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第2章 恋のキューピッド大作戦 〜 Shape of Our Heart 〜
リーシャの帰還
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正体不明であったコンちゃんだったが、死神さん達の取引先のような存在ということが判明した。
(それはそれで意味不明ですけどね)
なんとなくの関係性は把握できたが、その詳細は未だよく理解できていない。
「悪霊さんからするとそうでしょうね。すみません、守秘義務だったり私も知らされてなかったりで、説明できないことが多くて……」
(まあ、仕方ないですね。でも、極力教えてくださいね。ミッション成功にも関わりますし)
「はい、それは勿論です」
死神さんは任せろと言わんばかりにガッツポーズを決める。
よろしく頼みますよ、本当に。
(あ、それはそうとして、意思疎通のほう何とかなりませんかね。少し……というか、かなり不便なんですけど)
前の世界では話せる人が限定されたせいで、ミッション達成の難易度が大きく向上したし、今の世界では姫様達と意思疎通できなかったせいで、コミュニケーションに不具合が生じそうだった。なんとかなるならすごくありがたい。
「うーん、こちらとしても何とかしたいんですよね……。おそらく異世界の情報不足と悪霊さんの調整不足が原因だと思うんですけど……」
腕を組んで悩む素振りを見せる死神さん。
え、新しく管理対象となった異世界の情報不足はまあいいとして、俺の調整不足って何だよ。俺、機械かよ。
「えっと、波長というか、周波数のチューニング、みたいな? ほら、コンちゃんとの戦いで悪霊さんの目がついていかなかったとき、私が頭いじって調整したじゃないですか。そことはまた別の、意思疎通に関わる部分の調整がうまくいってないせいで、悪霊さんの言葉が通じないんだと思うんですよね……」
調整って、あの頭フニフニか。魂状態の俺には変な機能が備わっているようだな。とても興味深い。
(その調整って、今できないの?)
「少しならできますけど、今は駄目です。コンちゃんのときは緊急時だってので仕方ありませんが、勝手に調整すると課長に怒られちゃうんですよ。肝心のコミュニケーションに関わる部分の調整は私じゃ無理ですし。こちらとしてもその対処は進めていますので、もう少しお待ちいただけませんか? 次の世界ではもう少しマシになっていると思います」
(そうですか。じゃあ、待ちます)
神様たちも何とかしようとしてたんだな。それなら俺にできることは何もないか。
「さて、コンちゃんとのコンタクトも取れないようですし、私は引き続き食べ歩きーーもとい、現地調査兼、貢物収集へと行ってまいります。それでは」
死神さんは立ち上がって俺に手を振ると、空気に溶けるようにしてスゥっと消えてしまった。ちょっとだけ嬉しそうにしていたのは、おそらく隠れてやってたことに名分ができたからだろうな。
死神さんと別れた翌日のお昼ごろ。リーシャ一行がバラクラードへと帰還した。表向きは歌手とマネージャとボディーガードであるが、実際は全員がレジスタンスのメンバーである。さらにリーシャは孤児であり、成人するまではマーテル教会で育てられた経緯もあって、彼女達はすぐにアジトのあるマーテル教会へとやってきた。
「リーシャ、久しぶり」
(セイくんも、久しぶり。元気だった? ライブ巡業、お疲れ様)
「クリス、それに悪霊さんも。久しぶりー。というか、私より、君たちのほうが大変だったんじゃない? 帝都を出るとき、指名手配されてるって耳にしたけど。よくここまで来れたね」
俺とクリスくんは食堂に入ってきたリーシャとセイくんに挨拶する。彼女は持っていた荷物を食堂のテーブルに置いて、以前帝都を観光したときのような自然な笑みを見せた。ライブのときとはまた違った印象である。
二人以外にもうひとり、黒服の男が荷物を持って食堂に入って来たが、彼は荷物を置いて俺たちに会釈すると、早々に食堂の奥へと行ってしまった。「お父さん!?」というシータちゃんの声が聞こえる。どうやら彼がシータちゃんの父親らしい。
「かなり大変でしたが、まあ何とかなりました。主にレイジーのおかげですね。……何で隠れてるの? レイジー」
レイジーちゃんはクリスくんの背中にこそっと隠れて、顔だけ覗かせてリーシャを見ていた。クリスくんに促されて彼女は前に進み出る。
「あ、君がクリスのパートナーのグレイジーね。よろしく、私はリーシャよ」
「えっと、よろしくね、リーシャ。ライブ、すごかった」
「ライブ来てくれたのね。ありがとう。……話には聞いていたけど、ガイアの記憶がないって本当?」
「……うん、そうみたい」
「そっか。残念ね、セイ」
リーシャは隣にいるセイくんをちらと見る。
「……そうです、ね。……えっと、グレイジーは僕のことも覚えてない?」
「……うん。ごめんね」
「……そっか。グレイジーは僕らと違って大変だったみたいし、仕方ないよ。……でも、無事で良かった」
セイくんは少し悲しそうにしながらも、口角を上げて笑顔を見せた。
うーん。ミッション達成を目指す俺としては、二人の間柄が少し気になるぞ。
(……セイくんは、レイジーちゃんと仲良かったの?)
