反する行為ではなくなるからな」

『なるほど、ではこの<神狼>の設定を変更し、攻撃禁止対象にしましょうか?』

「もちろんそうする予定だけど、実はここ設定とか、管理とか、はっきり言って俺あまり何もやってないだろ?『そうですね』」

「・・・・・」

 ちょっと食い気味に来ましたね。163階層は破壊しなかったから怒られることはなかったが、まだ機嫌が治っていないのかな? 

「コホン・・・。で、ですよ、今後も俺は外に長らく出る必要もあるわけですし、できれば代理で管理していただけると助かるな・・と思うわけですが、どの様に感じられますでしょうか?」

 ちょっと、下からモードで聞いてみた。

『現在とあまり変わりありませんので、問題ありません。では、対象となる近衛の名前、種族を教えて下さい』

 手厳しい!!けど、ここで突っ込むほど俺は無謀ではないので、とりあえず質問に答えることにした。

「種族は<エルフ>で、名前は<ラム>です」

『設定完了しました。ほかに何かございますでしょうか?』

 仕事が早いな。よし、次の質問だ。

「<念話:Lv8・・帝級>になったので、ウェインとスキルで交信したいんだけど、<神狼>内部で何か阻害されることはある?」
 
『今の<神狼>の設定では、スキルの使用は、深層に近づくほど大きな制約が加わります。これは、ほぼ全てのスキルが階層のLv以上ないと使用できないか、または大きな制限がかけられるためです。ご主人様は管理者ですのでこういった事は一切ありませんので、使用することができます』

 よくわかった。さっそく試してみよう。

 スキル<念話:Lv8・・帝級>起動・・

『ウェイン、俺だ、ジンだ。聞こえるか?』

『ジン様、聞こえております。<念話>スキルを取得なさったのですか?』

『ああ、とりあえず問題なく連絡できているようで安心した。そっちはどうだ、俺の家族は皆元気か?』

『はい。皆ジン様を心配しておられましたがお元気です。また、ご命令頂いた件、滞りなく終了しました。ご家族様からの返事を待っている状態で、でき次第帰還するのですが、ここで問題がありまして、ご連絡いただけて正直助かりました』

 俺の想定よりも早く仕事をこなしてくれたようだ。この速さなら、クズの連絡は当然まだ来ていない状態なので、「ジンが行方不明」なんて言われた状態ではないから、少しは落ち着いて話を聞いてもらえたのではないだろうか。
 家族も元気とのことで、一安心。

 で、問題と言っているが、きっと俺の近衛兵<エルフ>のラムだな。というか、それしかない。

 どうしても俺のところに行く、と言ってきかないのだろう。

 そもそも王命で辺境伯の子供のみで<神狼>攻略へ行くときも、ついていくのをあきらめさせるのが本当に、ホント~に大変だった。心配してくれているのは嬉しいけどね。

 そこで、俺は、

『ウェイン、問題とはラムのことだろう。一緒に帰還して問題ないぞ。すでに<神狼>も攻撃禁止対象にラムを加えているからな』

『ジン様、その通りでございます。ラム様が私についてくると言いまして、私はジン様にお伺いできる状況ではない為、一度お断りさせて頂いたのですが、それなら勝手についていく・・と申されまして』

 ラムらしいっちゃらしいな。
 変わらない人の話を聞くと和むことができる。

『問題ないぞ、いつものラムだ。帰還途中でウェインからも都度<念話>で連絡を入れてくれ。俺の<帝級>なら、このスキルで一度でも<念話>をしておけば、相手からも俺に連絡できるからな』

『承知いたしました。ではまた改めて連絡させていただきます。また、ラム様の同行につきまして許可をいただきましてありがとうございました。これで絡まれずに済みます・・・』

 ちょっと苦労しているようだが、道中少しでも打ち解けてくれればありがたい。ラムも俺に対しては過保護レベルだが、とてもいいやつなのだ。

 あ、ちなみに女性だぞ!!
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