前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる

焼納豆

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大陸の現状

現在の<アルダ王国>

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 俺は今<魔界森>の塔五階で、モモ、シロ、ソラ、トーカといつも通り寛いでいたのだが、そこに契約魔獣であり、<アルダ王国>の幻獣部隊であるウェイン、セリア、マーニカ、ユフロ、エレノア、レイラが<転移>でやってきた。

 幻獣部隊は、<アルダ王国>の正式な部隊として表に出てくることはなく、緊急時にその力を発揮する裏の部隊になっている。
 そして、彼らは通常は<アルダ王国>の各部隊隊長を務めているんだ。
 もちろん幻獣部隊に所属していない隊長も存在しており、構成はこうなっている。

 【防衛部隊】   隊長:ユフロ<幻獣>
   防壁の内部から外部を狙撃、外部からの攻撃を防御する部隊。
 【治安維持部隊】 隊長:レイラ<幻獣>
   国内の治安維持を行う部隊。各種国民の相談も受け付ける。
 【諜報部隊】   隊長:ウェイン<幻獣>
   他国の情報を得る部隊。必要に応じ陽動も実施する。
 【管理部隊】   隊長:セリア<幻獣>
   商業・冒険者ギルドを統括する部隊。出入国の管理やダンジョンの管理、カードの管理、学校関連の管理、そして緊急時の対策本部にもなる。
 【近衛部隊】   隊長:二コラ<エルフ族>
   王族護衛の近衛騎士部隊。
 【攻撃部隊】   隊長:マーニカ<幻獣>
   攻撃を主とする部隊。遊撃もある。
 【技術開発部隊】 隊長:ガジム<ドワーフ族>
   新たな技術を研究する部隊。
 【遊撃部隊】   隊長:エレノア<幻獣>
   各隊のサポートを実施する部隊。

 <アルダ王国>は、元は複数の国家があったところを統合して成立した新たな国家であるため、国土は膨大だ。
 統合前は各国同士が大同盟と言う形で共存していたが、各王族の懇願により一つの国家として産声を上げた。その際に、統合された旧国家の王族は一地方領主として活動してもらう事になっている。

 そんな<アルダ王国>には優秀な人材が多数おり、国内のあらゆる場所でカードと言われている身分証明書が必要になってくる。
 これは、身分証明の他、ステータスの把握、緊急連絡や通貨の管理までできる優れものだ。そのため、優秀な人材を適材適所で活動しやすい環境になっているのだ。

 その国家運営を支えているのが、<アルダ王国>王族と各領主、そして先に紹介した各隊長達だ。
 彼らの強さは別格で、そのため<アルダ王国>が大陸最強と言われている。
 
 そんな彼らの力は、<SS:聖級>と<SSS:神級>だ。
 この世界では上位のレベルを紹介すると、<A:上級>、<S:帝級>、<SS:聖級>、そして最上位に<SSS:神級>があるのだが、この<SSS:神級>になるには、この大陸?の神に認められないと決してなれないそうで、隊長達でも幻獣部隊だけがこの領域に至っている。
 モモ、トーカ、ソラ、シロは特殊な事情があり、実は俺の前世で一緒に生活していたペットだったんだ。
 そして彼女達はこの世界に神獣として転生し、俺も遅れる事100年後にこの世界に転生してきた。
 こういう特殊な環境によって、俺達も<SSS:神級>の力を持っている。
 付け加えると、何故か俺は人から神人へ進化を遂げてたりする。

 そんな幻獣部隊が突然俺達の前に全員表れるのは珍しい。
 正直皆には絶対の忠誠と親愛を受けており、と言ってもウェインのみ男性なので、彼に関しては尊敬と言った所かもしれないが、女性陣からはとてつもなく好かれている。
 なので、しょっちゅう個別に遊びに来ては俺とふれあいを求めて、その後職務に戻って行くんだ。
 でも全員、しかもウェインも一緒に来たとなると何かあったのではないかと思ってしまう。
 俺達のレベルで持ち得るスキル<神の権能>で、ある意味なんでもできる状態ではあるので、本当に緊急の連絡ならば<念話>形式で連絡してくるだろうから、緊急性はあるが、そこまで差し迫ったことではないと言う所だろう。

 とすると?最近はまったりしすぎていたから頭の体操を兼ねて推理してみようか。
 俺はこの世界には転生、つまり生まれ変わって0歳から王族として生活している。
 だが、同じ世界から召喚された者もこの<アルダ王国>で生活しているのだ。詳細は省くが、女性一名、男性三名だ。
 このうち男性二名については、生活と言っていいかは不明だが・・・

 残りの男性一名に関しては、前世からの俺の大親友であるユージと言う。
 彼は、<アルダ王国>の王族ではないが大幹部であるため、【近衛部隊】に所属する隊員が護衛についている。
 ユージはその護衛である猫獣人のキャムと結婚して子供が産まれそうだったはずだ。
 その報告である可能性が高いんじゃないだろうか?

