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最後の戦い
召喚者のその後
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ウェインは北野に対して聴取を行っている。
この世界の聴取は、どんなに痛めつけても<神の権能>を使えば復活させることができるし、痛みだけを残して外傷のみ回復させることもできる。
要するに、かなり残酷な聴取が行われているのは容易に想像できる。
正直に言えば、<神の権能>を使ってしまえば情報など労せずに手に入れることができる。もちろんウェインもわざわざ真偽を確認する手間を省くために既に本当の情報は手に入れている。これは既に俺に<念話>で報告があった。
しかし、あえてウェインは北野に対して事情聴取を行っているのだ。
これも罰の一環なのだろう。
事情聴取の内容はかなりえげつないので、ここでは省略しよう。
実際に北野が持っていた情報は、
・ドルロイはこの大陸外の国家と会議を行っていたことがある
・<シータ王国>のもつ特殊アイテムの一部は大陸外から得た物である
・召喚術も大陸外から得たアイテムによって過去に実施した
・全てのアイテムはもうないと聞いていたが、まさか逃げるアイテムを持っているとは思わなかった
と言った所だ。
つまり、大陸外の国家の力がなければ召喚もできないし、その召喚者によってもたらされた各種ドロップアイテムもなかったのだろう。
この大陸外の者達が持つ知識レベルが非常に高いことは分かった。だが、実際に戦闘能力が高いかどうかは別の話だ。
<シータ王国>が初代の召喚者を大陸外の国家の力で実施してから相当な年月が経っている。その間に大陸外からの攻撃や侵略と言った事は行われていないはずなのだ。
召喚に関しては、一人の召喚に対して1,000人の犠牲が必要になる事がわかっている。
この手法を伝授した国では、非人道的なこの手法を実施していないのだろう。そして、現状我らの大陸が侵略されていない状況を考えると、友好的な国家、常識のある国家群なのではないだろうか。
何れ機会を見て訪問等できればいいと思っている。
もちろんこの情報は、幹部全員と、ジュリ、ロメにも話をしておいた。
父さんが各隊長や特殊スキルを持つジュリ、ロメに相談した結果、大陸外の国々に関しては対処する必要はないだろうとの事で、会議は実施されていない。
以前の会議で処遇が決定していた召喚者である<強制隷属>の佐藤は、既に【技術開発部隊】の管理下に置かれている。一度、破壊された<神狼>の町の防壁を視察しに行った際、ガジム隊長達にかかれば瞬間で復元できる壁を、ひたすら手作業で修復させられていた。作業の進捗が悪かったり、満足いく仕上がりでない場合は容赦ない鉄拳が飛んでいるようだ。それも、辛うじて命には別状のないレベルの鉄拳が。
そして、<重力魔法>の悠里は<神鳥>の町にある宿泊施設の下働きをすることになった。
未だ骨折箇所が治っていないので、リハビリをしつつ住み込みで作業を行っているはずだ。一気に直してやらないのも罰の一環だが、痛みについては殆ど取り除いてやっている。
宿泊施設には、【管理部隊】を通して事情を話し、悠里に対しては少しだけ厳しめの扱いにして、給金などは普通の下働きと同じ様に出すようにお願いしておいた。当初は放逐する予定だったのだが、俺の甘さが出て職場まで紹介してしまった。
当初宿泊施設長は、悠里の受け入れ拒否を【治安維持部隊】と【管理部隊】に連絡してきた。俺に大けがを負わせたやつと同じ屋根の下で働けるか!!・・・と、ものすごい剣幕だったそうだ。なので、実際に俺が出向いてお願いした経緯もあったりする。
もう少しすると、北野は<神狼>の町にある鍛錬場に<転移>で連行されるだろう。その後あいつは、二度と鍛錬場から出ることができない。
<神の権能>とガジム隊長の魔道具、そして奴隷紋による三重の制御で脱出を禁じている念の入れようだ。先の戦いで、あいつの策略にしてやられた事が尾を引いているのだろう。
