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あたらしいおうち
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私はルクスフォード様の家で一泊させてもらった。
晩ご飯は豪華な料理が出てきたし、ふかふかのベッドにダイブしたりして思う存分満喫させてもらった。
するとマーク様がちょっかいをかけに来る。
「何子供みたいに騒いでいるんだ?」
扉に背中を預け、鼻で笑ってくる。すると隠れるようにちびどらが後ろから大声を上げる。
「わっ!!」
その声に驚いてマーク様は尻餅をつく。
その様子に私がクスリと笑うとマーク様は顔を真っ赤にして出て行ってしまった。
◇
そして、翌日。
私は日が昇るのと同時に目が覚める。
まだ人通りの少ない街並みを窓から見下ろしながら大きくあくびをする。
そうしていると眠そうな顔をしたちびどらが目を擦っていた。
「おはよう、ちびどら」
「おふぁよー」
まだ意識ここにあらずなようで私の頭の上にやってくるとそこでまた眠りについてしまった。
「もう、ちびとらは」
私はぷんと怒るがちびどらは夢の世界へ旅立った後だった。
◇
ルクスフォード様達と食事をとった後、私たちはなぜかマーク様に連れられて街の一角にあるお家へと案内される。
「ふん、犬小屋みたいな小さな家だな。ちっこいお前にはお似合いだ」
笑いながら言ってくるマーク様。
ち、小さいと言っても私の家よりはるかに大きいよ。
る、ルクスフォード様の家と比べたら……ね。
首を横にフルフルと振って、脳内でマーク様の言葉を否定する。
「マーク様、ありがとうございます」
私はここまで案内してくれたマーク様にお礼を言う。すると、マーク様の顔が険しくなっていく。
な、なんで?
「そのマーク様というのをやめろ! お前に言われると虫唾が走る」
どうやらマーク様は呼び方が不満だったみたい。
でも他に呼びようがないよね?
私は少し考えた後、パッと閃く。
「わかりました。マークフォード様」
そう言った瞬間に私の頭には拳骨がとんできていた。
◇
「マーク様ぁ、いたいですよぉー」
私はヒリヒリする頭を押さえながら不満を訴えかけた。
マーク様は不遜な態度のままそっぽ向いている。
「ふん、お前が悪い」
私が悪いことになってしまった。どうしてだろう?
不思議に思っているとちびどらが教えてくれる。
「あれは様付けで呼んで欲しくないんじゃないか?」
私にだけ聞こえるように小声でつぶやくちびどら。
そんなことないよ、と思いながらも試すことにした。
でも、呼び捨ては失礼なので……。
「ま、マーク…くん?」
男の子をこんな風に呼んだことはなかったので、恥ずかしかったので少し俯き加減に言う。
体をモゾモゾと動かし、顔が少し火照っている気がする。
そんな私を横目で見たマークくんはビクッと体を震わせ、その後私の方に振り返り、ブルブルと肩を震わせていた。
「お、おま……、な、何を」
怒られる!
涙目になりながら上目遣いにマークくんを見る。
そして、その後頭を抱えて顔を伏せる。
でも、なかなか衝撃がこないので、どうしたのだろうと顔を上げる。
すると、マークくんが顔を背け、顔を赤めていた。
「ふん、仕方ないな。そう呼ぶことを許可する」
顔を背けながら偉そうにそう言ってくる。
よかったぁ……。怒ってたわけじゃないんだ……。
「わかったよ。マークくん」
何度も名前を呼んでいるとマークくんが軽く頭を小突いてくる。
ちょっと調子に乗りすぎたかも……。
◇
早速新しいお家の中に入ってみる。すると……。
「こほっ、こほっ、な、何ここ?」
中は長いこと使っていなかったのか随分と埃っぽかった。
私は口に手を当ててなるべく埃を吸わないようにしながら進んでいく。
「お、おい。大丈夫か? 俺は親父に文句言ってくる!」
マークくんが私を心配してくれる。
「だいじょーぶ。長いこと使ってなかっただけみたい。掃除すればきれーになるよ」
「そ、そーか。なら掃除道具とってくる!」
生意気だったマークくんが随分と働いてくれる。
それが何だか嬉しかった私は気合を入れ、腕捲りする。
そして、全ての部屋の窓を開けて入った。
「お、おいらは何しようか?」
何も出来ないと感じたのか、慌てながらちびとらが話してくる。
でもちびどらに出来ることなんて想像もつかなかった。
とりあえずマークくんが戻ってくるまで保留にしておこう。
そう考えた私はカバンから不思議な本を出す。
今あるページは野菜スープとレベル1のポーションだけ。
生活をするにはポーションがあれば十分だけど……。
「まさかミーシャはポーションだけで満足してない?」
私の考えを読んだのか、ちびどらは冷たい視線を送ってくる。
「そ、そ、そんなことないよ。もっと色んなものが作れた方がいいよね?」
少し動揺しながら答える。
「そうそう、せめてまともな武器とか作らないといけないよね」
えっ? 武器?
