上 下
82 / 151
第十章 入学した

Side F

しおりを挟む
Side F 

ここ最近は側に居るのが当たり前で、ずいぶんとその気配に馴染んでしまっていたから、

「…陛下、どちらへ?」

「ちょっと、ローザを見てくる」

「…」

無言の抗議を流して、彼女の居る場所へと跳んだ。

存在を希薄にし、軽く幻術をまとって歩けば、学院内においてもこちらを気にする者はない。

目的の場所、手当たり次第かと思えるほどの本の山に埋もれている、彼女の姿を見つけた。

真剣な表情で、字を追う姿を遠目に眺める。泣いて、笑って、怒って。側に居る時に見せるのとは、違う顔。そんな顔もするのだなと初めて知った。

けれど、それもまた『己のため』に臨む姿だというのだから―
 



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

白い結婚の契約ですね? 喜んで務めさせていただきます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,244pt お気に入り:61

婚約破棄

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:27

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:15,252pt お気に入り:3,347

オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,430pt お気に入り:618

私が王女です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:23,999pt お気に入り:269

そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,457pt お気に入り:2,078

百年の恋も冷めるというもの

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,462pt お気に入り:22

処理中です...