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11.体育祭本番!
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「凛香がんばれーっ!」
「優勝、いけるいけるーっ!」
ダルマ運びリレーは、担架のようなものに乗せたダルマを、二人で落とさないように運んでいき、二か所に置かれたポールをぐるっと回って、スタート地点へと戻ってくる競技。
リレー最終走者のわたしと凛香ちゃんが、少し前を行く三組を必死に追いかける。
あとちょっと、あとちょっと……!
と、そのとき。凛香ちゃんが、なにかにつまずいたような衝撃があって、ダルマがごろんっと勢いよく転がり落ちてしまった。
「「「あぁー……」」」
わたしたちのクラスの応援席から聞こえてくる、落胆の声。
その隙に、一位の三組だけでなく、僅差でわたしたちを追ってきていた他のクラスも一気にゴールしてしまった。
本当に、あとちょっとだったのに……。
おろした担架に、転がり落ちたダルマを慌てて乗せ直し、持ちあげようとしたんだけど、凛香ちゃんが、顔をうつむかせてしゃがみ込んだまま立ちあがろうとしない。
「凛香ちゃん、準備OKだよ」
気づいていないのかと声をかけてみたけど、反応がない。
「凛香ちゃん。行こっ!」
もう一度強く声をかけると、ゆるゆると担架の持ち手を握る凛香ちゃん。
そしてわたしたちは、みんなからだいぶ遅れて、なんとかゴールした。
「凛香がせっかく一緒に出てあげたのにね」
「ほんとありえない~」
退場すると、リレーメンバーが口々に言い、凛香ちゃんが、赤くなった頬を隠すように、顔をうつむかせた。
きっとみんな、わたしのせいで落ちちゃったって思ってるんだ。
「一生懸命やった結果を責めるなんて、最低だな」
近くで出番を待っていた佐治くんのつぶやきが聞こえ、凛香ちゃんがそっと顔をあげる。
「ほらまたそうやってかばわれて」
「ほーんと、うらやましい」
「……ちがうの。負けたのは……わたしのせいだから」
「え? 凛香?」
「ちょっと、やだ、凛香。凛香まで若葉のことをかばうわけ?」
「ごめん。わたしがつまずいて転びそうになったの。だからっ……若葉ちゃんはなにも悪くない。みんな、本当にごめんね」
凛香ちゃんが泣きだしてしまい、イヤミを言っていた子たちが、バツの悪そうな顔を見合わせる。
「……わ、わたしがいつつまずいたっておかしくなかったわけだし。いやむしろ、凛香ちゃんがわたしの代わりにつまずいてくれたとも言えるし? だ、だからね……来年も、このメンバーで絶対リベンジしよ!」
おかしな空気をなんとかしたくて、わたしはおかしなテンションで一気にまくし立てた。
「は? なに言ってんの。そんなの、ムリだし」
「そうだよ。来年も全員が同じクラスになるなんてミラクル、起きるわけないし」
「そ、そっか。……じゃあ、来年は敵同士。正々堂々勝負だよ!」
「……負けない」
わたしが他のダルマ運びメンバーと言い合いをしていたら、凛香ちゃんが、ぼそりと言うのが聞こえてきた。
「若葉ちゃんにだけは、絶対に負けないから」
涙を拭って顔をあげた凛香ちゃんが、わたしに向かってもう一度言う。
「わたしだって。凛香ちゃんには負けないよ」
わたしも、凛香ちゃんの目を見て言い返した。
……え、なに? 今の、わたしがほんとに言ったの⁇
おもいっきり凛香ちゃんにケンカ売っちゃってない⁉
うわ~ん、完全にやらかしちゃったよぉ~!
ハッと我に返ったわたしは、一目散でその場を離れた。
でも、言いたいことがやっと言えて……なんだかすっきりしたぁ!
走りながら空を見あげると、今のわたしの心みたいに、澄みきった青空が広がっていた。
「優勝、いけるいけるーっ!」
ダルマ運びリレーは、担架のようなものに乗せたダルマを、二人で落とさないように運んでいき、二か所に置かれたポールをぐるっと回って、スタート地点へと戻ってくる競技。
リレー最終走者のわたしと凛香ちゃんが、少し前を行く三組を必死に追いかける。
あとちょっと、あとちょっと……!
と、そのとき。凛香ちゃんが、なにかにつまずいたような衝撃があって、ダルマがごろんっと勢いよく転がり落ちてしまった。
「「「あぁー……」」」
わたしたちのクラスの応援席から聞こえてくる、落胆の声。
その隙に、一位の三組だけでなく、僅差でわたしたちを追ってきていた他のクラスも一気にゴールしてしまった。
本当に、あとちょっとだったのに……。
おろした担架に、転がり落ちたダルマを慌てて乗せ直し、持ちあげようとしたんだけど、凛香ちゃんが、顔をうつむかせてしゃがみ込んだまま立ちあがろうとしない。
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気づいていないのかと声をかけてみたけど、反応がない。
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「ほんとありえない~」
退場すると、リレーメンバーが口々に言い、凛香ちゃんが、赤くなった頬を隠すように、顔をうつむかせた。
きっとみんな、わたしのせいで落ちちゃったって思ってるんだ。
「一生懸命やった結果を責めるなんて、最低だな」
近くで出番を待っていた佐治くんのつぶやきが聞こえ、凛香ちゃんがそっと顔をあげる。
「ほらまたそうやってかばわれて」
「ほーんと、うらやましい」
「……ちがうの。負けたのは……わたしのせいだから」
「え? 凛香?」
「ちょっと、やだ、凛香。凛香まで若葉のことをかばうわけ?」
「ごめん。わたしがつまずいて転びそうになったの。だからっ……若葉ちゃんはなにも悪くない。みんな、本当にごめんね」
凛香ちゃんが泣きだしてしまい、イヤミを言っていた子たちが、バツの悪そうな顔を見合わせる。
「……わ、わたしがいつつまずいたっておかしくなかったわけだし。いやむしろ、凛香ちゃんがわたしの代わりにつまずいてくれたとも言えるし? だ、だからね……来年も、このメンバーで絶対リベンジしよ!」
おかしな空気をなんとかしたくて、わたしはおかしなテンションで一気にまくし立てた。
「は? なに言ってんの。そんなの、ムリだし」
「そうだよ。来年も全員が同じクラスになるなんてミラクル、起きるわけないし」
「そ、そっか。……じゃあ、来年は敵同士。正々堂々勝負だよ!」
「……負けない」
わたしが他のダルマ運びメンバーと言い合いをしていたら、凛香ちゃんが、ぼそりと言うのが聞こえてきた。
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「わたしだって。凛香ちゃんには負けないよ」
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……え、なに? 今の、わたしがほんとに言ったの⁇
おもいっきり凛香ちゃんにケンカ売っちゃってない⁉
うわ~ん、完全にやらかしちゃったよぉ~!
ハッと我に返ったわたしは、一目散でその場を離れた。
でも、言いたいことがやっと言えて……なんだかすっきりしたぁ!
走りながら空を見あげると、今のわたしの心みたいに、澄みきった青空が広がっていた。
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