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2章

神代の友達

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あれからほぼ神代と言葉を交わすことなく委員会活動を黙々とこなしていた。
神代に無視されているわけでは無いが、話しかけてくるなオーラを感じる。
ああ、面倒くさい。

だが、それでも神代は仕事に対しては俺に細かい点指摘してくる。
本当に真面目な事だ。ここまで来るとある種尊敬を感じてきた。

そんな気分の悪い日々を過ごしていたが、ある日変化が訪れた。

「…なあ、お前絶対体調悪いだろ。保健室行けよ」
「…別に、大丈夫」
明らかに神代の顔色が悪い。

いや、朝も様子がおかしいとは思っていたが昼になった今は顔が真っ青だ。
さすがにこれはまずそうだ。

「おい、なんでそんなに意地になってるんだよ?」
「大丈夫だから大丈夫って言ってるの!」

ああ、やっぱりこいつは訳が分からん。
もういいや。無理やり保健室に連れて行こう。

そう思ったときに呑気に声を掛けてくる輩がいた。

「居た居た、神代。探したよ。こんな所にいたんだ」
「美咲ちゃん…」

うちのクラスの女子達だ。
そういえば、神代はうちのクラスに友達がいるとか言ってたな。
相田達の事だったのか。

相田達は俺の事を当然のように無視して神代と話を進める。
「実はさ。読みたい漫画があるんだけどお小遣いがピンチでさ~。お金貸してくれない?」
「うち、今あんまりお金なくて…。」
「え~?困っているときに助け合うのが友達じゃん!私たち、友達だよね?」
「…う、うん、友達だもんね!困ったときはお互い様だよ!」

神代はただでさえ悪い顔色をより一層悪くして、へらへらと取り繕った笑顔を浮かべる。
…おい、これで友達とか馬鹿なのか。
神代は今にも財布を取り出しそうだ。

せめて俺の知らないところでやれよ!
こんなの見せられたら黙っているわけにもいかないだろうが!

「あー、その相田?こいつ、体調悪いみたいなんで今回は遠慮してもらえるかな?今から保健室に連れていくんで」

俺が神代と相田の間に割って入ると相田達がまるで今存在に気付いたと言わんばかりに俺にきつい目を向けてきた。お前らマジで俺の事どうでもいいと思ってたんだな。

…やってしまったか?
せっかくクラスでなるべく関わらないように過ごしていたのに!

「…は?何、村井?なんでぼっちの村井が急に私達の会話に入り込んでくるわけ?アンタには関係ないでしょ?」
「いやいや、ははは。とにかく保健室行くので」
「そういえば最近、篠崎にも良く話しかけられているもんね。もしかして調子に乗っちゃたのかな?それとも神代にいい所見せたい?こんな陰キャにもてるなんてモテル女はつらいねぇ神代」
「あー、そういうわけじゃないけど。また今度ね」

そういって無理やり神代の腕を掴んで早歩きでその場から立ち去る。

幸いなことに相田達は後を追ってこなかった。

ただ
何あいつ、ムカつく…。と相田が声に出していたのが聞こえた。
…これは目をつけられたかもな。

神代は特に抵抗する事もなく大人しく保健室について来た。

「…ありがとう」
ただ、小さな声で俺にお礼を言っていた。
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