鍛錬場は膨大な広さがあり、ゴーストタウン、森、洞窟、草原のステージがある。ステージの追加、変更は、今後の状況に応じてあるかもしれないが、このステージ間については、今の所移動制限をかけないそうだ。
食料などはその辺りにいる魔獣や野生生物を自力で捕獲する他ない。もちろん<身体強化>はそのままにしてやっているので、大きな問題はないだろう。
そして、父さんが言っていた復活祭だが、あの日から相当な日数が経ってしまったが、漸く開催される運びになった。
と言うのも、大同盟各国からの要請で緊急会議を実施した際に、各国が<アルダ王国>の一地方としての扱いにして欲しいと打診があったのだ。
各王曰く、現時点で既に<アルダ王国>の力に頼りきりであり、各国家でわざわざ国王がいる必要性もないとの事だ。
この発言をした者には<フラウス王国>のリンデム王も含まれる。
父さんは、各国の自治を尊重して今のままであるべき・・と主張したのだが、数の力で押し切られてしまった。
もう一つ、国家を<アルダ王国>とすることには断固反対したのだが、こちらも頑として譲らない各国の王に押し切られた。
だが、発祥は<アルダ-フラウス大同盟>である事は、記念碑や各学校の一般教養時に必ず学べるようにする事にした。これが父さんにできた精一杯の抵抗だ。
学校と言えば、ガジム隊長には魔道具関連の講師になってもらう予定だったのだが、現状では少し難しそうに見える。
代わりにすっかり丸くなった?ランドル副隊長かノレンド副隊長が講師になるのだろうか?
そして、大同盟が一つの国家として新たに発足した結果、この大陸に存在する国家は40カ国から8カ国が統合されて43カ国になった。と思ったのだが、<シータ王国>は既に国民も他国に流れており、誰もいない廃墟となったので国家としての認定はなくなった。
領地は何故か俺達の国家に統合されたので、実質国家は42カ国だ。
このおかげで、【技術開発部隊】による防壁の作成作業が大忙しで、ガジム隊長達は嬉しそうに作業をしている様子が目に浮かぶが、斎藤は、それこそ死ぬ思いで働いているだろう。だが、最低限・・本当に最低限の衣食住が保証されているのだから感謝してほしい。
ただし、自由時間は全くないし、休憩などももちろんない。そして睡眠時間は3時間程度だが・・・
新生<アルダ王国>において、元各国の王族は、そのまま<アルダ王国>の一地方の領主と言う位置づけになり、実際の業務については今と変わらない状態になる。
国家間の移動と言う考えはなくなるので、入退出門の管理は若干緩くなる。しかし、防壁自体を撤廃してしまうと、外敵からある地方が侵略された場合、次の地方侵略の障害が無くなることから、そのまま運営することになっている。
と、こんな状況なので、即復活祭と言う事はできなくなっていたのだ。
流石に話もまとまって、それぞれの王族・・いや、地方領主もある程度円滑に<アルダ王国>の王都とうまく連携が取れるようになってきたため、復活祭を行うことになった。
前回は旧<アルダ王国>の国土のみで祭りを開催していたが、今回は復活した幻獣達が各領地に出向いて顔見せを行うことになっている。
彼らは各領地間にある転移門を使用しなくても一気に<転移>できるので、数日で全ての領地に顔を出すことができるだろう。
その間、俺と神獣達は相変わらず<魔界森>の塔で寛がせてもらう事にしている。
実は、復活祭がまだ開催されていない今も塔でのんびりしている。
塔の周りにはラムが育ててくれた果物や野菜がなっており、必要に応じて近隣にいる魔獣を討伐して食料とし、生活しているのだ。
そうそう、ラムは俺の近衛からリノス義兄さんの護衛に異動になった。
王族に<SS:聖級>の護衛は必須とのことだ。俺は自身が<SSS:神級>だし、周りにいる神獣達、更には幻獣も好きにに召喚できるので、表立った護衛は不要になったのだ。
ラムの護衛最終日は、今までのお礼を兼ねて、この塔で盛大にパーティーを実施した。ラムと俺、そして神獣達、幻獣部隊だけでだけどね。
