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異大陸
捕縛した魔獣
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<コビア大陸>で二回に分けて救出した全員は、<魔界森>の塔一階層に集めさせてもらった。
ここにはウェイン隊長とマーニカ隊長、そして若干の隊員もいる。
今この層では、感動の再開に涙を流す者達で溢れている。
魔獣侵攻による死者はおらず、あのふざけた召喚術による犠牲も未然に防げた。
だが、<コビア大陸>で防げただけなので、他の大陸についても調査・対策を迅速に行っていく。
そして、捉えた魔族に関しては<神の権能>で記憶を抜いていた後、北野と同じ立ち位置で<神狼>の町にある鍛錬場の目標として存在して貰っている。
副隊長未満の隊員の喜びようは、それは凄まじかった。
実戦形式で<SS:聖級>を持つ魔獣と訓練ができるからだ。
隊員に対しては目標が増えた事を、直接目標になる魔獣の前で紹介している。
その時の隊員の喜びようを見た魔獣の絶望の表情は、何とも言えない物があった。
もちろん魔獣の力は制御などしていないし、能力の剥奪もしていない。
その状態で普通の隊員が喜ぶのだから、<アルダ王国>各部隊はある意味異常になってしまっている。
俺が短い間<魔界森>の塔五階層に籠っている間に何があったのだろうか?
もちろん隊員は、各地下迷宮でもレベルアップ作業はできるのだが、この辺りの詳しい情報は幹部にしか公開していない。
なので、隊員は会話ができる程のレベルの魔獣を相手にする事で、自らのレベル向上が早まる事を期待しているのだ。
逆に副隊長以上に関しては、若干拍子抜けだったようで、一旦全員捕縛した魔獣を見に来たが、魔獣のレベルが<SS:聖級>であるにもかかわらず、弱者認定してあっという間に興味を失ってしまった。
特に、【防衛部隊】イノザ副隊長は自らの隊に所属する隊員に対し、こう言い放った。
「良いですか?この程度の魔獣に手こずるようでは、我ら<アルダ王国>の守護を担っている部隊の隊員としては、はっきり言って力不足です。その事を肝に銘じで死ぬ気で鍛錬に励みなさい」
それを聞いていた隊員たちの気合が何故か異常に上昇した。
魔獣は更に怯えていたが、知らん。
繰り返しになるが、各隊員の鍛練状況を確認すると共に、全員のレベルを確認させて貰った方が良いかもしれない。
少し前の俺の認識で作戦を立案すると、力のバランスが取れていない作戦になってしまう気がする。
そして、この魔獣から得た情報を含めて幹部会が実施される。
今回はこの魔獣についての情報展開もあるので、<神龍>の町に作成した会議場で、<フロイライ王国>ジョルナス第一王子と、<ワンダ王国>レークト王第一王子にも参加してもらう事にした。
冒頭、父さんから現状の報告があり、<コビア大陸>についての奪還が完了したこと、魔獣を一匹捕縛している事を報告した。
「この速さで奪還が完了したのですか?それに魔獣を一匹生け捕り??」
「そんな、有り得ない。あやつらは<SS:聖級>と言うとてつもない力を持っていたはずですが・・・」
「だがしかし、<アルダ王国>の助力を得てから我らの国での戦いも優勢になり、会議の為に不在にしても不安がない状況になっているのも事実だ・・・」
二人の驚きようは凄かったが、実は彼らの担当する大陸にも<アルダ王国>の部隊を送っており、劣勢だった状況があっという間に優勢になっていたので、驚きつつも理解はできていると言う所だ。
彼らの国に派遣した<アルダ王国>の部隊に関しては、一気に反撃した場合に捕虜の状況等が把握しきれていないため、被害が拡大しない程度に抑えるように指示してあるからで、本当は一気に彼らの国のある大陸、<ブロス大陸>と<カムリ大陸>も奪還できるとは思っている。
そして、魔獣から抜いた記憶に関しての情報展開を行うことにした。
