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余裕の幸次
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「テ、テメー……ストーカーだと?誰がテメーなんぞ好き好んで追いかけるか!」
幸次のまさかの発言に対して石崎は厳しく幸次を睨むのだが、この状況……多数の目撃者がいる状況で手を出す事はしない。
「何を言っている?実際に今追いかけているだろうが。それに何度も言うが余はテメーではないぞ?しっかりと食事をしているか?今日も昼食時にいなかったようだが、そのせいで脳に栄養が行かずに残念な事になっている可能性が高いな。フム、そう考えると……こいつらの行動も許せない事も無いか?」
好き勝手に挑発した挙句に完結しかかっている幸次を止めたのは、石崎の幼馴染兼恋人である野田だ。
「テメ……三島!お前、調子に乗るなよ?雄二の力が有れば、お前程度を潰す事は簡単なんだよ。ついでにお前の両親の仕事をなくすことだってできるんだ。今のうちに土下座して謝ったらどうだ?」
自分だけではなく、本当の幸次に頼まれた家族……両親の事を言われては大人しくするつもりはない幸次は初めて厳しく野田と石崎を睨みつけ、その圧を受けた二人と背後のお付きの者達は震えてしまう。
「おい、石崎!お前にそれだけの力が有るようには見えないが、面白い。余の家族に手を出すのであれば、こちらも手加減はできないな」
「ば、雄二の父親は国会議員だ。お前は国家権力を相手にして勝つつもりか?」
「あん?父親?プッ、ハハハハハ!偉そうな事をさんざん言っておきながら、父親の力の事を話していたのか。そうならそうと早く言え!それ相応の対応があるのだからな」
幸次のこの言葉を聞いて、前半の笑った部分は許せる事ではないが、後半の相応の対応と言う事で遜ってくるのだろうと確信した石崎は、一歩前に出る。
「ようやく立場が分かったか。オラ、早く土下座しろ。散々石崎様にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでしたと言いながらな!」
石崎を始めとした面々は、喜々としてスマホを構えて土下座する幸次を撮影して拡散しようと企んでいるのだが、そのスマホには想定していない様子が録画される事になった。
「何を言っているのだ?自分の力ではなく借り物の、いや、借り物ですらない父の力を盾に偉そうにふんぞり返っている奴、それに、その小さな男に媚び諂っている連中に対する態度を考えると言っただけだ。何故土下座などこの余がせねばならん?」
「クソが!どうなっても良いんだな?」
「あ?……っと、いかんな。余とした事が落ち着いて相応の態度で接してやらねばならんな。ふ~良し。そこの幼児共!一人では怖くてオチオチ外にも出られないお山の大将。今日はどういった用件でちゅか?父上や母上がこの場にいないけど、大丈夫でちゅか?一人でおうちに帰れまちゅか?」
ここまで言うと、堪えきれないとばかりに幸次は大笑いしだす。
「ブッ……アハハハハハハ、ダメだ、苦しい」
実際直前に受けた圧や午前中に自分の攻撃を難なく防いだ挙句に腕を破壊される程の力で握られた経験をしている石崎達は、周囲の目もありコケにされたままではあるが直接的に手を出す事は出来ずに消えて行く。
「ク……苦しい。ふ~、良し。余も帰るとするか!」
初日としては上出来だと満足げに帰宅する幸次だが、石崎はこのまま引っ込むような性格をしておらず、言葉の通りに裏から手を回して幸次の両親から攻める事にしたのだ。
まさに鬼畜の所業なのだが、この世界の状況を完全に把握していない幸次ではどう対応すればよいのも理解できずに事態は進むのだろうが……折に触れて幸次が口にしているように、幸次は“持っている”のでその企みが上手く行くかは別問題だ。
「ただいま~」
「お帰りなさい、お兄ちゃん。学校、どうだった?」
幸次が帰宅すると、少し不安そうな表情が見える妹が直ぐに玄関まで迎えに来てくれた。
「非常に有意義な一日だったぞ。朱莉が心配する事は何もない!そうだ、明日から教育実習が行われるらしいが、教育実習とはなんだ?」
「それは、先生になるための練習みたいなものだよ、お兄ちゃん」
騎士見習いのようなものだなと納得した幸次は、今日石崎から話題に出てしまった両親について確認する。
「父さんと母さんは、公務員と言う仕事をしていたな?災害の緊急派遣で数日不在……で合っているか?」
「突然どうしたの?そうだけど……週末には帰ってくるって言っていたよね?」
であれば、公務員と国会議員についてもう少し知識を得る必要があるとは思った幸次だが、妹に聞いては心配される事は確実であるために明日にでも吉田に聞こうかと思っていた。
「それより、今日はカレーだよ?」
「む!カレーか。余も楽しみにしていたぞ。ところで、朱莉も昼は学校だろう?家の掃除はどうしているんだ?何なら余がこれから掃除しても良いが?」
「え~、お兄ちゃんもう忘れちゃったの?一週間以上お父さんもお母さんもいなくなるからって、先週にル〇バ買ったばっかりでしょ?」
「そ、そうだった……なに!?ルーン場だと?なるほどな……道理でルーン魔法を容易く使えていたわけだ。改めて恐ろしい世界よ。だが、味方となればこれほど心強い者はいないな」
