上 下
69 / 108
3章:異世界と日本との二重生活の始まり

69

しおりを挟む
 能力バレしないように日本の商品を売る場合、どうすればいいのか考えるけど…商品を限定すれば、それしか持って来れないって印象付けられるかもだけど、うーん。できるけどそれを隠さないといけないっていうのはすっごく面倒くさい!
 作り方とかは、企業秘密としてもいいだろうけど…だからと言って全部秘密にしたら逆に怪しまれるかもしれないし。原材料位はいくつか調べておいたほうがいいけど、成分表見ても化学名とかだからリュリュクスでは伝わらないだろうし…うーん。

「商人であれば、大きな商会の仕入れ担当とか、会計なんかもいいと思いますけど…」
「…それであればうちの両親が黙ってないような気がする」
「あー…」

 スーザンさんの意見は、キルギスさんの一言であっという間にボツに。そうなのよね。事務系だと、キルギスさんのご両親からそれならうちでいいじゃないかと言われそう。身の安全も保障されてるしね…うちのほうが安全だろうと言われてしまうだろうし。

「その、ユカは、どうだろうか。身贔屓ではないが、私が機関に所属している事もあるし、安全は保障できる。あの様子だと物凄く気に入られている…と、思うから、無茶な事は言わないと思う…」

 なんか縋るような眼でみないでくれますか…罪悪感半端ない。顔がいいから、うんいいよ。って返事しそうになったよ…なにこれ怖い。

「と、とりあえず保留で」
「ああ。一応考えてくれると嬉しい。松田の事でも世話になってるから、その点でも安心してほしい」
「そうですよ。一度、国から魔物が大量発生したから助けてくれって要請きましたけど…本人の意向に沿うっていう返事しましたもんね」
「ああ、あの時か。松田は魔物や害獣相手なら大喜びで手を貸すことは分かってるんだが、国からとなると命令の様に感じてしまう事もあるからな」

 実際、キルギスさんがご両親から聞いた話では、命令口調だったそうで。それを、正しくは『本人に話はするが、断られてもつべこべ言うな』と、本当に言ったらしい。
 …それ、大丈夫なの?って不安になるけど、それ位で国がどうこうできるほど領主としてやってきてないとの事。民からの信頼が篤すぎて、首にしようものなら暴動が起きるとかなんとか…なんかもうすごすぎる。
 というか…すごすぎて嘘みたいな話にも思えてしまう。政治…は、善だけでは成り立たないと思うけれど、善を押し出すことも重要で。あれか。腹黒だけど全然表に出さないとかなのか。
 え、そんなご両親を持ってて、キルギスさんはその性格を受け継いで…ない、とか??まさか善だけで生きてるとか言わない…よね?
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,230pt お気に入り:1,129

melt(ML)

BL / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:13

おばさんは、ひっそり暮らしたい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:50

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:49,424pt お気に入り:5,364

子供の頃結婚の約束をした男の子は魔王でした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:333pt お気に入り:326

なかった事にいたしましょう

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:3,260

風ゆく夏の愛と神友

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:1

処理中です...