現在の魔神については、タイナルの持っていた情報通りに<ジロム大陸>にいる。但し、いつ移動するかなどの情報は得ていない。
そして、魔神の手に落ちてしまっている大陸の捕虜については、各大陸の拠点に集められており、召喚術の準備が進められている。
各大陸の神については、大陸にある最大の地下迷宮に魔神の力で封印している。
魔神の配下には、<SSS:神級>の配下がいるようだが、この魔獣では詳細は分からないらしい。
と言った所だ。
<戦略術>を持つ兎獣人のジュリによれば、最後の<SSS:神級>の配下に関しては、確かに魔神一人の力で全ての大陸を手に入れようなどとはしないはずなので、いる確率は高いとの事だ。
この情報が開示された瞬間、ここにいる幹部・・・幻獣部隊と王族、そしてこの会議に参加している兎獣人以外がそわそわしだした。
<コビア大陸>での二コラ隊長達のやり取りを見て、ある程度この<アルダ大陸>各部隊の状況を理解した俺は若干呆れてしまった。
そう、彼らは<SSS:神級>の配下とやらと戦いたくてしょうがないのだ。
特に、完全に実戦が不発に終わった【近衛部隊】の目つきが怖い。
辛うじて護衛としての立ち位置を守っているが、仮にここで討伐担当を決めることになったとしたら、暴走しそうな雰囲気がある。
一気に変わった雰囲気に戸惑っているジュリが作戦を説明する。
いつもはキャンデル副隊長が進めているのだが、彼も目の色が変わっているので丁度いいか。
「<コビア大陸>に封印されてしまっている神については、早めに解放したいと思っています。開放することにより、現在ジン様の居城で保護している人々のスキルも復活するはずです。そして、神の復活により再度魔神軍が攻めてきたとしても、<アルダ王国>からの助力があれば<コビア大陸>を防衛することも容易でしょう」
「ジュリ、保護している人々の中に王族はいたか?」
少し落ちついたキャンデル副隊長が確認している。
「はい、<コビア大陸>に複数ある四国家の王族達はいらっしゃることを確認しています。ジン様のご指示により、各国家の避難民は階層を分けて保護していますので、各層での統制は基本的に王族の方々に取って頂いています」
「そうか。彼らからも情報を得る必要はあるが・・・わかった」
俺も一度各層の状況を確認しておこう。
「これからの動きですが、やはり召喚術に関する対応を最優先とし、その次に<コビア大陸>の神解放となります。まず、現在拮抗中の<ブロス大陸>と<カムリ大陸>に関しては、戦闘自体は現状維持、並行して【諜報部隊】の皆さんで拉致されている人々の所在確認をお願いします。その他の大陸に関しても、隠密系統のスキルを持つ方々に調査をお願いしたいと思います。但し魔神がいるとされている<ジロム大陸>に関しては、情報が何もないため保留とさせてください」
すると、作戦に関して珍しく父さんが口を挟んできた。
「基本はジュリの案で良いだろう。但し、<ジロム大陸>に関しても探索を行ってもらいたい。危険はあるが、何の罪もない多数の人々が被害にあうのを黙って見ているわけにはいかん」
「それでしたら、我ら【近衛部隊】も出撃致しましょうか?」
来ましたよ、二コラ隊長。
父さんも俺と違って彼らを身近で見続けているので状況はよくわかっているようだ。
「ふっ。そうだな。鍛錬の成果を見せて貰おうか。だが、決して無理はするな。お前たちの命よりも重い物はない。そのことを肝に銘じて探索に当たれ。いいな?」
「「「「御意」」」」
父さんの言葉はかなり重かったらしく、彼らは以前の真面目過ぎる表情に戻り返事をしている。
もちろん【近衛部隊】のミーナはお留守番だ。
実は、あまりにも強くなりすぎていたので、鍛錬状況を見に行く前に二コラ隊長にどんな鍛練をしているのか聞いたのだが、【近衛部隊】同士本気で戦いをしているらしい。
その本気に対応するために、【技術開発部隊】も必死で鍛錬場の防御力を上げており、共に力がついているようだ。
