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襲来2
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幸次は知っている。
家を囲っている壁でこの場所からは見えないが、目の前で喚いている石崎のボディーガードらしい人物が控えている事を……
「貴様はやはり一人では何もできない蛆だったのだな。コホン……ボクちゃん、大丈夫でちゅか?お外が不安なら、壁の向こうにいる人達の所に行って守ってもらいなちゃい……ぷっ、ブハハハハハ!全く貴様は進歩が無い。相変わらず偉そうだが、お供がいないと何もできない小心者。は~、情けない」
「な、テメー!」
まさか護衛の存在に気が付かれているとは思わなかった石崎は、真っ赤な顔をして怒っている。
「だから言っているだろう。余の名はテメーではない……いや、ないでちゅよ?ブハハハハハ」
あまりにも幸次が堂々としており本気で笑っているので、つられて朱莉も笑い出す。
「ふ、フフフフ、お兄ちゃん、本当に変わったね」
漸く背後の朱里から完全に涙が消えた事で安堵した幸次は、笑顔を引っ込めて真剣な表情で石崎を睨みつける。
「貴様程度の矮小な存在が余に何をしようが影響はないが……一つはっきりさせておこう。余の家族、仲間に手を出せばただでは済まさない……とな。足りない頭を全力で使って良く思い出せ!少し力を込めて手首を握ってやった時の事を、な。朱莉、行こうか。全くストーカーだと思って出てやったのに、がっかりだ」
知識不足からストーカーが良い人のような言い方をしている幸次だが、言われた石崎は散々言われてプルプル震えながら沸騰しているので、幸次は朱莉を連れてさっさと自宅の中に入ってしまう。
「がぁ~!!!クソが!見ていやがれ。この俺を、俺様を見下したその態度!いつまで続けられるか思い知らせてやる!」
少しした後に再起動する事が出来た石崎が喚いており幸次だけにはこの暴言は正確に聞こえているのだが、所詮は蛆が喚いている程度にしか感じていない幸次は一切気にする事なく、更なる問題は起きずにこの日は過ぎて月曜日になる。
「お兄ちゃん、本当に無理しないでね」
朱莉の態度が初登校日と同じような状況に戻ってしまった事で、やはり昨日の対応については大失敗だったと激しく後悔している幸次だが、努めて明るく対応して朱莉の不安を解消するように努めていた。
「いやいや、朱莉も見ていただろう?所詮はあの程度。余の視界に入るには完全に力不足だ。朱莉こそしっかりと学ぶんだぞ?」
再びきっちりと止まっている自転車に、まるで“よっこいしょ”と言う掛け声が聞こえそうな動きでまたがると、颯爽とこぎ始めて消えて行く。
「フフ、お兄ちゃん……本当に生まれ変わって、別人みたい。頑張ってね」
魂の一致がある存在ではあるが別人なのだが、朱莉にわかる訳も無い。
「おはよう、幸次君」
「おはよう、吉田殿」
再び始まる学校での一日なのだが、突然担任である篠原が教室に入ると授業科目の変更を告げる。
「お前等、今日の一時限目と二時限目は連続で体育を実施する」
篠原と行動を共にしていた教育実習生の伍葉は非常に不満そうな表情をしているので、何か篠原……場合によっては石崎が裏から手を回して余計な事をしたのだろうと判断した幸次だが、特段体育が嫌だと言うわけではないので黙って続きを聞いている。
「最近非常に態度が悪い生徒がいるからな。甘えた根性を鍛え直す意味で男子は長距離走の後に柔道を執り行う。女子については短距離のマラソンの後に、しっかりと一部男子の根性が鍛え直されているのかを確認してもらおうかと思っている」
女子は少々動けば、残りは男子の状態を見ている所謂見学状態になると告げているので、石崎の幼馴染兼彼女である野田を筆頭にほぼ全ての女子が喜んでいる。
「先生!篠原先生!ここまで勝手に授業を変更しても良いのですか?」
騒ぐ生徒をよそに未だ納得いかないと思っている伍葉は正論を告げるのだが、幸次の予想通りに石崎から強く指示されている事なので、担任の篠原は方針を変える事はしない、いや、できない。
「これは緩み切った風紀を改めて締める意味もある。教師になった際には是非参考にすると良いと思うぞ?」
まるで生徒の為だと言わんばかりの態度を崩す事無く告げ、ここまで言えば伍葉も自分の事を悪く思わず、場合によっては尊敬の念を抱くかもしれないと有り得ない事を想像している篠原だ。
「こ、幸次君!」
今までの篠原の態度を良く理解している上に石崎と篠原の繋がりも把握している吉田は、不安そうな声を幸次にかけるのだが、当の幸次は二時間ぶっ続けで動けるのも悪くないと笑顔のままだ。
「ん、どうした?吉田殿は体を動かすのが不得意なのか?聞けば少々動いて後は見学のようなものなので、問題ないと思うぞ?」
心配している対象に自分が心配されてしまい、不思議な気持ちのまま着替えの為に移動する流れになり幸次と別れる吉田。
「よ~し、集まったな。男子はトラック十周!女子は一周!最後尾でゴールした男子は追加で十周だ!」
