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高校生の二人
未雲の少し昔の話
しおりを挟む未雲の通っていた小学校、中学校は近所にあるところで、同級生も保育園から一緒の子が多かった。そんな空間から逃げるように、未雲は同級生が行かないような高校を選んだ。自宅から少し離れているがそれで良かった。
全く知らない人たちで構成された学年は小学校中学校と一緒だった者が多く、すでにグループも出来ていて入りにくい雰囲気が何となく漂っていた。数人が気にして話しかけてきたことはあれど、未雲は無愛想に返事をするだけ。そうしていると自然と話しかけようとする同級生もいなくなったが、未雲はそれを望んでいたので悲しくも何ともなかった。
「未雲、最近学校はどうなの」
両親と夕飯を食べていると、目の前の母親がそんなことを聞いてきた。父親も気になるのかソワソワとこちらへ目配せする。
「うーん、まあまあ。勉強はちゃんとしてるから安心して」
「……仲良くなった子はいる?」
「周りは小学校からの付き合いだし、俺と関わろうとする人なんていないよ。てか、中学校で色々あったの話したじゃん」
「まああんたがそれでいいならいいんだけど……無理に仲良くする必要もないし。あっ、でもなんかあったら今度はすぐ話してよね?」
同調するように父親がうんうんと頷く。
今の状態が自分にとって丁度いいのに、両親を前にすると何となく罪悪感に駆られてしまう時がある。やっぱり一人でいることは悪いことなのだろうか、心配させてしまって申し訳ないな、とか。
本当にこれでいいのか、そう思ったことなんて何回もある。何度も自問自答して、でも結局このままが一番安心できると自分の中で結論が揺らぐことはなかった。
・・・
きっかけはいつもの他愛もないお喋りからだった。
「未雲ってあいつと仲良いよな、もしかして狙ってんの?」
中学に上がって少しした頃、友人の一人が変なことを聞いてきた。初めは何を言っているのか分からなくて「え?」と何も言えなかったんだっけ。
小学校の頃から仲良くしていた同級生の女の子のことについて友人は言っていたらしい。前から仲良くしているのは六年間見ていたはずなのに、いつから変な邪推をされるようになったのか。
俺は、ただ好きな人と一緒にいたいだけだった。その「好き」も自分にとってはただ恋愛だけの意味なんかじゃなくて大切にしたいと思う意味合いだった。両親はもちろん、友人もその対象であっただけなのに。
「な、未雲がお前のこと好きなんだってさ」
「え、やめてよ~! 私はそんなつもりないのに」
「はは、振られてるじゃん」
しかし、そう思っていた相手が俺自身のことを大切にしていない事実に中学生になって初めて気付いた。自分の周りでニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべる友人だったものが途端におぞましく見えて、しかし当時の俺は突き放すことも離れることもできずに一緒に笑うことしかできなかった。
まあそれから色々と目につくようになって……ついにその空間に耐えきれなくなって、受験先を誰に言うこともなく今の高校にして逃げた。個人のスマホは高校生になってからという家の決まりで持っていなかったが、まさかそれに感謝する日が来るとは。おかげで特に揉めることもなく関係を断つことができた。
高校でまた似たようなことが起きたら面倒だ。だからわざわざ友人を作る気も起きない。これ以上傷付きたくないし、他者に期待なんてしてはいけない。それを教えてくれた「元友人」たちには少しだけ感謝している。本当に、それだけ。
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