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新しい恋人
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悲壮な決意を固めているらしき彼女に、アルベルトは小さくため息をついた。この話題を続けることは、なんだか胃に悪い気がして、話を変えた。
「本題に戻るぞ。俺の家の鍵を知らないか?」
「起きた時に、ソファーに見慣れない、銀色の鍵がありましたが、それでしょうか?」
精巧な造りの鍵で、それだけでも家が並ではないことを物語っていた。鍵だけでも高価に見えて、迂闊に持ち歩けずにいる。
「ああ、それだ――」
アルベルトは安堵した。
彼女の食事も終わっていることではあるし、一緒に取りに行こうかとも思ったが、昨夜の苦い記憶が蘇る。
しかも、今は陽も昇っているし、誰に見られて妙な噂をたてられるか分からない。
彼女はまだ新入りで、あることない事また言われるのも可哀想だ。
「――ここで待っているから、取ってきてくれるか」
「はい! すぐ近くなので、急いで行ってきます!」
ロディネは一礼して席を立つと、賑わう店内を抜けて忙しなく出ていった。
アルベルトの家の鍵が我が家にあったということは、彼は昨夜帰れなかったに違いなく、一刻も早くお返ししようと必死である。
幸いにして、酔いがすっかり抜けていたこともあり、難なく我が家で鍵を手にすると、無くさないようにと鞄の奥に大事にしまう。そのままロディネはすぐに引き返して、喫茶店へと急いだ。
入口の扉を開けて中に入り、アルベルトの姿が見えたが、その手前でロディネは思わずうっと怯み、足が止まった。
ロディネが去ったこともあってか、美貌の騎士団長に向ける女性達の熱い視線がすさまじい。あそこに割って入っていく勇気は、もちろんない。
更に、嫌な記憶が蘇る。
ロディネには兄がいる。
誰もが認める美形であり、そして誰もが口をそろえて浮気者だと言う、ろくでなしである。
言い寄ってくる好みじゃない女性達から逃れるために、ロディネを『新しい恋人だ』などと世迷言をいって逃げた、非道な兄である!
しかも、それが上手くいってしまったものだから、味を占めて、事あるごとにロディネを利用してきた酷い男である!!
兄が良いのは顔だけだと、ロディネは言いたいが、今はそれどころではない。
――――やっぱり、怖いいいい。
また眼鏡を外したくなったが、そうすると何も見えないというジレンマがある。アルベルトにも励ましてもらったばかりだ。
ロディネが蒼白になって立ち尽くしていると、当然ながら人々が怪訝そうに彼女を見て、その視線に更に足が竦む悪循環だった。
だが、周囲のその様子を見たアルベルトは、硬直している彼女に気づくと、すぐに席を立って歩み寄り、声をかけた。
「出るぞ」
「はへ?」
「会計は済んでる」
目を丸くするロディネだが、アルベルトに促され、彼に追従する形で店を後にした。外の空気に触れると、自分がひどく汗をかいていたことに気づく。
そして、人が行き来する入口から少し離れたところでアルベルトは足を止めると振り返って、汗を拭っているロディネに声をかけた。
「大丈夫か?」
「は、はい⋯⋯。お気遣いいただき、ありがとうございます⋯⋯」
「気にするな。焦るなと言っただろう」
アルベルトの眼差しは優しくて、ロディネはまっすぐに彼を見返す事が出来た。
――――なんて寛大な方だろう。後光が見えるわ。
「だ、団長様は⋯⋯命の恩人です!」
「表現がいちいち大げさだぞ」
ロディネがかなりの美貌の持ち主なのは確かだが、口を開くと、変わり者どころではなかった。だが、取り澄ましているよりも、よっぽどいいとアルベルトは思う。
ロディネは鞄を探って財布を取り出すと、お金を両手で彼に差し出した。
「これは私の分のお金です」
「いい」
「そうはいきません」
ロディネはきっぱりと言い切った。
大勢の視線から解放された喜びなのか、無邪気に笑った。その柔らかな表情に目を奪われている間に、ロディネは彼の手にお金を置いてしまった。
「あの、本当にありがとうございました」
「だから、礼を言われるほどの事はしていない」
アルベルトは苦笑して、応える。
それでもロディネは礼儀正しく頭を下げてから、街中へと消えていった。その足取りは軽く、少し吹っ切れたようにも見えて、アルベルトは安堵した。
