S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ

文字の大きさ
155 / 162
第3部 第2章 魔王の肖像 -強化倍力鎧-

第155話 これから魔王に会いに行くよ

しおりを挟む
「シオン、魔王退治に行くんだろう? 俺たちも協力するぜ。お前の【クラフト】を、これ以上悪用させるわけにはいかねえ」

 バーンたちの申し出に、おれは首を横に振った。

「ありがたいけれど、ちょっと誤解してるよ。退治はあくまで最後の手段だ。おれたちは、できることなら話し合いで解決したい」

 バーンは目を丸くして、小さく息を呑んだ。

「お前、さっきの合成生物キメラや、やつらの兵器を知ってて言ってるんだよな?」

「そうだよ。あんなに凄い物を作れる人を退治してしまうなんてもったいないと思ってる」

「どれだけ危険かもわかってて言うんだな?」

「おれたちの技術だって、兵器利用すれば危険だよ。でも違う使い方で人を幸せにすることもできた。表裏一体なんだ。おれは、魔王の技術も良いほうに変えられると思ってる」

「そうか。なら、俺に文句はねえな」

「そんな簡単に言うけど、相手は魔王なのよ。話にもならないかもしれないのよ」

 ラウラへの問いかけに、おれは頷く。

「そうかもしれない。だから準備はしておくよ。バーン、君のその鎧も、切り札になるかもしれない。貸してもらうことはできるかな?」

「それはいいが、魔王相手にどこまでやれるか」

「少なくとも【クラフト】で殺されるのは防げるよ」

「どうやって?」

 その問いに答えてあげると、バーンはにやりと笑った。

「さすがシオン。いいアイディアだ」


   ◇


「じゃあ、ノエルちゃん、みんな、また会いに来てね」

 戦闘の後処理を終えたあと、おれたちはマルタから封印道具について書かれた本や、いくつかの贈り物を受け取った。

「うん! 今度はひ孫の顔を見せてあげるからね~!」

 封印道具は、一種の魔導器――いや魔法道具マジックアイテムだった。

 その名を『魔封の短剣マジックシール』。

 特殊な製法で作られた短剣に、複雑な魔力回路を書き込むことで完成する。

 刺した相手の生命力を魔力に変換して体外に強制放出させ、その魔力で対象を包む強力な障壁を発生させる。

 刺された者は意識が昏倒。生命力が尽きるまで障壁に閉じ込められる。不死身の存在なら、『魔封の短剣マジックシール』が抜けるまで封印され続けることになる。

 刺されたら意識が無くなるのだから、封印された本人が抜くのは不可能なはずだ。なのになぜ魔王の封印は解けてしまったのか。

 おそらく、放出させる魔力が強力すぎたのだ。『魔封の短剣マジックシール』自体に負荷がかかり過ぎて、数百年のうちに破損してしまったのだろう。

「そこで、この欠点を補う改造をしようと思う」

 おれたちは武装工房車に戻り、さっそく製作に取りかかっていた。

「はい。短剣の製法はそのままに、強度を上げます」

「放出させる魔力が強すぎるなら、ちょっと弱くするよう出力を調整すればいいのよね」

 ソフィアとノエルは、気持ちよく即答してくれる。

「そういうこと。アリシアはふたりを手伝ってあげて。おれは、バーンたちとやることがあるから」

魔封の短剣マジックシール』の製作は三人に任せて、おれは武装工房車を降りた。

 バーンたちはおれたちの護衛として付いてきてくれる。魔王とは話し合うつもりだが、それ以前に襲われる可能性もある以上、彼らの助力は本当にありがたい。

 おれはバーンの鎧――強化倍力鎧パワードアーマーが扱えるよう、ラウラに魔力操作の手ほどきを受ける。

 とはいえ一箇所に留まるのは危険なので、グラモルを目指して場所を変えながら、製作と修行を続けた。

 強化倍力鎧パワードアーマーで【クラフト】を無効化するアイディアを実現させるのは難易度が高かった。しかし、強化倍力鎧パワードアーマーに少々手を加えたり、毎日遅くまで魔力操作の修行を続けて、なんとか成功にこぎつけた。

 その頃には『魔封の短剣マジックシール』の製作も完了していた。

 おれはいよいよ通信魔導器を取り出す。撃破した装甲車に搭載されていた物だ。

 起動させるとグラモルの軍部に繋がった。どうやら、あのとき倒した部隊は無事に戻ったらしく、おれたちの存在を把握している様子だ。

「メイクリエのショウ王子。わざわざ連絡を寄越すとは何用か」

「そちらの魔王へ伝えていただきたいことがふたつある」

「ほう?」

「ひとつは、魔王が処分したがっていた『魔封の短剣マジックシール』の製法はおれたちが手に入れた。もうシマリリスを襲う意味はない。ちょっかいを出すのはやめて欲しい」

「もうひとつは?」

「マルタさんは魔王の幸せを願ってる。そのためにおれたちは、これから魔王に会いに行くよ。お茶とお菓子でも用意して待っていて欲しい」

「我がグラモルに乗り込んでくるつもりか。調子に乗るなよ。貴様らが破壊した車両は、偵察任務用で戦闘力は最弱だ。本物の戦闘車両の威力を見せてやる」

「それはありがたい。どんな技術が使われているのか、見せてもらうのが楽しみだ」

「舐めやがって……!」

 そこで通信は切られる。

「舐めてないし、本当に楽しみなんだけどなぁ……」

「はい、そうですよね」

 おれのぼやきにソフィアは同意してくれたが、ラウラにはツッコミを入れられた。

「いやいや、普通の人からは煽ってるように聞こえるからね? おかしいからね、あの返し」

 ロハンドール帝国とグラモルの国境線は、もう目と鼻の先だった。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

処理中です...