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1章:癒しを求めたはずが

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 手を繋いで商店に行くとか、恥ずかしくてしょうがなかったけど…お店についたらそれどころじゃなかった。いや、もうほんと、色とりどりの生麺から乾燥物まで、すごい種類があった。
 生麺、悪くなりそう…と思ったけど…大容量で時間停止するマジックバック持ちがいるらしい。マジックバック持ちでも、時間停止できる人と出来ない人がいるのだとここで判明。いやまあ、なんとなく想像はついたけども。
 時間停止出来て、大容量な人は、こういう生鮮物を扱う商人になるとひっぱりだこなんだとか。とはいえ…何故か、1つ単位…といえばいいのか、そこからずれると収納できなくなるそうだ。要は未開封なら可。その辺りは散々考察されていて、入れ物なんかも決まっているそうで。
 そりゃそうか、今に始まった事じゃないもんね。

「本当に色々あるんですね…あの黒いやつは、なんですか?」

 イカスミを使った物かな?と思うけど、ここは異世界だからなぁ。ティースプーン位の三角形をした物なんだけどね。一応生…らしい。

「ああ、あれはデザートで使うものだな。少し甘みがあって、飾り付けにも使われる。似たような使い方で、あれもそうかな」

 と言って示されたのは、リボン型っていうのかな、真ん中を寄せたような形で、赤い色をしてる。デザート用かぁ。いいなぁ、可愛い。そんな物もあるんだねぇ。すごいなぁ。もしかしたら日本でもあるかな。後で探してみよう。

 デザートで使う物が気になってしまったので…それを使うデザートを出す、魚料理メインのお店へと連れて行ってくれた。デザートだけ他の店で買って持ち込みもいいけど、丁度いいお店があったとかで。
 他のお店を見て回りたかったから軽めにだけど。注文は、席にまで取りに来てくれたけど…そういえば。

「お金というか支払いって…!」
「ああ、それは心配しなくていい。そもそも、何も持っていないだろう?」

 言われてみればそうでしたね。異世界には着の身着のままくるんでしたね。私はリュックごと来ましたが。

「出来るなら、定住して欲しいしな。何かしらこちらへ戻ってくる可能性があるなら」

 食べ物につられると思われているんだろうか。

「ああ、キャンプをしに来るのもいい」

 キャンプ…確かに魔法とかあれば、水の心配もないし。日本でも魔法使えるみたいだけど、人の目があるもんなぁ。
 でも、日帰り出来ないような気がするし。

「女性だと難しいな。あいつは魔法が使えるからと、しょっちゅう入り浸っているのだが」

 あー…でも、女性でも魔法使いたいと思う人いるんじゃないかなぁ。便利なものは使いたいけど私はそこまでじゃないし。

 そんな会話も、料理が来て終わった。運ばれて来たお皿をみて、びっくりした。パンが来たのかと思ったのよ。でも、キルギスさんがナイフで真ん中で切り分けて見せてくれた。

「魚の切り身をパスタ生地で包んでるんだ。中の魚にはしっかり味がついてるから、一緒に食べると良い」

 パイ生地で包むのではなく、パスタ生地かぁ。そんなのもあるのね。パスタ生地だからか、かなりもっちりしっかりした食感だけど、魚の味とマッチしていておいしかった。
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