友人は本当に迷惑でしかない酔っ払いだったし、何があっても自業自得だろうと思うような事ばかりしているのを知っているので、全く同情しない。
でも、ロディネは素面の時に話すと、無邪気で、ちょっとばかり―――いや、大分不可思議で、可愛らしいものだった。
寝不足だったアルベルトの顔が、わずかに綻ぶ。
「さて⋯⋯俺も帰るか」
と、踵を返したが、すぐに足を止めて、呻いた。
なんのために彼女を喫茶店で呼び止めたのか、ようやく思い出したからだ。
呼び鈴に応えて玄関の扉を開けたロディネは、失礼だと思いつつも、上から下まで彼を見て、つい口から洩れた。
「⋯⋯見てはいけないものをみましたか?」
「誰にも言うなよ。そこでやられた」
アルベルトはしかめっ面のまま答えた。
銀糸の刺繍で縁取られた膝ほどまである黒地の上着は、みるからに上質なもので、洒落ている。
それが今や泥まみれだ。
ロディネの家に向かう途中で、一昨日の大雨でできた水たまりの上を通った馬車が、思いっきり泥をはね上げてくれたのだ。
ロディネの家が間近に見えた事もあり、もう何もかも面倒くさくなってそのままやって来たが、同情の眼差しを向けてきた彼女に、アルベルトは脱げばよかったかと少し後悔した。
あまりに無様である。
だが、目を真ん丸にしていたロディネは、笑ったりしなかった。
「分かりました、お任せください! 上着をお借りしますね」
「いや、そういうつもりじゃないんだが⋯⋯」
「お急ぎですか?」
「⋯⋯まあ、今日は休みで、この後特に用事もないが⋯⋯」
「じゃあ、泥だけでも先に落としておきましょう。こびりつくと後で大変ですし、すぐに済ませますから」
「⋯⋯⋯⋯」
疲労困憊だったアルベルトは、たとえ家に帰ってもまず洗う気など起きないだろうと妙な自信を持って言えた。
見れば、ロディネは相変わらずにこにこと笑っていて、至って素直なものだ。
警戒心の薄さは、自分が騎士団長という立場もあるのだろう。
職権乱用だな、と思いつつも、何だか断る気が起きなかった。
「⋯⋯頼んでいいか?」
「はい! どうぞ、中で座ってお待ちください」
アルベルトが脱いだ上着をロディネは受け取って、洗面所へと向かっていった。玄関先で待っていても良かったが、どうせ昨晩入っていったから今更かと思い、中へと進む。
相変らず小奇麗な部屋だったが、あの男物の服は消えていた。
「本題に戻るぞ。俺の家の鍵を知らないか?」
「起きた時に、ソファーに見慣れない、銀色の鍵がありましたが、それでしょうか?」
精巧な造りの鍵で、それだけでも家が並ではないことを物語っていた。鍵だけでも高価に見えて、迂闊に持ち歩けずにいる。
「ああ、それだ――」
アルベルトは安堵した。
彼女の食事も終わっていることではあるし、一緒に取りに行こうかとも思ったが、昨夜の苦い記憶が蘇る。
しかも、今は陽も昇っているし、誰に見られて妙な噂をたてられるか分からない。
彼女はまだ新入りで、あることない事また言われるのも可哀想だ。
「――ここで待っているから、取ってきてくれるか」
「はい! すぐ近くなので、急いで行ってきます!」
ロディネは一礼して席を立つと、賑わう店内を抜けて忙しなく出ていった。
アルベルトの家の鍵が我が家にあったということは、彼は昨夜帰れなかったに違いなく、一刻も早くお返ししようと必死である。
幸いにして、酔いがすっかり抜けていたこともあり、難なく我が家で鍵を手にすると、無くさないようにと鞄の奥に大事にしまう。そのままロディネはすぐに引き返して、喫茶店へと急いだ。
入口の扉を開けて中に入り、アルベルトの姿が見えたが、その手前でロディネは思わずうっと怯み、足が止まった。
ロディネが去ったこともあってか、美貌の騎士団長に向ける女性達の熱い視線がすさまじい。あそこに割って入っていく勇気は、もちろんない。
更に、嫌な記憶が蘇る。
ロディネには兄がいる。
誰もが認める美形であり、そして誰もが口をそろえて浮気者だと言う、ろくでなしである。
言い寄ってくる好みじゃない女性達から逃れるために、ロディネを『新しい恋人だ』などと世迷言をいって逃げた、非道な兄である!
しかも、それが上手くいってしまったものだから、味を占めて、事あるごとにロディネを利用してきた酷い男である!!
