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第7章:未来への学びと絆
第161話「研究の壁と新たな視点」
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翌朝、実験室に集まったエルヴィンたちは、さらなる改良案を検討していた。これまでの成果により、魔力分岐システムは長時間の安定動作に成功していた。しかし、次なる課題が新たに浮上していた。
「動作自体は安定してるけど、今のままだとエネルギー効率が良くないんだ。消費される魔力が多すぎるんだよね……。」
エルヴィンが魔法陣の設計図を見つめながら考え込む。
「確かに、昨日のテストでも動作時間が長かった分、結晶の魔力消耗が激しかったな。」
レオンが記録を見ながら頷く。
「これは結晶だけの問題ではなさそうですわね。魔力が回路を循環する際、余分なエネルギーが無駄に放出されている可能性が高いですわ。」
カトリーヌが冷静に分析する。
リヴィアも測定結果を確認しながら、小さく頷いた。
「魔力の流れの中で、小さな『エネルギー損失』が積み重なっているようです……。このままだと長期的な使用に耐えられないかもしれません。」
「損失か……。」
エルヴィンは指先で設計図の一部を軽くトントンと叩きながら考え込む。
その時、実験室のドアがノックされ、ハロルドが現れた。彼の手には分厚い本といくつかの資料が抱えられている。
「お邪魔するよ。」
ハロルドが部屋に入るなり、エルヴィンたちの研究台に視線を向けた。
「ハロルドさん、どうしましたか?」
エルヴィンが驚きつつも尋ねる。
「昨日の昼休みに、お前たちの研究テーマを聞いてな。ちょっと気になって調べてみたんだ。俺のところの研究でも似たような課題があって、少しアドバイスできるかもしれない。」
ハロルドはそう言いながら、持参した資料をエルヴィンたちの前に広げた。
「この部分、魔力の損失が発生する典型的なポイントだ。特に、魔法陣の接続部分で魔力が漏れ出すことがよくある。」
彼が指差したのは、回路の接続部分だった。
「漏れ出す……つまり、魔力が無駄に外へ拡散してるってことですか?」
エルヴィンが資料を見ながら尋ねる。
「その通り。これはよくある現象で、特に複数の分岐がある場合、接続部分に負荷が集中してしまうんだよ。ここを強化すれば、効率がかなり上がるはずだ。」
ハロルドが指差したのは、接続部分に用いる素材について書かれた一文だった。
「例えば、ここで使われているのは一般的な金属だけど、魔力伝導性が高い特殊な合金を使えば損失を大幅に抑えられるはずだ。」
彼が示したのは、一枚の資料に記された希少な合金の説明だった。
「でも……その合金って、すごく高価ですよね?」
リヴィアが控えめに心配を口にする。
「だからこそ、全体に使うんじゃなくて、必要な部分だけにポイントを絞るんだ。そうすればコストも抑えられるし、実用的だろ?」
ハロルドは自信ありげに笑う。
「なるほど……そうすれば、今の予算内でもなんとかなりそうだね。」
エルヴィンが目を輝かせながら頷く。
ハロルドの助言をもとに、エルヴィンたちはさっそく魔力回路の接続部分を改良する作業に取り掛かった。レオンが工具を手にして金属部品の微調整を行い、エルヴィンは魔力回路の設計図を細かく見直している。
「こういう細かい作業って、性に合わないんだけどな……。」
レオンがぼやきながらも手元を器用に動かし、調整を続ける。
カトリーヌは、そんなレオンの様子を横目で見ながら、エルヴィンが修正した設計図を確認していた。
「レオン様、大雑把な性格の割には、こういう細かい作業に意外と向いていますわね。」
カトリーヌはくすりと笑みを浮かべながら言う。
「おいおい、それ褒めてんのか?」
レオンが苦笑いを浮かべつつ、調整を終えた部品を手に取り、改良した部分を確認した。
「もちろんですわ。おかげで全体の作業が順調に進んでいますもの。」
カトリーヌは軽く頷きながら、エルヴィンが次の工程に取り掛かれるよう調整の記録をまとめていた。
その一方で、リヴィアは机の上に並べた魔力結晶を手に取り、慎重にその魔力伝導率を測定している。
「……この結晶、少しだけ不安定です。」
リヴィアが控えめに言いながら、エルヴィンに結晶を差し出す。