何と驚くことに鍛錬場での戦績はミーナが一番だそうだ。
彼女は近接系最強であり、懐に入られた時点で最早なす術がない・・・と二コラ隊長は言っていた。
ここにはウェイン隊長とマーニカ隊長、そして若干の隊員もいる。
今この層では、感動の再開に涙を流す者達で溢れている。
魔獣侵攻による死者はおらず、あのふざけた召喚術による犠牲も未然に防げた。
だが、<コビア大陸>で防げただけなので、他の大陸についても調査・対策を迅速に行っていく。
そして、捉えた魔族に関しては<神の権能>で記憶を抜いていた後、北野と同じ立ち位置で<神狼>の町にある鍛錬場の目標として存在して貰っている。
副隊長未満の隊員の喜びようは、それは凄まじかった。
実戦形式で<SS:聖級>を持つ魔獣と訓練ができるからだ。
隊員に対しては目標が増えた事を、直接目標になる魔獣の前で紹介している。
その時の隊員の喜びようを見た魔獣の絶望の表情は、何とも言えない物があった。
もちろん魔獣の力は制御などしていないし、能力の剥奪もしていない。
その状態で普通の隊員が喜ぶのだから、<アルダ王国>各部隊はある意味異常になってしまっている。
俺が短い間<魔界森>の塔五階層に籠っている間に何があったのだろうか?
もちろん隊員は、各地下迷宮でもレベルアップ作業はできるのだが、この辺りの詳しい情報は幹部にしか公開していない。
なので、隊員は会話ができる程のレベルの魔獣を相手にする事で、自らのレベル向上が早まる事を期待しているのだ。
逆に副隊長以上に関しては、若干拍子抜けだったようで、一旦全員捕縛した魔獣を見に来たが、魔獣のレベルが<SS:聖級>であるにもかかわらず、弱者認定してあっという間に興味を失ってしまった。
特に、【防衛部隊】イノザ副隊長は自らの隊に所属する隊員に対し、こう言い放った。
「良いですか?この程度の魔獣に手こずるようでは、我ら<アルダ王国>の守護を担っている部隊の隊員としては、はっきり言って力不足です。その事を肝に銘じで死ぬ気で鍛錬に励みなさい」
それを聞いていた隊員たちの気合が何故か異常に上昇した。
魔獣は更に怯えていたが、知らん。
繰り返しになるが、各隊員の鍛練状況を確認すると共に、全員のレベルを確認させて貰った方が良いかもしれない。
少し前の俺の認識で作戦を立案すると、力のバランスが取れていない作戦になってしまう気がする。
そして、この魔獣から得た情報を含めて幹部会が実施される。
今回はこの魔獣についての情報展開もあるので、<神龍>の町に作成した会議場で、<フロイライ王国>ジョルナス第一王子と、<ワンダ王国>レークト王第一王子にも参加してもらう事にした。
冒頭、父さんから現状の報告があり、<コビア大陸>についての奪還が完了したこと、魔獣を一匹捕縛している事を報告した。
「この速さで奪還が完了したのですか?それに魔獣を一匹生け捕り??」
「そんな、有り得ない。あやつらは<SS:聖級>と言うとてつもない力を持っていたはずですが・・・」
「だがしかし、<アルダ王国>の助力を得てから我らの国での戦いも優勢になり、会議の為に不在にしても不安がない状況になっているのも事実だ・・・」
二人の驚きようは凄かったが、実は彼らの担当する大陸にも<アルダ王国>の部隊を送っており、劣勢だった状況があっという間に優勢になっていたので、驚きつつも理解はできていると言う所だ。
彼らの国に派遣した<アルダ王国>の部隊に関しては、一気に反撃した場合に捕虜の状況等が把握しきれていないため、被害が拡大しない程度に抑えるように指示してあるからで、本当は一気に彼らの国のある大陸、<ブロス大陸>と<カムリ大陸>も奪還できるとは思っている。
そして、魔獣から抜いた記憶に関しての情報展開を行うことにした。
現在の魔神については、タイナルの持っていた情報通りに<ジロム大陸>にいる。但し、いつ移動するかなどの情報は得ていない。
