今日も君は嘘を吐く

西出あや

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一番の噓つき

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「はぁ~、おいしかったぁ~」
 お店を出た瞬間、思わず素の言葉が漏れ出て、慌てて口を押える。
「ははっ。日菜のそんな声、初めて聞いたかも」
「な、なにかの聞き間違いです」
「ほらまたそうやってすぐ通常モードに戻りやがって。素直な方がかわいいのに」
「別にかわいくなくて結構です。……ほら、急がないと信号が変わってしまいますよ!」
 ごまかすようにしてそう言うと、青信号を目指して先に走り出す。
 こんなふうに熱くなった頬を、悠李くんに見られるわけにはいかないから。
 勘違いしちゃいけない。これはあくまでも悠李くんの遊びに付き合ってあげているだけなんだから。
「おい、ちょっと待て……」
 悠李くんの慌てた声が後ろで聞こえ、その二、三秒の後、「キャーッ!」と若い女性の悲鳴が響いた。
 ひょっとしたら、俳優の双葉悠李だとバレてしまったのかもしれない。
 地方都市とはいえ、祖父母の家の辺りよりは、よっぽど都会だ。今の今までバレなかったことの方が奇跡と言えるだろう。
 恐る恐る後ろを振り返ると、道の真ん中で誰かがうつ伏せで倒れているのが目に入った。
 被っていたキャップが脱げ、輝くような金髪が露わになっている。
 ざーっと音がしそうなほどの勢いで、体中の血の気が引いていく。

 まさか、そんな……。

「おい、どうした、大丈夫か!?」
 会社員風の男性が、倒れた悠李くんのそばにしゃがみ込む。
 どうしよう、このまま悠李くんが死んでしまったら。
 わたしのせいだ。わたしがちゃんと止めていたら、こんなことにはならなかったのに。
 忙しい撮影の合間に、こんな遠出なんかさせるべきじゃなかった。もっと、悠李くんの体のことを考えるべきだった。
 こんな簡単なことなのに、なんでもっと早く気付けなかったんだろう。
 倒れたまま身じろぎひとつしない悠李くんを見下ろし、呆然と立ち尽くしていると、母と同じくらいの年齢の女性に声を掛けられた。
「あなた、この子のお友だち?」
「……」
「この子の家族と連絡は取れそう?」
「……」
「しっかりしなさい。今この子が頼れるのは、あなたしかいないのよ!」
 その女性が、わたしの両肩を掴んで強めに揺する。
 ハッと我に返ると、わたしはその女性の顔を見た。
「連絡……取れるか、聞いてみます」
 お父さんなら、きっと連絡を取る手段があるはずだ。
 わたしは、震える手でカバンからスマホを取り出すと、お父さんに連絡した。
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