「どれどれ?」
エルヴィンが受け取ると、小型の測定器を使って結晶の状態を確認する。
「確かに……この部分、内部に小さな気泡があるみたいだね。でも補強魔法をかければ十分使えるはずだよ。」
「私がやってみます。」
リヴィアはそっと補強魔法を施し始め、結晶をしっかりと安定させていく。
その作業の間も、レオンは器用に部品を組み上げ、エルヴィンとカトリーヌが設計の次の段階を練り直していた。リヴィアが結晶の安定化を終えた頃、エルヴィンが顔を上げて全員を見渡した。
「これで基礎部分はほぼ完成したね。次は回路の改良を最終調整してみよう。」
エルヴィンの声に、全員が頷きながら、それぞれの作業を再開した。
夕方になり、改良された装置が完成した。エルヴィンたちは早速テストを行うことにした。
「いよいよだな。うまくいくといいけど……。」
レオンが緊張した様子で装置を見つめる。
「絶対にうまくいきますわ。」
カトリーヌが自信ありげに答える。
「準備はできました。エルヴィン様、スイッチをお願いします。」
リヴィアが結晶をセットしながら静かに言った。
エルヴィンがスイッチを押すと、装置が静かに稼働を始めた。魔力が回路を流れ、三つのランプが同時に点灯する。その光は以前よりも明るく、そして安定していた。
「やった……!」
エルヴィンが小さく呟く。
「すごいじゃないか!これでエネルギー効率の問題も解決だな!」
レオンが歓声を上げる。
「まだ完璧ではありませんけれど、大きな前進ですわね。」
カトリーヌが満足げに微笑む。
「私も……少しでもお役に立ててよかったです。」
リヴィアが控えめに言った。
その夜、エルヴィンたちは実験室に残り、次の課題について話し合っていた。装置の効率は改善されたが、さらなる改良の余地があることも明らかだった。
「これからの研究はもっと難しくなるけど……きっと乗り越えられる。」
エルヴィンがノートを閉じながら言った。
「もちろんだ!俺たちのチームワークをなめるなよ!」
レオンが笑いながら拳を掲げる。
「そうですわね。私たちならきっとやり遂げられますわ。」
カトリーヌも微笑みながら頷く。
「私も……全力で頑張ります。」
リヴィアが静かに言った。
こうして、エルヴィンたちの挑戦の日々は続いていく。彼らの研究が、学院全体を驚かせる成果へと繋がるのは、もう少し先の話だった――。
「動作自体は安定してるけど、今のままだとエネルギー効率が良くないんだ。消費される魔力が多すぎるんだよね……。」
エルヴィンが魔法陣の設計図を見つめながら考え込む。
「確かに、昨日のテストでも動作時間が長かった分、結晶の魔力消耗が激しかったな。」
レオンが記録を見ながら頷く。
「これは結晶だけの問題ではなさそうですわね。魔力が回路を循環する際、余分なエネルギーが無駄に放出されている可能性が高いですわ。」
カトリーヌが冷静に分析する。
リヴィアも測定結果を確認しながら、小さく頷いた。
「魔力の流れの中で、小さな『エネルギー損失』が積み重なっているようです……。このままだと長期的な使用に耐えられないかもしれません。」
「損失か……。」
エルヴィンは指先で設計図の一部を軽くトントンと叩きながら考え込む。
その時、実験室のドアがノックされ、ハロルドが現れた。彼の手には分厚い本といくつかの資料が抱えられている。
「お邪魔するよ。」
ハロルドが部屋に入るなり、エルヴィンたちの研究台に視線を向けた。
「ハロルドさん、どうしましたか?」
エルヴィンが驚きつつも尋ねる。
「昨日の昼休みに、お前たちの研究テーマを聞いてな。ちょっと気になって調べてみたんだ。俺のところの研究でも似たような課題があって、少しアドバイスできるかもしれない。」
ハロルドはそう言いながら、持参した資料をエルヴィンたちの前に広げた。
「この部分、魔力の損失が発生する典型的なポイントだ。特に、魔法陣の接続部分で魔力が漏れ出すことがよくある。」
彼が指差したのは、回路の接続部分だった。
「漏れ出す……つまり、魔力が無駄に外へ拡散してるってことですか?」
エルヴィンが資料を見ながら尋ねる。
「その通り。これはよくある現象で、特に複数の分岐がある場合、接続部分に負荷が集中してしまうんだよ。ここを強化すれば、効率がかなり上がるはずだ。」
ハロルドが指差したのは、接続部分に用いる素材について書かれた一文だった。
