前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる

焼納豆

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最後の戦い

理想とは

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 ドロドロしてしまったので、次は明るい状況の話だ。

 リノス義兄さんとヤリス姉さんはとても仲の良い夫婦で、時々畑の作業やリノス義兄さんを鍛える鍛錬?をしている。
 ほどほどにしないと、姉さんのLvとは違いすぎるんだからね。

 ロイド兄さんとミーナが結ばれたのは予想通りなのだが、ユージの野郎、あっという間にキャムと結婚しやがった。

 さんざん猫耳と言っていたからそうなるとは思っていたが、早すぎだろう。

 その報告を受けた時に話した内容は、

「ジン、俺キャムと結婚するからさ」

 と、非常に軽い報告だった。

「えっ、イヤ早いな。おめでとう。今更だけどお前、日本に未練はないのか?俺は記憶は日本人だが、ここで産まれているから未練なんかはないけど」

「おいおい、バカだな。ここには親友がいて、そして猫耳がいる。あっちには何もない。それが全てだ」

 と相変わらずの事を言ってのけた。きっとあいつにとって俺も大切に思ってくれているのは本当だが、今はキャムが一番だろう。そうでないと困るが・・・

 よし、親友の挙式は盛大にしてやろう。父さんたちにも相談しないとな。
 この国は祭りが好きな国なので、祭りのネタにさせて貰おうかと考えている。

 実は、最後の出陣前にキャムがユージに何かを囁き、ユージはあれほど召喚者達と対峙させろと言っていたのを瞬間で覆した。
 あれは何を言われたのか聞いてみたんだ。もちろんその時<神の権能>は使っていないので聞こえなかったんだよ。
 そして、その回答がこれだ!!

「ユージはもうすぐお父さんになるんだから、無事に帰ってこなきゃダメなんだよ!!」

 だってさ!!あの野郎!!めでたいじゃねーか。

 こうして、俺はのんびりと平和な生活をさせて貰っているが、理想の国家ができたのだろうか?と自問する時がある。
 意見の違いによる小競り合いは良いとして、無駄な争いもなく、国民が種族、そして得たスキル等関係なしに協力して楽しく笑って日々を暮らせる国!!もちろん裏切りなんてない・・・そんな国にこの<アルダ王国>はなってくれたのではないだろうか。あまり俺自身は何かをしたわけではないかもしれないが・・・。

 この大陸の他の国家については、残念ながら未だに種族の差別が存在している。
 このあたりについては、次回の会議で<アルダ王国>として父さんが厳しく意見をする予定だ。
 表向きは意見と言うことになるが、最早強制だ。今やこの大陸最強国家となっている<アルダ王国>の意見を軽視できる国はないだろう。そうすると、この大陸自体も俺の思い描く理想国家に近づけるのではないだろうか?

 もちろん各国の差別対策を次回の会議まで座して待っているわけではなく、新生<アルダ王国>の挨拶と称して、【近衛部隊】とウェインを引き連れて十分に説明どうかつしている。
 
 早くこの大陸中が平和な環境になるように、と、そんな期待を胸に、今日も俺は神獣達とのんびり過ごしている。
 他の幹部達は自らの鍛錬、通常の業務、そして休暇を楽しんでいる者もいる。
 とても平和な生活を送れている状態だ。
 国家運営としては、他の地方特産品の交易を活発にすることで各地方の経済もうまく回っている。

 【治安維持部隊】や【防衛部隊】は<アルダ王国>としての国土が一気に増えたため、【遊撃部隊】の助けを借りつつ、実務担当を各地域から常に募集している。
 一部の作業は冒険者ギルドに対して依頼を行う事により、冒険者の仕事を生み出している。

 もちろん冒険者達の主な仕事は地下迷宮ダンジョン攻略によって得る事ができるアイテムや魔獣になる。
 
 この<アルダ王国>全ての地下迷宮ダンジョンは既に俺が制覇しているので、【管理部隊】により管理されており、攻略失敗時には死亡するようなことはない設定にしているままだ。この設定に関しては、管理者権限が絡むので公にはしていないが、冒険者の間では魔獣に襲われて死亡するケースが無くなったことは、既に感覚で理解できているだろう。
 そうすると、無謀な挑戦をする輩もでるが、そんな奴らは大体身ぐるみ剥がされる・・・
  
 国民の中で特に優秀な人材や、忠誠心が非常に高い者については、正式に隊員として登用し、必要に応じて各隊長が地下迷宮ダンジョンの深層でLvアップをさせている。俺は各隊長を信頼しているため、俺の許可なしに作業を行っていいように許可を出している。
 
 実は、そのために俺自体の仕事は激減して、こんなにゆったりと過ごさせてもらえているのだが・・・

 時折各地方に顔を出すと、国民が大歓迎してくれる。
 大騒ぎされると色々大変なので、最近はお忍びで行くことが多くなっているが、神獣達はとてつもない美人なので結局目立ってしまう。贅沢な悩みだ。

 そして、三度こちらに粉をかけてきたドルロイがいるであろう他の大陸については、情報がないので何もわからない。ドルロイの挙動も不明だが、脅威にはならないだろう。
 
 と言うのも、ロメの<未来視>を<複写>して使用したウェインによれば、競技大会に出ていた魔族の兄弟が、ドルロイと見たこともない土地で相対しており、その魔族によってドルロイの首は刎ねられたようなのだ。
 <神の権能>を使用した<未来視>であれば、確実性が高い。
 とすると、あの魔族は他の大陸の住人だった可能性が高いことになる。しかし敵意はなかったし、申し訳ないが強さも何かしら強大な力で秘匿していない限り、今の<アルダ王国>の脅威にはならないだろう。

 その報告を父さんにしたところ、何と向こうから<アルダ王国>国王に対して、鳥の魔獣が持って来た手紙による連絡が来たのだそうだ。
 そこには、<未来視>の通りドルロイを断罪したこと、これからは<アルダ王国>がこの大陸の代表として会議に参加してほしいことが書かれていたそうだ。

 <シータ王国>に対しては、当初友好を築けるかと思いアイテムなどを渡して、共に研究、研鑽しようと思っていたが、人族至上主義であったために良くない感情があり、色々悪巧みをしていたことも記載してあったらしいが、<アルダ王国>にはかなり友好的な雰囲気を感じたらしい。
 とすると、あの魔族の兄弟がこの<アルダ王国>について何か伝えてくれたのかもしれないな。

 そんな事を思いつつ、相変わらず俺、いや、俺と神獣達は塔で寛いでいる。

 一度<神の権能>について、モモ達は馴染むのに100年かかり、俺もまだ馴染んでいないのに、逆にウェイン達はあっという間に馴染んだことを話したが、<SSS:神級>と大きな括りではあるが、その中身には当然差があるらしく、幻獣という特殊な種族であることも原因の一端ではあるが、モモ達を従えている俺はあまりにも強大な力を持つために、力が馴染むまでは相当な時間がかかるだろう・・・との事だった。

「でも、今の時点で既に誰よりも強いんですよ!」

 とはモモの弁だ。

 そんな他愛もない話をしながら過ごす時間、とても幸せな時間を過ごしている。
 今後は、この大陸の他国に対しての要望は父さんたちに任せて、俺達はこの大陸外の国に対しての扱いについて検討する必要がある。
 でもとりあえずはもう少し彼女達とまったりした後に考えよう。時間はたっぷりあるんだし・・・
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