そして他に変わったことと言えば、あの一件以来、モモはかなり甘えるようになってきた。そんなモモを見て、残りの三人も甘えてくるんだ。
やがて復活祭が開催されて、普段より忙しくしている<神鳥>の町にある宿泊施設に一度だけ顔を出した。
そこには必死で働く悠里がいた。その顔は、以前俺のために一生懸命何かをしてくれていた悠里であり、優しくも逞しい雰囲気を醸し出している。
施設長に話を聞くと、
「ジン様、あの女・・いえ悠里はとても良く仕事をしてくれています。見直しましたよ。今ではある程度の仕事も任せており、仕事の重要性に応じて給金も上げています。ですが、一度骨折した箇所がうまくつながっていなかったようで、動きがぎこちない所はありますがね・・。それを差し引いても正直素晴らしいと思います。宿泊客もジン様との事が有るのを知っているので、最初はかなり厳しく接していましたが、ある者には謝罪を、ある者には真心のサービスをしていく内に今ではすっかり認められています」
<心身操作>、そして前世からのマインドコントロール?の影響から完全に抜けて、あの頃の悠里に戻っているのだろうか。この短い期間で皆に認められるとは・・・。そのまま少し悠里と話をさせてもらうことにした。
「久しぶりだな悠里」
悠里は驚いた顔を見せたが、意を決したように話出した。
「ジン・・・あの、本当にごめんなさい。謝って済むことじゃないのは分かっているけど、どうしても会って謝罪したかったの」
「ああ、今の悠里を見ていれば前の優しい悠里に戻ってくれたことがわかるよ。仕事も順調そうだな」
そう言って、俺は<神の権能>を使用して悠里の腕を完全に治してやった。
もちろん悠里には気が付かれないようにね・・
「うん、ジンのおかげで良い人達に囲まれて仕事させてもらっているよ」
「そうか、それを聞いて安心した。これからも頑張れよ?」
そう言って、俺は<転移>で<魔界森>の塔に帰った。
何をしてきたかなど神獣達にはお見通しのはずだが、彼女達は微笑むだけで何も言わない。
と言うよりも、本当ならば決して俺を一人で外出などさせないのだが、何をするのかわかっていたかのように一人で行かせてくれたのだ。
彼女達にはかなわないな。
そして、他の状況はと言うと・・・
辺境伯の子供三人と<強制隷属>を持っていた斎佐藤は、ガジム隊長達に良いように使われて、疲労困憊状態が継続中。
佐藤は死んだ魚の目をしており、最早只の動く人形の様だった。
北野はもっと惨かった。
良いように的にされているので、睡眠中もお構いなしに手練れに襲われている。
そして、簡単に傷を負ってしまうと訓練にならなかった罰を受けるのだ。
時折重症を負っているが、強制的に治癒されて訓練の的を継続させられている。
こうなると、自ら命を絶ってしまいそうなものだ。
だが、ウェイン隊長はそんなことは既にお見通して、若手隊員の訓練中だろうが必ず腕利きの隊員2名以上を北野の監視につけている。
万が一、即死の攻撃が北野にあたりそうになった場合は、致命傷に近いダメージを受けることになるように、攻撃の威力を一部相殺させているのだそうだ。そして、実際に北野が自死を選んだ時には、同じように致命傷寸前までは実行させ、その直後に救出したらしい。
実行時に止めないところが、ウェイン隊長の怒りを感じさせる。
そして、当然その後はその行為に対する厳しい教育が待っている。こうなると心の方が心配だが、<神の権能>を使用して時折心も修復しているとの事。この力は、北野の<心身操作>の派生らしいので、自業自得だろう。
極め付けは、週一回ウェイン主導の【諜報部隊】の暗部側の隊員に、尋問の教育がなされるらしい。その実験台が北野なのだそうだ。
ガジム隊長と協力し、恐怖や痛みを数値化する魔道具を開発して、どの様な行為が効果的か実地訓練している・・・との事。本当に恐ろしい。ガジム隊長も北野に対する怒りからか、即魔道具を仕上げたらしい。
あの会議では淡々としていたウェイン隊長だったが、北野に対する怒りは相当な物であったことが理解できたのだ・・・
この世界の聴取は、どんなに痛めつけても<神の権能>を使えば復活させることができるし、痛みだけを残して外傷のみ回復させることもできる。