「例えば、ここで使われているのは一般的な金属だけど、魔力伝導性が高い特殊な合金を使えば損失を大幅に抑えられるはずだ。」
彼が示したのは、一枚の資料に記された希少な合金の説明だった。
「でも……その合金って、すごく高価ですよね?」
リヴィアが控えめに心配を口にする。
「だからこそ、全体に使うんじゃなくて、必要な部分だけにポイントを絞るんだ。そうすればコストも抑えられるし、実用的だろ?」
ハロルドは自信ありげに笑う。
「なるほど……そうすれば、今の予算内でもなんとかなりそうだね。」
エルヴィンが目を輝かせながら頷く。
ハロルドの助言をもとに、エルヴィンたちはさっそく魔力回路の接続部分を改良する作業に取り掛かった。レオンが工具を手にして金属部品の微調整を行い、エルヴィンは魔力回路の設計図を細かく見直している。
「こういう細かい作業って、性に合わないんだけどな……。」
レオンがぼやきながらも手元を器用に動かし、調整を続ける。
カトリーヌは、そんなレオンの様子を横目で見ながら、エルヴィンが修正した設計図を確認していた。
「レオン様、大雑把な性格の割には、こういう細かい作業に意外と向いていますわね。」
カトリーヌはくすりと笑みを浮かべながら言う。
「おいおい、それ褒めてんのか?」
レオンが苦笑いを浮かべつつ、調整を終えた部品を手に取り、改良した部分を確認した。
「もちろんですわ。おかげで全体の作業が順調に進んでいますもの。」
カトリーヌは軽く頷きながら、エルヴィンが次の工程に取り掛かれるよう調整の記録をまとめていた。
その一方で、リヴィアは机の上に並べた魔力結晶を手に取り、慎重にその魔力伝導率を測定している。
「……この結晶、少しだけ不安定です。」
リヴィアが控えめに言いながら、エルヴィンに結晶を差し出す。
「どれどれ?」
エルヴィンが受け取ると、小型の測定器を使って結晶の状態を確認する。
「確かに……この部分、内部に小さな気泡があるみたいだね。でも補強魔法をかければ十分使えるはずだよ。」
「私がやってみます。」
リヴィアはそっと補強魔法を施し始め、結晶をしっかりと安定させていく。
その作業の間も、レオンは器用に部品を組み上げ、エルヴィンとカトリーヌが設計の次の段階を練り直していた。リヴィアが結晶の安定化を終えた頃、エルヴィンが顔を上げて全員を見渡した。
「これで基礎部分はほぼ完成したね。次は回路の改良を最終調整してみよう。」
エルヴィンの声に、全員が頷きながら、それぞれの作業を再開した。
夕方になり、改良された装置が完成した。エルヴィンたちは早速テストを行うことにした。
「いよいよだな。うまくいくといいけど……。」
レオンが緊張した様子で装置を見つめる。
「絶対にうまくいきますわ。」
カトリーヌが自信ありげに答える。
「準備はできました。エルヴィン様、スイッチをお願いします。」
リヴィアが結晶をセットしながら静かに言った。
エルヴィンがスイッチを押すと、装置が静かに稼働を始めた。魔力が回路を流れ、三つのランプが同時に点灯する。その光は以前よりも明るく、そして安定していた。
「やった……!」
エルヴィンが小さく呟く。
「すごいじゃないか!これでエネルギー効率の問題も解決だな!」
レオンが歓声を上げる。
「まだ完璧ではありませんけれど、大きな前進ですわね。」
カトリーヌが満足げに微笑む。
「私も……少しでもお役に立ててよかったです。」
リヴィアが控えめに言った。
その夜、エルヴィンたちは実験室に残り、次の課題について話し合っていた。装置の効率は改善されたが、さらなる改良の余地があることも明らかだった。
「これからの研究はもっと難しくなるけど……きっと乗り越えられる。」
エルヴィンがノートを閉じながら言った。
「もちろんだ!俺たちのチームワークをなめるなよ!」
レオンが笑いながら拳を掲げる。
「そうですわね。私たちならきっとやり遂げられますわ。」
カトリーヌも微笑みながら頷く。
「私も……全力で頑張ります。」
リヴィアが静かに言った。
こうして、エルヴィンたちの挑戦の日々は続いていく。彼らの研究が、学院全体を驚かせる成果へと繋がるのは、もう少し先の話だった――。
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