異世界冒険活劇 ~チートなしでも英雄になれますか?~

飛騨 栄治

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3章 ~起きる異変~

第15話 死ぬ覚悟、

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(もう弁当も底つきるな)
朝食を食べているユウの心に心配事がまた一つ増えた。

朝食を食べた後、ゴブリンたちから魔石を取り出し洞窟を探索することにした。

(これは・・・人の服か?)
幾つ目かの部屋に入ると乱暴に放り出されているそれを見つけた。
さらに周りを探していくと人骨のような物も見つけた。
おそらくゴブリンたちが攫った女性を犯した後に殺したのだろう。ゴブリンやオークの類は他種族、特に人間の女を攫うことがよくあるのだ。

(念のため服くらいは持って帰ってやるか・・・)
もしかしたら身元の判明に役立つかもしれない。ギルドカードも探してみたが見つからなかったのは残念だったが、

洞窟から出て再び森探索にかかることにした。
(あの二人も無事だといいけど・・・)
もしかしたら街に戻り救援隊を呼んでいるかもしれない、オークに殺されてきる可能性も捨てることは出来ないわけだが。

そうこう考えながら森を歩いていると、前方の方に2体のオークがいるのを見つけた。
そして、逃げ惑うあのふたりの姿も・・・

(行かないと・・・でも、)
3人でかかってもオーク2体に勝てる見込みなどなかった。
そして何より、死ぬのがどうしようもないほど怖かった・・・


「あぁぁぁぁ!いやだっ!助けて・・・」
リザの叫び声が聞こえた。ティモルも彼女の腕を掴んで必死に逃げていたが、やがて転んでしまった。

それから後の出来事をユウは見ることができなかった。
ずっと草に隠れ耳を塞いで隠れていた、震えながら・・・

それから5分ほど経って近くで音がしなくなってから、草から出て先ほどまで彼らがいたところへ行った。

そこにはティモルやリザが所持していたはずの剣と少量の血が落ちていた。

どうするべきなのだろうか

助ける? 

死ぬかもしれないのに?

勝算はいくらだ?

でも

後悔はしたくない

だから、 行くしかない

それに、ティナが異変に気づいたかも、、
他の冒険者も何かに気づいているかも、、、

血の跡と足跡を追っていくと、だいぶ森の奥まで来てしまったことに気づいた。

もう、覚悟を決めねばいけない

死ぬ覚悟を

進むと、やがてオークの姿が見えてきた

こちらには気づいていない、 
奇襲?ダメだ、2人が危ない。それに、ゴブリンのように群れをつくっているかもしれない。

ここ最近 ギルドにいくつかの行方不明案件があったのが よぎる

あれは、皆 若い女性だった
だが、居なくなったとされるのはオークの居ない場所。そう皆が思ってた場所。

これも兼ねてのゴブリンの巣の探索だった

皆間違っていた。事の重大さを

同じ人間の女性を苗床とするモノでも質の悪さが、

考えながら歩いた



そうこうして森が少し切り開かれている場所に近づいた。

雑多な造りの家の中から5体が姿を現した

なぜこんなにいる? 奥地から?
追い出された? 何モノかに? 

または、、召喚?

言える事は、迷宮と同じく何かが起こっているかもしれないということだけだった。

家の中からはいくつかの大きな声が聞こえた

女性の声。

誰かの名前を呼ぶ声。

壊れた人間の声。


いくしかなかった

ティモルとリザは、先ほどの家の近くに放り出されている
今なら巻き込まないで済む

呪文を唱えると、10本の火の矢が飛び
突き刺さった。
感が良いモノもいるようで、ソイツは見事に防いでみせたわけなのだが、、

そして、居るのがバレた

多少の牽制のつもりだった。
だが、あそこまで普通に向かってくるのは少々気分が悪くなる。


オークは力が強い、しかし足が特段速いわけでもないし、頭もあまり良くない。

しかし、
7匹のオークに追われるとなると冷静な判断もできなくなる。


(同士討ちを狙うか)

それには懐に入らねばいけない。危険だ。

でも、それしか考えられなかった。


まずは、一番端に走る。
二つのオークの大斧が向かってくるのが見えた。

一匹の足の間にスライディングして入ると、
頭の真上を斧が掠める感触と、オークの足が斬れる音と血が同時に降り掛かった。

その後、すぐに別のオークに向かおうとするが、、

様子がおかしい。家の方を向いたままだ。

それにつられ少し顔を向けると、

大剣が飛んできていた。
間一髪で避けることができたのだが、それは先ほど足を斬られたオークの頭部に突き刺さっていた。


あれは、あの大きさオークジェネラル。
いよいよ手に負えない。

「ヴォォォォォォォォォ!!!」

ジェネラルの鳴き声に共鳴し、周りのオークも気を取り戻したように鳴き始めた。


そしてユウは、もう1度逃げることにした。

あの化物を入れた7体が再び殺しに来ている。

願うならば。せめて、あの2人にはこの間に逃げていて欲しい。 
これだけのことをやっているのに、まだ気絶していましたなんてそんな事は許さない。

とにかく、逃げるしかない

さっきと同じ手はジェネラルの前で通用する気がしないのだから。




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