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ぷにりん、げっとだよー
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それからしばらく歩いていく。
お姉さんたちの目的は本当に謎の魔物だけなようで、魔物が落とす素材も全部私にくれる。
「本当にいいのですか?」
「あぁ、私が持っていても意味がないものだ」
確かにこんなもの、戦闘をするお姉さんが持っていても荷物になるだけか。
私はもらえたことが嬉しくて、鼻歌交じりに素材を拾っていく。
「うっ……、か、かわ……」
お姉さんが何かいいかけて途中でやめる。
そして、必死に首を横に振って、呪文のように何かを小声で呟いていた。
「今はダメだ、今はダメだ。もっと仲良くなってから……。いつかは私の……ぐふふっ……」
とても楽しそうに笑みを浮かべている。
ただ、お姉さんは気づいていないようだが、口元によだれが垂れている。
素材もくれたわけだし、このくらいはと思って私はカバンからタオルを取り出して口を拭ってあげる。
ただ、かなり高身長のお姉さん。
その口を拭うためには私は必死に背伸びをする必要があった。
恍惚の表情を浮かべていたお姉さんは私に口を拭われると一転。
「な、な、な、なにを……痛っ」
困惑して、少し後ろへと下がっていったお姉さんは背後に大木があることに気づかずにそのままぶつかる。
「ご、ごめんなさい。私……お姉さんが気づいていないかなと思って……」
慌ててお姉さんへ近づき、必死に謝る。
「い、いや、気にするな。これは邪な妄想に浸っていた私への天罰なんだ。うん、まだ関係を進めるには早いという天のお告げなんだ」
焦って必死に言い訳をするお姉さん。
そんなお姉さんを私は不思議に思った。
◇
しばらく行くと本当に何か高速で動くものが見つかる。
色は薄い青色……お姉さんが言っていた色と同じ――。
「よし、行くぞ!」
お姉さんのかけ声とともに武器を構え、攻撃に備える。
すると、その空色の物体は私の方へと飛び込んでくる。
「ミーシャ!!?」
マークくんの焦る声が聞こえる。
お姉さんやマルコさんたちも私をかばうようにその空色の物体の前に立ち塞がるが、その間を縫うように進んできて、そして私に飛び込んでくる。
「ぷに、ぷににぃ……」
しかし、その空色の物体は私に攻撃するつもりではなかったようだ。
私の胸元に飛び込んできて、それで甘えるように声を上げてくる。
その顔を埋めるようにしてくるその姿はペットのようにしか見えない。
「そんな……うらやま……じゃない。ミーシャ、そいつを離すんだ!」
お姉さんが言ってくるけど、私の胸元にいるそのぷにりんは首を横に振って拒否してくる。
うぅ……どうしたらいいのだろう?
私は何度もお姉さんとぷにりんを見比べる。
危険な魔物であることはわかっている。
でも、私を頼ってくれているこの子を見捨ててもいいのだろうか?
困惑のあまり、目を回しそうになる私にちびどらが一言。
「えっと、何々……『僕は悪いぷにりんじゃないよ。いじめないで』だって」
もしかして、今のってこの子が言ったことなの?
「ちびどら、この子の言うことわかるの」
「あぁ、なんて言ったっておいらは偉大な錬金竜だからな」
偉ぶるちびどら。
でもそっか……、言葉がわかるのなら危険はないよね。
「お姉さん、この子私が預かってもいいですか?」
今の一言で覚悟を決めた私はそうお姉さんに伝えた。
お姉さんたちの目的は本当に謎の魔物だけなようで、魔物が落とす素材も全部私にくれる。
「本当にいいのですか?」
「あぁ、私が持っていても意味がないものだ」
確かにこんなもの、戦闘をするお姉さんが持っていても荷物になるだけか。
私はもらえたことが嬉しくて、鼻歌交じりに素材を拾っていく。
「うっ……、か、かわ……」
お姉さんが何かいいかけて途中でやめる。
そして、必死に首を横に振って、呪文のように何かを小声で呟いていた。
「今はダメだ、今はダメだ。もっと仲良くなってから……。いつかは私の……ぐふふっ……」
とても楽しそうに笑みを浮かべている。
ただ、お姉さんは気づいていないようだが、口元によだれが垂れている。
素材もくれたわけだし、このくらいはと思って私はカバンからタオルを取り出して口を拭ってあげる。
ただ、かなり高身長のお姉さん。
その口を拭うためには私は必死に背伸びをする必要があった。
恍惚の表情を浮かべていたお姉さんは私に口を拭われると一転。
「な、な、な、なにを……痛っ」
困惑して、少し後ろへと下がっていったお姉さんは背後に大木があることに気づかずにそのままぶつかる。
「ご、ごめんなさい。私……お姉さんが気づいていないかなと思って……」
慌ててお姉さんへ近づき、必死に謝る。
「い、いや、気にするな。これは邪な妄想に浸っていた私への天罰なんだ。うん、まだ関係を進めるには早いという天のお告げなんだ」
焦って必死に言い訳をするお姉さん。
そんなお姉さんを私は不思議に思った。
◇
しばらく行くと本当に何か高速で動くものが見つかる。
色は薄い青色……お姉さんが言っていた色と同じ――。
「よし、行くぞ!」
お姉さんのかけ声とともに武器を構え、攻撃に備える。
すると、その空色の物体は私の方へと飛び込んでくる。
「ミーシャ!!?」
マークくんの焦る声が聞こえる。
お姉さんやマルコさんたちも私をかばうようにその空色の物体の前に立ち塞がるが、その間を縫うように進んできて、そして私に飛び込んでくる。
「ぷに、ぷににぃ……」
しかし、その空色の物体は私に攻撃するつもりではなかったようだ。
私の胸元に飛び込んできて、それで甘えるように声を上げてくる。
その顔を埋めるようにしてくるその姿はペットのようにしか見えない。
「そんな……うらやま……じゃない。ミーシャ、そいつを離すんだ!」
お姉さんが言ってくるけど、私の胸元にいるそのぷにりんは首を横に振って拒否してくる。
うぅ……どうしたらいいのだろう?
私は何度もお姉さんとぷにりんを見比べる。
危険な魔物であることはわかっている。
でも、私を頼ってくれているこの子を見捨ててもいいのだろうか?
困惑のあまり、目を回しそうになる私にちびどらが一言。
「えっと、何々……『僕は悪いぷにりんじゃないよ。いじめないで』だって」
もしかして、今のってこの子が言ったことなの?
「ちびどら、この子の言うことわかるの」
「あぁ、なんて言ったっておいらは偉大な錬金竜だからな」
偉ぶるちびどら。
でもそっか……、言葉がわかるのなら危険はないよね。
「お姉さん、この子私が預かってもいいですか?」
今の一言で覚悟を決めた私はそうお姉さんに伝えた。
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