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【サプライズ】好きな人の誕生日に全力でプレゼントを用意しました ▶10話
#3 プレゼントの鑑定にボッツまで行ってきます
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それから毎朝、兄に幸運をかけてもらったのが良かったのだろうか。
周回四日目にして、とうとう、オルトロスが双剣ヴァハフントをドロップした。
「…やっ、たぁ…」
「うん、凄い。…頑張ったね?セリ君。」
「はい。…良かった、嬉しい、です。」
地面に転がる二振りの剣、一振りに火、一振りに風の魔力を感じるその剣に近寄ってみる。
「…あれ?」
「…なにか、変、ね?…鍵?封かしら?…もしかして、呪い?」
持ち上げた剣から感じる魔力が、変な風にねじ曲がっている。何かを、抑え込んでいるような。
「…鑑定、してもらった方がいいわね。このまま、鞘からは抜かないようにして。」
「鑑定。…えっと、ギルドでやってもらえるんでしょうか?」
「…ギルドでは無理ね。無理というより、ロカール支部には専門職がいないから、外注になると思うの。そうすると、どうしても時間が掛かってしまうから…」
(…三日後の、ルキの誕生日に間に合わない。)
一瞬、諦めるしかないのかと思った。ザーラさんが、少し考えるようにして、
「直接、鑑定士に持ち込めば、何とかなるかもしれないわ。」
「持ち込む…、でも、ロカールに鑑定士は…」
「ええ。最寄りだとボッツかしら?商業都市だから、あそこには確実にいるはずよ。」
「ボッツ…」
ボッツなら、日帰りで行くことが出来る。ただ、最寄りとはいえ、兄やルキが一人で街を出ることを許してくれるかは怪しいところ。
(…どうしよう、兄さんに頼む?)
口が軽い、特にお酒が入ると直ぐに何でもしゃべってしまう兄には黙っていたけれど、ここまで来たら─
「…セリ君、私と行く?」
「えっ!?」
「一人で行くのが不安なら、私で良ければ付き合うけれど?」
とても有難いザーラさんの提案。だけど、ここまで散々付き合ってもらった上、何のうまみもない街の外にまで連れ出すのは流石に躊躇われる。
(どう考えても、私の子守り…)
申し訳なくて、答えに迷えば、
「…ドロップ品を売りに行くついで、だと思って?」
「え?」
「ここ数日で入手したドロップ品が山のようにあるでしょ?ダンジョンが開放されてからまだ日が浅いから、他の街までは流通してないものがたくさんあるのよね。それを、ボッツに売りに行くの。」
「…」
「売りに行くついでに、セリ君の用事にも付き合う、…どうかしら?」
「ザーラさん…」
ドロップ品の、他の街との価格差なんて微々たるもの。往復の時間を考えれば、決して「得」にはならない。なのに、
「…それに、ボッツで買いたい魔法素材もあるの。」
笑って言ってくれるザーラさんに、笑って返す。
「…ありがとう、ございます。」
ザーラさんの優しさの示し方が、すごく、好きだと思った。
「…というわけで、明日、ザーラさんと、」
「なんで?」
「…その、色々、ボッツで売りたいものと、購入したいものが、」
「それなら、俺と行きゃいいだろ?」
「…魔法素材の相談もしたいので。」
「…」
デジャブ。目の前にはまた渋い顔をしたルキ。しかも、今回はその横で兄までが渋い顔をしている。
「…駄目だ。」
「ルキ…」
「…俺も、今回はルキの味方だから。」
「兄さん…」
立ちはだかる壁が増えて、頭を抱えたくなる。いっそ、黙って出かけてしまおうかとも思ったけれど、
「…ルキ君とシオン君がセリ君を大切にしてるのはとても素敵だと思うわ。だけど、大切にするのと、束縛は違うんじゃないかしら?」
「っ!」
「それは…」
説得に付き添っていてくれたザーラさんからの援護に、二人が黙る。
「セリ君がやりたいことを、二人が一方的に禁止することは出来ないんじゃない?」
「…」
「二人は、どうしてセリ君のお出かけに反対なの?」
「…んなのは、危ねぇからに決まって、」
「セリ君、A級冒険者なのに?」
「っ!だとしても!二人じゃ、対応できねぇことだって、」
「分かったわ。乗り合い馬車で行く。」
「…」
「護衛つきの乗り合い馬車で行くなら問題ないでしょう?」
「それ、は…」
黙り込んだルキ、先に折れたのは兄だった。
「…はぁ、分かったよ。行っといで。」
「シオン!」
「しょうがないよ。ザーラさん、ど正論なんだもん。どう考えても、俺達が悪者。」
「…」
兄の言葉に、どうやらルキも折れてくれる気になったらしい。緊張を解いたルキの瞳がこちらを見る。
「…なるべく、他の人間と関わんな。」
「はい。」
「服、…恰好は、それで行くんだよな?」
「?…はい。」
「よし。脱ぐなよ?」
「え…」
「ローブ、ぜってぇ、脱ぐな?ぜってぇ、女だってバレないようにしろ?」
「…」
「乗り合いだよな?…なるべく、男の隣に座んねぇように、男の方から来られそうになったら、障壁張るか、一旦、馬車降りるかして…」
「…」
その後も、乗り合い馬車だと日帰り出来ないという事実に気づいたルキが、今度は「お泊り上の注意事項」を延々と述べた後─それでも、最終的に満足はしていなかったようだけれど─、何とか、自宅へと帰って行った。説得してくれたザーラさんには感謝しかない。
ルキとザーラさんが帰り、兄からも、一つ、二つ、ルキと似たような注意事項を受けた後─
「…兄さん、お願いがある。」
「お願いー?」
「うん、お願いというより、確認…?」
駄目なら諦める。だけど、折角なら、共に居る時間に伝えられたらなと思う。私の中で、エルやルキと同じくらい大切になってしまった人に─
周回四日目にして、とうとう、オルトロスが双剣ヴァハフントをドロップした。
「…やっ、たぁ…」
「うん、凄い。…頑張ったね?セリ君。」
「はい。…良かった、嬉しい、です。」
地面に転がる二振りの剣、一振りに火、一振りに風の魔力を感じるその剣に近寄ってみる。
「…あれ?」
「…なにか、変、ね?…鍵?封かしら?…もしかして、呪い?」
持ち上げた剣から感じる魔力が、変な風にねじ曲がっている。何かを、抑え込んでいるような。
「…鑑定、してもらった方がいいわね。このまま、鞘からは抜かないようにして。」
「鑑定。…えっと、ギルドでやってもらえるんでしょうか?」
「…ギルドでは無理ね。無理というより、ロカール支部には専門職がいないから、外注になると思うの。そうすると、どうしても時間が掛かってしまうから…」
(…三日後の、ルキの誕生日に間に合わない。)
一瞬、諦めるしかないのかと思った。ザーラさんが、少し考えるようにして、
「直接、鑑定士に持ち込めば、何とかなるかもしれないわ。」
「持ち込む…、でも、ロカールに鑑定士は…」
「ええ。最寄りだとボッツかしら?商業都市だから、あそこには確実にいるはずよ。」
「ボッツ…」
ボッツなら、日帰りで行くことが出来る。ただ、最寄りとはいえ、兄やルキが一人で街を出ることを許してくれるかは怪しいところ。
(…どうしよう、兄さんに頼む?)
