辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐

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第7章:未来への学びと絆

第165話「学院内での広がる期待」

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翌日、エルヴィンたちの研究成果が少しずつ学院内で注目を集め始めた。実験棟での作業中に、他のクラスの生徒や講師たちが興味を示して見学に訪れるようになったのだ。

「おい、聞いたか?エルヴィンたち、学院の供給システムをもとにした実験をやってるらしいぞ。」
廊下でそんな噂を耳にした生徒たちが、興味津々で実験室の外に集まっていた。

その日の昼休み、エルヴィンたちは実験室で次の設計について話し合っていたが、ドアの向こうから聞こえるざわめきに気づいた。

「なんか外が騒がしいな。」
レオンが顔をしかめながらドアの方を見やる。

「もしかして、私たちの実験が気になって見に来たのでは?」
カトリーヌが微笑みながら答えると、リヴィアが心配そうに続けた。
「見学に来てくれるのは嬉しいですけど……注目されるのは少し緊張しますね。」

エルヴィンは立ち上がり、ドアを開けると、数人の生徒が驚いたようにこちらを見た。
「みんな、どうしたの?」
エルヴィンが首をかしげながら尋ねると、一人の生徒が興奮した様子で言った。

「いや、エルヴィンたちがすごい実験をしてるって聞いて、どんなことをやってるのか気になってさ!少し見学させてもらえないかな?」

エルヴィンは一瞬考えたが、笑顔で頷いた。
「いいよ。でも、少しだけね。まだ試行錯誤してる段階だから、あまり期待しすぎないで。」

実験室に招き入れられた生徒たちは、机の上に並べられた魔力結晶や回路の図面、そして拡張モデルを見て感嘆の声を上げた。

「すごいな……これ、本当に動くのか?」
一人の生徒が小さなモデルを指差して尋ねる。

「ええ、現在は小規模な供給システムのテストをしていますが、最終的にはもっと大きなモデルに拡張する予定ですわ。」
カトリーヌが落ち着いた口調で説明すると、生徒たちはますます興味を深めた様子だった。

「お前ら、こんな複雑なことをどうやって思いついたんだよ?」
別の生徒が感心した様子で尋ねると、レオンが得意げに肩をすくめた。

「まあな、俺たちにはエルヴィンっていう天才がいるからな!」
レオンの冗談交じりの言葉に、生徒たちが笑い声を上げる。

「いやいや、僕だけの力じゃないよ。みんなの協力があってこそだから。」
エルヴィンが照れくさそうに答えると、リヴィアが控えめに微笑んだ。
「エルヴィン様のアイデアがあって、私たちも一緒に頑張れています……。」

午後になると、学院の教授陣の中にもエルヴィンたちの研究に興味を持つ者が現れた。その中には、先日の講義を担当した老練な賢者ライエン・バルトンの姿もあった。

「ほう、これが君たちの研究しているモデルか。なかなか興味深い設計だね。」
ライエンが実験室に入ると、エルヴィンたちは全員立ち上がり、軽く頭を下げた。

「ライエン教授、今日はどうされたのですか?」
カトリーヌが丁寧に尋ねる。

「君たちの研究の噂を聞いてね。少し様子を見に来たんだよ。」
ライエンが微笑みながら、机の上の設計図に目を通す。

「魔力の分岐と供給システムを組み合わせたこの設計……基礎はしっかりしているが、改良の余地もある。」
彼は設計図の一部を指差しながら続けた。
「たとえば、ここ。この分岐点の部分に、魔力伝導性の高い素材を追加すれば、損失をさらに抑えられるだろう。」

「なるほど……そのアイデア、試してみます!」
エルヴィンはノートにメモを取りながら、教授の助言に感謝を述べた。

「うむ。君たちの取り組みは非常に有意義だ。学院内でもっと注目されるべきだね。」
ライエンは満足そうに頷き、実験室を後にした。

その夜、エルヴィンたちはライエンの助言をもとに、新たな改良案を検討していた。

「教授の言ってた素材って、学院の資材庫にあったかな?」
レオンが思い出すように言う。

「たしか……特別な許可がないと使えない素材だったはずですわ。でも、教授の推薦があれば使えるかもしれません。」
カトリーヌが提案する。

「じゃあ、明日教授にお願いしてみよう。それまでに設計をさらに練り直しておこう。」
エルヴィンが言うと、全員が頷き、それぞれの作業に戻った。

リヴィアは、魔力結晶の配置について新しいアイデアを考え始め、カトリーヌは記録を整理しながら次の計画をまとめていた。レオンは、部品の強度を向上させるための工具を手に、試作品を調整している。

「よし、みんな。明日はもっと進展があるはずだ。一歩ずつだけど、確実に進んでいこう!」
エルヴィンが力強く言うと、全員が微笑みながら頷いた。

こうして、エルヴィンたちの挑戦は、さらに大きな成果を目指して進んでいく――。
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