辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐

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第7章:未来への学びと絆

第166話「素材探しと教授の推薦」

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翌朝、エルヴィンたちはライエン教授の助言をもとに、新たな素材を使った改良を進めるため、学院内の特別資材庫を訪れることにした。その素材――「オルディアム」は、学院が厳重に管理する特級合金で、使用するには教授や主任の推薦が必要だった。

「ライエン教授、昨日のお話にあったオルディアムを使いたいのですが、推薦をいただけますか?」
エルヴィンが教授の研究室を訪ね、直接お願いすると、教授は少し考える素振りを見せたあと、笑みを浮かべた。

「君たちの研究は注目に値する。それに、オルディアムのような素材は、使いこなせる者が使うべきだろう。推薦書を書こう。」
ライエンがペンを取り出しながら答えた。

エルヴィンが感謝の言葉を述べると、教授は少しだけ笑いを含めて付け加えた。
「ただし、オルディアムは扱いが難しい。微細な傷でも性能が落ちることを忘れるな。それに、加工中の温度にも注意が必要だぞ。君たちがどう使いこなすかが試されるな。」

エルヴィンは力強く頷き、推薦書を受け取った。

推薦書を手に、エルヴィンたちは学院内の特別資材庫へ向かった。資材庫は普段の倉庫とは違い、厳重な管理下にあり、特別な許可を持つ者だけが立ち入ることを許される場所だ。

「ここが特別資材庫か……すごい雰囲気だな。」
レオンが周囲を見回しながら呟く。

「貴重な素材が保管されていますのよ。それに見合った管理が必要なのは当然ですわ。」
カトリーヌが冷静に答えた。

管理担当者に推薦書を渡すと、奥へ案内された。そこには、珍しい素材や部品が整然と並べられており、一目でその価値が高いことが分かる。

「これがオルディアムか……なんか、普通の金属に見えるけど、触ると全然違うな。」
エルヴィンが手に取ったオルディアムを見つめながら感心する。

「冷たくて、なめらかだな……。でも、加工が難しいって教授も言ってたよな。」
レオンが指で軽く弾くと、独特の澄んだ音が響く。

「確かに。この特性を活かすには、非常に慎重な取り扱いが求められますわ。」
カトリーヌが注意を促すと、リヴィアが控えめに付け加えた。

「温度管理も重要です。専用の炉を使えば大丈夫だと思いますけど……細心の注意が必要です。」

「よし、慎重に進めよう。まずは必要な量を調達してみよう。」
エルヴィンが頷き、適量のオルディアムを選び取った。

実験室に戻ると、エルヴィンたちはさっそくオルディアムを使った改良作業に取り掛かった。魔力の分岐点にオルディアムを配置することで、魔力損失をさらに抑えることが目標だ。

「まずは、分岐点の金属パーツにオルディアムを組み込むところからだな。」
エルヴィンが設計図を指差しながら言う。

「了解。でも、この素材、硬すぎて工具が効きにくいぞ……。」
レオンが苦労しながら加工を進めている。

「レオン様、オルディアムはその特性ゆえに加工が難しいのです。魔法炉での適切な加熱が必要ですわ。」
カトリーヌがアドバイスすると、リヴィアが工具を持ちながら提案する。

「専用の温度調整魔法を使えば、加工が少しは楽になるかもしれません……。」

「なるほど、それで試してみよう!」
エルヴィンがリヴィアの案に同意し、炉の温度を調整しながら作業を進めた。

改良を終えた回路にオルディアムを組み込むと、いよいよ動作テストが始まった。エルヴィンがスイッチを押すと、魔力が流れ、装置全体が穏やかな光で満たされた。

「おお……なんだこれ。全然引っかかる感じがねえ。」
レオンが驚きながら回路を覗き込む。

「魔力損失がほぼゼロですわ。この安定性は素晴らしいです!」
カトリーヌが測定器を確認して声を上げた。

「これなら、さらに大規模なモデルにも応用できます……。」
リヴィアが微笑みながら言う。

「本当にオルディアムのおかげだね。これで次の段階に進める!」
エルヴィンが力強く頷いた。

その日の夕方、ライエン教授が実験室を訪れ、テストの成果を確認した。

「ほう……オルディアムをここまでうまく活用するとは。君たちの研究は、学院だけでなく王国全体にも影響を与える可能性があるな。」
教授は満足げに頷き、エルヴィンたちを激励した。

「この調子で進めば、君たちの研究はきっと大きな成果をもたらすだろう。期待しているよ。」

教授の言葉に、エルヴィンたちは次の挑戦への意欲を新たにした――。
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