「ウェイン、全員揃って来るなんて珍しいな。ユージの所の子供が産まれたかな?」
「ジン様、残念ながらそうではありません。キャム殿はまだ療養中です。実はドルロイが果てた大陸からの書状をダン王が受け取っていたのですが、その大陸の王族より正式に大陸間の代表会議を行いたい旨改めて連絡がありました。そして開催場所を<アルダ王国>の王都で実施したいと要望があったのです。さしあたりダン王からはジン様に至急連絡をしておくように命ぜられたため馳せ参じた次第です」
「そうか、とりあえず一度父さんの所に行くよ」

 ドルロイとは、<アルダ王国>の前身である一地方であった辺境北伯を含めて統括していた王国<シータ王国>の国王だ。
 こいつは愚王で、俺達に多大な迷惑をかけた上に一人だけ他の大陸にトンズラした過去を持つ。だが、その大陸で残念、いや、当然の結果だと思うが、排除されているんだ。

 実は今俺達がいるこの<魔界森>は、この世界で言うダンジョンと呼ばれている一つで、既に俺により制覇されて、このダンジョンの管理者は俺になっている。
 そうすると、俺が好き勝手に色々設定できるのだ。
 例えば魔獣の数、出現数、ドロップの種類、そして攻撃させるかさせないか等、やりたい放題だ。そのため、<アルダ王国>の各部隊に所属する隊員は、このダンジョンで強制的にレベルを上げて、有用なスキルも得ることができている。
 しかし、あまりにもバカげた力なので、この管理者関連の情報は幹部のみが知っている重要機密になっている。
 この<魔界森>にある塔に関しては、俺のプライベートゾーンとさせてもらっており、俺が許可した<転移>スキル持ちしかこの塔の五階層には来ることはできない。
 そして、<アルダ王国>にある全てのダンジョンも俺が制覇している。
 と言うよりも、この大陸にある全てのダンジョンが俺の物になっているのだ。

 俺が全てのダンジョンの管理者として登録されているわけだが、俺なんかがそんな管理などと言うめんどくさいことができるわけもなく、頼れる真の管理者、俺は水晶さんと呼んでいるが、ボス部屋討伐後の制御室に鎮座していた水晶と意思疎通ができるようになり、水晶さんと命名して全ての権限をフルに活用してもらい、日々運用してもらっている。

 と、そんなことはあまり関係ないが、そう言ったわけでこの塔には父さんも直接来ることはできないのだ。
 なので、俺と神獣達、そして何故か全員で迎えに来てくれた幻獣部隊と王都に<転移>し、父さんの執務室の横にある円卓の間に移動した。

 そこには各隊長、副隊長、そして特殊能力を持っている一部の隊員と王族、近衛騎士、ユージが既にいる。
 ユージの近衛であるキャムは療養中のため不在だ。

「よ、ユージ、もうすぐだな。楽しみにしてるよ」
「そうなんだよ。俺もう心配で心配で・・・」

 ユージは、俺が前世でも今世でもつらい時に本当に力になってくれたやつだ。感謝してもしきれない。
 
「そんなに心配なら、今回の幹部会議は欠席でも良いんじゃないか?誰かに内容後で教えて貰えばいいだろ?」
「うぇ?そんなわけにはいかなくないか?」

 と言いつつ、急にソワソワしだす。
 俺は国王である父さんに目配せすると、

「ユージ殿、ジンの言う通りキャムの傍にいてやってくれ」

 父さんはユージに対しては”殿”をつけて呼ぶ。これは俺を異なる世界、前世と今世で二度も救ってくれた事による敬意の表れだ。
 逆にユージは、この世界に強制召喚されたところをこの<アルダ王国>に救ってもらったと思っているので、義理堅い奴は会議の欠席に対しても後ろめたい思いがある。
 なので、あえて国王である父さんから許可を出してもらうことにした。

「ありがとうございます。申し訳ありません」

 ユージは立ち上がり、深く礼をする。
 
「ではユージ様、会議の内容につきましては私から後程ご連絡差し上げます。早く行ってあげて下さい」

 【遊撃部隊】隊長のエレノアが微笑みながらユージに告げる。
 幹部全員が優しい顔をしてユージを見ているのだ。
 この状況から、<アルダ王国>が素晴らしい国であると想像してもらえるだろうか?
 以前の<シータ王国>王族共、幹部共はこのような態度は一切取っていなかったはずだ。

 ユージは再度礼をすると、ものすごい勢いでこの部屋から出て行った。

「早く無事に産まれると良いですね」

 優しくヤリス母さんがこの場を〆てくれる。
 その後、父さんが話を始めた。

「皆、急な招集にも関わらず集まってくれてありがとう。各領主に対しては後程【管理部隊】から状況を報告を頼む。では、早速始めよう」 
 
 
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