要するに、かなり残酷な聴取が行われているのは容易に想像できる。
正直に言えば、<神の権能>を使ってしまえば情報など労せずに手に入れることができる。もちろんウェインもわざわざ真偽を確認する手間を省くために既に本当の情報は手に入れている。これは既に俺に<念話>で報告があった。
しかし、あえてウェインは北野に対して事情聴取を行っているのだ。
これも罰の一環なのだろう。
事情聴取の内容はかなりえげつないので、ここでは省略しよう。
実際に北野が持っていた情報は、
・ドルロイはこの大陸外の国家と会議を行っていたことがある
・<シータ王国>のもつ特殊アイテムの一部は大陸外から得た物である
・召喚術も大陸外から得たアイテムによって過去に実施した
・全てのアイテムはもうないと聞いていたが、まさか逃げるアイテムを持っているとは思わなかった
と言った所だ。
つまり、大陸外の国家の力がなければ召喚もできないし、その召喚者によってもたらされた各種ドロップアイテムもなかったのだろう。
この大陸外の者達が持つ知識レベルが非常に高いことは分かった。だが、実際に戦闘能力が高いかどうかは別の話だ。
<シータ王国>が初代の召喚者を大陸外の国家の力で実施してから相当な年月が経っている。その間に大陸外からの攻撃や侵略と言った事は行われていないはずなのだ。
召喚に関しては、一人の召喚に対して1,000人の犠牲が必要になる事がわかっている。
この手法を伝授した国では、非人道的なこの手法を実施していないのだろう。そして、現状我らの大陸が侵略されていない状況を考えると、友好的な国家、常識のある国家群なのではないだろうか。
何れ機会を見て訪問等できればいいと思っている。
もちろんこの情報は、幹部全員と、ジュリ、ロメにも話をしておいた。
父さんが各隊長や特殊スキルを持つジュリ、ロメに相談した結果、大陸外の国々に関しては対処する必要はないだろうとの事で、会議は実施されていない。
以前の会議で処遇が決定していた召喚者である<強制隷属>の佐藤は、既に【技術開発部隊】の管理下に置かれている。一度、破壊された<神狼>の町の防壁を視察しに行った際、ガジム隊長達にかかれば瞬間で復元できる壁を、ひたすら手作業で修復させられていた。作業の進捗が悪かったり、満足いく仕上がりでない場合は容赦ない鉄拳が飛んでいるようだ。それも、辛うじて命には別状のないレベルの鉄拳が。
そして、<重力魔法>の悠里は<神鳥>の町にある宿泊施設の下働きをすることになった。
未だ骨折箇所が治っていないので、リハビリをしつつ住み込みで作業を行っているはずだ。一気に直してやらないのも罰の一環だが、痛みについては殆ど取り除いてやっている。
宿泊施設には、【管理部隊】を通して事情を話し、悠里に対しては少しだけ厳しめの扱いにして、給金などは普通の下働きと同じ様に出すようにお願いしておいた。当初は放逐する予定だったのだが、俺の甘さが出て職場まで紹介してしまった。
当初宿泊施設長は、悠里の受け入れ拒否を【治安維持部隊】と【管理部隊】に連絡してきた。俺に大けがを負わせたやつと同じ屋根の下で働けるか!!・・・と、ものすごい剣幕だったそうだ。なので、実際に俺が出向いてお願いした経緯もあったりする。
もう少しすると、北野は<神狼>の町にある鍛錬場に<転移>で連行されるだろう。その後あいつは、二度と鍛錬場から出ることができない。
<神の権能>とガジム隊長の魔道具、そして奴隷紋による三重の制御で脱出を禁じている念の入れようだ。先の戦いで、あいつの策略にしてやられた事が尾を引いているのだろう。
鍛錬場は膨大な広さがあり、ゴーストタウン、森、洞窟、草原のステージがある。ステージの追加、変更は、今後の状況に応じてあるかもしれないが、このステージ間については、今の所移動制限をかけないそうだ。
食料などはその辺りにいる魔獣や野生生物を自力で捕獲する他ない。もちろん<身体強化>はそのままにしてやっているので、大きな問題はないだろう。
