そんなコンなで毎日修行中!

西出あや

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11.真犯人

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「朝早くから、ずいぶんと熱心なのね」
 わたしのすぐ横で声がして、びくんっと小さく肩が跳ねる。
 いつ来たの? 全然気づかなかった。
 のどが緊張でカラカラに乾いてしまって、声が出ない。
「その反応。ひょっとして、気づかなくてもいいことに、気づいてしまったのかしら?」
 言葉とは裏腹に、なんとも思っていなさそうな小さな笑い声が、ふふっと聞こえる。
「最近、保健室に来る子たちから少しずつ分けてもらうだけじゃ全然足りなくなってきちゃったのよね。ほら見て? こんなにたくさんもらったばかりだっていうのに、もう口の横にしわができちゃった」
「どういう……意味ですか?」
 おそるおそる問いかけながら声の方を見ると、楽しそうな笑みを浮かべた白壁先生が立っていた。
「一度、半妖の生気も試してみたかったのよね。とりあえず、少しわたしに分けてもらえる? ああ、それとも、ヒミツを知られたからには、一気に全部いただいちゃった方がいいのかしらね」
 そう言いながら、白壁先生がわたしの方へと手を伸ばす。
 逃げなくちゃって頭ではわかっているのに、恐怖で体がこわばってしまって、思うように動けない。
 ――と、そのとき。風のように駆けてきた白い影が、白壁先生におもいっきり体当たりし、先生の体がぐらりと傾いた。
 その隙に、やっとの思いで白壁先生から距離を取る。
 そんなわたしと白壁先生の間に立ちはだかり、低いうなり声をあげる白い影――。
「か、和真⁉」
 おばあさまのところで保護してもらってたはずなのに。
 ひょっとして、逃げ出してきたの?
 人間のときの記憶はなくしているはずなのに。
 それでも、わたしを守るためにここに?
「あら、岡林くんじゃない。せっかくその姿で留めてあげたのに、わたしに消されたいのかしら?」
「それじゃあ、やっぱり和真のことも、白壁先生が?」
「本当に純粋な子よね。『そんなに気になるのなら、そのライバルの子と仲よくなって、本心を探ってみたら?』ってアドバイスをしてあげたら、本当にその通りにするんだから」
 そう言って、くすりと笑う。
「おかげで、あの黒狐の子にあなたの注意を向けることができて、わたしとしてはすごく助かっちゃった」
「それって、黒瀬くんに、罪をなすりつけようとしていたってことですか?」
 声が震える。
「いいじゃない。どうせあの子は、誰とも仲よくする気なんかないんだから」
「そんなことない! 野球部に入ったのだって、和真と一緒に自主練してたのだって、きっと本当は人間とも仲よくしたいって思ってるからで。それなのに、そんな黒瀬くんに罪を着せようとするなんて、そんなの……許せない!」
「でも、勝手に勘違いしたのは、あなたじゃない」
「そ、それは……でも、ちゃんとあとで謝るから。だから、先生もみんなにちゃんと謝って、生気を返してください」
「返さないわよ。だって、そんなことをしたら、ただのしわくちゃのおばあちゃんになっちゃうじゃない」
 そう言って、白壁先生が口をとがらせる。
「うーん。たくさん試してみたんだけど、岡林くんのが一番よかったのよね。本当は最後まで取っておきたかったんだけど、君がいると面倒なことになりそうだから、残念だけど一番に消させてもらうことにするわ。春日さんのは、その次にもらってあげるから、ちょっと待っててね」
 うなり声をあげ続ける和真に向かって、白壁先生が手をかざそうとする。
「やめてーっ‼」
 無我夢中で和真をかばうようにしてぎゅっと抱きしめる。
 ごめんね、和真。こんなことに巻き込んじゃって。
 でも、和真のことは、絶対絶対わたしが守るから……!
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