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一章
31.エメルリーズ領の現状3
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「どちら様でしょうか?」
扉が開き、中から現れたのは執事服を着たまだ若い青年だった。青年は、ミルフィ達の姿を見て不思議そうに問いかける。
それを聞いてアルベルトは、ミルフィを知っているはずでないのかと疑問に思った。
「お久しぶりね、コンラッド。こんな姿で失礼するわ」
「え?……まさか、ミル——」
ミルフィの言葉にコンラッドと呼ばれた青年は驚愕し、その名前を口にしようとしたが、寸でのところでミルフィの唇に手を当てる仕草によって口を噤んだ。
「……取り敢えず、中にお入りください。色々と事情があるようですので」
流石は国王直々に配属させた従者である。初めは驚愕こそしたものの、それからの仕事はとても早いものだった。無駄な隙がなく、洗練された動きは一流のものである。
応接室へと案内されたミルフィ達は、その場で暫く待つように言われてそれぞれが椅子に腰を下ろした。
「なんで最初殿下だって気が付かなかったんだ?殿下が治めている領地なら、何度も顔を合わせているはずだろう?」
「……まさかとは思うけれど、忘れてないでしょうね?今の私達は元がバレないうに変装をしているのよ?どんなにわたしが彼と会っていたとしても、初めて見る変装姿と本来の姿が一致するわけないじゃないの」
アルベルトの疑問にミルフィは呆れた様子で答えてやる。それを聞いたアルベルトがそういえばそうだったなと呟くのを見て、溜め息をついた。
「……それで、これからどうするんだ?」
「取り敢えずは先程も言ったようにここの代理を任せている人に会うわ。それから王宮にフィル宛ての手紙を書くからそれを届けてもらう。フィルには今いる場所を教えておかないと後々に情報交換が面倒になるもの。ここを出るのはそれらが全て終わってからになるわね」
そこまで話し終えた時、丁度良く扉が開いてミルフィが待ち望んでいた人物が部屋の中へと入ってきた。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
そして、低く穏やかな声でそう告げた。
「いえ、わたし達が急に来たせいなのだから気にしないで頂戴」
ミルフィが微笑みを浮かべて首を振り、それからアルベルトへと視線を向けた。
「ね?貴方も知っている人だったでしょう?」
ミルフィの視線の先では、驚愕して目を見開かせているアルベルトの姿があった。その様子にミルフィがくすっと声を漏らしてしまう。
「……本物か?」
「この世に私が一人しかいないのであれば、本物でしょうね」
アルベルトが無意識に呟いた言葉に、面白可笑しそうにその人物も笑った。
ミルフィが微笑しながら肩を竦めて、どうせなのだからきちんと自己紹介でもしてあげたら?とその人物に視線を向けた。
その人物もそうですね、せっかくですから……と頷き、
「ご存知かとは思われますが殿下のご要望通り、改めて自己紹介でもいたしましょうか」
と改まった様子で頭を下げた。
「——辺境伯を承っている、ユンカー・レイオッド・エルメリーズと申します」
扉が開き、中から現れたのは執事服を着たまだ若い青年だった。青年は、ミルフィ達の姿を見て不思議そうに問いかける。
それを聞いてアルベルトは、ミルフィを知っているはずでないのかと疑問に思った。
「お久しぶりね、コンラッド。こんな姿で失礼するわ」
「え?……まさか、ミル——」
ミルフィの言葉にコンラッドと呼ばれた青年は驚愕し、その名前を口にしようとしたが、寸でのところでミルフィの唇に手を当てる仕草によって口を噤んだ。
「……取り敢えず、中にお入りください。色々と事情があるようですので」
流石は国王直々に配属させた従者である。初めは驚愕こそしたものの、それからの仕事はとても早いものだった。無駄な隙がなく、洗練された動きは一流のものである。
応接室へと案内されたミルフィ達は、その場で暫く待つように言われてそれぞれが椅子に腰を下ろした。
「なんで最初殿下だって気が付かなかったんだ?殿下が治めている領地なら、何度も顔を合わせているはずだろう?」
「……まさかとは思うけれど、忘れてないでしょうね?今の私達は元がバレないうに変装をしているのよ?どんなにわたしが彼と会っていたとしても、初めて見る変装姿と本来の姿が一致するわけないじゃないの」
アルベルトの疑問にミルフィは呆れた様子で答えてやる。それを聞いたアルベルトがそういえばそうだったなと呟くのを見て、溜め息をついた。
「……それで、これからどうするんだ?」
「取り敢えずは先程も言ったようにここの代理を任せている人に会うわ。それから王宮にフィル宛ての手紙を書くからそれを届けてもらう。フィルには今いる場所を教えておかないと後々に情報交換が面倒になるもの。ここを出るのはそれらが全て終わってからになるわね」
そこまで話し終えた時、丁度良く扉が開いてミルフィが待ち望んでいた人物が部屋の中へと入ってきた。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
そして、低く穏やかな声でそう告げた。
「いえ、わたし達が急に来たせいなのだから気にしないで頂戴」
ミルフィが微笑みを浮かべて首を振り、それからアルベルトへと視線を向けた。
「ね?貴方も知っている人だったでしょう?」
ミルフィの視線の先では、驚愕して目を見開かせているアルベルトの姿があった。その様子にミルフィがくすっと声を漏らしてしまう。
「……本物か?」
「この世に私が一人しかいないのであれば、本物でしょうね」
アルベルトが無意識に呟いた言葉に、面白可笑しそうにその人物も笑った。
ミルフィが微笑しながら肩を竦めて、どうせなのだからきちんと自己紹介でもしてあげたら?とその人物に視線を向けた。
その人物もそうですね、せっかくですから……と頷き、
「ご存知かとは思われますが殿下のご要望通り、改めて自己紹介でもいたしましょうか」
と改まった様子で頭を下げた。
「——辺境伯を承っている、ユンカー・レイオッド・エルメリーズと申します」
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