普段からあまり登校せず、体を動かす事が苦手な幸次がビリになる前提で体育は始まる。
家を囲っている壁でこの場所からは見えないが、目の前で喚いている石崎のボディーガードらしい人物が控えている事を……
「貴様はやはり一人では何もできない蛆だったのだな。コホン……ボクちゃん、大丈夫でちゅか?お外が不安なら、壁の向こうにいる人達の所に行って守ってもらいなちゃい……ぷっ、ブハハハハハ!全く貴様は進歩が無い。相変わらず偉そうだが、お供がいないと何もできない小心者。は~、情けない」
「な、テメー!」
まさか護衛の存在に気が付かれているとは思わなかった石崎は、真っ赤な顔をして怒っている。
「だから言っているだろう。余の名はテメーではない……いや、ないでちゅよ?ブハハハハハ」
あまりにも幸次が堂々としており本気で笑っているので、つられて朱莉も笑い出す。
「ふ、フフフフ、お兄ちゃん、本当に変わったね」
漸く背後の朱里から完全に涙が消えた事で安堵した幸次は、笑顔を引っ込めて真剣な表情で石崎を睨みつける。
「貴様程度の矮小な存在が余に何をしようが影響はないが……一つはっきりさせておこう。余の家族、仲間に手を出せばただでは済まさない……とな。足りない頭を全力で使って良く思い出せ!少し力を込めて手首を握ってやった時の事を、な。朱莉、行こうか。全くストーカーだと思って出てやったのに、がっかりだ」
知識不足からストーカーが良い人のような言い方をしている幸次だが、言われた石崎は散々言われてプルプル震えながら沸騰しているので、幸次は朱莉を連れてさっさと自宅の中に入ってしまう。
「がぁ~!!!クソが!見ていやがれ。この俺を、俺様を見下したその態度!いつまで続けられるか思い知らせてやる!」
少しした後に再起動する事が出来た石崎が喚いており幸次だけにはこの暴言は正確に聞こえているのだが、所詮は蛆が喚いている程度にしか感じていない幸次は一切気にする事なく、更なる問題は起きずにこの日は過ぎて月曜日になる。
「お兄ちゃん、本当に無理しないでね」
朱莉の態度が初登校日と同じような状況に戻ってしまった事で、やはり昨日の対応については大失敗だったと激しく後悔している幸次だが、努めて明るく対応して朱莉の不安を解消するように努めていた。
「いやいや、朱莉も見ていただろう?所詮はあの程度。余の視界に入るには完全に力不足だ。朱莉こそしっかりと学ぶんだぞ?」
再びきっちりと止まっている自転車に、まるで“よっこいしょ”と言う掛け声が聞こえそうな動きでまたがると、颯爽とこぎ始めて消えて行く。
「フフ、お兄ちゃん……本当に生まれ変わって、別人みたい。頑張ってね」
魂の一致がある存在ではあるが別人なのだが、朱莉にわかる訳も無い。
「おはよう、幸次君」
「おはよう、吉田殿」
再び始まる学校での一日なのだが、突然担任である篠原が教室に入ると授業科目の変更を告げる。
「お前等、今日の一時限目と二時限目は連続で体育を実施する」
篠原と行動を共にしていた教育実習生の伍葉は非常に不満そうな表情をしているので、何か篠原……場合によっては石崎が裏から手を回して余計な事をしたのだろうと判断した幸次だが、特段体育が嫌だと言うわけではないので黙って続きを聞いている。
「最近非常に態度が悪い生徒がいるからな。甘えた根性を鍛え直す意味で男子は長距離走の後に柔道を執り行う。女子については短距離のマラソンの後に、しっかりと一部男子の根性が鍛え直されているのかを確認してもらおうかと思っている」
女子は少々動けば、残りは男子の状態を見ている所謂見学状態になると告げているので、石崎の幼馴染兼彼女である野田を筆頭にほぼ全ての女子が喜んでいる。
「先生!篠原先生!ここまで勝手に授業を変更しても良いのですか?」
騒ぐ生徒をよそに未だ納得いかないと思っている伍葉は正論を告げるのだが、幸次の予想通りに石崎から強く指示されている事なので、担任の篠原は方針を変える事はしない、いや、できない。
「これは緩み切った風紀を改めて締める意味もある。教師になった際には是非参考にすると良いと思うぞ?」
まるで生徒の為だと言わんばかりの態度を崩す事無く告げ、ここまで言えば伍葉も自分の事を悪く思わず、場合によっては尊敬の念を抱くかもしれないと有り得ない事を想像している篠原だ。
「こ、幸次君!」
今までの篠原の態度を良く理解している上に石崎と篠原の繋がりも把握している吉田は、不安そうな声を幸次にかけるのだが、当の幸次は二時間ぶっ続けで動けるのも悪くないと笑顔のままだ。
「ん、どうした?吉田殿は体を動かすのが不得意なのか?聞けば少々動いて後は見学のようなものなので、問題ないと思うぞ?」
心配している対象に自分が心配されてしまい、不思議な気持ちのまま着替えの為に移動する流れになり幸次と別れる吉田。
「よ~し、集まったな。男子はトラック十周!女子は一周!最後尾でゴールした男子は追加で十周だ!」
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