私は思わずポカンとした表情になる。
「まさか食べ物とか薬しか出来ないと思ってた?」
「う、うん。だってそれしか書かれていないもん」
私がそう答えると、あからさまに落胆した表情になるちびどら。
「と、とにかく色んな素材を集めるんだ! そうすればページも増えて、新しいものが作れるようになるから」
「うん。頑張るよ!」
ギュッと両手で握りこぶしを作る。するとマークくんが戻ってきた。
「借りてきたぞ!」
彼の手には箒とちりとりが握られていた。あっ、ちびどらでもちりとりくらい持てそう。
私はちびどらの方を向く。ちびどらは何かわからないようで不思議そうに見返してきていた。
晩ご飯は豪華な料理が出てきたし、ふかふかのベッドにダイブしたりして思う存分満喫させてもらった。
するとマーク様がちょっかいをかけに来る。
「何子供みたいに騒いでいるんだ?」
扉に背中を預け、鼻で笑ってくる。すると隠れるようにちびどらが後ろから大声を上げる。
「わっ!!」
その声に驚いてマーク様は尻餅をつく。
その様子に私がクスリと笑うとマーク様は顔を真っ赤にして出て行ってしまった。
◇
そして、翌日。
私は日が昇るのと同時に目が覚める。
まだ人通りの少ない街並みを窓から見下ろしながら大きくあくびをする。
そうしていると眠そうな顔をしたちびどらが目を擦っていた。
「おはよう、ちびどら」
「おふぁよー」
まだ意識ここにあらずなようで私の頭の上にやってくるとそこでまた眠りについてしまった。
「もう、ちびとらは」
私はぷんと怒るがちびどらは夢の世界へ旅立った後だった。
◇
ルクスフォード様達と食事をとった後、私たちはなぜかマーク様に連れられて街の一角にあるお家へと案内される。
「ふん、犬小屋みたいな小さな家だな。ちっこいお前にはお似合いだ」
笑いながら言ってくるマーク様。
ち、小さいと言っても私の家よりはるかに大きいよ。
る、ルクスフォード様の家と比べたら……ね。
首を横にフルフルと振って、脳内でマーク様の言葉を否定する。
「マーク様、ありがとうございます」
私はここまで案内してくれたマーク様にお礼を言う。すると、マーク様の顔が険しくなっていく。
な、なんで?
「そのマーク様というのをやめろ! お前に言われると虫唾が走る」
どうやらマーク様は呼び方が不満だったみたい。
でも他に呼びようがないよね?
私は少し考えた後、パッと閃く。
「わかりました。マークフォード様」
そう言った瞬間に私の頭には拳骨がとんできていた。
◇
「マーク様ぁ、いたいですよぉー」
私はヒリヒリする頭を押さえながら不満を訴えかけた。
マーク様は不遜な態度のままそっぽ向いている。
「ふん、お前が悪い」
私が悪いことになってしまった。どうしてだろう?
不思議に思っているとちびどらが教えてくれる。
「あれは様付けで呼んで欲しくないんじゃないか?」
私にだけ聞こえるように小声でつぶやくちびどら。
そんなことないよ、と思いながらも試すことにした。
でも、呼び捨ては失礼なので……。
「ま、マーク…くん?」
男の子をこんな風に呼んだことはなかったので、恥ずかしかったので少し俯き加減に言う。
体をモゾモゾと動かし、顔が少し火照っている気がする。
そんな私を横目で見たマークくんはビクッと体を震わせ、その後私の方に振り返り、ブルブルと肩を震わせていた。
「お、おま……、な、何を」
怒られる!
涙目になりながら上目遣いにマークくんを見る。
そして、その後頭を抱えて顔を伏せる。
でも、なかなか衝撃がこないので、どうしたのだろうと顔を上げる。
すると、マークくんが顔を背け、顔を赤めていた。
「ふん、仕方ないな。そう呼ぶことを許可する」
顔を背けながら偉そうにそう言ってくる。
よかったぁ……。怒ってたわけじゃないんだ……。
「わかったよ。マークくん」
何度も名前を呼んでいるとマークくんが軽く頭を小突いてくる。
ちょっと調子に乗りすぎたかも……。
◇
早速新しいお家の中に入ってみる。すると……。
「こほっ、こほっ、な、何ここ?」
中は長いこと使っていなかったのか随分と埃っぽかった。
私は口に手を当ててなるべく埃を吸わないようにしながら進んでいく。
「お、おい。大丈夫か? 俺は親父に文句言ってくる!」
マークくんが私を心配してくれる。
「だいじょーぶ。長いこと使ってなかっただけみたい。掃除すればきれーになるよ」
「そ、そーか。なら掃除道具とってくる!」
生意気だったマークくんが随分と働いてくれる。
それが何だか嬉しかった私は気合を入れ、腕捲りする。
そして、全ての部屋の窓を開けて入った。
「お、おいらは何しようか?」
何も出来ないと感じたのか、慌てながらちびとらが話してくる。
でもちびどらに出来ることなんて想像もつかなかった。
とりあえずマークくんが戻ってくるまで保留にしておこう。
そう考えた私はカバンから不思議な本を出す。
今あるページは野菜スープとレベル1のポーションだけ。
生活をするにはポーションがあれば十分だけど……。
「まさかミーシャはポーションだけで満足してない?」
私の考えを読んだのか、ちびどらは冷たい視線を送ってくる。
「そ、そ、そんなことないよ。もっと色んなものが作れた方がいいよね?」
少し動揺しながら答える。
「そうそう、せめてまともな武器とか作らないといけないよね」
えっ? 武器?
私は思わずポカンとした表情になる。
「まさか食べ物とか薬しか出来ないと思ってた?」
「う、うん。だってそれしか書かれていないもん」
私がそう答えると、あからさまに落胆した表情になるちびどら。
「と、とにかく色んな素材を集めるんだ! そうすればページも増えて、新しいものが作れるようになるから」
「うん。頑張るよ!」
ギュッと両手で握りこぶしを作る。するとマークくんが戻ってきた。
「借りてきたぞ!」
彼の手には箒とちりとりが握られていた。あっ、ちびどらでもちりとりくらい持てそう。
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