召喚巫女の憂鬱

リコピン

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第五章(最終章) 自分のための一歩

6.

6.

どのくらいの時間、瘴気を吸収し続けたのだろう。

以前は、半年近くかけて器の限界まで瘴気を吸収した。それと同じくらいの量を、この場で再び取り込まなければならない。

瘴気を取り込む際の不快感が、吐き気と頭痛になって一気に襲いかかってくる。体がまたふらついた。

「トーコ、」

「大丈夫」

それでも、巫女の間で手に入れた守護石の分、体内の浄化は出来ているのだから。『魔王』に押し負けるつもりはない。

瘴気の影が大きく揺らぎ、その姿が崩れていく。人の姿をとれなくなっていく『魔王』に終わりが近いことを確信する。

「…あれは、」

ほどけていく影の中心、瘴気が晴れていくにつれて、顕になっていく物の姿。

「守護石か…」

「…後継者を探してるみたい」

棺の上、宙に浮いて美しい光を放つ石は、次なる宿主を探している。

「本当なら、前の守護者が亡くなった時点で次の守護者が選ばれて、守護石を継承するんだけど…」

死してなお、守護石を手放せなかった守り人は、今、本当にその役目を終えたのだろう。

守護石の出現、『魔王』を無事倒せた安堵に、緊張が解ける。強ばっていた体からも力が抜け、完全に油断してしまっていた。

突然、背後に居たはずのヴォルフが、音もなく動いた。

「っ!?ヴォルフ!?」

「…」

無言のまま、棺に近づいたヴォルフが、守護石へと手を伸ばした。

「ヴォルフ!やめて!」

「…」

彼が何をしようとしているのかがわかって、それを必死に止める。

―ダメだ!間に合わない!

「ヴォルフ!」

「ッ!」

守護石がヴォルフの口の中に消えていくのが、スローモーションのように見えた。石を口にした途端、大きな体が苦しそうに折れて、ヴォルフが膝をついた。

―ああ、そんな!?

「やだ!何で!?」

「クッ!」

駆け寄って、ヴォルフの顔を覗き込む。こちらを見上げてくる表情は苦しそうで、額からは大粒の汗が流れている。

―ダメ!嫌だ!

彼を失うなんて、そんなの絶対に―

考えている時間はない。膝をついたままのヴォルフの両頬に手を添えた。

「ッ!トー、コ?」

「…」

私の名を呼ぶ唇に、無理矢理のキスを落とす。目の前の体が小さく跳ねたのがわかった。抵抗、されているのかもしれない。だけど―

合わせた唇を無理矢理に割り開き、その中へ舌を差し込んだ。




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