「……お兄ちゃん、大丈夫?早くカレー食べよう?」
相変わらず幸次はマイペースだった。
幸次のまさかの発言に対して石崎は厳しく幸次を睨むのだが、この状況……多数の目撃者がいる状況で手を出す事はしない。
「何を言っている?実際に今追いかけているだろうが。それに何度も言うが余はテメーではないぞ?しっかりと食事をしているか?今日も昼食時にいなかったようだが、そのせいで脳に栄養が行かずに残念な事になっている可能性が高いな。フム、そう考えると……こいつらの行動も許せない事も無いか?」
好き勝手に挑発した挙句に完結しかかっている幸次を止めたのは、石崎の幼馴染兼恋人である野田だ。
「テメ……三島!お前、調子に乗るなよ?雄二の力が有れば、お前程度を潰す事は簡単なんだよ。ついでにお前の両親の仕事をなくすことだってできるんだ。今のうちに土下座して謝ったらどうだ?」
自分だけではなく、本当の幸次に頼まれた家族……両親の事を言われては大人しくするつもりはない幸次は初めて厳しく野田と石崎を睨みつけ、その圧を受けた二人と背後のお付きの者達は震えてしまう。
「おい、石崎!お前にそれだけの力が有るようには見えないが、面白い。余の家族に手を出すのであれば、こちらも手加減はできないな」
「ば、雄二の父親は国会議員だ。お前は国家権力を相手にして勝つつもりか?」
「あん?父親?プッ、ハハハハハ!偉そうな事をさんざん言っておきながら、父親の力の事を話していたのか。そうならそうと早く言え!それ相応の対応があるのだからな」
幸次のこの言葉を聞いて、前半の笑った部分は許せる事ではないが、後半の相応の対応と言う事で遜ってくるのだろうと確信した石崎は、一歩前に出る。
「ようやく立場が分かったか。オラ、早く土下座しろ。散々石崎様にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでしたと言いながらな!」
石崎を始めとした面々は、喜々としてスマホを構えて土下座する幸次を撮影して拡散しようと企んでいるのだが、そのスマホには想定していない様子が録画される事になった。
「何を言っているのだ?自分の力ではなく借り物の、いや、借り物ですらない父の力を盾に偉そうにふんぞり返っている奴、それに、その小さな男に媚び諂っている連中に対する態度を考えると言っただけだ。何故土下座などこの余がせねばならん?」
「クソが!どうなっても良いんだな?」
「あ?……っと、いかんな。余とした事が落ち着いて相応の態度で接してやらねばならんな。ふ~良し。そこの幼児共!一人では怖くてオチオチ外にも出られないお山の大将。今日はどういった用件でちゅか?父上や母上がこの場にいないけど、大丈夫でちゅか?一人でおうちに帰れまちゅか?」
ここまで言うと、堪えきれないとばかりに幸次は大笑いしだす。
「ブッ……アハハハハハハ、ダメだ、苦しい」
実際直前に受けた圧や午前中に自分の攻撃を難なく防いだ挙句に腕を破壊される程の力で握られた経験をしている石崎達は、周囲の目もありコケにされたままではあるが直接的に手を出す事は出来ずに消えて行く。
「ク……苦しい。ふ~、良し。余も帰るとするか!」
初日としては上出来だと満足げに帰宅する幸次だが、石崎はこのまま引っ込むような性格をしておらず、言葉の通りに裏から手を回して幸次の両親から攻める事にしたのだ。
まさに鬼畜の所業なのだが、この世界の状況を完全に把握していない幸次ではどう対応すればよいのも理解できずに事態は進むのだろうが……折に触れて幸次が口にしているように、幸次は“持っている”のでその企みが上手く行くかは別問題だ。
「ただいま~」
「お帰りなさい、お兄ちゃん。学校、どうだった?」
幸次が帰宅すると、少し不安そうな表情が見える妹が直ぐに玄関まで迎えに来てくれた。
「非常に有意義な一日だったぞ。朱莉が心配する事は何もない!そうだ、明日から教育実習が行われるらしいが、教育実習とはなんだ?」
「それは、先生になるための練習みたいなものだよ、お兄ちゃん」
騎士見習いのようなものだなと納得した幸次は、今日石崎から話題に出てしまった両親について確認する。
「父さんと母さんは、公務員と言う仕事をしていたな?災害の緊急派遣で数日不在……で合っているか?」
「突然どうしたの?そうだけど……週末には帰ってくるって言っていたよね?」
であれば、公務員と国会議員についてもう少し知識を得る必要があるとは思った幸次だが、妹に聞いては心配される事は確実であるために明日にでも吉田に聞こうかと思っていた。
「それより、今日はカレーだよ?」
「む!カレーか。余も楽しみにしていたぞ。ところで、朱莉も昼は学校だろう?家の掃除はどうしているんだ?何なら余がこれから掃除しても良いが?」
「え~、お兄ちゃんもう忘れちゃったの?一週間以上お父さんもお母さんもいなくなるからって、先週にル〇バ買ったばっかりでしょ?」
「そ、そうだった……なに!?ルーン場だと?なるほどな……道理でルーン魔法を容易く使えていたわけだ。改めて恐ろしい世界よ。だが、味方となればこれほど心強い者はいないな」
「……お兄ちゃん、大丈夫?早くカレー食べよう?」
相変わらず幸次はマイペースだった。
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