口が軽い、特にお酒が入ると直ぐに何でもしゃべってしまう兄には黙っていたけれど、ここまで来たら─
「…セリ君、私と行く?」
「えっ!?」
「一人で行くのが不安なら、私で良ければ付き合うけれど?」
とても有難いザーラさんの提案。だけど、ここまで散々付き合ってもらった上、何のうまみもない街の外にまで連れ出すのは流石に躊躇われる。
(どう考えても、私の子守り…)
申し訳なくて、答えに迷えば、
「…ドロップ品を売りに行くついで、だと思って?」
「え?」
「ここ数日で入手したドロップ品が山のようにあるでしょ?ダンジョンが開放されてからまだ日が浅いから、他の街までは流通してないものがたくさんあるのよね。それを、ボッツに売りに行くの。」
「…」
「売りに行くついでに、セリ君の用事にも付き合う、…どうかしら?」
「ザーラさん…」
ドロップ品の、他の街との価格差なんて微々たるもの。往復の時間を考えれば、決して「得」にはならない。なのに、
「…それに、ボッツで買いたい魔法素材もあるの。」
笑って言ってくれるザーラさんに、笑って返す。
「…ありがとう、ございます。」
ザーラさんの優しさの示し方が、すごく、好きだと思った。
「…というわけで、明日、ザーラさんと、」
「なんで?」
「…その、色々、ボッツで売りたいものと、購入したいものが、」
「それなら、俺と行きゃいいだろ?」
「…魔法素材の相談もしたいので。」
「…」
デジャブ。目の前にはまた渋い顔をしたルキ。しかも、今回はその横で兄までが渋い顔をしている。
「…駄目だ。」
「ルキ…」
「…俺も、今回はルキの味方だから。」
「兄さん…」
立ちはだかる壁が増えて、頭を抱えたくなる。いっそ、黙って出かけてしまおうかとも思ったけれど、
「…ルキ君とシオン君がセリ君を大切にしてるのはとても素敵だと思うわ。だけど、大切にするのと、束縛は違うんじゃないかしら?」
「っ!」
「それは…」
説得に付き添っていてくれたザーラさんからの援護に、二人が黙る。
「セリ君がやりたいことを、二人が一方的に禁止することは出来ないんじゃない?」
「…」
「二人は、どうしてセリ君のお出かけに反対なの?」
「…んなのは、危ねぇからに決まって、」
「セリ君、A級冒険者なのに?」
「っ!だとしても!二人じゃ、対応できねぇことだって、」
「分かったわ。乗り合い馬車で行く。」
「…」
「護衛つきの乗り合い馬車で行くなら問題ないでしょう?」
「それ、は…」
黙り込んだルキ、先に折れたのは兄だった。
「…はぁ、分かったよ。行っといで。」
「シオン!」
「しょうがないよ。ザーラさん、ど正論なんだもん。どう考えても、俺達が悪者。」
「…」
兄の言葉に、どうやらルキも折れてくれる気になったらしい。緊張を解いたルキの瞳がこちらを見る。
「…なるべく、他の人間と関わんな。」
「はい。」
「服、…恰好は、それで行くんだよな?」
「?…はい。」
「よし。脱ぐなよ?」
「え…」
「ローブ、ぜってぇ、脱ぐな?ぜってぇ、女だってバレないようにしろ?」
「…」
「乗り合いだよな?…なるべく、男の隣に座んねぇように、男の方から来られそうになったら、障壁張るか、一旦、馬車降りるかして…」
「…」
その後も、乗り合い馬車だと日帰り出来ないという事実に気づいたルキが、今度は「お泊り上の注意事項」を延々と述べた後─それでも、最終的に満足はしていなかったようだけれど─、何とか、自宅へと帰って行った。説得してくれたザーラさんには感謝しかない。
ルキとザーラさんが帰り、兄からも、一つ、二つ、ルキと似たような注意事項を受けた後─
「…兄さん、お願いがある。」
「お願いー?」
「うん、お願いというより、確認…?」
駄目なら諦める。だけど、折角なら、共に居る時間に伝えられたらなと思う。私の中で、エルやルキと同じくらい大切になってしまった人に─
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