「仲は普通……、でしたね。顔見知り程度です。それでも、ここにみんな集まるようになってからは心配していました。最初の頃は、ヒ……えっと、グレイジー以外、宇宙船から離れて散り散りなっちゃったので、自分のことで手一杯でしたが」
そうか、恋人というわけではないんだな。彼が一方的にレイジーちゃんのことを好いている、というわけでも無さそうだ。
「……ところで、リーシャの能力は《声》に関することって聞いたんだけど、見せてもらえない? 計画に関わることだし」
クリスくんはそうリーシャに尋ねる。
情報も集まってきたし、戦力も集まったので、そろそろ本格的にアスカはレジスタンスとしての活動を始めようとしていた。今はそのための計画を立てており、クリスくんもその立案に参加している。そのために、リーシャの能力が気になるのだろう。
「それはいいけど、他のみんなに挨拶してからね。お土産もあるし。それにーー」
と、リーシャが続きを話そうとしたところで、食堂の扉ががたんと開いた。
「あ! やっぱりリーシャ姉ちゃん帰ってきてる!」
「本当だ!」
「お姉ちゃん! お帰り! あのね、僕、逆上がりができるようになったんだよ! 見せてあげる!」
元気な声を響かせて食堂に入ってきたのは、教会で預かっている孤児の子供たちだ。
「あの子達の相手もしなきゃだから、また後でね」
「分かった。また後で」
「クリスも一緒に遊ぶ?」
「あー、僕、子供苦手なんで、お任せします」
クリスくんは露骨に嫌そうな顔をして拒否していた。
「そうなの? 楽しいのに。グレイジーは? どう? 楽しいわよ」
「えっと……」
リーシャは断られたことを気にすることなく、その代わりと言わんばかりにレイジーちゃんを誘った。レイジーちゃんは行きたそうな素振りを見せつつ、クリスくんの顔をちらと伺う。
「レイジーは行ってきたら? 楽しいと思うよ。アスカには僕から言っておくから」
「! うん、そうする!」
「じゃあ、庭に行きましょうか」
リーシャとセイくんレイジーちゃんの3人は、子供たちと一緒に外へ出ていってしまった。
(クリスくん、子供苦手なんだ……)
「行動の予測ができない相手は苦手なんですよ。無視すると泣きますし」
嫌そうな顔をしたまま、彼は一言お伺いを立てようと、アスカの部屋へと赴くのであった。
(それはそれで意味不明ですけどね)
なんとなくの関係性は把握できたが、その詳細は未だよく理解できていない。
「悪霊さんからするとそうでしょうね。すみません、守秘義務だったり私も知らされてなかったりで、説明できないことが多くて……」
(まあ、仕方ないですね。でも、極力教えてくださいね。ミッション成功にも関わりますし)
「はい、それは勿論です」
死神さんは任せろと言わんばかりにガッツポーズを決める。
よろしく頼みますよ、本当に。
(あ、それはそうとして、意思疎通のほう何とかなりませんかね。少し……というか、かなり不便なんですけど)
前の世界では話せる人が限定されたせいで、ミッション達成の難易度が大きく向上したし、今の世界では姫様達と意思疎通できなかったせいで、コミュニケーションに不具合が生じそうだった。なんとかなるならすごくありがたい。
「うーん、こちらとしても何とかしたいんですよね……。おそらく異世界の情報不足と悪霊さんの調整不足が原因だと思うんですけど……」
腕を組んで悩む素振りを見せる死神さん。
え、新しく管理対象となった異世界の情報不足はまあいいとして、俺の調整不足って何だよ。俺、機械かよ。
「えっと、波長というか、周波数のチューニング、みたいな? ほら、コンちゃんとの戦いで悪霊さんの目がついていかなかったとき、私が頭いじって調整したじゃないですか。そことはまた別の、意思疎通に関わる部分の調整がうまくいってないせいで、悪霊さんの言葉が通じないんだと思うんですよね……」
調整って、あの頭フニフニか。魂状態の俺には変な機能が備わっているようだな。とても興味深い。
(その調整って、今できないの?)