そして、父さんが言っていた復活祭だが、あの日から相当な日数が経ってしまったが、漸く開催される運びになった。
と言うのも、大同盟各国からの要請で緊急会議を実施した際に、各国が<アルダ王国>の一地方としての扱いにして欲しいと打診があったのだ。
各王曰く、現時点で既に<アルダ王国>の力に頼りきりであり、各国家でわざわざ国王がいる必要性もないとの事だ。
この発言をした者には<フラウス王国>のリンデム王も含まれる。
父さんは、各国の自治を尊重して今のままであるべき・・と主張したのだが、数の力で押し切られてしまった。
もう一つ、国家を<アルダ王国>とすることには断固反対したのだが、こちらも頑として譲らない各国の王に押し切られた。
だが、発祥は<アルダ-フラウス大同盟>である事は、記念碑や各学校の一般教養時に必ず学べるようにする事にした。これが父さんにできた精一杯の抵抗だ。
学校と言えば、ガジム隊長には魔道具関連の講師になってもらう予定だったのだが、現状では少し難しそうに見える。
代わりにすっかり丸くなった?ランドル副隊長かノレンド副隊長が講師になるのだろうか?
そして、大同盟が一つの国家として新たに発足した結果、この大陸に存在する国家は40カ国から8カ国が統合されて43カ国になった。と思ったのだが、<シータ王国>は既に国民も他国に流れており、誰もいない廃墟となったので国家としての認定はなくなった。
領地は何故か俺達の国家に統合されたので、実質国家は42カ国だ。
このおかげで、【技術開発部隊】による防壁の作成作業が大忙しで、ガジム隊長達は嬉しそうに作業をしている様子が目に浮かぶが、斎藤は、それこそ死ぬ思いで働いているだろう。だが、最低限・・本当に最低限の衣食住が保証されているのだから感謝してほしい。
ただし、自由時間は全くないし、休憩などももちろんない。そして睡眠時間は3時間程度だが・・・
新生<アルダ王国>において、元各国の王族は、そのまま<アルダ王国>の一地方の領主と言う位置づけになり、実際の業務については今と変わらない状態になる。
国家間の移動と言う考えはなくなるので、入退出門の管理は若干緩くなる。しかし、防壁自体を撤廃してしまうと、外敵からある地方が侵略された場合、次の地方侵略の障害が無くなることから、そのまま運営することになっている。
と、こんな状況なので、即復活祭と言う事はできなくなっていたのだ。
流石に話もまとまって、それぞれの王族・・いや、地方領主もある程度円滑に<アルダ王国>の王都とうまく連携が取れるようになってきたため、復活祭を行うことになった。
前回は旧<アルダ王国>の国土のみで祭りを開催していたが、今回は復活した幻獣達が各領地に出向いて顔見せを行うことになっている。
彼らは各領地間にある転移門を使用しなくても一気に<転移>できるので、数日で全ての領地に顔を出すことができるだろう。
その間、俺と神獣達は相変わらず<魔界森>の塔で寛がせてもらう事にしている。
実は、復活祭がまだ開催されていない今も塔でのんびりしている。
塔の周りにはラムが育ててくれた果物や野菜がなっており、必要に応じて近隣にいる魔獣を討伐して食料とし、生活しているのだ。
そうそう、ラムは俺の近衛からリノス義兄さんの護衛に異動になった。
王族に<SS:聖級>の護衛は必須とのことだ。俺は自身が<SSS:神級>だし、周りにいる神獣達、更には幻獣も好きにに召喚できるので、表立った護衛は不要になったのだ。
ラムの護衛最終日は、今までのお礼を兼ねて、この塔で盛大にパーティーを実施した。ラムと俺、そして神獣達、幻獣部隊だけでだけどね。
そして他に変わったことと言えば、あの一件以来、モモはかなり甘えるようになってきた。そんなモモを見て、残りの三人も甘えてくるんだ。
やがて復活祭が開催されて、普段より忙しくしている<神鳥>の町にある宿泊施設に一度だけ顔を出した。
そこには必死で働く悠里がいた。その顔は、以前俺のために一生懸命何かをしてくれていた悠里であり、優しくも逞しい雰囲気を醸し出している。
施設長に話を聞くと、