そして、魔神の手に落ちてしまっている大陸の捕虜については、各大陸の拠点に集められており、召喚術の準備が進められている。
各大陸の神については、大陸にある最大の地下迷宮に魔神の力で封印している。
魔神の配下には、<SSS:神級>の配下がいるようだが、この魔獣では詳細は分からないらしい。
と言った所だ。
<戦略術>を持つ兎獣人のジュリによれば、最後の<SSS:神級>の配下に関しては、確かに魔神一人の力で全ての大陸を手に入れようなどとはしないはずなので、いる確率は高いとの事だ。
この情報が開示された瞬間、ここにいる幹部・・・幻獣部隊と王族、そしてこの会議に参加している兎獣人以外がそわそわしだした。
<コビア大陸>での二コラ隊長達のやり取りを見て、ある程度この<アルダ大陸>各部隊の状況を理解した俺は若干呆れてしまった。
そう、彼らは<SSS:神級>の配下とやらと戦いたくてしょうがないのだ。
特に、完全に実戦が不発に終わった【近衛部隊】の目つきが怖い。
辛うじて護衛としての立ち位置を守っているが、仮にここで討伐担当を決めることになったとしたら、暴走しそうな雰囲気がある。
一気に変わった雰囲気に戸惑っているジュリが作戦を説明する。
いつもはキャンデル副隊長が進めているのだが、彼も目の色が変わっているので丁度いいか。
「<コビア大陸>に封印されてしまっている神については、早めに解放したいと思っています。開放することにより、現在ジン様の居城で保護している人々のスキルも復活するはずです。そして、神の復活により再度魔神軍が攻めてきたとしても、<アルダ王国>からの助力があれば<コビア大陸>を防衛することも容易でしょう」
「ジュリ、保護している人々の中に王族はいたか?」
少し落ちついたキャンデル副隊長が確認している。
「はい、<コビア大陸>に複数ある四国家の王族達はいらっしゃることを確認しています。ジン様のご指示により、各国家の避難民は階層を分けて保護していますので、各層での統制は基本的に王族の方々に取って頂いています」
「そうか。彼らからも情報を得る必要はあるが・・・わかった」
俺も一度各層の状況を確認しておこう。
「これからの動きですが、やはり召喚術に関する対応を最優先とし、その次に<コビア大陸>の神解放となります。まず、現在拮抗中の<ブロス大陸>と<カムリ大陸>に関しては、戦闘自体は現状維持、並行して【諜報部隊】の皆さんで拉致されている人々の所在確認をお願いします。その他の大陸に関しても、隠密系統のスキルを持つ方々に調査をお願いしたいと思います。但し魔神がいるとされている<ジロム大陸>に関しては、情報が何もないため保留とさせてください」
すると、作戦に関して珍しく父さんが口を挟んできた。
「基本はジュリの案で良いだろう。但し、<ジロム大陸>に関しても探索を行ってもらいたい。危険はあるが、何の罪もない多数の人々が被害にあうのを黙って見ているわけにはいかん」
「それでしたら、我ら【近衛部隊】も出撃致しましょうか?」
来ましたよ、二コラ隊長。
父さんも俺と違って彼らを身近で見続けているので状況はよくわかっているようだ。
「ふっ。そうだな。鍛錬の成果を見せて貰おうか。だが、決して無理はするな。お前たちの命よりも重い物はない。そのことを肝に銘じて探索に当たれ。いいな?」
「「「「御意」」」」
父さんの言葉はかなり重かったらしく、彼らは以前の真面目過ぎる表情に戻り返事をしている。
もちろん【近衛部隊】のミーナはお留守番だ。
実は、あまりにも強くなりすぎていたので、鍛錬状況を見に行く前に二コラ隊長にどんな鍛練をしているのか聞いたのだが、【近衛部隊】同士本気で戦いをしているらしい。
その本気に対応するために、【技術開発部隊】も必死で鍛錬場の防御力を上げており、共に力がついているようだ。
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