「少しならできますけど、今は駄目です。コンちゃんのときは緊急時だってので仕方ありませんが、勝手に調整すると課長に怒られちゃうんですよ。肝心のコミュニケーションに関わる部分の調整は私じゃ無理ですし。こちらとしてもその対処は進めていますので、もう少しお待ちいただけませんか? 次の世界ではもう少しマシになっていると思います」
(そうですか。じゃあ、待ちます)
神様たちも何とかしようとしてたんだな。それなら俺にできることは何もないか。
「さて、コンちゃんとのコンタクトも取れないようですし、私は引き続き食べ歩きーーもとい、現地調査兼、貢物収集へと行ってまいります。それでは」
死神さんは立ち上がって俺に手を振ると、空気に溶けるようにしてスゥっと消えてしまった。ちょっとだけ嬉しそうにしていたのは、おそらく隠れてやってたことに名分ができたからだろうな。
死神さんと別れた翌日のお昼ごろ。リーシャ一行がバラクラードへと帰還した。表向きは歌手とマネージャとボディーガードであるが、実際は全員がレジスタンスのメンバーである。さらにリーシャは孤児であり、成人するまではマーテル教会で育てられた経緯もあって、彼女達はすぐにアジトのあるマーテル教会へとやってきた。
「リーシャ、久しぶり」
(セイくんも、久しぶり。元気だった? ライブ巡業、お疲れ様)
「クリス、それに悪霊さんも。久しぶりー。というか、私より、君たちのほうが大変だったんじゃない? 帝都を出るとき、指名手配されてるって耳にしたけど。よくここまで来れたね」
俺とクリスくんは食堂に入ってきたリーシャとセイくんに挨拶する。彼女は持っていた荷物を食堂のテーブルに置いて、以前帝都を観光したときのような自然な笑みを見せた。ライブのときとはまた違った印象である。
二人以外にもうひとり、黒服の男が荷物を持って食堂に入って来たが、彼は荷物を置いて俺たちに会釈すると、早々に食堂の奥へと行ってしまった。「お父さん!?」というシータちゃんの声が聞こえる。どうやら彼がシータちゃんの父親らしい。
「かなり大変でしたが、まあ何とかなりました。主にレイジーのおかげですね。……何で隠れてるの? レイジー」
レイジーちゃんはクリスくんの背中にこそっと隠れて、顔だけ覗かせてリーシャを見ていた。クリスくんに促されて彼女は前に進み出る。
「あ、君がクリスのパートナーのグレイジーね。よろしく、私はリーシャよ」
「えっと、よろしくね、リーシャ。ライブ、すごかった」
「ライブ来てくれたのね。ありがとう。……話には聞いていたけど、ガイアの記憶がないって本当?」
「……うん、そうみたい」
「そっか。残念ね、セイ」
リーシャは隣にいるセイくんをちらと見る。
「……そうです、ね。……えっと、グレイジーは僕のことも覚えてない?」
「……うん。ごめんね」
「……そっか。グレイジーは僕らと違って大変だったみたいし、仕方ないよ。……でも、無事で良かった」
セイくんは少し悲しそうにしながらも、口角を上げて笑顔を見せた。
うーん。ミッション達成を目指す俺としては、二人の間柄が少し気になるぞ。
(……セイくんは、レイジーちゃんと仲良かったの?)
「仲は普通……、でしたね。顔見知り程度です。それでも、ここにみんな集まるようになってからは心配していました。最初の頃は、ヒ……えっと、グレイジー以外、宇宙船から離れて散り散りなっちゃったので、自分のことで手一杯でしたが」
そうか、恋人というわけではないんだな。彼が一方的にレイジーちゃんのことを好いている、というわけでも無さそうだ。
「……ところで、リーシャの能力は《声》に関することって聞いたんだけど、見せてもらえない? 計画に関わることだし」
クリスくんはそうリーシャに尋ねる。
情報も集まってきたし、戦力も集まったので、そろそろ本格的にアスカはレジスタンスとしての活動を始めようとしていた。今はそのための計画を立てており、クリスくんもその立案に参加している。そのために、リーシャの能力が気になるのだろう。
「それはいいけど、他のみんなに挨拶してからね。お土産もあるし。それにーー」
と、リーシャが続きを話そうとしたところで、食堂の扉ががたんと開いた。
「あ! やっぱりリーシャ姉ちゃん帰ってきてる!」
「本当だ!」
「お姉ちゃん! お帰り! あのね、僕、逆上がりができるようになったんだよ! 見せてあげる!」
元気な声を響かせて食堂に入ってきたのは、教会で預かっている孤児の子供たちだ。
「あの子達の相手もしなきゃだから、また後でね」
「分かった。また後で」
「クリスも一緒に遊ぶ?」
「あー、僕、子供苦手なんで、お任せします」
クリスくんは露骨に嫌そうな顔をして拒否していた。
「そうなの? 楽しいのに。グレイジーは? どう? 楽しいわよ」
「えっと……」
リーシャは断られたことを気にすることなく、その代わりと言わんばかりにレイジーちゃんを誘った。レイジーちゃんは行きたそうな素振りを見せつつ、クリスくんの顔をちらと伺う。
「レイジーは行ってきたら? 楽しいと思うよ。アスカには僕から言っておくから」
「! うん、そうする!」
「じゃあ、庭に行きましょうか」
リーシャとセイくんレイジーちゃんの3人は、子供たちと一緒に外へ出ていってしまった。
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