「ジン様、あの女・・いえ悠里はとても良く仕事をしてくれています。見直しましたよ。今ではある程度の仕事も任せており、仕事の重要性に応じて給金も上げています。ですが、一度骨折した箇所がうまくつながっていなかったようで、動きがぎこちない所はありますがね・・。それを差し引いても正直素晴らしいと思います。宿泊客もジン様との事が有るのを知っているので、最初はかなり厳しく接していましたが、ある者には謝罪を、ある者には真心のサービスをしていく内に今ではすっかり認められています」
<心身操作>、そして前世からのマインドコントロール?の影響から完全に抜けて、あの頃の悠里に戻っているのだろうか。この短い期間で皆に認められるとは・・・。そのまま少し悠里と話をさせてもらうことにした。
「久しぶりだな悠里」
悠里は驚いた顔を見せたが、意を決したように話出した。
「ジン・・・あの、本当にごめんなさい。謝って済むことじゃないのは分かっているけど、どうしても会って謝罪したかったの」
「ああ、今の悠里を見ていれば前の優しい悠里に戻ってくれたことがわかるよ。仕事も順調そうだな」
そう言って、俺は<神の権能>を使用して悠里の腕を完全に治してやった。
もちろん悠里には気が付かれないようにね・・
「うん、ジンのおかげで良い人達に囲まれて仕事させてもらっているよ」
「そうか、それを聞いて安心した。これからも頑張れよ?」
そう言って、俺は<転移>で<魔界森>の塔に帰った。
何をしてきたかなど神獣達にはお見通しのはずだが、彼女達は微笑むだけで何も言わない。
と言うよりも、本当ならば決して俺を一人で外出などさせないのだが、何をするのかわかっていたかのように一人で行かせてくれたのだ。
彼女達にはかなわないな。
そして、他の状況はと言うと・・・
辺境伯の子供三人と<強制隷属>を持っていた斎佐藤は、ガジム隊長達に良いように使われて、疲労困憊状態が継続中。
佐藤は死んだ魚の目をしており、最早只の動く人形の様だった。
北野はもっと惨かった。
良いように的にされているので、睡眠中もお構いなしに手練れに襲われている。
そして、簡単に傷を負ってしまうと訓練にならなかった罰を受けるのだ。
時折重症を負っているが、強制的に治癒されて訓練の的を継続させられている。
こうなると、自ら命を絶ってしまいそうなものだ。
だが、ウェイン隊長はそんなことは既にお見通して、若手隊員の訓練中だろうが必ず腕利きの隊員2名以上を北野の監視につけている。
万が一、即死の攻撃が北野にあたりそうになった場合は、致命傷に近いダメージを受けることになるように、攻撃の威力を一部相殺させているのだそうだ。そして、実際に北野が自死を選んだ時には、同じように致命傷寸前までは実行させ、その直後に救出したらしい。
実行時に止めないところが、ウェイン隊長の怒りを感じさせる。
そして、当然その後はその行為に対する厳しい教育が待っている。こうなると心の方が心配だが、<神の権能>を使用して時折心も修復しているとの事。この力は、北野の<心身操作>の派生らしいので、自業自得だろう。
極め付けは、週一回ウェイン主導の【諜報部隊】の暗部側の隊員に、尋問の教育がなされるらしい。その実験台が北野なのだそうだ。
ガジム隊長と協力し、恐怖や痛みを数値化する魔道具を開発して、どの様な行為が効果的か実地訓練している・・・との事。本当に恐ろしい。ガジム隊長も北野に対する怒りからか、即魔道具を仕上げたらしい。
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魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
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勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
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