兄が良いのは顔だけだと、ロディネは言いたいが、今はそれどころではない。
――――やっぱり、怖いいいい。
また眼鏡を外したくなったが、そうすると何も見えないというジレンマがある。アルベルトにも励ましてもらったばかりだ。
ロディネが蒼白になって立ち尽くしていると、当然ながら人々が怪訝そうに彼女を見て、その視線に更に足が竦む悪循環だった。
だが、周囲のその様子を見たアルベルトは、硬直している彼女に気づくと、すぐに席を立って歩み寄り、声をかけた。
「出るぞ」
「はへ?」
「会計は済んでる」
目を丸くするロディネだが、アルベルトに促され、彼に追従する形で店を後にした。外の空気に触れると、自分がひどく汗をかいていたことに気づく。
そして、人が行き来する入口から少し離れたところでアルベルトは足を止めると振り返って、汗を拭っているロディネに声をかけた。
「大丈夫か?」
「は、はい⋯⋯。お気遣いいただき、ありがとうございます⋯⋯」
「気にするな。焦るなと言っただろう」
アルベルトの眼差しは優しくて、ロディネはまっすぐに彼を見返す事が出来た。
――――なんて寛大な方だろう。後光が見えるわ。
「だ、団長様は⋯⋯命の恩人です!」
「表現がいちいち大げさだぞ」
ロディネがかなりの美貌の持ち主なのは確かだが、口を開くと、変わり者どころではなかった。だが、取り澄ましているよりも、よっぽどいいとアルベルトは思う。
ロディネは鞄を探って財布を取り出すと、お金を両手で彼に差し出した。
「これは私の分のお金です」
「いい」
「そうはいきません」
ロディネはきっぱりと言い切った。
大勢の視線から解放された喜びなのか、無邪気に笑った。その柔らかな表情に目を奪われている間に、ロディネは彼の手にお金を置いてしまった。
「あの、本当にありがとうございました」
「だから、礼を言われるほどの事はしていない」
アルベルトは苦笑して、応える。
それでもロディネは礼儀正しく頭を下げてから、街中へと消えていった。その足取りは軽く、少し吹っ切れたようにも見えて、アルベルトは安堵した。
友人は本当に迷惑でしかない酔っ払いだったし、何があっても自業自得だろうと思うような事ばかりしているのを知っているので、全く同情しない。
でも、ロディネは素面の時に話すと、無邪気で、ちょっとばかり―――いや、大分不可思議で、可愛らしいものだった。
寝不足だったアルベルトの顔が、わずかに綻ぶ。
「さて⋯⋯俺も帰るか」
と、踵を返したが、すぐに足を止めて、呻いた。
なんのために彼女を喫茶店で呼び止めたのか、ようやく思い出したからだ。
呼び鈴に応えて玄関の扉を開けたロディネは、失礼だと思いつつも、上から下まで彼を見て、つい口から洩れた。
「⋯⋯見てはいけないものをみましたか?」
「誰にも言うなよ。そこでやられた」
アルベルトはしかめっ面のまま答えた。
銀糸の刺繍で縁取られた膝ほどまである黒地の上着は、みるからに上質なもので、洒落ている。
それが今や泥まみれだ。
ロディネの家に向かう途中で、一昨日の大雨でできた水たまりの上を通った馬車が、思いっきり泥をはね上げてくれたのだ。
ロディネの家が間近に見えた事もあり、もう何もかも面倒くさくなってそのままやって来たが、同情の眼差しを向けてきた彼女に、アルベルトは脱げばよかったかと少し後悔した。
あまりに無様である。
だが、目を真ん丸にしていたロディネは、笑ったりしなかった。
「分かりました、お任せください! 上着をお借りしますね」
「いや、そういうつもりじゃないんだが⋯⋯」
「お急ぎですか?」
「⋯⋯まあ、今日は休みで、この後特に用事もないが⋯⋯」
「じゃあ、泥だけでも先に落としておきましょう。こびりつくと後で大変ですし、すぐに済ませますから」
「⋯⋯⋯⋯」
疲労困憊だったアルベルトは、たとえ家に帰ってもまず洗う気など起きないだろうと妙な自信を持って言えた。
見れば、ロディネは相変わらずにこにこと笑っていて、至って素直なものだ。
警戒心の薄さは、自分が騎士団長という立場もあるのだろう。
職権乱用だな、と思いつつも、何だか断る気が起きなかった。
「⋯⋯頼んでいいか?」
「はい! どうぞ、中で座ってお待ちください」
アルベルトが脱いだ上着をロディネは受け取って、洗面所へと向かっていった。玄関先で待っていても良かったが、どうせ昨晩入っていったから今更かと思い、中へと進む。
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